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鬼母日記 2017年12月
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12月1日 かあさんを洗う
かあさん、ついにバスルームに連れて行った。
座らせてシャワーをかける。
お風呂浸かったら?
支えてあげるし
ええわ、なんか怖いし
シャワーでええわ
わかった。
ともかく、身体洗わなきゃ。
かあさんの石鹸を手に取ると、
ちがう!
と言う。
押したら出るのや
と言う。
かあさんのは固形石鹸でしょ?
かあさんのは普通の石鹸しかなかったはず。
液体ソープは、私が使ってたもの。
かあさん、どうやら前から私のを使ってたようだ。
でもそれも、1ヶ月以上前のこと。
ともかく…
かあさんを洗う。
やっぱり汚れてる~
かあさんをこする。
お湯をかけて、首すじ、背中。
かあさんがタオルを見て言う。
このタオル、ピンクやったのになんか黒いな
かあさんを洗ったからちゃうの!
自分で洗う?とタオルを渡したら、首すじばかり何回も洗う。
どこまで洗ったかわからなくなり、首の後ろばかり洗っちゃうようだ。
後ろは洗ったから、前を洗ってよ!
お湯をかけてやると、
気持ちええわ~と。
そらそうやろ、
すごい久しぶりでしょ。
髪洗うよ!
と、言うと、
今日はええわ
明日にしよか
と言うかあさん。
とんでもない!
今洗わなきゃ。
明日洗うわけないやん。
明日かあさんをここに再び連れてくる自信ないし、そんなのごめんだ。
シャンプーを取り、髪を洗い出す。
そんなに多くないかあさんの髪。
なのに、シャンプーをたくさんつけても泡立たない!
ひどい汚れようだー
床を拭いたモップみたいになってる!
髪がからまってひっついて束になってる。
何度シャンプーをかけても泡立たない。
もう、10回分くらいシャンプー使った。
ゴシゴシしても、からまった髪はなかなかほどけない。
こんな状態でデイサービスだの美容院だの連れて行ったら、さぞびっくりされるだろう。
あーもうほどほどでいいや。
お湯をぶっかける。
ゲゲっ!
黒と茶色が混じったようなお湯が、かあさんの頭から流れ落ちる。
汚れと毛染めの色が混じった色だ。
しかも!
なんか、糸くずやら、埃のかたまりやら、一緒に流れ落ちる。
排水口の方へ。
まさに、汚れまくった床を拭いたモップを洗ったかのよう。
凄まじいな。
こんな状態でよく平気でいたな、かあさん。
ともかく、こうして、やっとかあさんの入浴ははたせた。
湯船には浸かれなかったけど、それは今後の課題だ。
少なくとも、後10日はごめんだ。
疲れた。
腰も痛いし。
かあさんを洗って拭いて服着せて、ストーブの前に座らせて、髪を乾かして…
ああ、大仕事だ!
ずっと介護して、こういうことし続けてる人、すごいな。
でも他人事じゃないよね。
これ、私の仕事なのー?
次の入浴については、憂鬱になるから、しばらく考えないことにしよう。
12月4日 成り立たない会話
朝、台所で、かあさんが起きてこないうちにコーヒーを飲もうと思い、湯沸かしポットでお湯を沸かしていたら、かあさんが起きて来た。
で、コーヒーは後にしようと思い、湯沸かしポットのスイッチを消してコードを抜いた。
台所に入ってきたかあさん、
なんで線抜くねん!
と怒る。
自分がお湯を沸かしていたつもり。
かあさん、お茶飲むの?
じゃ、沸かしてあげる
と線を再びつなごうとすると、かあさん、
なんでや!
もう沸いてるねんで
と言う。
今度は、自分で沸かしてスイッチ切ったつもり。
しばらくして台所で…
私の顔を見てかあさん、給湯器を指差した。
あれついてるねんけど、誰か使ってるんか?
切っていいか?
と言う。
切っていいよ
でも、また使うし…
切ってもいいし、そのままでもいいよ
え?
ほな切ろか?
かあさん、自分の髪にさわって、なんか髪を気にしてる。
じゃ、切ったら?
と言ったら、
かあさん、
どこで?
ここやん!
私は給湯器を指差す。
なんや、お湯か?
もう、伸びて伸びて
かあさん、自分の髪をさわりながら言う。
かあさん、給湯器のことはすでに忘れ、切るのは自分の髪の毛だと思ったよう。
夕方、かあさん、突然に、
おばあさん、もう寝たか?
おばあさん、今までここで居眠りしてたやろ
と言う。
うん
と答える私。
かあさん、寝ぼけてるんだろう。
夕食後、階段の下で呼んでるかあさん。
おばあさん!
もう晩ご飯食べたかー?
またあんなこと言ってる。
夫が降りて行ってかあさんに言った。
おばあさんはとうの昔に死んどるで
するとかあさんは、なんやの!と笑って、
ちがうがな、あんたの嫁さんのことやがな
まだ晩ご飯食べてないと思って呼びに来たんや
と言う。
かあさんの頭、うまくできてるからな。
自分が何か間違えたと思ったら、即座に切り換えてごまかすんだよね。
それとも、おばあさんって、私のこと?
かあさんにおばあさんて呼ばれる筋合いはないわー
私はあなたの息子の嫁で、あなたの息子より10も年下。
かあさん、ついに私の名前も忘れたか。
晩ご飯は、さっき一緒に食べたばかりだよ!
12月6日 かあさん、ヘルパーさんのお料理を捨てる
かあさん、放っておくとヘルパーさんのお料理を捨てる。
流しを見ると、空の小皿2枚と小鉢があった。
かあさん、お昼ごはん何食べたの?
こたつの上には、パンとバナナを食べた形跡が。
ゴミ箱を開けてみると、そこには無残にも捨てられたお料理。
またやりやがったな!
やっぱりかあさん、鬼だよ。
それはヘルパーさんが心を込めて作ってくれたお料理。
そして、その材料は夫と私が買ってきたもの。
ほんと、腹が立つ。
とにかく、捨てさせないようにしなくちゃ!
