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2 近江花音は小学生

3.キラキラの太陽(4)

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 そこまで夢中になれるものを、自分自身がキラキラできるものを、私は持っていないから、とても羨ましい。

 ママにお願いして、お店のお手伝いをさせてほしい、なんて。

 私がしたママへのお願いなんて、プリンが食べたい、だもん。

 私も、ママにお願いして何かをすれば、天野君みたいにキラキラできる?

 でも、何を?

 天野君のお家みたいにお店を開いているわけじゃないし、ママのお手伝いをしようにもお家のことは私が学校と習いごとの時間に終わらせちゃうし、お買い物もママと一緒だからお手伝いにならない。

 他にママがしていることは、私の送り迎えだけど……お手伝いはできない。

 どうすれば、私もキラキラできるんだろう。

 そんな小さな憧れが、私の中で芽を出した。

 いつか、その花が開くときが、くる……?

 そんなことを思いながら、みんなを見る。

 昨日までは名前もしらなかった子たち。

 学校も違う子たち。

 たくさんの習いごとの中で、私にはこうして出会いが巡ってくる。

 学校の友達と過ごせない代わりに巡る、新しい出会い。

 出会う彼らは誰もが色づいていて、楽しそう。

 笑ったり怒ったり弱音を吐いたり、私にはないものばかり。

 たくさんの習いごとも、嫌いじゃない。

 ママが選んだ習いごと。

 小さい頃から続いている習いごとは、全部が習慣になっていて、日常。

 嫌いなわけじゃないけど、特別に好きなわけでもない。

 私がキラキラできないのは、それが理由かもしれない、なんて。

 太陽みたいな彼のように、いつか私もキラキラと。

 キラキラした自分になれたらいいな、なんて、そんなことを思った。
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