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第七章 火竜討伐
#175 いざ謁見の間へ
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フェーリエの体調に問題なかったが、その日は陛下のスケジュールが合わず早期に謁見することは出来なかった。
とは言えこれは国際問題。忙しい陛下のスケジュールを縫って翌日の昼謁見することとなった。
そして現在謁見の間の扉前でフェーリエは待機している。重厚感溢れる扉はフェーリエの存在を根底から拒絶しているようで、胃がキリキリと痛む。
(お昼は何も喉を通らなかったけど、無理にでも食べてたら吐いてたかもなぁ……)
扉の中から厳しい顔の男性が出てくる。深緑の髪に知性を感じさせる同色の目。眼鏡は掛けていないが確実に国の重鎮っぽい風体のヒトだ。
「入りなさい。陛下がお待ちだ」
「はい。畏まりました」
彼は迷惑そうな目でフェーリエを見た。そして入室を促す。
深々と頭を下げ、開かれた扉の向こうへと足を踏み出した。
赤い絨毯を進み、衛兵に制止を掛けられ足を止める。片足を折り最敬礼を取る。
「国王陛下に拝謁いたします」
たったそれだけの発言だったが、緊張のあまり声が震えた。身体に重くプレッシャーがのし掛かる。
陛下は暫く声を発さなかった。顔を上げろとも言われていないフェーリエは、ずっと最敬礼を取ったままの姿勢で頭を下げ続けた。
「……冒険者ルナ……いや、クラヴィス伯爵の一人娘フェーリエ=ルナ=クラヴィスよ、いつまで顔を隠しているつもりだ?」
暫く立った後、陛下から発せられた言葉に冷や汗が頬を伝う。流石に、身元は調べられているようだ。フードを被り続けていた事に対して言い訳をさせて欲しい。誰にも指摘をされなかったのだ。フェーリエを心配して昨日からずっと一緒にいてくれたシャーロットにも、侍女にも、先程の宰相と思わしきヒトにも。だから許して欲しい。
いや、それは建前に過ぎない。結局の所恐ろしかったのだ。素顔を晒せば、確実に家族に迷惑が掛かる。素性がばれずにすむのならば、それに越したことはないと甘えていた。結局許されなかったが。
震える手でフードを降ろす。さらりと零れでた自分の金髪を見て、小さく笑った。これで最後の砦は破られた。言い逃れは出来はしない。
「ふむ……顔を上げよ。礼も解いて良い」
どこか満足そうな陛下の声を聞き、ゆっくりと優雅に顔を上げる。こうなれば令嬢の皮を被るまで。あくまでも貴族の娘として恥じぬ振る舞いをしてやろう。
(この方が、ジェイラス=アウレス=ウァリエタース様。この国の国王陛下、そして……)
ユスティアとシャーロットの父親。
賢君と呼ばれ、民衆からの支持も高い王。その噂に違わない威厳有る双眸に見透かされるように見つめられる。ここで目を逸らしてはいけない。やましいことがあると疑われかねない。
「今回、貴女を呼び出したのは他でもありません。貴女が契約した火竜についてです。事の次第を、正確に把握していますか?」
宰相と思わしき男性が、陛下の隣で口を開く。問いかける口調だが、ここで肯定以外の返事は許されていない。
「はい」
「ユスティア殿下とシャーロット殿下から貴女の事は伺っています。クラヴィス領地での貴女の評価も」
男性はそこで言葉を切り、遙かに高い玉座の隣から冷ややかな視線をフェーリエに送る。
「正確な処罰を下すため、これよりフェーリエ=ルナ=クラヴィス、貴女の審訊を開始します」
フェーリエにとって地獄の審判と同じ言葉が重々しく発せられた。
とは言えこれは国際問題。忙しい陛下のスケジュールを縫って翌日の昼謁見することとなった。
そして現在謁見の間の扉前でフェーリエは待機している。重厚感溢れる扉はフェーリエの存在を根底から拒絶しているようで、胃がキリキリと痛む。
(お昼は何も喉を通らなかったけど、無理にでも食べてたら吐いてたかもなぁ……)
扉の中から厳しい顔の男性が出てくる。深緑の髪に知性を感じさせる同色の目。眼鏡は掛けていないが確実に国の重鎮っぽい風体のヒトだ。
「入りなさい。陛下がお待ちだ」
「はい。畏まりました」
彼は迷惑そうな目でフェーリエを見た。そして入室を促す。
深々と頭を下げ、開かれた扉の向こうへと足を踏み出した。
赤い絨毯を進み、衛兵に制止を掛けられ足を止める。片足を折り最敬礼を取る。
「国王陛下に拝謁いたします」
たったそれだけの発言だったが、緊張のあまり声が震えた。身体に重くプレッシャーがのし掛かる。
陛下は暫く声を発さなかった。顔を上げろとも言われていないフェーリエは、ずっと最敬礼を取ったままの姿勢で頭を下げ続けた。
「……冒険者ルナ……いや、クラヴィス伯爵の一人娘フェーリエ=ルナ=クラヴィスよ、いつまで顔を隠しているつもりだ?」
暫く立った後、陛下から発せられた言葉に冷や汗が頬を伝う。流石に、身元は調べられているようだ。フードを被り続けていた事に対して言い訳をさせて欲しい。誰にも指摘をされなかったのだ。フェーリエを心配して昨日からずっと一緒にいてくれたシャーロットにも、侍女にも、先程の宰相と思わしきヒトにも。だから許して欲しい。
いや、それは建前に過ぎない。結局の所恐ろしかったのだ。素顔を晒せば、確実に家族に迷惑が掛かる。素性がばれずにすむのならば、それに越したことはないと甘えていた。結局許されなかったが。
震える手でフードを降ろす。さらりと零れでた自分の金髪を見て、小さく笑った。これで最後の砦は破られた。言い逃れは出来はしない。
「ふむ……顔を上げよ。礼も解いて良い」
どこか満足そうな陛下の声を聞き、ゆっくりと優雅に顔を上げる。こうなれば令嬢の皮を被るまで。あくまでも貴族の娘として恥じぬ振る舞いをしてやろう。
(この方が、ジェイラス=アウレス=ウァリエタース様。この国の国王陛下、そして……)
ユスティアとシャーロットの父親。
賢君と呼ばれ、民衆からの支持も高い王。その噂に違わない威厳有る双眸に見透かされるように見つめられる。ここで目を逸らしてはいけない。やましいことがあると疑われかねない。
「今回、貴女を呼び出したのは他でもありません。貴女が契約した火竜についてです。事の次第を、正確に把握していますか?」
宰相と思わしき男性が、陛下の隣で口を開く。問いかける口調だが、ここで肯定以外の返事は許されていない。
「はい」
「ユスティア殿下とシャーロット殿下から貴女の事は伺っています。クラヴィス領地での貴女の評価も」
男性はそこで言葉を切り、遙かに高い玉座の隣から冷ややかな視線をフェーリエに送る。
「正確な処罰を下すため、これよりフェーリエ=ルナ=クラヴィス、貴女の審訊を開始します」
フェーリエにとって地獄の審判と同じ言葉が重々しく発せられた。
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