それ以来私たちは、ヘルパーさんの帰った後、すかさずヘルパーさんのお料理をかあさんの目の届かない冷蔵庫の上に移すことにした。
かあさんはヘルパーさんのお料理が消えても、私たちが隠したとは思ってない。
今日もヘルパーさん、白髪のおばあさんやで
食べる気せえへんし、お料理、いつも捨てるねん
と、毎日捨てた気でいるようだ。
大丈夫。
そんなん食べへん
と、かあさんがいくら言っても。
食べなきゃ許さない。
夜になったら温め直して、かあさんの夕食のおかずにする。
ヘルパーさんが作った物と気付かれないよう、他のお皿に移し替え、違う具材を加えたり、具を小さく切ってサイズを変えたりもする。
何が何でも、食べさせる。
幸いかあさんは、何でもすぐ忘れるから、ヘルパーさんがその日どんなお料理作ったか覚えちゃいない。
ヘルパーさんは、飽きないように色んなお料理作ってくれるし、栄養も満点。
朝からパンばかり食べてるかあさんでも、ヘルパーさんのお料理食べてたら安心。
かあさん、何も知らずにけっこう食べてくれる。
私たちも安心してしまい、ついつい自分たちの夕食を手抜きにしてしまう。
もう、鯖缶だけでいいや。
みたいに。
最近、私たちよりかあさんの方が栄養とってるな~
なんだかかあさん、最近元気だもんな~
反対に、どんどん元気なくなってきてる、夫と私。
12月8日 かあさんの中の忘れられたかあさん
夫がトイレの壁を塗り替えた。
乾くまで触らないでと言ったのに、トイレに行ったかあさん、まだ乾いてない壁を触った。
認知症なんだから、言っても無駄だよーと私は言ったけど、夫はカンカンに怒った。
塗った壁をきれいにならすのに、すごく時間をかけたから。
かあさんに、触ったやろ!と怒った。
触ってへん!
そんなん、触るわけないやろ!
と、かあさんは怒って言う。
見てみ、触ったあとあるやろ!
へこんで乱れた壁を指差す夫。
知らんがな!
誰か知らん人が来て触って行ったんや
と言うかあさん。
いつも、かあさんは言うのだ。
「誰か知らん人が」
それって、かあさんやん!
かあさんはトイレの壁を触った。
私はかあさんがトイレに入る時に壁に触ってるのを目撃した。
でも、それは、かあさんの記憶にないかあさん。
かあさんが何をしても、次から次へとその記憶は消えてしまう。
消えた記憶の中のもう1人のかあさんがやったこと。
かあさんが靴下を履こうとしてる。
靴下を探しながら怒る。
もうっ、なんやの!
みんな片っぽうずつ
なんで片方しかないの?!
誰や、こんな嫌がらせするの!
誰か知らん人がこんなことしはる
誰って…それ、かあさん、あなただよ。
かあさんの中のかあさんに忘れられたかあさんが、壁を触り、靴下をごちゃごちゃにし、物を隠す。
かあさんの中の忘れられたかあさんが、かあさんを困らせ、私たちを困らせる。
かあさんも私たちも、毎日何かを探してばかり。
昨日も、ゴミを捨てようとしたらゴミ袋がなかった。
どこにやった?
とかあさんに言っても、決まってかあさん、
どこにもやらへんがな!
そんなん、さわらへんで
怒ってそう言うだけ。
かあさんの中の忘れられたかあさんが、寝室の押入れの中に隠した。
かあさん毎日、なんでゴミほりに行ってくれへんのーとうるさく言ってヘルパーさんを困らせる。
ゴミ袋がなかったら、誰もゴミを捨てられないのにね。
12月10日 かあさん、死にたいと嘆く
早朝、かあさんが台所にいる。
私が起きて顔を洗いに1階に降りたら、かあさんが洗面台の所まで来て私に言う。
こんなん、貼ってんねんで
かあちゃん、一度も壁なんか触ってないのに
触ってる。
記憶にないだけ。
その貼り紙がこれ。
壁にさわるな
塗りたて
さわるな!
こんなん貼って、かっこ悪い
ヘルパーさんも見るのに
なんでこんなにかあちゃんをいじめるんやろ
何もしてないのに
かあさんは嘆く。
もう早よ死にたいわ
生きてても、何もいいことない
何の楽しみもないのに
なんでそんなこと言うの?
この貼り紙は、かあさんに意地悪してるんちゃうで
私だってうっかり触るかもしれないやん
だから貼ってんのやろ
そうかて、いつもあのこはえらそうに言っていじめるし
あのこっていうのは、かあさんの息子、私の夫。
だけど、いつもかあさんのためにがんばってるで
トイレもきれいになるし、お風呂も新しくしたの、かあさんのためやで
毎日かあさんのために買い物にも行ってるし
と言ってみたけど、そこんとこは聞こえないふり。
かあちゃん、30過ぎてから1人きりで生きてきて、あのこを良い学校に入れるために一生懸命働いてきたのに
この、あのこってのは、多分息子のことではない。
大学に行ったのは、娘の方。
あのこって誰?
聞いてみたけど、聞こえないふり。
そこにかあさんの息子、私の夫が2階から降りて来た。
もう~
やめてほしいわ
こんな貼り紙するから!
と私は夫に言った。
私は仕事に行かないといけないのに、朝からなんでこんなことに時間をとられる?
