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第三章 未開発の森
#63 未開の森クエスト
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「おめでとう、二人とも」
ギルドのラウンジに戻ると、アンジェリカが祝いの言葉を口にする。
「ありがとう、アン」
アンジェリカが抱きついてくるので、その抱擁に応えながらお礼を口にする。
「さて、Bランクとしての初めてのクエストは何にする?」
体を離したアンジェリカは、フェーリエの顔を見ながら尋ねてくる。何故か目線が合う。フードの効果で顔は見えないはずなのに。
「そう言えば、普通のクエストって初めの以外受けてないのよね。私たち」
「初心者クエストとうやむやになったウルフのやつだけよね。とりあえず掲示板を見てみて」
アンジェリカに促されたフェーリエとユースは、Bランクの掲示板を見る。
「ランクごとに分かれてたんだ」
「そうよ。ちなみに、Sランクのクエストは受付にしかないから、受付にわざわざ訊けるように頑張ってね」
アンジェリカはにこにこと笑う。それに笑いを返しながら、フェーリエは掲示板を見る。
(魔物討伐が多い……やっぱりそういうものが多いんだ。ん?)
ふと、一枚の紙に目がいく。
「未開の森クエスト?」
確かどこかで聞いたことがある。それは、そう。あの時の……。
「ああ、キングが現れてから一時的に中断されてたクエストでね。王都の南東にある未開拓の森を探索するクエストよ」
未開拓の森。それは凶暴な魔物の出現率が多く、なかなか開拓できない地である。不思議な生態系をしており、生息する植物は全て規格外の大きさだ。
(そっか。ウルフキングの時に聞いたのか)
三ヶ月前を振り返り、あぁ、と頷く。
「Dランク以上が参加できるクエスト、だったか?」
「そう。深度が増すごとに危険な魔物が増えるから、そこでランクが分かれてくるのよ」
ユースが珍しく言葉を話す。彼も、三ヶ月前に言われた言葉を覚えていたのだろう。
「ある程度人数を集めるんだけど、まだ集まってなくてね。特にBランクは人数自体が少ないから……」
「じゃあ、Cランクの方には参加できる?」
ランクが高くなったとしても、低いランクのクエストに参加はできる。ただ、低ランク者のクエストを奪う行為になるので、本当はあまりしない方がいい。
「ええ、できるわよ。Cランクは十分人数が揃ってるから明日にはクエストを始められるわ」
「それでいいですか?剣士さん」
傍らのユースを見上げる。初めから高ランクに挑むのは不安があった。
「そうだな。それでいい。たまには他のヒトと連携することも大事だろう」
連携。かく言うフェーリエとユースは、さして連携をしたことはない。ほとんどフェーリエの魔法で片がついてしまうからだ。
「あたしも賛成よ。冒険者の知り合いは作っておいて損はないからね」
ただ……、とアンジェリカは暗い声を出した。
「ただ?」
「……急にランクが上がった人にいい顔をする人はあまりいなくてね。もしかしたら苦労するかも」
危険な魔物を討伐して、国から正式にランクを上げられた人に嫉妬することはよくあることだから、とアンジェリカは眉をしかめる。
「大丈夫よ!私は、自分の魔法に自信を持ってるから」
アンジェリカに元気にそう言い返したフェーリエは、後に後悔することになる。自信を持っていても、どうにもならないことがどの世にもあるのだと。
ギルドのラウンジに戻ると、アンジェリカが祝いの言葉を口にする。
「ありがとう、アン」
アンジェリカが抱きついてくるので、その抱擁に応えながらお礼を口にする。
「さて、Bランクとしての初めてのクエストは何にする?」
体を離したアンジェリカは、フェーリエの顔を見ながら尋ねてくる。何故か目線が合う。フードの効果で顔は見えないはずなのに。
「そう言えば、普通のクエストって初めの以外受けてないのよね。私たち」
「初心者クエストとうやむやになったウルフのやつだけよね。とりあえず掲示板を見てみて」
アンジェリカに促されたフェーリエとユースは、Bランクの掲示板を見る。
「ランクごとに分かれてたんだ」
「そうよ。ちなみに、Sランクのクエストは受付にしかないから、受付にわざわざ訊けるように頑張ってね」
アンジェリカはにこにこと笑う。それに笑いを返しながら、フェーリエは掲示板を見る。
(魔物討伐が多い……やっぱりそういうものが多いんだ。ん?)
ふと、一枚の紙に目がいく。
「未開の森クエスト?」
確かどこかで聞いたことがある。それは、そう。あの時の……。
「ああ、キングが現れてから一時的に中断されてたクエストでね。王都の南東にある未開拓の森を探索するクエストよ」
未開拓の森。それは凶暴な魔物の出現率が多く、なかなか開拓できない地である。不思議な生態系をしており、生息する植物は全て規格外の大きさだ。
(そっか。ウルフキングの時に聞いたのか)
三ヶ月前を振り返り、あぁ、と頷く。
「Dランク以上が参加できるクエスト、だったか?」
「そう。深度が増すごとに危険な魔物が増えるから、そこでランクが分かれてくるのよ」
ユースが珍しく言葉を話す。彼も、三ヶ月前に言われた言葉を覚えていたのだろう。
「ある程度人数を集めるんだけど、まだ集まってなくてね。特にBランクは人数自体が少ないから……」
「じゃあ、Cランクの方には参加できる?」
ランクが高くなったとしても、低いランクのクエストに参加はできる。ただ、低ランク者のクエストを奪う行為になるので、本当はあまりしない方がいい。
「ええ、できるわよ。Cランクは十分人数が揃ってるから明日にはクエストを始められるわ」
「それでいいですか?剣士さん」
傍らのユースを見上げる。初めから高ランクに挑むのは不安があった。
「そうだな。それでいい。たまには他のヒトと連携することも大事だろう」
連携。かく言うフェーリエとユースは、さして連携をしたことはない。ほとんどフェーリエの魔法で片がついてしまうからだ。
「あたしも賛成よ。冒険者の知り合いは作っておいて損はないからね」
ただ……、とアンジェリカは暗い声を出した。
「ただ?」
「……急にランクが上がった人にいい顔をする人はあまりいなくてね。もしかしたら苦労するかも」
危険な魔物を討伐して、国から正式にランクを上げられた人に嫉妬することはよくあることだから、とアンジェリカは眉をしかめる。
「大丈夫よ!私は、自分の魔法に自信を持ってるから」
アンジェリカに元気にそう言い返したフェーリエは、後に後悔することになる。自信を持っていても、どうにもならないことがどの世にもあるのだと。
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∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
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