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3 近江花音はアイドルですっ!
2.初めての雑誌取材(2)
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*****
<今月の注目、男女混合10人組アイドルグループ>
――それでは自己紹介からお願いします。
拓哉 加瀬拓哉、中学3年生14歳です。
由梨亜 早乙女由梨亜、中学3年生14歳です。
マナ 中原マナ、13、中2。
伊織 桜木伊織、14歳! 中2だよ!
義人 天野義人、中学1年生、12歳です!
花音 近江花音、中学1年生、12歳です。
澪 一条澪、12歳、小6。
小春 三好小春、12歳、小学6年生です。
ひかる 星ひかる、小学5年生、10歳です!
あかり 星あかり、小学5年生、10歳です!
拓哉 この10人で、『スカイアクア』として活動していきます。
*****
インタビューは大きな問題が起きることなく終わった。
初めはすごく緊張していたけど、インタビューしてくれた人が話しやすくて、すぐに緊張はほぐれた。
インタビューの間、ずっとパシャパシャと焚かれていたフラッシュも最後には気にならなくなった。
ひかる君もあかりちゃんも、今日ばかりは入れ替わりごっこをせず、正直に答えていた。
けど、問題は撮影スタジオに入ってからだった。
「こんなの載せられないじゃない! 撮り直して!」
そんな怒声に驚いて、立ち止まった。
「ごめんなさい」
スタッフさんが1人近づいて来て、状況を説明してくれた。
「クロムちゃんの調子が悪いみたいで、まだ2人の撮影が終わっていないんです」
「ちょっと! ウチのクロムのせいにしないでくれる!? どうみてもあなたたちの腕の問題よ!!」
ズンズンと近づいて来たその人は、とても個性的な人だと思った。
スーツ姿に三角メガネ。
どう見ても男の人に見えるけど、女の人っぽい口調。
「あら、青に、空に、海じゃない。どうしたのよ、こんなところで」
その人は、事務所の社長の青さんとも、スタッフの空さんとも海さんとも知り合いみたいで、どこか親しげに話し始めた。
「何かトラブルかい?」
青さんが聞くと、その人は答えた。
「それがね、今日はいつもの人がいないみたいで、まともな写真を撮らないのよ」
2人が話をしている横で、中で待機するよう指示される。
少し離れたところにあるパソコンの画像が目に入った。
並ぶ写真のどれにもモノちゃんとクロムちゃんが映っているけど、いつも見る写真とクロムちゃんの雰囲気が全然違う。
雑誌で見るクロムちゃんは、いつもどこか神秘的で、可愛いの中にカッコイイを秘めているような、そんな雰囲気。
なのに、今並んでいる写真のどれもがぽわぽわしている。
これはこれで、可愛いとは思うけど……。
「人の他に、普段と違うところはないのかい?」
「ないわよ。こことはもう1年の付き合いなのよ。スタッフの腕に問題があるとしか思えないわ」
キッ! と目を向けるその姿には迫力がある。
「クロムのイメージを壊すような写真を出すわけにはいかないのよ!」
「ねぇねぇ、本番はまだなの?」
その言葉は、思いもよらないものだったようで、みんながモノちゃんを見て目を見開いていた。
「今の本番よ? リハーサルだと思ってたの?」
「だっていつまで経っても曲がかからないんだもん」
それからの対応は早かった。
流れ始めた『モノクローム・ツインズ』の楽曲。
途端に、クロムちゃんの表情が変わって、いつも雑誌で見るクロムちゃん、『モノクローム・ツインズ』になった。
曲に合わせてポーズを取るクロムちゃん。
モノちゃんも。
2人とも、まるでダンスをしているみたいで、見とれてしまった。
初めての取材。
初めて、本物のアイドルの撮影現場に居合わせて、とても特別な経験をしました。
<今月の注目、男女混合10人組アイドルグループ>
――それでは自己紹介からお願いします。
拓哉 加瀬拓哉、中学3年生14歳です。
由梨亜 早乙女由梨亜、中学3年生14歳です。
マナ 中原マナ、13、中2。
伊織 桜木伊織、14歳! 中2だよ!
義人 天野義人、中学1年生、12歳です!
花音 近江花音、中学1年生、12歳です。
澪 一条澪、12歳、小6。
小春 三好小春、12歳、小学6年生です。
ひかる 星ひかる、小学5年生、10歳です!
あかり 星あかり、小学5年生、10歳です!
拓哉 この10人で、『スカイアクア』として活動していきます。
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インタビューは大きな問題が起きることなく終わった。
初めはすごく緊張していたけど、インタビューしてくれた人が話しやすくて、すぐに緊張はほぐれた。
インタビューの間、ずっとパシャパシャと焚かれていたフラッシュも最後には気にならなくなった。
ひかる君もあかりちゃんも、今日ばかりは入れ替わりごっこをせず、正直に答えていた。
けど、問題は撮影スタジオに入ってからだった。
「こんなの載せられないじゃない! 撮り直して!」
そんな怒声に驚いて、立ち止まった。
「ごめんなさい」
スタッフさんが1人近づいて来て、状況を説明してくれた。
「クロムちゃんの調子が悪いみたいで、まだ2人の撮影が終わっていないんです」
「ちょっと! ウチのクロムのせいにしないでくれる!? どうみてもあなたたちの腕の問題よ!!」
ズンズンと近づいて来たその人は、とても個性的な人だと思った。
スーツ姿に三角メガネ。
どう見ても男の人に見えるけど、女の人っぽい口調。
「あら、青に、空に、海じゃない。どうしたのよ、こんなところで」
その人は、事務所の社長の青さんとも、スタッフの空さんとも海さんとも知り合いみたいで、どこか親しげに話し始めた。
「何かトラブルかい?」
青さんが聞くと、その人は答えた。
「それがね、今日はいつもの人がいないみたいで、まともな写真を撮らないのよ」
2人が話をしている横で、中で待機するよう指示される。
少し離れたところにあるパソコンの画像が目に入った。
並ぶ写真のどれにもモノちゃんとクロムちゃんが映っているけど、いつも見る写真とクロムちゃんの雰囲気が全然違う。
雑誌で見るクロムちゃんは、いつもどこか神秘的で、可愛いの中にカッコイイを秘めているような、そんな雰囲気。
なのに、今並んでいる写真のどれもがぽわぽわしている。
これはこれで、可愛いとは思うけど……。
「人の他に、普段と違うところはないのかい?」
「ないわよ。こことはもう1年の付き合いなのよ。スタッフの腕に問題があるとしか思えないわ」
キッ! と目を向けるその姿には迫力がある。
「クロムのイメージを壊すような写真を出すわけにはいかないのよ!」
「ねぇねぇ、本番はまだなの?」
その言葉は、思いもよらないものだったようで、みんながモノちゃんを見て目を見開いていた。
「今の本番よ? リハーサルだと思ってたの?」
「だっていつまで経っても曲がかからないんだもん」
それからの対応は早かった。
流れ始めた『モノクローム・ツインズ』の楽曲。
途端に、クロムちゃんの表情が変わって、いつも雑誌で見るクロムちゃん、『モノクローム・ツインズ』になった。
曲に合わせてポーズを取るクロムちゃん。
モノちゃんも。
2人とも、まるでダンスをしているみたいで、見とれてしまった。
初めての取材。
初めて、本物のアイドルの撮影現場に居合わせて、とても特別な経験をしました。
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