かあさんのこと、かわいそうな気持ちにもなった。
確かに残り少ない人生なのに、楽しみもなくいつも嘆いてばかり。
かあさんからしたら私たちは、かあさんを苦しめるだけのじゃまな存在らしい。
だけど、自業自得だと思う。
息子の世話になるのが嫌で嫌で仕方ないかあさん。
嫌すぎて、かあさんの頭の中では息子は何もしない、何も助けてくれない、それなのにえらそうにかあさんに怒ってばかりいる馬鹿息子ってことになってる。
でも、かあさんが考えを変えて、現実を受け入れれば全てが変わる。
かあさん、あなたの息子があなたのためにやっていることを認めて感謝するだけで、あなたの息子はやさしくなると思うよ。
ヘルパーさんだってそう。
誇り高いかあさんは、世話になるのが嫌で嫌で仕方ないから、ヘルパーさんにご飯を作ってもらうのが屈辱と感じてるんだろう。
何でも自分でできるつもりなんだから。
でも、現実は、かあさんは何もまともにはできない。
自分にはできないことを認めて、快く世話になればいいだけ。
それに、かあさんは何の楽しみもないと言うけど、かあさんは何も始めようとしない。
デイサービスにでも行く気になれば、楽しみができるかもしれない。
それなのに、絶対に出かけようとしない。
かあさんは自分で自分を不幸にしてる。
でも、かあさんは変われない。
考えを絶対に変えない。
かあさんは、自分も、自分のまわりの人も苦しめてしまう。
かあさんは1人だけで生きてきたつもりだけど、1人で暮らしてた時も、夫と私はかあさんを助けてきた。
何か頼まれたら駆けつけたし、かあさんの年金で足りない分はおぎなってきた。
かあさんは60前で仕事を辞め、それから30年、気ままに暮らしてるけど、夫はもっと長く働いていたし、私だって60まわってるけどまだ働いてる。
そんなこと考えてたら、かわいそうな気持ちも薄らいできた。
ともかく、私は仕事に行かなくちゃ。
顔洗って、台所に来てみたら、こんな紙が置いてあった。
施設に入らなしかない
認知症ババァ
そらかあさん、嘆くわ。
夫もよほど腹が立ったのか、書き間違えてるし。
12月13日 かあさん、怒る嘆く
朝、コーヒーを飲もうと思って1階に降りると、居間でかあさんがこたつに入っていた。
だけど部屋は冷え冷え。
エアコンはオフだし、ストーブもつけてない。
寒いだろうと思って、エアコンを点けた。
するとかあさん、すぐに言った。
なんで点けるねん!
おコタ入ってるのに!
そんなこと言っても、私も寒い。
私はおコタには入っていない。
むっとして、あかんの?と私が睨むのと同時にかあさんが言った。
これ、暖房か?
クーラーになってないか?
すごく寒いねん
なってない。暖房である。
だって、今点けたばかりでしょ!
と、私が言うと、かあさん、
そんなことない
もうだいぶ前に点けたで
と言う。
おコタに入ってるのになんで点けるって怒ったくせに、何なの?!
かあさん、こっちが言ったことに対して、自分に都合のいい答えをすばやく返し、決して自分の間違いを認めない。
いつも思うけどすごい。
すごい能力だ。
だいたい、そこまで寒いくせに、なんで人がエアコン点けたら怒るの?
私や夫が何しても腹が立つようだ。
このあいだも、かあさんが台所の雨戸を開けるのに苦戦してたから、夫が、
そこは無理に開けんでもええで
と言ったら、激怒したらしい。
夫の言うことなすこと、全てに腹が立つらしい。
かあさんのためを思って言ったのに。
私たち、これでもかあさんのじゃまにならないようすごく気を遣ってるんだけどね。
それにしてもかあさん、最近、おコタには入ってるけど、エアコンもストーブも点けずにいることが多い。
もうエアコンのつけ方もわからなくなったかな。
それとも、電気代が気になるのかな。
このあいだ、起きてしばらくしてから電気敷毛布をつけっ放しだったのに気付いたかあさん、悲壮感を漂わせて嘆いていた。
あ~
なんてことをしてしまったんやろ~
ずっとつけっ放しやった
電気代がすごくいるのに~
かあさん、化粧品なら湯水のようにお金使っても平気なのに……
12月14日 息子いじめ
夜、かあさんが冷蔵庫からパンを出してきて夫に聞いた。
これ、賞味期限大丈夫か?
夫が、
今日明日は大丈夫や。
と答えると、
晩ご飯、何も食べてへんねん。
と言ってパンを焼こうとするかあさん。
さっき一緒に晩ご飯食べたところやで。
と夫が言うと、猛然と怒り出した。
食べて死ぬか、食べずに死ぬかや!
と怒鳴った。
夫が2階に上がろうとすると、
あんなん、かあちゃんの子とちゃう。
鬼や!
と大声で言うかあさんの声が響き渡った。
認知症は酷い。
でも、それ以前にかあさんは酷い。
あんたこそ鬼やろ!
クソババア!
私は怒鳴った。
(かあさんには聞こえない)
だって、夫はそんなに悪くない。
かあさんが食べようとしてたのは、かあさんのお気に入りのパン。
夫と私が昨日かあさんのために買って来た。
賞味期限を聞かれたからちゃんと教えてあげた。
晩ご飯は夫と私で作って、かあさんと一緒に食べた。
かあさんは感謝するどころか、食べたことも忘れ、怒るだけ。
怒り方も、いつもあまりにも憎々しげで、ほんと鬼のよう。
でも、かあさんからしたら、認知症のせいでまるで忘れてしまってるし、かあさんは自分が正しいと思いこんでるから、夫が嘘ついてるとしか思えないのだ。
でも、夫と私が毎日かあさんのためにやってることを全て忘れるかあさん、酷すぎる。
認知症以前に、かあさんは昔から自己中。
自分一人で生きるつもりで、人に世話になっても感謝することはなかった。
私たちがかあさんのためにしたことは全て無にされて、私たちはかあさんに晩ご飯も食べさせないってことになってる。
朝は、かあさんが勝手にパンを食べるけど、昼前にヘルパーさんが来ると、かあさん、決まって朝から何も食べてないと言う。
かあさんは、食べても食べても記憶が飛ぶから1日中言ってる。
今日はまだ何も食べてないねん。
で、あんなふうに怒って喚かれたら、まるで私たちがかあさんを虐待してるみたい。
通報されても仕方ない。
他の人にはわからない。
しかし、かあさんの怒り方は酷すぎる。
かあさんは、夫がかあさんをいじめるって言うけど、かあさんが夫の10倍くらい夫をいじめてると思う。
12月16日 炊飯バトルの顛末
ベチャベチャご飯を食べたくなくて、かあさんにご飯を炊かせたくなかった夫と私。
かあさんと炊飯バトルを繰り広げてきた。
かあさんにご飯を炊かせることを食い止められなかったという意味では、私たちの負けかもしれない。
でも、意地でもかあさんのご飯を食べたくなかった私たち、結果、炊飯器を2つ並べることとなった。
私たちは新しい炊飯器でご飯を炊くから、どうしてもご飯が炊きたいなら、かあさんは古い炊飯器で炊いてねってことに。
でも、夫が新しい炊飯器でご飯を炊こうとするのを目にすると、気に入らないかあさん。
あれこれ口出しをする。
このあいだは、かあさんがテレビを観てる間にご飯炊こうとした夫。
中釜にお米を入れたけど、トイレに行きたくなった。
で、トイレに行って、戻ってみると、かあさんがそのお米を研いでいた。
わしがやるんやから触らんどいて!
