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第二章 ギルド要請冒険者
#41 名案それとも迷案?
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「お墓を移したら良いんですよ!!」
フェーリエは、自分でも驚くほど大きい声を出した。声を出した方が恐怖は薄れると、どこかで聞いた覚えがある。
「お墓を……」
「移す……」
アウラとユースが文節ごとにフェーリエの言葉を繰り返す。何を言っているのか理解出来ない、と言う顔だ。
『なるほど、その考えはなかったね』
一人村長の幽霊は、納得の表情で頷く。
「しかし、墓を移すなんて……」
「帝国との戦争があったのはもう千年も前の事です。骨も残っていないはず。なら、墓石だけでも移動させれば解決するじゃないですか」
我ながら名案だと思う。今の自分は、きらきらした表情をしているだろう。
フェーリエの考えを聞いても、ユースとアウラにはためらいの色が残る。
根本的な問題は死者への敬いだ。
「死者への冒涜、そう言うことですね。分かりました。署名活動をしましょう」
「「『署名活動?』」」
三人が同時に聞き返す。その答えを、フェーリエは聞かせる。
「お墓を移す事に賛成の幽霊に、自分の名前を書いて貰うんです。署名した人のお墓を、この丘辺りに移せば、死者の許可は得てるわけじゃないですか。つまり祟りとかは気にしなくても良いわけです」
フェーリエの持論を聞いたユースとアウラは、揃って後ろにいる幽霊代表に視線を向ける。
『邪気のせいで皆暴れているけれど、光の精霊様がいればなんとかなるからね。この丘なら不毛の土地で利用価値も低いから、移す場所としては丁度良いと思うよ』
幽霊はニコニコした顔で続ける。
『それに、署名は良いことだね。名前を聞く前に亡くなってしまった人も、新しく名を刻んであげられる。ドルミートに住む人の今後を考えると、祟りの心配が無いのは良いことだと思う。うん、僕はお嬢さんの提案に賛成するよ』
「ほら、どうですか!」
幽霊の賛同に、フェーリエは乗り切らないユースとアウラに熱い視線を送る。
「幽霊の方が賛同なさるのでしたら……」
「仕方が無いな……」
仕方が無い、言い始めたら聞かないから、と二人はフェーリエをそう評価した。
「一応聞く耳は持ってますけど」
「受け入れなければ持っているとは言わない」
ユースから思いの外厳しい言葉を掛けられる。
『それじゃあ、次の夜に署名活動開始かな?』
今からでも始めようと思っていたフェーリエは、何故、と問いかけてやめた。もう日が昇り始めたのだ。
「幽霊の活動時間は、やっぱり夜なんですか?」
『それもあるけど、昼のうちに、町の人に話をしておいて欲しいんだ。今後、この地に住むのは彼らだから』
幽霊の男性は、その身体をなお薄くさせ、自分の墓に消えていった。彼は墓に戻るとき『僕らはただ静かに、このドルミートで眠りたいだけだ』と呟いた。その言葉が、彼の心からの願いなのだと、フェーリエは理解した。
「それにしても、ルナ様が幽霊の方とあんなにおしゃべりできるとは……。なんだか、子供の成長を見た母親の気分です」
「そう言えば、全く怯えていなかったな」
感心したように頷く二人の前で、フェーリエは崩れ落ちる。
「どうしました!?」
「どうした!?」
心配で声を掛けてくる二人に、フェーリエは情けない声を返した。
「い、今になって……足の震えが……」
「「……」」
二人は深く深く溜息をついた。
「頑張ったから良いじゃない!」
フェーリエの叫びは、丘に響き渡った。
フェーリエは、自分でも驚くほど大きい声を出した。声を出した方が恐怖は薄れると、どこかで聞いた覚えがある。
「お墓を……」
「移す……」
アウラとユースが文節ごとにフェーリエの言葉を繰り返す。何を言っているのか理解出来ない、と言う顔だ。
『なるほど、その考えはなかったね』
一人村長の幽霊は、納得の表情で頷く。
「しかし、墓を移すなんて……」
「帝国との戦争があったのはもう千年も前の事です。骨も残っていないはず。なら、墓石だけでも移動させれば解決するじゃないですか」
我ながら名案だと思う。今の自分は、きらきらした表情をしているだろう。
フェーリエの考えを聞いても、ユースとアウラにはためらいの色が残る。
根本的な問題は死者への敬いだ。
「死者への冒涜、そう言うことですね。分かりました。署名活動をしましょう」
「「『署名活動?』」」
三人が同時に聞き返す。その答えを、フェーリエは聞かせる。
「お墓を移す事に賛成の幽霊に、自分の名前を書いて貰うんです。署名した人のお墓を、この丘辺りに移せば、死者の許可は得てるわけじゃないですか。つまり祟りとかは気にしなくても良いわけです」
フェーリエの持論を聞いたユースとアウラは、揃って後ろにいる幽霊代表に視線を向ける。
『邪気のせいで皆暴れているけれど、光の精霊様がいればなんとかなるからね。この丘なら不毛の土地で利用価値も低いから、移す場所としては丁度良いと思うよ』
幽霊はニコニコした顔で続ける。
『それに、署名は良いことだね。名前を聞く前に亡くなってしまった人も、新しく名を刻んであげられる。ドルミートに住む人の今後を考えると、祟りの心配が無いのは良いことだと思う。うん、僕はお嬢さんの提案に賛成するよ』
「ほら、どうですか!」
幽霊の賛同に、フェーリエは乗り切らないユースとアウラに熱い視線を送る。
「幽霊の方が賛同なさるのでしたら……」
「仕方が無いな……」
仕方が無い、言い始めたら聞かないから、と二人はフェーリエをそう評価した。
「一応聞く耳は持ってますけど」
「受け入れなければ持っているとは言わない」
ユースから思いの外厳しい言葉を掛けられる。
『それじゃあ、次の夜に署名活動開始かな?』
今からでも始めようと思っていたフェーリエは、何故、と問いかけてやめた。もう日が昇り始めたのだ。
「幽霊の活動時間は、やっぱり夜なんですか?」
『それもあるけど、昼のうちに、町の人に話をしておいて欲しいんだ。今後、この地に住むのは彼らだから』
幽霊の男性は、その身体をなお薄くさせ、自分の墓に消えていった。彼は墓に戻るとき『僕らはただ静かに、このドルミートで眠りたいだけだ』と呟いた。その言葉が、彼の心からの願いなのだと、フェーリエは理解した。
「それにしても、ルナ様が幽霊の方とあんなにおしゃべりできるとは……。なんだか、子供の成長を見た母親の気分です」
「そう言えば、全く怯えていなかったな」
感心したように頷く二人の前で、フェーリエは崩れ落ちる。
「どうしました!?」
「どうした!?」
心配で声を掛けてくる二人に、フェーリエは情けない声を返した。
「い、今になって……足の震えが……」
「「……」」
二人は深く深く溜息をついた。
「頑張ったから良いじゃない!」
フェーリエの叫びは、丘に響き渡った。
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