物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう

maricaみかん

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13章 狙われるもの

443話 意図を予測して

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 メアリの属性が増えたという噂が流れているということで、それに対する警戒が必要になった。俺の立場から見れば、メアリとシュテルを守れば良いような気がしていた。ただ、そうじゃないんだよな。

 属性が増える秘密を相手が知らないと仮定すると、よく分からない内容の研究がちょうどある。そう、魔道具と魔力バッテリーだ。

 つまり、マリンたちをしっかり守る必要がある。そのためにも、本人たちに説明しなければならない。

 ということで、俺はマリンたちを呼び出した。3人は、どこか不安そうにしている。まあ、当然だ。急に当主から呼び出しが入れば、何かあったのかと思うだろう。実際、問題が起きる可能性がある。

 神妙な顔で、3人は話を聞く姿勢になっている。さて、どう説明したものかな。

「マリン、ソニア、クリス。お前たちに説明しておかないといけないことができた」
「何か問題が起こったのですか? 今のところは、順調に進んでいると思うのです」

 首を傾げながら、マリンは言う。マリンたちが問題を起こしたわけじゃないから、申し訳ないところだ。

 とはいえ、こういう事は早く伝えるに限る。守るために行動するとしても、相手に守られるつもりがあるかどうかで打てる手が変わってくるからな。ということで、頭を下げながら話していく。

「お前たちに問題があるというよりは、こちらの失策に近いな。悪い」
「とりあえず、まずは話を聞いてみないとね。悪いかどうかも、分からないよ」
「レックス様のことだからー、また女の人を口説いちゃったりとか?」

 ソニアは落ち着いた様子で、クリスはからかうように言ってくる。とはいえ、クリスだって本気ではないだろうな。いつもと違って、あまり近づいたり触れてきたりしていない。あくまで、空気を落ち着かせるための物言いみたいだ。

 こういうところで気を使ってくれるから、接しやすいんだよな。本当に、ありがたいことだ。

「本題に入るぞ。属性を増やす手段として、魔道具が狙われかねない。そういう噂が流れている可能性がある」
「でも、そんな効果なんて無いよね? どうして、噂が流れたんだろ?」

 ソニアは首を傾げている。まあ、噂というのはわけが分からない形で流れたりするものではある。本当に事実無根だったりすることも、珍しくはない。

 とはいえ、今回は原因が明らかだ。メアリの属性が増えたということ。そこまで説明してしまえば、一番伝わりやすいとは思う。だが、現状では避けたい。どこから情報が流れているかを探るために、できるだけ絞っておきたいんだ。

 マリンたちには申し訳ないと思うが、これも戦術ではある。信じていることも、理解してもらえればいいが。誠心誠意、伝えるしか無い。俺はまっすぐにマリンたちを見る。

「ブラック家に、実例があるからだ。あまり、細かい説明はできないが……」
「レックス様が、属性を増やすことに成功したって感じかなー?」
「そうだと思うよ。でも、言えないってことだし……」
「研究者としては、興味深いのです。ただ、手を広げる余裕もなさそうなのです」

 三者三様に、こちらに理解を示してくれている。言えない事情があると、察してくれているようだ。あまり甘えすぎたくはないが、今はありがたい。

 とはいえ、説明できる範囲で説明しておこう。言えないなら言えないなりに、伝えられることはある。

「状況が落ち着けば、お前たちに伝えることもあるかもしれない。ただ、今は難しいな。とにかく、一人でも知っている人間を減らしたいんだ」
「技術に関しても、同じ対策をしているのです。レックス様の考えは、よく分かるのです」
「信じる信じない以前に、知っているだけで危険はあるからねー」
「そうだね。確信を知らない人が多いのは、大事なことだよ」

 マリンたちは、確かに技術を盗まれないように動いている。だから、すぐに俺の意図を理解してくれたということだろう。情報を隠すというのは、信じているかどうかという問題ではない。とにかく、できる限り最小限の人間にしか伝えないのが鉄則。

 盗み聞きもあるし、魔法で頭を覗かれる懸念もある。極端な話、拷問で情報を抜かれたりとかな。だから、知らせないのが一番の対策なんだ。

「理解が早くて、助かる。一応、こちらでもマリンたちへの被害を抑える対策を打とうと思ってな」
「レックス様の魔法があれば、大抵のことはどうにかなると思うのです」
「あれ、すごいよねー。重いものが落ちてきても、平気でどうにかなるし」
「そうだね。ちょっとした事故くらいなら、怪我すらしないし」

 なんか、すでに事故が起きたような口ぶりだ。犠牲者や怪我人が出ているという報告は受けていないから、爆発とかのレベルではないのだろうが。

 もしマリンたちの身に何かあれば、受ける損害は計り知れない。俺個人として知り合いに傷ついてもらいたくないというのも、もちろんあるが。それに加えて、魔道具に関する知識や技術が失われるということは人類の損失だろう。

 本当に、気をつけてもらいたいものだ。マリンたちが傷ついた未来で、俺は笑えないのだろうから。

「一応言っておくが、魔法に頼る前提の安全対策は取るなよ」
「分かっているのです。二重三重の備えが、安全を守るのです」

 真剣な顔でそう言っている。ひとまず、信じるか。いずれ監査をいれる必要があるかもしれないが。というか、監査というものの仕組みを作っておいても良いかもしれない。ブラック家として大きく事業を動かすのだから、見えない問題は起きるだろう。

 まあ、それは後で良い。というか、後にするしか無い。手が足りないからな。とにかく、今はマリンたちが狙われる危険性についての話だ。

「なら、良い。話は戻るが、対策に関しては、わざと情報を盗ませようと考えている」
「どうでもいい情報を、大事そうに隠しておくのですね。分かったのです」
「ああ、そういうことー。魔道具では魔力を増やせない事実を、奪わせるんだねー」
「なるほどね。自分で手に入れた情報なら、疑わないからね」

 まあ、3人の説明通りだ。本当に、理解が早い。こちらが打とうとする手に、先回りしてくれている。こういう賢さが、研究での成果につながっているのだろうな。

 実際にどういう情報を奪わせるかについては、検討の余地がある。ただ、基本方針についてはこれでいいだろう。

「お前たちの言う通りだ。それで、狙われる可能性は下がるはずだ」
「どの道、魔道具の存在は魔法使いにケンカを売るようなものなのです。覚悟の上なのです」
「それに、レックス様なら守ってくれるよねー?」
「うんうん。普通の商人が盗賊に襲われる可能性を考えたら、むしろ安全なくらい」

 決意を秘めた目で、みんなはこちらを見ていた。もちろん、みんなを守り抜いてみせるという意志はある。俺の幸福のために、誰一人として欠けることなど許さない。それは、当たり前のことだ。

 メアリだって、シュテルだって、絶対に傷つけさせたりはしない。黒幕が何を企んでいようと、打ち砕くだけだ。

「お前たちには苦労をかけるが、今後ともよろしく頼む」

 俺の言葉に、3人は笑顔で返してくれた。みんなの期待に応えられるように、全力を尽くさないとな。そんな誓いを込めながら、俺は頭を下げていった。
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