と夫が言うと、かあさんは怒った。
男のくせに、なんでご飯を炊くんや!
男が台所に入らんでよい
と言う。
かあさんは何度も夫の炊いたご飯を食べたし、かあさんが夕食食べ終わった後の食器もずっと夫が洗ってるのに。
夫がご飯を炊いた後も、しばしばかあさんは炊き上がったご飯を触って混ぜたり、炊いてる途中の炊飯器を開けたりする。
で、新しい炊飯器はかあさんの手の届かない棚の上に置くことになった。
かあさんはどうしても自分でご飯が炊きたいらしく、その後、古い炊飯器で度々ご飯を炊いている。
私たち夫婦は自分たちの炊いたご飯しか食べないから、母さんが炊いたご飯を食べるのはかあさんだけ。
たくさん食べさせなきゃ!
と言うわけで夕食の時は、かあさんにはかあさんが炊いたご飯を大盛りで出そうとしたけど、かあさんはご飯が多すぎるから減らしてと言う。
ほんのちょっとしか食べない。
そらそうやろ、さっきパン食べてたもんね。
それに、かあさんの炊いたご飯はベチャベチャでまずいもんね。
かあさんは夕食の時しかご飯を食べないし、かあさんのご飯はなかなか減らない。
日によっては、かあさんは夕食に巻き寿司やうどんを食べて、炊いたご飯を食べない。
食べないなら、そんなにたくさん炊くなよ!
と思うけど、決まって2合炊く。
2日、3日…
ご飯は炊飯器の中で黄色くなって来る。
もう食べられないのでは……
でも、このご飯を処分して炊飯器を空にすると、またかあさんはご飯を炊いてしまう。
4日目、さすがにこれ以上は無理。
夫がかあさんの炊いたご飯を捨てた。
空になった炊飯器を見たかあさん、さっそくご飯を炊いた。
3日後にはまた捨てることになる。
もったいなすぎる…
12月18日 かあさんの料理はまずかった
晩ご飯を食べてから2時間、階段の下でかあさんが呼んでる。
あんたら、晩ご飯食べてへんやろ?
なんか食べるか
晩ご飯は一緒に食べたやん!
もう~面倒臭いな~
階段の下まで降りて行く。
晩ご飯は7時頃に食べたよ!
そうか~
かあちゃん何も作ってやってへんな~思て
などとほざくかあさん。
最近、毎日こんなことを言うのだ。
昨日も、私が晩ご飯の仕度をしようとすると、
食べる物何もないやろ
今日は何も作ってへんからな
と言う。
食べる物は冷蔵庫にたくさんある。
ちゃんと買ってきてある。
かあさんはいつも何も作らないでしょ!
作るのはヘルパーさんと私。
その前の日は、
食べるもん何もないやろ
かあちゃん、足が痛くて買い物行かれへんから、何も買ってへんねん
あんたらの食べるもん、何かヘルパーさんに頼んどかなあかんな
だからー!
かあさんのご飯、パンもバナナも晩のおかずも、いつも買って来るのはあんたの息子とその嫁やで
そう、私たちやんか~
毎日買い物して晩ご飯用意して、皿洗いもしてあげてるのに、なんでわからないのかな?
わかってるのは、晩ご飯食べてるその時だけで、食べ終わったら全て忘れちゃう。
もう半年以上。毎日。
私たち、もう10年以上、かあさんの作った料理はいただたいていませんよ!
私たちがかあさんの世話になってるのではなくて、私たちがかあさんの世話をしてるのですよ!
かあさんが私たちの世話をしているのではなくて、かあさんが私たちの世話になってるのですよ!!
昨日はヘルパーさんがかあさんのお昼ごはんのために作った煮物を、お鍋で温めてかあさんの晩ご飯のおかずに出した。
かあさん、私が作ったおかずは食べ残したのに、ヘルパーさんの煮物は出しただけ全部食べた。
確かに、ヘルパーさんのお料理は美味しいもんね。
で、まだお鍋に残ってたので後で冷蔵庫に入れようと思い、お鍋に入れたまま置いてあった。
30分後、台所に降りてみたら、その煮物の入ったお鍋は電磁調理器の上にあり、蓋を開けるとお汁でたぷたぷの吸い物みたいになってた。
かあさん、かなり水を足したな。
それで、自分で料理したつもり。
そう言えばかあさんの料理は、昔っから煮物も水っぽくて呆けたような味だった。
これはきっちり、明日のかあさんのおかずにさせてもらいますよ!
かあさんどっちみち、醤油を浸かるほどかけて食べるから問題ないよね。
12月20日 かあさんは何者?魔物?それとも…
かあさんとかあさんの息子(私の夫)は、毎日闘っていた。
夫がかあさんに何か言う度に、かあさんは激しく怒って火を吹く。(それくらいの破壊力で叫び、私たちを苦しめる言葉を吐く)
そうすると、さらに夫の態度も冷たくきつくなり、かあさんは夫が何か言う度、何かする度に激怒した。
私はかあさんの攻撃に耐えられない。
階下で夫とかあさんが闘っていると、かあさんの金切り声が2階にまで響き渡る。
私が幾ら耳を塞いでも。
かあさんは、私たちが打撃を受ける言葉をよくわかっている。
あんたは何もしてくれへんな
何も助けてくれへんな
えっらそうに
邪魔ばかりして
そして、嘆く。
あんたら、かあちゃんが早よ死ねばいいと思てんやろ!
しまいに、私は叫んでしまう。
そや、早く死ねばいいのに!
あー、もう死にたいわ!
と嘆くかあさんの声に、思わず叫んでしまう。
なら死ねば?!
