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第八章 世界の変化
#182 いざ、水竜探しへ
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「残りは洞窟だけですね」
一通り島を見て回ったフェーリエ達は、中央に鎮座する洞窟を眺めていた。
「水竜が居ると良いんですけど……」
居なければ、今度こそ何も情報が無くなってしまう。そういう想いで呟くと、腕を組んだユスティアが小さく呟いた。
「水竜かは分からないが、何かは居るだろうな」
「兄さんがそう言うのであれば間違い有りませんね。さあ、進みましょう」
弾んだような声で促したシャーロットは、真っ先に洞窟へ向かって足を進めた。
「ひ……え、エミリーさん!?一人で先に行かないで下さい!」
思わず姫様と呼びかけてしまった。慣れない名前を呼び、シャーロットの後を追いかける。
振り返ったシャーロットは、フード越しでも分かるほどに笑顔を浮かべていた。
「ああ、ごめんなさい。私外に出たことが無くて……つい浮かれてしまいました」
頬に手を当て小首を傾げる彼女は無邪気で、広い世界にあこがれて冒険者になったフェーリエと重なった。
フェーリエは外の世界を知らなかったわけでは無い。師匠に連れ回されてある程度の地域には行ったことがあるし、家族も行動を制限するようなヒト達では無かった。
だが、シャーロットは王女だ。それも希有な治癒魔法の使い手。毎日を王宮で過ごし、外に出たとしても複数の護衛がつき従う。彼女に自由は無いのだろう。
火竜討伐の時にも自由に外に出られていたが、今回は何事も無ければただの旅行とも言える。
「楽しいのは分かるが、一人では何かあったとき対処が出来ない。固まって動くぞ」
「はい、兄さん」
シャーロットが浮かれる理由が分かっているユスティアは、優しく、けれどしっかりと注意する。
(微笑ましいなぁこの兄妹。……アウラ、どうしちゃったんだろう)
仲の良い二人を見て、最近ちゃんと話せていないアウラの事を思う。
この世界で記憶が戻ってからずっと一緒に居るアウラは、フェーリエにとって姉のような存在だった。
そのアウラが、自分ではなくユスティアの側に居たのもモヤモヤの原因だ。
独占欲、のようなものなのだろうか。それ以上に、頼ってくれない事にも苛立っていた。自分は信用がないのかと。
「どうしました?ルナさん」
「……あ、何でもないです。大丈夫です……」
そう答えてから、心の中で嘆息する。悩みは、誰かに聞いて貰う方が良い。その機会を自ら絶ってしまったことに、頭を抱えたくなった。こういうのは、時間が経てば経つほど、相談しづらくなるのだ。
(ま、どうにかなるかな?私たちの問題だし)
今は竜探しに全力を注ごう。これが終われば少しは休めるだろうし、話す時間も作れるだろう。
考えが纏まったフェーリエは、顔を上げた。直ぐ目の前にシャーロットとユスティアが立ち止まっており、思わずぶつかりかけて動きを直ぐ止める。考え事をしながら歩くのは危険だなと、前世の歩きスマホを思い出す。
二人は上を見上げていた。フェーリエも釣られて上を見ると、そこに広がる光景に息を呑んだ。
開けた洞窟の岩壁には、蒼く輝くクリスタルが無機質に露出しており、どこかから漏れてきた光を淡く反射している。下には地下湖があり、清浄な水が溜まっている。クリスタルが反射するその様は、正しくこの世の絶景と言えた。
フェーリエ達は、洞窟のあまりの美しさに思わず目を奪われてしまったのだ。
一通り島を見て回ったフェーリエ達は、中央に鎮座する洞窟を眺めていた。
「水竜が居ると良いんですけど……」
居なければ、今度こそ何も情報が無くなってしまう。そういう想いで呟くと、腕を組んだユスティアが小さく呟いた。
「水竜かは分からないが、何かは居るだろうな」
「兄さんがそう言うのであれば間違い有りませんね。さあ、進みましょう」
弾んだような声で促したシャーロットは、真っ先に洞窟へ向かって足を進めた。
「ひ……え、エミリーさん!?一人で先に行かないで下さい!」
思わず姫様と呼びかけてしまった。慣れない名前を呼び、シャーロットの後を追いかける。
振り返ったシャーロットは、フード越しでも分かるほどに笑顔を浮かべていた。
「ああ、ごめんなさい。私外に出たことが無くて……つい浮かれてしまいました」
頬に手を当て小首を傾げる彼女は無邪気で、広い世界にあこがれて冒険者になったフェーリエと重なった。
フェーリエは外の世界を知らなかったわけでは無い。師匠に連れ回されてある程度の地域には行ったことがあるし、家族も行動を制限するようなヒト達では無かった。
だが、シャーロットは王女だ。それも希有な治癒魔法の使い手。毎日を王宮で過ごし、外に出たとしても複数の護衛がつき従う。彼女に自由は無いのだろう。
火竜討伐の時にも自由に外に出られていたが、今回は何事も無ければただの旅行とも言える。
「楽しいのは分かるが、一人では何かあったとき対処が出来ない。固まって動くぞ」
「はい、兄さん」
シャーロットが浮かれる理由が分かっているユスティアは、優しく、けれどしっかりと注意する。
(微笑ましいなぁこの兄妹。……アウラ、どうしちゃったんだろう)
仲の良い二人を見て、最近ちゃんと話せていないアウラの事を思う。
この世界で記憶が戻ってからずっと一緒に居るアウラは、フェーリエにとって姉のような存在だった。
そのアウラが、自分ではなくユスティアの側に居たのもモヤモヤの原因だ。
独占欲、のようなものなのだろうか。それ以上に、頼ってくれない事にも苛立っていた。自分は信用がないのかと。
「どうしました?ルナさん」
「……あ、何でもないです。大丈夫です……」
そう答えてから、心の中で嘆息する。悩みは、誰かに聞いて貰う方が良い。その機会を自ら絶ってしまったことに、頭を抱えたくなった。こういうのは、時間が経てば経つほど、相談しづらくなるのだ。
(ま、どうにかなるかな?私たちの問題だし)
今は竜探しに全力を注ごう。これが終われば少しは休めるだろうし、話す時間も作れるだろう。
考えが纏まったフェーリエは、顔を上げた。直ぐ目の前にシャーロットとユスティアが立ち止まっており、思わずぶつかりかけて動きを直ぐ止める。考え事をしながら歩くのは危険だなと、前世の歩きスマホを思い出す。
二人は上を見上げていた。フェーリエも釣られて上を見ると、そこに広がる光景に息を呑んだ。
開けた洞窟の岩壁には、蒼く輝くクリスタルが無機質に露出しており、どこかから漏れてきた光を淡く反射している。下には地下湖があり、清浄な水が溜まっている。クリスタルが反射するその様は、正しくこの世の絶景と言えた。
フェーリエ達は、洞窟のあまりの美しさに思わず目を奪われてしまったのだ。
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