転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第二章 ギルド要請冒険者

#32 キングスライム③

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 ユースは剣を構えた。見た目には普通の剣と変わりは無い。だが、確かに強い魔力を感じる。
(硬化している触手には歯が立たなかったが……折れなかった。この剣なら)
 考えるユースに向けて、まだ灰銀が斑に残る触手が伸びる。
 ユースが鋭く剣を振るった。
「思った以上に、重いな」
 ユースはぽつりと呟く。
 触手を切り裂けたものの、その斬撃は酷く重い。魔力同志が相殺し合い、威力を削られたのだ。
 気を取り直して、未だルナの魔法で押しつぶされているキングスライムに向き合う。硬化が剥がれ、核が現れる時を待つ。
(いまだっ!!)
 強く踏み込み、キングスライムに斬りつける。初めと同じように、核が動く。全力で振るっているにも関わらず、攻撃の速度は遅い。続けて攻撃をたたき込むために振るう腕が重い。それでも剣を振るう。しかし、またスライムの身体が分厚くなり核へは届かない。
(ここからだっ!)
 先程は三回目に硬化が始まった。今のスライムにその余力があるかは分からない。何も起きなければ、倒せる可能性が出てくる。
 核との距離は離れている。今度こそ、と言う思いを込めて、突き技を繰り出す。少ない魔力で腕力強化魔法を掛けるが、これでも足りるか分からない。
 重たい剣が、核に近づく。硬化する気配はない。
(いけるっ!)
 剣が核に触る。だが、剣は核を壊すことなく、眩い光とともに吹き飛ばされてしまった。
 再び吹き飛ばされたユースは、柔らかな風に受け止められた。
「あ、ありがとうございます。アンジェリカさん」
「あんたもよく吹き飛ばされるねぇ」
 アンジェリカの言葉に、ユースは苦笑いを浮かべる。好きで飛ばされている訳ではないが、こればかりは仕方が無い。
「さっきあんたが飛ばされたのは、核とその剣の魔力が相殺し合った結果、剣の方が負けたからだ。こうなると、あんたじゃ核は壊せないな」
「っ!?」
「こればっかりは、魔力が無いとどうしようもないからな。……アホ弟子!魔法を維持したままこっち来い」
「ちょっ……アホは酷いですよぉ」
 そう言いながら、ルナは魔法を維持したままこちらに来る。あれほど強力な魔法でも、維持できてしまうとは。
「これから、作戦を言う。それぞれ、指示された通りに動くように!」
「は、はい!」
「……」
 自分の力不足で何も役立てられない。酷く悔しい。だが、ここで喚くことは出来ない。あの小さな村に住むヒト達を早く助けなくては。
「そうそう、嘆くのは後にしときなよ」
 アンジェリカはユースの心情を見通していたようだ。優しくユースに笑いかけたアンジェリカは、ユースの手から剣を取り、自らの弟子に渡した。
「うぇっ!?も、もしかして、私が核を攻撃するんですか!?」
「おう。さっきの話が聞こえてたみたいだな。あいつが修復するよりも早く、核に攻撃を当てられるのはお前ぐらいだろ」
 剣を持って救いの目で師匠を見上げる少女は、師匠のとても良い笑顔を目にした。


 
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