日頃、それだけは言わないようにしているその言葉を。
もちろん、耳の遠いかあさんには聞こえない。
ただ、私が独り言を叫んでいるだけ。
今ではこの家が魔物の棲み家に思える。
かあさんは、この家を、この家にある全てを自分の物としか認識していない。
迷いこんだ私たち。
逃げられない。
かあさんが私たちに餌を与えている。
嘘みたいだけど、それがかあさんの認識。
その餌、かあさんの食料も、私たちがアリみたいにせっせとかあさんの元に運んでいる。
私たちはどうしたら逃れられるの?
ここはまるで暗闇のダンジョンのよう。
どれだけつくせば満足するの?
私たちは、1日中かあさんのことばかり考えている。
逃れたいけど逃れられない。
かあさんのご飯を調達し、料理して目の前に並べ、かあさんが長生きするよう薬も運ぶ。
かあさんに危険が及ばないよう、見張り、危険を取り除く。
それでも、
おまえたちは何もしない
何の役にも立たない
邪魔ばかりする
と言い続けるかあさん。
だけど、それがかあさんの願望だ。
1人で生きている。
誰の世話にもならない。
誰もえらそうにはさせない。
自分だけが正しく立派で優れた美しい人間。
かあさんは、見事に自分の頭の中でそれを実現させている。
だから、私たちがかあさんのために何をしても、見えない。
認識しない。
なぜなんだろう。
私たちに与えられたこの試練。
夕べも夫とかあさんはやり合って、耐えきれず私は、もう嫌だーほんとに嫌だーと叫んだ。
あの人が嫌だー
何なの、あの人、魔物?妖怪?
だけど、蹴りつけることもできないんだ。
それで、夫と私は、決めた。
なるべくかあさんとは目を合わさない。
もう一緒に夕食食べるのもやめる。
かあさんの上がって来れない2階に潜んでる。
口もきかない。
かあさんが転んだり、何か焦がしたら飛んで行くけど、後はもうなるべくかかわらない。
その方がかあさんもいいでしょ。
いつも、私たちを邪魔に思ってるんだから、その方がかあさんもしあわせだ。
と、その時は思った。
次の日、少し冷静になり、また私たちの日常は始まった。
かあさんの態度や言動にいちいちいらついたり、傷ついたり、怒ったり。
私たちって、馬鹿じゃないの。
かあさんは他の何者でもない。
ただの呆け老人なのに。
12月23日 そそうしてしもた
かあさん、度々夜中や早朝に洗濯機を回す。
その後、洗濯物を干すわけでもなく、回した後はそのまま。
ある日、夫が怒って、
「夜中3時や4時に洗濯機回すな」
と洗濯機に貼り紙をした。
次の朝見てみると、その貼り紙はくしゃくしゃになって洗濯機のそばに投げ捨てられていた。
だけど洗濯機を回した形跡はなく、手洗いしたのか、洗面台の石鹸の横に洗って絞った下着のパンツが置いてあった。
最近、毎朝のように洗面台やその横にある洗濯物籠に洗ったパンツがある。
時には2枚。
このあいだ、夜中に私がトイレに行こうとして1階に降りたら、洗面台の辺りでかあさんが何かゴソゴソしてる。
明かりも点けず、暗い所で。
廊下の薄暗い明かりで見えたかあさんは、寒いのに下半身は素足でパジャマもはいてなかった。
多分、トイレに行こうとしたけど間に合わず、下着を汚しちゃったんだろう。
シーツも汚したか?
と思って、朝になってからチェックしたけど、シーツは大丈夫だった。
行きたくなってから起きて杖持ってトイレまで…かあさんの寝室はトイレの隣だけど、それでも間に合わないんだろうな~
また別の日の昼間、かあさんが、
そそうしてしもた~
と言いながら洗面室から出て来て、夫が行ってみると、洗濯物籠にビチグソにまみれた下着があった。
ひぇ~
どうする、これ!?
かあさんは、その後すぐに忘れてしまったのか、何もなかったかのようにテレビを見ている。
この、まみれになってるパンツは捨てるしかないな~
夫が箸でつまんでビニール袋に入れて捨てた。
もう1枚の、パンツの上に履くズロースの長いようなの…も若干黄色く汚れてるけど、これ捨てたら替えがないかも…と思い、洗うことにした。
ビニールの手袋をして私が手洗いして、その後洗濯機に。
こんなの汚れたままの入れて洗濯機回されたらたまらないな~
ビチグソのかあさん、お腹大丈夫なのかな?
と気になったけど、かあさんは平気な様子でその後パンを食べていた。
なんか、認知症進んで、もう排泄もまともにはできなくなってきてるな~
リハビリパンツとやらを使ってくれるとありがたいけど…
絶対かあさん拒否するに決まってる。
そんなのかっこ悪い!とか言って怒るに決まってる。
あ~恐ろしい。
私の友人は、自分も履いて見せて、おじいさんに履かせるの成功したと言ってた。
私も履いて見せてみるか?
あんた、そんなん履いてるんか、かっこ悪!
とか言ってかあさん、優越感に浸るのが落ちだよ。きっと。
かあさん、失敗はすぐ忘れてしまい、今も何でも自分でできると思いこんでるんだから。
かあさんの汚れたパンツをこっそり捨てた後、かあさんがパンツがないと言って騒ぐと困ると思い、でも新しいのはないから、私のを1枚(使用したやつだけど)、かあさんの洗濯物に紛れこませた。
私のパンツを洗濯機から勝手に持って行って自分のだと言い張るかあさんだから、なんの違和感もなく自分の物にしたようだ。
いいよね、かあさんは。
そそうしたって、何もなかったことになるんだから。
12月25日 かあさんの背中のチャックが開いて…
夜遅く、かあさんが玄関で…
何か言ってる。
夫と私が買って来て玄関に飾った生け花を見て、何か言ってるようだ。
花を触るだと?
誰もさわらんがな
えらそうに!
いつもそんなことばかり言って!
その声がいつものかん高いかあさんの声ではない。
それに誰も、花に触るなとは言ってない。
花に触るなだと?
えらそうに!
鬼や!
