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第4章 みんなで、わいわい
第3話 準備は着々と *加瀬彩梨*
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加瀬拓哉が帰宅して、加瀬拓哉のうしろから現れた直樹。
買い物袋をさげてるところを見ると、買い出しに行っていたんだとわかる。
キッチンに袋を置いて近づいて来た直樹は、私の左隣のソファーに座る。
ちょうど90度に折れ曲がった感じで設置されたソファーはこういう集まりでの直樹の定位置。
「姉ちゃんなにそれ。両手に花?」
「うふふー。いいでしょー。チビッ子ハーレム」
言いながら、桔梗君と椿ちゃんに頬ずりしてみた。
「きゃあっ!」
椿ちゃんは笑ってくれたけど。
「やーめーろー!」
桔梗君には嫌がられてしまった。
身体をよじって伸びて、必死に逃れようとする桔梗君。
「桔梗君。こっちに来るかい?」
そう言って、自分の両膝をぽんぽんと叩く直樹を見て、桔梗君を抱える腕の力を緩めると、桔梗君はまっしぐらに直樹のもとに行ってしまった。
なんの抵抗もなく、直樹の膝の上に乗る桔梗君。
お姉さん、ちょっと寂しい……。
「お前ー、またつまみ食いしようとしてたんだろー?」
直樹が聞く。
「つまみ食いじゃないやい! 全部食べるつもりだったんだい!」
そんな答えが返ってきたので、捕まえておいて正解だった。
「はーい! ジュースだよー!」
と、いつもおかしいけど、それよりさらにおかしくなったテンションで加瀬拓哉が登場してきた。
ドスンドスン! と加瀬拓哉の手でテーブルに置かれた2Lのペットボトル5本。
……これ、持って来たのか。
キッチンからリビングの入り口からここまでの短距離とはいえ、2Lのペットボトルを5本……。
さらには紙コップまで。
どうなっているの加瀬拓哉の腕。
男の子ってそういうもの?
運べちゃうものなの?
そんなことを思いながらも、テーブルに置かれたペットボトルを見る。
コーラが2本にカルピスが2本、そしてお茶が1本。
いつも通りのラインナップ。
だけど、残念ながら、今それをそこに置くのは間違っている。
「みんな、なに飲むー?」
言いながら、紙コップを並べる加瀬拓哉だけど、みんな最初の1杯は毎回決まっているし、テーブルの真ん中でジュース注ぎ会をしていては邪魔になる。
「コーラ5、カルピス6、お茶1」
お皿を持って現れた清花が言った。
「みんなだいたい飲むもの決まってるから」
言って、持って来たお皿をテーブルに置く清花。
お皿は焼きそばのてんこ盛り。
「あとは、たっくんの飲みたいやつ注げばいいよ」
言い残してキッチンに戻って行く清花。
入れ替わりで栞ちゃんが来た。
「どいたどいたー」
栞ちゃんのその言葉を合図に、テーブルに乗っていたペットボトルを床におろす竜胆ちゃん。
慣れたものだ。
ついでと言わんばかりに紙コップもテーブルの端に詰める。
そしてさらにはテーブルの端っこで飲み物を注ぎ始めて配り始める。
「彩梨お姉ちゃんのお茶ー」
「ありがとー」
バケツリレーの如く回って来たお茶を皐月君から受け取る。
他にも回ってきた紙コップを直樹へとパス。
座る場所も、だいたいみんな決まっているから飲み物を置く位置もだいたい毎回同じ。
テーブルの上にはスペースができたことで置かれた2枚のお皿。
乗っているのはピザ。
しかもこれは、ただのピザではなく手作り。
生地からコネコネして作った、正真正銘の手作りピザだ。
「……これ、作ったの誰?」
直樹が聞いた。
「雪音ちゃんと雪乃君と桜ちゃん」
答えた栞ちゃんに。
「なら安心」
なんて直樹が言うものだから。
「どーゆー意味よっ!!」
「いでっ!?」
栞ちゃんからの鉄槌がおろされた。
直樹、そういうのは思っても口に出しちゃダメだよ。
「てめー! 桜を泣かせたなっ!!」
唐突に響き渡った雪乃君の怒鳴り声にそっちを見ると、雪乃君と桜ちゃんといつの間にかテーブルを離れていた加瀬拓哉がそこには居た。
「桜に近づくなっ!!」
