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3 近江花音はアイドルですっ!
2.初めての雑誌取材(1)
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01年6月9日土曜日。
先週の事務所での取材の模擬練習から1週間。
今日は本物の雑誌の取材がある。
人生で初めての、雑誌の取材。
10人揃っての写真撮影もあるから、衣装もしっかり着て案内された部屋で待機。
みんな緊張しながら、真っ白な壁の会議室で待つ。
いつもはやんちゃなひかる君とあかりちゃんも今は大人しくイスに座って足をぶらつかせている。
「頼もー!」
そんな緊張した空気の中に突然扉を開けて飛び込んできた声は、どこかで聞いたことがあるような女の子の声。
みんなが扉を開けたその子を見て、その姿にも見覚えがある。
真っ白な衣装は初めて見るハーフパンツに白タイツ。
背中には白い手作りの翼。
キラキラの笑顔で、雑誌の中から抜け出してきたようなその子を、私は知っている。
――モノちゃん。
昨年デビューして、アイドル雑誌『アイドルコレクション』の常連になった2人組ユニット『モノクローム・ツインズ』の白色担当、モノちゃん。
大好きな、憧れの女の子が目の前に現れた驚きに思わず目を見開く。
「ちょっとお尋ね! ここにクロムちゃん来てない? それかどっかで見てない?」
モノちゃんは、雑誌の中と全然変わらない、むしろ雑誌で見るよりも、飛び抜けてキラキラしていた。
「来てないけど……まさか、クロムちゃんがいなくなったとか?」
話しかけたのは由梨亜ちゃん。
「ん、そうだけど、いいのいいの! クロムちゃん、よく1人でふらふらしちゃうから!」
「一緒に探そうか?」
伊織ちゃんが言うけど、モノちゃんは首を横に振る。
「大丈夫、大丈夫! 慣れてるし!」
「モノちゃん? こんなところで何してるの?」
凜と澄んだ声が、響き渡った。
「クロムちゃん! 見っけ!」
モノちゃんの言葉に、クロムちゃんは首を傾げる。
そんな姿も可愛い。
モノちゃんと対になる黒色の衣装。
背中の翼も黒色で、それが彼女の色。
『モノクローム・ツインズ』の黒色担当、クロムちゃん。
ふわふわとしたクロムちゃんの一挙一動に、私の心がぽわぽわする。
「どこ行ってたの? スタッフさんたち待ってるよ! 戻ろっ!」
「うん」
モノちゃんとクロムちゃんが手を取り合う。
「それじゃ、お邪魔しましたっ!」
モノちゃんが頭を下げたのを真似するように、クロムちゃんもペコリとお辞儀する。
「可愛いなぁ……」なんて思いながら、2人の姿がなくなった扉を見る。
「普段のクロムちゃんはぽわぽわしてる」とモノちゃんが雑誌のインタビューで答えていたのを見たけど、本当に、その通りだった。
歌やダンスをキリキリこなしているクロムちゃんも好きだけど、普段のぽわぽわしているクロムちゃんもとても可愛い。
ますます、ファンになった。
「そう言えば、花音って『白黒双子』好きじゃなかったっけ? 良かったのか? 話さなくて」
『白黒双子』は『モノクローム・ツインズ』のこと。
お店のポップでよく使われている。
「そんな、話すなんてっ」
畏れ多いっ! 近くで見るだけで胸が一杯になる。
「あ、これ本気のヤツ。よかったじゃん、間近で見れて。僕にもそれくらいの反応、見せてくれてもいいと思わない?」
義人君のそんな言葉はもう聞き慣れたもので、返す言葉も決まっている。
「キラキラしていない義人君には興味ありません」
先週の事務所での取材の模擬練習から1週間。
今日は本物の雑誌の取材がある。
人生で初めての、雑誌の取材。
10人揃っての写真撮影もあるから、衣装もしっかり着て案内された部屋で待機。
みんな緊張しながら、真っ白な壁の会議室で待つ。
いつもはやんちゃなひかる君とあかりちゃんも今は大人しくイスに座って足をぶらつかせている。
「頼もー!」
そんな緊張した空気の中に突然扉を開けて飛び込んできた声は、どこかで聞いたことがあるような女の子の声。
みんなが扉を開けたその子を見て、その姿にも見覚えがある。
真っ白な衣装は初めて見るハーフパンツに白タイツ。
背中には白い手作りの翼。
キラキラの笑顔で、雑誌の中から抜け出してきたようなその子を、私は知っている。
――モノちゃん。
昨年デビューして、アイドル雑誌『アイドルコレクション』の常連になった2人組ユニット『モノクローム・ツインズ』の白色担当、モノちゃん。
大好きな、憧れの女の子が目の前に現れた驚きに思わず目を見開く。
「ちょっとお尋ね! ここにクロムちゃん来てない? それかどっかで見てない?」
モノちゃんは、雑誌の中と全然変わらない、むしろ雑誌で見るよりも、飛び抜けてキラキラしていた。
「来てないけど……まさか、クロムちゃんがいなくなったとか?」
話しかけたのは由梨亜ちゃん。
「ん、そうだけど、いいのいいの! クロムちゃん、よく1人でふらふらしちゃうから!」
「一緒に探そうか?」
伊織ちゃんが言うけど、モノちゃんは首を横に振る。
「大丈夫、大丈夫! 慣れてるし!」
「モノちゃん? こんなところで何してるの?」
凜と澄んだ声が、響き渡った。
「クロムちゃん! 見っけ!」
モノちゃんの言葉に、クロムちゃんは首を傾げる。
そんな姿も可愛い。
モノちゃんと対になる黒色の衣装。
背中の翼も黒色で、それが彼女の色。
『モノクローム・ツインズ』の黒色担当、クロムちゃん。
ふわふわとしたクロムちゃんの一挙一動に、私の心がぽわぽわする。
「どこ行ってたの? スタッフさんたち待ってるよ! 戻ろっ!」
「うん」
モノちゃんとクロムちゃんが手を取り合う。
「それじゃ、お邪魔しましたっ!」
モノちゃんが頭を下げたのを真似するように、クロムちゃんもペコリとお辞儀する。
「可愛いなぁ……」なんて思いながら、2人の姿がなくなった扉を見る。
「普段のクロムちゃんはぽわぽわしてる」とモノちゃんが雑誌のインタビューで答えていたのを見たけど、本当に、その通りだった。
歌やダンスをキリキリこなしているクロムちゃんも好きだけど、普段のぽわぽわしているクロムちゃんもとても可愛い。
ますます、ファンになった。
「そう言えば、花音って『白黒双子』好きじゃなかったっけ? 良かったのか? 話さなくて」
『白黒双子』は『モノクローム・ツインズ』のこと。
お店のポップでよく使われている。
「そんな、話すなんてっ」
畏れ多いっ! 近くで見るだけで胸が一杯になる。
「あ、これ本気のヤツ。よかったじゃん、間近で見れて。僕にもそれくらいの反応、見せてくれてもいいと思わない?」
義人君のそんな言葉はもう聞き慣れたもので、返す言葉も決まっている。
「キラキラしていない義人君には興味ありません」
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