鬼やな!
低く、呻くようなしわがれた声だったから、2階にいた夫と私はゾッとした。
あんな声聞いたことがなかった。
認知症のかあさんの中にはもう一人のかあさんがいると思ったけど、そのもう一人が突如出てきたのだろうか。
最近友人に愚痴を聞いてもらった。
かあさんの中にもう一人別のかあさんがいるみたいだって話したら、友人は面白がって、
背中のチャック開けたら、もう一人がむくむくって出てくるかもね
と言って笑った。
そうかもしれない。
その時玄関で、もう一人のかあさんが、むくむくって現れたのかな?
12月26日 かあさんは宇宙人
かあさん、夜遅く、玄関先に出て行く。
玄関の明かりを点けて、消して、また点けて。
玄関チャイムの空耳がまた聞こえたか?
と思い、そっと近づき、
誰も来てないよ
と言ってみた。
ちがうんや
鍵かけたかと思て見に来たんや
と、とぼけるかあさん。
夜中に外に出ようとする行動は少し減った。
だけど最近、夜遅く玄関の明かりのスイッチをパチパチ点けたり消したりする、謎の行動が目立つ。
パチパチ、パチパチ、点けて消して、また点けて…何度も。
なんのために?
そんなことしたって鍵かかってるかなんて確認できない。
外から見たらおかしいだろうね
と夫と話した。
ほんとやな
明かりがついたり消えたり。
またついたり。
なんか、何かの信号みたいやな
誰かに信号送ってる?
えーっ?!
ひょっとして、宇宙人との交信?
かあさんは宇宙人かも!
そうなんだ~
なんか、かあさんの中にもう一人別の人がいるような気がしてた。
宇宙人が入り込んでたか~
お願い、かあさんを早く迎えに来てあげて!
宇宙の星に連れて帰ってあげて!
12月28日 かあさんの醤油差し
かあさんは居間にあるこたつで、私たちは台所のテーブルで食事をする。
かあさんはまず、お料理のすべてにドボドボと浸かるほど醤油をかけ、そしてよろよろと立ち上がり、夫と私が食事をしてるテーブルに醤油差しを持ってこようとする。
私たちは、そんな醤油差し持って来られても使わないし、食事中に立ち上がって醤油差しを受け取り、冷蔵庫にしまうのが面倒なだけ。
だけど、一々持ってこんでいいから!と言うと、かあさんは怒る。
あんたらも使うやろ思て持って来てやってるのに!ってわけだ。
それはかあさん専用だから食べ終わるまで持って来なくていいよ!
と毎日のように言うけどダメだ。
毎日絶対に持って来る。
気遣いしてるってアピールしたいのに違いない。
何度言っても覚えなくて、同じことを繰り返すかあさんにイライラし、しまいには腹が立って来た。
だいたい、かあさんの薄汚い醤油差しなんか見るのも嫌だ。
そんなの絶対に使わない。
最近は新鮮さを保てる使い勝手のいいサイズの醤油があるから、私たち夫婦は必要な時はそれを使う。
いつもそこからかあさんの醤油差しに醤油を注ぎ足してるのだ。
かあさんは少し醤油が減ると、醤油がないないと言うので、私がしょっちゅうかあさんの醤油差しに醤油を注ぎ足している。
もうかあさんの醤油差しに触るのも嫌なのに。
一つ覚えのように毎日立ち上がり、醤油差しを運ぶかあさん。
腰が痛くて立ち上がるのも一苦労なのに。
そんなの、はいはいって笑って受取ってやりなよって、人は言うかもしれない。
でももはやそんな愛情は微塵もないし、食事中に持って来られる度に食欲はそがれるし、それどころか醤油差しを投げつけてやりたい気持ちになる。
そうとう荒んでるね、私。
醤油を受け取り、
ここやで!ここにしまって!
と見てる前で冷蔵庫になおしてたけど、かあさんは全然覚えなくて、毎回テーブルに醤油を持ってこようとする。
どうしても醤油差し持って来ないと気がすまないんだ。
持って来ても意味ないし、いきなりドボドボ醤油をかけず、必要なだけ少しずつ使ってくれればいいのだけど。
私たちがかあさんと同居を始めて7ヶ月。
未だ覚えることなく同じことを繰り返そうとするかあさん。
もう7ヶ月、200回以上。
毎日言っても覚えられないなんて。
認知症ってすごいな。
今夜も繰り返される。
多分、これからもずっと。
12月29日 かあさん、死にそう?
その日私は仕事に行き、仕事が終わって昼すぎ、いつものように夫が駅まで私を迎えに来た。
夫がいきなり、
かあさんかなり弱ってきたみたいやで
死ぬかもしれへん
と言う。
私が朝仕事に出かけた後、起きてきたかあさん。
しんどい、しんどい、もうあかん
と言うので、
なら寝といたら
と夫が言ったのだけど、ヘルパーさんが来るから寝てられへんとか言って、着替えてしんどそうに部屋から出てきたと言う。
それでもずっと、
しんどい、もう死ぬかもしれん
と言ってて、顔色も悪かったと言う。
かあさんは、突然呼吸困難になり死にかけた前歴があるのだ。
あの様子じゃもうあかんで
喪服用意せなあかんな~
と夫は言った。
かあさん、大丈夫かな?
帰ったら死んでたりして
とか言いながら、私たちは買い物に寄って、その後家に帰ってきた。
玄関の戸を開けると、いきなり漂って来るトーストを焼いた匂い。
私はずっこけた。
かあさん、生きとるがな!
パン食べとるがな!
12月31日 かあさんの醤油差しがやってくれた
日曜の朝、冷蔵庫を開けてみると、一番下にある野菜室が大惨事!
醤油浸しになってる!