「こら、雪乃!!」
美雪ママのお叱りの声が飛ぶ。
「だってコイツが!!」
「コイツじゃないでしょう!!」
両肘を90度に曲げた状態で、声もなくボロボロと涙を流す桜ちゃんと、そんな桜ちゃんの前に出て、対峙するように加瀬拓哉を怒鳴りつけた雪乃君。
なにが起こったのか、観察すること数秒。
おそらく、桜ちゃんの手にはなにかがあったはず。
それは、桜ちゃんがテーブルまで運んでくる予定だたもの。
だけどそれを、今は加瀬拓哉が持っている。
たぶん、加瀬拓哉が桜ちゃんの仕事をとったことが原因だと思われる。
仕事をとられたくらいで泣き出すのは桜ちゃんらしくないとは思うけど、家庭の事情もあるし不安定なのかもしれない。
私たちにできるのはそっとしておいてあげることと、いつも通りに接することくらい。
加瀬拓哉が現れた時点でいつも通り、とはいかないかもしれないけど……。
ひょこり、とキッチンから清花が顔を覗かせる。
たぶん、というか確実に、騒ぎを聞いて現状を把握するため。
ざっと見渡した清花はすぐに顔を引っ込めて、でも1分も経たないうちにキッチンから声をかけてくる。
「だーれかー。早く来てー」
さすが清花。
ナイスフォロー。
状況判断能力と対処能力が高い。
清花のその声に、雪乃君がすかさず反応する。
「行こう桜」
サッ! ともはや加瀬拓哉など眼中にないというような勢いで桜ちゃんに話しかける雪乃君。
「運ぶものはまだまだたくさんあるからさ」
そう言って、桜ちゃんを連れて行こうとする雪乃君を、空気を読まない加瀬拓哉が止めた。
「手が足りないなら俺も手伝うよ」
そう言って、キッチンに行こうとした加瀬拓哉を雪乃君が止めた。
「てめーは来んなっ!!」
威嚇するワンコの幻覚が見えそうな勢いで、全力で拒否された加瀬拓哉はなにか原因かまったく理解できていないけれど、大枠桜ちゃんを泣かせたことで間違いない。
キッチンに向かう雪乃君と桜ちゃん。
おいて行かれた加瀬拓哉は途方に暮れる。
残念なことに、桜ちゃんを泣かせてしまった加瀬拓哉は。雪乃君に『桜ちゃんを泣かせる敵』と認定されてしまったようで。
つまりは、加瀬拓哉は雪乃君に嫌われた。
「たっくん、大人しくそこに座っておきなさい」
桔梗君を抱えた直樹に言われて、とぼとぼと加瀬拓哉はテーブルに着いた。
「まあ、飲みたまえよ」
竜胆ちゃんが。コーラを注いだ紙コップを渡す。
「……ありがとう」
ちょびり、と加瀬拓哉は紙コップに口をつけた。
買い物袋をさげてるところを見ると、買い出しに行っていたんだとわかる。
キッチンに袋を置いて近づいて来た直樹は、私の左隣のソファーに座る。
ちょうど90度に折れ曲がった感じで設置されたソファーはこういう集まりでの直樹の定位置。
「姉ちゃんなにそれ。両手に花?」
「うふふー。いいでしょー。チビッ子ハーレム」
言いながら、桔梗君と椿ちゃんに頬ずりしてみた。
「きゃあっ!」
椿ちゃんは笑ってくれたけど。
「やーめーろー!」
桔梗君には嫌がられてしまった。
身体をよじって伸びて、必死に逃れようとする桔梗君。
「桔梗君。こっちに来るかい?」
そう言って、自分の両膝をぽんぽんと叩く直樹を見て、桔梗君を抱える腕の力を緩めると、桔梗君はまっしぐらに直樹のもとに行ってしまった。
なんの抵抗もなく、直樹の膝の上に乗る桔梗君。
お姉さん、ちょっと寂しい……。
「お前ー、またつまみ食いしようとしてたんだろー?」
直樹が聞く。
「つまみ食いじゃないやい! 全部食べるつもりだったんだい!」
そんな答えが返ってきたので、捕まえておいて正解だった。
「はーい! ジュースだよー!」
と、いつもおかしいけど、それよりさらにおかしくなったテンションで加瀬拓哉が登場してきた。
ドスンドスン! と加瀬拓哉の手でテーブルに置かれた2Lのペットボトル5本。
……これ、持って来たのか。
キッチンからリビングの入り口からここまでの短距離とはいえ、2Lのペットボトルを5本……。
さらには紙コップまで。
どうなっているの加瀬拓哉の腕。
男の子ってそういうもの?
運べちゃうものなの?
