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第二章 ギルド要請冒険者
#40 とある時代の村長
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もう何も考えないようにしよう。ユースはそう決意した。
「……一体誰の感情が邪気を生み出したんですか?」
敬語であろうと、精霊に話しかける何て、自分を褒めてやりたいぐらいだ。
「敬語じゃなくても大丈夫なんですけど……。概ねあの町長だと思いますよ。野心と欲望が強すぎます。でも、一人の感情ではたいした変化は起こらないはずです」
「……じゃあ、他に何かあるって事?」
まともになったルナがそう言った。光の正常化は精神にも影響するのか……。
「さすがにそこまでは分かりませんが……」
『たぶん僕たちのせいだね』
突然、三人の話に割り込んできたものがいた。
「っ!?……す、透け……お、おば、お化け!?」
「ルナ様、落ち着いて。さあ、私の光を見てくださいね。……あちらのお墓の方ですか?」
ルナの目の前に光を灯しながら、アウラは幽霊に問う。
『はい。お話は聞いていました。光の精霊様、ご迷惑をおかけしているようで』
下半身が透けた三十代ほどの男性が、アウラに頭を下げている。
本来ならば、話をすることも出来ない精霊。女神の使いであり、魔法とは法則が違う力を持つ特別な存在だ。
(何故契約できているのだろう……)
契約は一般的に、知性のある魔物を魔法使いが従える際の手段だ。しかし、この二人の関係を見ると、家族のようにしか見えない。
「あなた方のせいとはどういうことでしょうか?」
『実は、今の町長が墓を撤廃して畑を拡張しようとしている様なのです。墓で静かに眠る僕たちは、彼の感情に引きずられて貴女の言う悪感情を量産しているのだと思います』
「畑を拡張……他に土地はないのか?」
『残念ながら、作物を育てるのに適さない土地質ばかりでね。唯一、墓地がある場所がまだましな場所なんだ。今は装飾品や織物でこの町は成り立っているけど、墓地ばかりでは人も来ないし、一番の目的は墓地をなくすことなんだろうね』
幽霊は悲しそうに笑う。町のためを思えば、仕方が無い。だが、死者を冒涜することになる。そう言いたいのだ。
「……あ、貴方はどうして、一人だけ離れた場所に埋められているんですか?」
落ち着いたルナは声を詰まらせながらも、幽霊に尋ねた。
『ああ、僕はこの丘から見えるドルミートが大好きなんだ。だから、この丘に埋めるように頼んだ。ちなみに、僕はドルミートがまだ村だった頃の村長でね。あの頃は帝国と戦争をしていたから、多くの人が死んでしまった……あの墓の大半は戦争で帰る家を失った放浪者だよ』
「……ちなみに、どれぐらいのお墓が?」
『二百……いや、僕が死んだ後のも会わせると三百ぐらいかな』
聞いた数字に、ルナは口を開けていた。開いた口が塞がらないとは、正しくこのことだろう。
「……それほどいれば、邪気も発生しますね。では、大本の町長と話をした方が良いでしょうか?」
『彼は、自分が偉くなりたいから町を大きくしたい、そう思っているようです。でも、そんな彼の野心が、今のドルミートを支えているんですよね』
ドルミートを愛する目の前の幽霊は、人を束ねる立場にある自分と、幽霊としての自分の間で複雑な感情を抱えているようだ。
何も言うことが出来ないユースは、どうすべきか悩んでいた。すると、ルナが突然立ち上がり、幽霊に向き直ってこう言った。
「お墓を移したら良いんですよ!!」
「……一体誰の感情が邪気を生み出したんですか?」
敬語であろうと、精霊に話しかける何て、自分を褒めてやりたいぐらいだ。
「敬語じゃなくても大丈夫なんですけど……。概ねあの町長だと思いますよ。野心と欲望が強すぎます。でも、一人の感情ではたいした変化は起こらないはずです」
「……じゃあ、他に何かあるって事?」
まともになったルナがそう言った。光の正常化は精神にも影響するのか……。
「さすがにそこまでは分かりませんが……」
『たぶん僕たちのせいだね』
突然、三人の話に割り込んできたものがいた。
「っ!?……す、透け……お、おば、お化け!?」
「ルナ様、落ち着いて。さあ、私の光を見てくださいね。……あちらのお墓の方ですか?」
ルナの目の前に光を灯しながら、アウラは幽霊に問う。
『はい。お話は聞いていました。光の精霊様、ご迷惑をおかけしているようで』
下半身が透けた三十代ほどの男性が、アウラに頭を下げている。
本来ならば、話をすることも出来ない精霊。女神の使いであり、魔法とは法則が違う力を持つ特別な存在だ。
(何故契約できているのだろう……)
契約は一般的に、知性のある魔物を魔法使いが従える際の手段だ。しかし、この二人の関係を見ると、家族のようにしか見えない。
「あなた方のせいとはどういうことでしょうか?」
『実は、今の町長が墓を撤廃して畑を拡張しようとしている様なのです。墓で静かに眠る僕たちは、彼の感情に引きずられて貴女の言う悪感情を量産しているのだと思います』
「畑を拡張……他に土地はないのか?」
『残念ながら、作物を育てるのに適さない土地質ばかりでね。唯一、墓地がある場所がまだましな場所なんだ。今は装飾品や織物でこの町は成り立っているけど、墓地ばかりでは人も来ないし、一番の目的は墓地をなくすことなんだろうね』
幽霊は悲しそうに笑う。町のためを思えば、仕方が無い。だが、死者を冒涜することになる。そう言いたいのだ。
「……あ、貴方はどうして、一人だけ離れた場所に埋められているんですか?」
落ち着いたルナは声を詰まらせながらも、幽霊に尋ねた。
『ああ、僕はこの丘から見えるドルミートが大好きなんだ。だから、この丘に埋めるように頼んだ。ちなみに、僕はドルミートがまだ村だった頃の村長でね。あの頃は帝国と戦争をしていたから、多くの人が死んでしまった……あの墓の大半は戦争で帰る家を失った放浪者だよ』
「……ちなみに、どれぐらいのお墓が?」
『二百……いや、僕が死んだ後のも会わせると三百ぐらいかな』
聞いた数字に、ルナは口を開けていた。開いた口が塞がらないとは、正しくこのことだろう。
「……それほどいれば、邪気も発生しますね。では、大本の町長と話をした方が良いでしょうか?」
『彼は、自分が偉くなりたいから町を大きくしたい、そう思っているようです。でも、そんな彼の野心が、今のドルミートを支えているんですよね』
ドルミートを愛する目の前の幽霊は、人を束ねる立場にある自分と、幽霊としての自分の間で複雑な感情を抱えているようだ。
何も言うことが出来ないユースは、どうすべきか悩んでいた。すると、ルナが突然立ち上がり、幽霊に向き直ってこう言った。
「お墓を移したら良いんですよ!!」
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