見ると、野菜室の上の段に置いたかあさんの醤油差しがひっくり返っていて、それが漏れた模様。
しょっちゅう冷蔵庫をガサガサ触るかあさんの仕業だ。
この時期はかなりの野菜が入ってる。
野菜だけではない。
かあさん、うどんとか紅茶とかパンとか、色んな物をここに入れるんだから。
一旦それらを全部出そうとしたら、山芋が入ってた袋が破れてて、持ち上げたとたん、ぶわっとおがくずがあふれ落ち、さらに酷い状況になった。
仕事が休みだから久しぶりにサンドイッチでも作ろうと思って台所に来てみたらこのざま。
とにかく、朝からゴソゴソ醤油まみれの野菜や冷蔵庫と奮闘。
かあさん、度々やらかしてくれる。
以前、台所に来てみると、食器棚の前の床が割れたグラスの破片だらけになってた。
かあさんの仕業だ。
夫と私が懸命にガラスの破片を拾っていると、かあさんが寝室から出てきて、どないしたんや、大変やな~と言う。
誰のせいだと思ってるんだろう。
さて、醤油まみれの後始末が終わり、サンドイッチができた頃、かあさんが起きて来た。
いいタイミングで起きてくるな~
かあさんを座らせ、紅茶を入れて、作ったサンドイッチとバナナの朝食を出した。
いったん2回に上がり、かあさんが食べ終わった頃降りてくると、かあさんがパンを焼いていた。
ロールパン2個。
さっき食べたのにまた朝食?
紅茶と、またバナナ。
サンドイッチは半分食べたようたけど、ゴミ箱をのぞくと、サンドイッチの半分とバナナの皮があった。
焼かないと気がすまないかあさんのためにサンドイッチはオーブントースターで軽く焼いたけど、ハムを焼いてなかったのが気に入らなかったのかもしれない。
それにしても、バナナもちゃんと食べたのにまだ食べるの?
目の前から食べた痕跡が消えるとすぐ、食べたこと忘れちゃうようだ。
かあさん、ついにバスルームに連れて行った。
座らせてシャワーをかける。
お風呂浸かったら?
支えてあげるし
ええわ、なんか怖いし
シャワーでええわ
わかった。
ともかく、身体洗わなきゃ。
かあさんの石鹸を手に取ると、
ちがう!
と言う。
押したら出るのや
と言う。
かあさんのは固形石鹸でしょ?
かあさんのは普通の石鹸しかなかったはず。
液体ソープは、私が使ってたもの。
かあさん、どうやら前から私のを使ってたようだ。
でもそれも、1ヶ月以上前のこと。
ともかく…
かあさんを洗う。
やっぱり汚れてる~
かあさんをこする。
お湯をかけて、首すじ、背中。
かあさんがタオルを見て言う。
このタオル、ピンクやったのになんか黒いな
かあさんを洗ったからちゃうの!
自分で洗う?とタオルを渡したら、首すじばかり何回も洗う。
どこまで洗ったかわからなくなり、首の後ろばかり洗っちゃうようだ。
後ろは洗ったから、前を洗ってよ!
お湯をかけてやると、
気持ちええわ~と。
そらそうやろ、
すごい久しぶりでしょ。
髪洗うよ!
と、言うと、
今日はええわ
明日にしよか
と言うかあさん。
とんでもない!
今洗わなきゃ。
明日洗うわけないやん。
明日かあさんをここに再び連れてくる自信ないし、そんなのごめんだ。
シャンプーを取り、髪を洗い出す。
そんなに多くないかあさんの髪。
なのに、シャンプーをたくさんつけても泡立たない!
ひどい汚れようだー
床を拭いたモップみたいになってる!
髪がからまってひっついて束になってる。
何度シャンプーをかけても泡立たない。
もう、10回分くらいシャンプー使った。
ゴシゴシしても、からまった髪はなかなかほどけない。
こんな状態でデイサービスだの美容院だの連れて行ったら、さぞびっくりされるだろう。
あーもうほどほどでいいや。
お湯をぶっかける。
ゲゲっ!
黒と茶色が混じったようなお湯が、かあさんの頭から流れ落ちる。
汚れと毛染めの色が混じった色だ。
しかも!
なんか、糸くずやら、埃のかたまりやら、一緒に流れ落ちる。
排水口の方へ。
まさに、汚れまくった床を拭いたモップを洗ったかのよう。
凄まじいな。
こんな状態でよく平気でいたな、かあさん。
ともかく、こうして、やっとかあさんの入浴ははたせた。
湯船には浸かれなかったけど、それは今後の課題だ。
少なくとも、後10日はごめんだ。
疲れた。
腰も痛いし。
かあさんを洗って拭いて服着せて、ストーブの前に座らせて、髪を乾かして…
ああ、大仕事だ!
ずっと介護して、こういうことし続けてる人、すごいな。
でも他人事じゃないよね。
これ、私の仕事なのー?
次の入浴については、憂鬱になるから、しばらく考えないことにしよう。
12月4日 成り立たない会話
朝、台所で、かあさんが起きてこないうちにコーヒーを飲もうと思い、湯沸かしポットでお湯を沸かしていたら、かあさんが起きて来た。
で、コーヒーは後にしようと思い、湯沸かしポットのスイッチを消してコードを抜いた。
台所に入ってきたかあさん、
なんで線抜くねん!
と怒る。
自分がお湯を沸かしていたつもり。
かあさん、お茶飲むの?
じゃ、沸かしてあげる
と線を再びつなごうとすると、かあさん、
なんでや!
もう沸いてるねんで
と言う。
今度は、自分で沸かしてスイッチ切ったつもり。
しばらくして台所で…
私の顔を見てかあさん、給湯器を指差した。
あれついてるねんけど、誰か使ってるんか?
切っていいか?
と言う。
切っていいよ
でも、また使うし…
切ってもいいし、そのままでもいいよ
え?
ほな切ろか?
かあさん、自分の髪にさわって、なんか髪を気にしてる。
じゃ、切ったら?
と言ったら、
かあさん、
どこで?
ここやん!
私は給湯器を指差す。
なんや、お湯か?
もう、伸びて伸びて
かあさん、自分の髪をさわりながら言う。
かあさん、給湯器のことはすでに忘れ、切るのは自分の髪の毛だと思ったよう。
夕方、かあさん、突然に、
おばあさん、もう寝たか?
おばあさん、今までここで居眠りしてたやろ
と言う。
うん
と答える私。
かあさん、寝ぼけてるんだろう。
夕食後、階段の下で呼んでるかあさん。
おばあさん!
もう晩ご飯食べたかー?