そんなことを思いながらも、テーブルに置かれたペットボトルを見る。
コーラが2本にカルピスが2本、そしてお茶が1本。
いつも通りのラインナップ。
だけど、残念ながら、今それをそこに置くのは間違っている。
「みんな、なに飲むー?」
言いながら、紙コップを並べる加瀬拓哉だけど、みんな最初の1杯は毎回決まっているし、テーブルの真ん中でジュース注ぎ会をしていては邪魔になる。
「コーラ5、カルピス6、お茶1」
お皿を持って現れた清花が言った。
「みんなだいたい飲むもの決まってるから」
言って、持って来たお皿をテーブルに置く清花。
お皿は焼きそばのてんこ盛り。
「あとは、たっくんの飲みたいやつ注げばいいよ」
言い残してキッチンに戻って行く清花。
入れ替わりで栞ちゃんが来た。
「どいたどいたー」
栞ちゃんのその言葉を合図に、テーブルに乗っていたペットボトルを床におろす竜胆ちゃん。
慣れたものだ。
ついでと言わんばかりに紙コップもテーブルの端に詰める。
そしてさらにはテーブルの端っこで飲み物を注ぎ始めて配り始める。
「彩梨お姉ちゃんのお茶ー」
「ありがとー」
バケツリレーの如く回って来たお茶を皐月君から受け取る。
他にも回ってきた紙コップを直樹へとパス。
座る場所も、だいたいみんな決まっているから飲み物を置く位置もだいたい毎回同じ。
テーブルの上にはスペースができたことで置かれた2枚のお皿。
乗っているのはピザ。
しかもこれは、ただのピザではなく手作り。
生地からコネコネして作った、正真正銘の手作りピザだ。
「……これ、作ったの誰?」
直樹が聞いた。
「雪音ちゃんと雪乃君と桜ちゃん」
答えた栞ちゃんに。
「なら安心」
なんて直樹が言うものだから。
「どーゆー意味よっ!!」
「いでっ!?」
栞ちゃんからの鉄槌がおろされた。
直樹、そういうのは思っても口に出しちゃダメだよ。
「てめー! 桜を泣かせたなっ!!」
唐突に響き渡った雪乃君の怒鳴り声にそっちを見ると、雪乃君と桜ちゃんといつの間にかテーブルを離れていた加瀬拓哉がそこには居た。
「桜に近づくなっ!!」
「こら、雪乃!!」
美雪ママのお叱りの声が飛ぶ。
「だってコイツが!!」
「コイツじゃないでしょう!!」
両肘を90度に曲げた状態で、声もなくボロボロと涙を流す桜ちゃんと、そんな桜ちゃんの前に出て、対峙するように加瀬拓哉を怒鳴りつけた雪乃君。
なにが起こったのか、観察すること数秒。
おそらく、桜ちゃんの手にはなにかがあったはず。
それは、桜ちゃんがテーブルまで運んでくる予定だたもの。
だけどそれを、今は加瀬拓哉が持っている。
たぶん、加瀬拓哉が桜ちゃんの仕事をとったことが原因だと思われる。
仕事をとられたくらいで泣き出すのは桜ちゃんらしくないとは思うけど、家庭の事情もあるし不安定なのかもしれない。
私たちにできるのはそっとしておいてあげることと、いつも通りに接することくらい。
加瀬拓哉が現れた時点でいつも通り、とはいかないかもしれないけど……。
ひょこり、とキッチンから清花が顔を覗かせる。
たぶん、というか確実に、騒ぎを聞いて現状を把握するため。
ざっと見渡した清花はすぐに顔を引っ込めて、でも1分も経たないうちにキッチンから声をかけてくる。
「だーれかー。早く来てー」
さすが清花。
ナイスフォロー。
状況判断能力と対処能力が高い。
清花のその声に、雪乃君がすかさず反応する。
「行こう桜」
サッ! ともはや加瀬拓哉など眼中にないというような勢いで桜ちゃんに話しかける雪乃君。
「運ぶものはまだまだたくさんあるからさ」
そう言って、桜ちゃんを連れて行こうとする雪乃君を、空気を読まない加瀬拓哉が止めた。
「手が足りないなら俺も手伝うよ」
そう言って、キッチンに行こうとした加瀬拓哉を雪乃君が止めた。
「てめーは来んなっ!!」
威嚇するワンコの幻覚が見えそうな勢いで、全力で拒否された加瀬拓哉はなにか原因かまったく理解できていないけれど、大枠桜ちゃんを泣かせたことで間違いない。
キッチンに向かう雪乃君と桜ちゃん。
おいて行かれた加瀬拓哉は途方に暮れる。
残念なことに、桜ちゃんを泣かせてしまった加瀬拓哉は。雪乃君に『桜ちゃんを泣かせる敵』と認定されてしまったようで。
つまりは、加瀬拓哉は雪乃君に嫌われた。
「たっくん、大人しくそこに座っておきなさい」
桔梗君を抱えた直樹に言われて、とぼとぼと加瀬拓哉はテーブルに着いた。
「まあ、飲みたまえよ」
竜胆ちゃんが。コーラを注いだ紙コップを渡す。
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ちょびり、と加瀬拓哉は紙コップに口をつけた。
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