1 / 15
ミヨちゃんは居候
1.はじまる!! 新生活
しおりを挟む
憂鬱。
「はあ……」
空は晴天。
風も心地良い。
明後日から、楽しみにしていた高校生活。
なのに……。
「はあ……」
ため息を吐かずにはいられない。
思い出すのは、数日前のお母さんとの会話。
*****
「ミヨ、荷物まとめておきなさい。探さんに話はつけておいたから」
「話って、なんの……」
「なにって、高校生活の3年間、探さんのところでお世話になる話よ」
「なんで!? 家からだって通えるのに!!」
「なに言ってるの。2時間よ、2時間。探さんのところからなら10分なんだから、素直に甘えておきなさい」
「だったら学校の近くで1人暮らしするよ!」
「バカ言わないで」
*****
そんなこんなで、探さんの家で居候させてもらうことになってしまったわけだけど……。
――探さんって、親戚の中でも変人って言われてるし、よく知らないんだよなあ……。
話したこともないし……。
「はあ……」
ため息は止まらない。
*****
大きな建物。
広い庭付きの一軒家。
ここに、20代の男が1人暮らし。
自称は研究者だけど、なんの研究をしているのかは不明。
傍から見たら怪しいこと、この上ない。
ピンポーン……――
「……」
意を決して鳴らしたチャイムに応答はなし。
「すみませーん」
――まさか、留守?
でも、お母さんが話してるはずだし、来るとわかっていて出かけるなんてこと……。
ガチャリ……――
扉が開いた。
良かった、ちゃんといた。
だけど、開いたのはほんの少しの隙間だけ。
とても人が通れるような幅じゃなくて、かろうじて互いの姿を確認できる程度の細い隙間。
細く開かれた扉の隙間から覗く、チラッとだけ見える白衣。
研究者って言うのは本当っぽい。
「……なに」
ぼそりと聞こえたのは、そのひと言。
「犬飼ミヨです! 母から連絡があったと思うんですけど」
「……」
沈黙。
「……えっと、今日から、お世話に、なります?」
「……」
バタン……――
――えっ……。
閉められた。
扉閉められたんだけど!!
なんで!?
ガチャリ……――
だけど、すぐに扉は開いて今度は人がひとり入れるくらいに扉は開いた。
たぶん、チェーンを外してくれたんだよね。
きっと、そうだよね。
気を取り直して、探さんを見上げる。
さっきはよく見えなかった顔が、今度はちゃんと、なんてことはなかった。
前髪が長くて、顔がまったくわからない。
これでちゃんと見えているのかどうかも疑わしい。
「……入れば」
「お、お邪魔します!」
玄関に足を踏み入れると、間髪入れずに扉が閉められた。
閉められる鍵が、ひとつ、ふたつ。
そしてチェーンまでかける。
無言で。
前髪で顔を隠して。
――なんか、怖い……。
「……先に言っておくけど」
「は、はい!」
――ふぇーん! 怖いよー!!
「……部屋はそこ。向こうの廊下にさえ近づかなければ自由にしていいから。冷蔵庫も勝手に使って。ヤバイヤツにはちゃんとラベル貼ってあるから。じゃあ、あとは適当に自分でなんとかして」
言い終えた探さんは、私を残してさっさと行ってしまおうとする。
「あ、あの!」
「……」
声をかけたら、無言で振り向かれた。
――怖いっ!!
「お世話になりますっ! よろしくお願いしますっ!」
「……」
――無視っ!?
探さんはなにも言わずに、私に「近づくな」と言った部屋に入ってしまった。
私、探さんとうまくやっていける気がしない……。
……って言うか、ヤバイヤツってなに!?
「はあ……」
空は晴天。
風も心地良い。
明後日から、楽しみにしていた高校生活。
なのに……。
「はあ……」
ため息を吐かずにはいられない。
思い出すのは、数日前のお母さんとの会話。
*****
「ミヨ、荷物まとめておきなさい。探さんに話はつけておいたから」
「話って、なんの……」
「なにって、高校生活の3年間、探さんのところでお世話になる話よ」
「なんで!? 家からだって通えるのに!!」
「なに言ってるの。2時間よ、2時間。探さんのところからなら10分なんだから、素直に甘えておきなさい」
「だったら学校の近くで1人暮らしするよ!」
「バカ言わないで」
*****
そんなこんなで、探さんの家で居候させてもらうことになってしまったわけだけど……。
――探さんって、親戚の中でも変人って言われてるし、よく知らないんだよなあ……。
話したこともないし……。
「はあ……」
ため息は止まらない。
*****
大きな建物。
広い庭付きの一軒家。
ここに、20代の男が1人暮らし。
自称は研究者だけど、なんの研究をしているのかは不明。
傍から見たら怪しいこと、この上ない。
ピンポーン……――
「……」
意を決して鳴らしたチャイムに応答はなし。
「すみませーん」
――まさか、留守?
でも、お母さんが話してるはずだし、来るとわかっていて出かけるなんてこと……。
ガチャリ……――
扉が開いた。
良かった、ちゃんといた。
だけど、開いたのはほんの少しの隙間だけ。
とても人が通れるような幅じゃなくて、かろうじて互いの姿を確認できる程度の細い隙間。
細く開かれた扉の隙間から覗く、チラッとだけ見える白衣。
研究者って言うのは本当っぽい。
「……なに」
ぼそりと聞こえたのは、そのひと言。
「犬飼ミヨです! 母から連絡があったと思うんですけど」
「……」
沈黙。
「……えっと、今日から、お世話に、なります?」
「……」
バタン……――
――えっ……。
閉められた。
扉閉められたんだけど!!
なんで!?
ガチャリ……――
だけど、すぐに扉は開いて今度は人がひとり入れるくらいに扉は開いた。
たぶん、チェーンを外してくれたんだよね。
きっと、そうだよね。
気を取り直して、探さんを見上げる。
さっきはよく見えなかった顔が、今度はちゃんと、なんてことはなかった。
前髪が長くて、顔がまったくわからない。
これでちゃんと見えているのかどうかも疑わしい。
「……入れば」
「お、お邪魔します!」
玄関に足を踏み入れると、間髪入れずに扉が閉められた。
閉められる鍵が、ひとつ、ふたつ。
そしてチェーンまでかける。
無言で。
前髪で顔を隠して。
――なんか、怖い……。
「……先に言っておくけど」
「は、はい!」
――ふぇーん! 怖いよー!!
「……部屋はそこ。向こうの廊下にさえ近づかなければ自由にしていいから。冷蔵庫も勝手に使って。ヤバイヤツにはちゃんとラベル貼ってあるから。じゃあ、あとは適当に自分でなんとかして」
言い終えた探さんは、私を残してさっさと行ってしまおうとする。
「あ、あの!」
「……」
声をかけたら、無言で振り向かれた。
――怖いっ!!
「お世話になりますっ! よろしくお願いしますっ!」
「……」
――無視っ!?
探さんはなにも言わずに、私に「近づくな」と言った部屋に入ってしまった。
私、探さんとうまくやっていける気がしない……。
……って言うか、ヤバイヤツってなに!?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる