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第二章 ギルド要請冒険者
#25 混血
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「これ、防腐剤らしい。剣に塗っときな」
横穴から出てきた師匠は、液体の入った瓶をユースに投げてよこした。
「ありがとうございます」
礼を言ったユースは、素直に剣に塗りだした。
スライムの多い土地由来だろう。村のヒトはそう言った薬を生み出していたのだ。
(それでも、今回は防げなかった……これは、手強いのかもしれないなぁ)
剣士が塗り終わったことを確認した師匠は、何も言わず歩き出す。
二人も、その背中を黙ってついて行った。
師匠は、スライムの居場所を知っているようだ。その歩みに迷いはない。
「君の師匠は……混血……なのか?」
師匠から少し離れた場所を歩いていた剣士は、斜め前のフェーリエに小声で聞いてくる。
混血。つまり、ダークエルフ以外の血が混ざっていると思ったのだろうか。
「なぜ、聞いてくるのですか?」
立ち止まり、振り返ったフェーリエは、自分でも驚くほど冷たい声を出した。
「……すまない。気分を害するつもりはなかった」
フェーリエが不快に思ったことが分かったのだろう。ユースは申し訳なさそうな顔をした。
「では、どういうつもりだったのですか?」
「……妖精族は森から出ない。君の師匠は人里になれているようだった。ならば……」
「それ以上は、言葉にしないでください」
フェーリエは、ユースの言葉を強く遮った。彼の言わんとすることが分かったからだ。
前を向き、離れてしまった師匠を追いかけつつ、剣士に答える。
「この国は、帝国と違って人間族以外を奴隷とする制度はありません。それでも、差別は強い。混血ならば、なおさら。あまり、気軽に聞いても良い話題では有りませんよ」
前を向いているから、剣士の顔は見えない。
「……そう、だな。すまない。君は、師匠を大事にしているのだな」
声色から、反省はしているようだ。分かれば良いのだ。
「当然じゃないですか。大事な師匠ですよ。剣士さんは違うんですか?」
さすがに独学であの剣筋はあり得ないだろう。あまりにも型にはまった綺麗な動きをする。
(やっぱり、貴族のお坊ちゃんかも)
「……剣を教えてくれたヒトはもう居ない」
「あっ……すみません」
「いや、死んだわけではない。気にしないでくれ」
死んだわけではない?ならばなぜいないのだろう。剣術を教えるヒトはお抱えか何かだろうに。
聞くに聞けない雰囲気で、フェーリエは何も言えず。だた師匠の背中を追いかけた。ユースも、何も言わない。気まずくなったまま、三人は目的地に到着した。
「ここが、スライムの巣だよ」
「……スライムに巣なんて有るんですね」
「どちらかというと、たまり場のようですが」
崖から見下ろす先には、複数のスライムがうねうねと動くスライムの海と化していた。
「ここに、スライムが好む雑草が生息している。スライムがここまで増殖した原因は分からんが、ここからなら、狙いやすいだろう?」
師匠はにやりと笑う。普通にしていたら美人なのに、こうした言動の節々がおばちゃんくさい。
「師匠は黙ってたらモテるだろうになぁ」
「なんか言ったか?」
「いえ、何でも無いです」
小声で言ったことも聞き逃さない。さすが地獄耳だ。
横穴から出てきた師匠は、液体の入った瓶をユースに投げてよこした。
「ありがとうございます」
礼を言ったユースは、素直に剣に塗りだした。
スライムの多い土地由来だろう。村のヒトはそう言った薬を生み出していたのだ。
(それでも、今回は防げなかった……これは、手強いのかもしれないなぁ)
剣士が塗り終わったことを確認した師匠は、何も言わず歩き出す。
二人も、その背中を黙ってついて行った。
師匠は、スライムの居場所を知っているようだ。その歩みに迷いはない。
「君の師匠は……混血……なのか?」
師匠から少し離れた場所を歩いていた剣士は、斜め前のフェーリエに小声で聞いてくる。
混血。つまり、ダークエルフ以外の血が混ざっていると思ったのだろうか。
「なぜ、聞いてくるのですか?」
立ち止まり、振り返ったフェーリエは、自分でも驚くほど冷たい声を出した。
「……すまない。気分を害するつもりはなかった」
フェーリエが不快に思ったことが分かったのだろう。ユースは申し訳なさそうな顔をした。
「では、どういうつもりだったのですか?」
「……妖精族は森から出ない。君の師匠は人里になれているようだった。ならば……」
「それ以上は、言葉にしないでください」
フェーリエは、ユースの言葉を強く遮った。彼の言わんとすることが分かったからだ。
前を向き、離れてしまった師匠を追いかけつつ、剣士に答える。
「この国は、帝国と違って人間族以外を奴隷とする制度はありません。それでも、差別は強い。混血ならば、なおさら。あまり、気軽に聞いても良い話題では有りませんよ」
前を向いているから、剣士の顔は見えない。
「……そう、だな。すまない。君は、師匠を大事にしているのだな」
声色から、反省はしているようだ。分かれば良いのだ。
「当然じゃないですか。大事な師匠ですよ。剣士さんは違うんですか?」
さすがに独学であの剣筋はあり得ないだろう。あまりにも型にはまった綺麗な動きをする。
(やっぱり、貴族のお坊ちゃんかも)
「……剣を教えてくれたヒトはもう居ない」
「あっ……すみません」
「いや、死んだわけではない。気にしないでくれ」
死んだわけではない?ならばなぜいないのだろう。剣術を教えるヒトはお抱えか何かだろうに。
聞くに聞けない雰囲気で、フェーリエは何も言えず。だた師匠の背中を追いかけた。ユースも、何も言わない。気まずくなったまま、三人は目的地に到着した。
「ここが、スライムの巣だよ」
「……スライムに巣なんて有るんですね」
「どちらかというと、たまり場のようですが」
崖から見下ろす先には、複数のスライムがうねうねと動くスライムの海と化していた。
「ここに、スライムが好む雑草が生息している。スライムがここまで増殖した原因は分からんが、ここからなら、狙いやすいだろう?」
師匠はにやりと笑う。普通にしていたら美人なのに、こうした言動の節々がおばちゃんくさい。
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「なんか言ったか?」
「いえ、何でも無いです」
小声で言ったことも聞き逃さない。さすが地獄耳だ。
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