【完結】近江花音はアイドルですっ!

桐生千種

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2 近江花音は小学生

3.キラキラの太陽(2)

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 ついさっきまで大人たちの輪の中にいた天野君がやって来た。

「大人と何話してたんだよ? てか親は?」

 伊藤君が言うように、天野君のご両親はどちらも姿を見ない。

「言ったじゃん。お店で働いてるって。今も仕事中」

 そう言う天野君は、イスを引き寄せて座る。

「だから営業して来たんだ。『カフェ ソレイユ』に食べに来てって。こういうのは子供にするより大人にした方がいいからね。キミたちもぜひ、パパやママと一緒に来てね。歓迎するよ」

「何か、顔がいいって得だよな。さっきから花音ちゃんがずっと義人のこと見てんだけど」

「何落ち込んでんの? あんたがお嬢様と付き合えるわけないじゃん」

「なっ、そんなんじゃねえし!」

 そんな話の中、天野君が私を見た。

 「顔がいい」と伊藤君が言うように、天野君の顔立ちは整っている。

 目は大きくて二重。

 グレーがかった瞳。

 色白の肌に、薄い唇。

 どこか日本人っぽくないミステリアスな雰囲気。

「キミみたいに可愛い子に好意を持ってもらえるなんて、嬉しいな」

 ニコリと笑う天野君は、キラキラしない。

「嘘が下手ですね」

 そう言った私の言葉に、天野君は驚いたように目を見開いた。

 天野君だけでなく、他の子たちも同じだった。

「嘘? どうして?」

 天野君はまだ続けようとする。

「キラキラしないから、すぐわかります」

「キラキラ?」

 天野君は首を傾げる。

「お店の天野君はとてもキラキラしています。お店の話をする天野君も、とても楽しそうにお話をされるので、本当に好きなんだなと伝わってくるんです。でも、心にもないことを言う天野君は、ちっともキラキラしないのですぐにわかります」

 私が言い終えると、訪れる沈黙。

 けど、その沈黙はすぐに破られた。

「なーんだ。バレてたのか」
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