またあんなこと言ってる。
夫が降りて行ってかあさんに言った。
おばあさんはとうの昔に死んどるで
するとかあさんは、なんやの!と笑って、
ちがうがな、あんたの嫁さんのことやがな
まだ晩ご飯食べてないと思って呼びに来たんや
と言う。
かあさんの頭、うまくできてるからな。
自分が何か間違えたと思ったら、即座に切り換えてごまかすんだよね。
それとも、おばあさんって、私のこと?
かあさんにおばあさんて呼ばれる筋合いはないわー
私はあなたの息子の嫁で、あなたの息子より10も年下。
かあさん、ついに私の名前も忘れたか。
晩ご飯は、さっき一緒に食べたばかりだよ!
12月6日 かあさん、ヘルパーさんのお料理を捨てる
かあさん、放っておくとヘルパーさんのお料理を捨てる。
流しを見ると、空の小皿2枚と小鉢があった。
かあさん、お昼ごはん何食べたの?
こたつの上には、パンとバナナを食べた形跡が。
ゴミ箱を開けてみると、そこには無残にも捨てられたお料理。
またやりやがったな!
やっぱりかあさん、鬼だよ。
それはヘルパーさんが心を込めて作ってくれたお料理。
そして、その材料は夫と私が買ってきたもの。
ほんと、腹が立つ。
とにかく、捨てさせないようにしなくちゃ!
それ以来私たちは、ヘルパーさんの帰った後、すかさずヘルパーさんのお料理をかあさんの目の届かない冷蔵庫の上に移すことにした。
かあさんはヘルパーさんのお料理が消えても、私たちが隠したとは思ってない。
今日もヘルパーさん、白髪のおばあさんやで
食べる気せえへんし、お料理、いつも捨てるねん
と、毎日捨てた気でいるようだ。
大丈夫。
そんなん食べへん
と、かあさんがいくら言っても。
食べなきゃ許さない。
夜になったら温め直して、かあさんの夕食のおかずにする。
ヘルパーさんが作った物と気付かれないよう、他のお皿に移し替え、違う具材を加えたり、具を小さく切ってサイズを変えたりもする。
何が何でも、食べさせる。
幸いかあさんは、何でもすぐ忘れるから、ヘルパーさんがその日どんなお料理作ったか覚えちゃいない。
ヘルパーさんは、飽きないように色んなお料理作ってくれるし、栄養も満点。
朝からパンばかり食べてるかあさんでも、ヘルパーさんのお料理食べてたら安心。
かあさん、何も知らずにけっこう食べてくれる。
私たちも安心してしまい、ついつい自分たちの夕食を手抜きにしてしまう。
もう、鯖缶だけでいいや。
みたいに。
最近、私たちよりかあさんの方が栄養とってるな~
なんだかかあさん、最近元気だもんな~
反対に、どんどん元気なくなってきてる、夫と私。
12月8日 かあさんの中の忘れられたかあさん
夫がトイレの壁を塗り替えた。
乾くまで触らないでと言ったのに、トイレに行ったかあさん、まだ乾いてない壁を触った。
認知症なんだから、言っても無駄だよーと私は言ったけど、夫はカンカンに怒った。
塗った壁をきれいにならすのに、すごく時間をかけたから。
かあさんに、触ったやろ!と怒った。
触ってへん!
そんなん、触るわけないやろ!
と、かあさんは怒って言う。
見てみ、触ったあとあるやろ!
へこんで乱れた壁を指差す夫。
知らんがな!
誰か知らん人が来て触って行ったんや
と言うかあさん。
いつも、かあさんは言うのだ。
「誰か知らん人が」
それって、かあさんやん!
かあさんはトイレの壁を触った。
私はかあさんがトイレに入る時に壁に触ってるのを目撃した。
でも、それは、かあさんの記憶にないかあさん。
かあさんが何をしても、次から次へとその記憶は消えてしまう。
消えた記憶の中のもう1人のかあさんがやったこと。
かあさんが靴下を履こうとしてる。
靴下を探しながら怒る。
もうっ、なんやの!
みんな片っぽうずつ
なんで片方しかないの?!
誰や、こんな嫌がらせするの!
誰か知らん人がこんなことしはる
誰って…それ、かあさん、あなただよ。
かあさんの中のかあさんに忘れられたかあさんが、壁を触り、靴下をごちゃごちゃにし、物を隠す。
かあさんの中の忘れられたかあさんが、かあさんを困らせ、私たちを困らせる。
かあさんも私たちも、毎日何かを探してばかり。
昨日も、ゴミを捨てようとしたらゴミ袋がなかった。
どこにやった?
とかあさんに言っても、決まってかあさん、
どこにもやらへんがな!
そんなん、さわらへんで
怒ってそう言うだけ。
かあさんの中の忘れられたかあさんが、寝室の押入れの中に隠した。
かあさん毎日、なんでゴミほりに行ってくれへんのーとうるさく言ってヘルパーさんを困らせる。
ゴミ袋がなかったら、誰もゴミを捨てられないのにね。
12月10日 かあさん、死にたいと嘆く
早朝、かあさんが台所にいる。
私が起きて顔を洗いに1階に降りたら、かあさんが洗面台の所まで来て私に言う。
こんなん、貼ってんねんで
かあちゃん、一度も壁なんか触ってないのに
触ってる。
記憶にないだけ。
その貼り紙がこれ。
壁にさわるな
塗りたて
さわるな!
こんなん貼って、かっこ悪い
ヘルパーさんも見るのに
なんでこんなにかあちゃんをいじめるんやろ
何もしてないのに
かあさんは嘆く。
もう早よ死にたいわ
生きてても、何もいいことない
何の楽しみもないのに
なんでそんなこと言うの?
この貼り紙は、かあさんに意地悪してるんちゃうで
私だってうっかり触るかもしれないやん
だから貼ってんのやろ
そうかて、いつもあのこはえらそうに言っていじめるし
あのこっていうのは、かあさんの息子、私の夫。
だけど、いつもかあさんのためにがんばってるで
トイレもきれいになるし、お風呂も新しくしたの、かあさんのためやで
毎日かあさんのために買い物にも行ってるし
と言ってみたけど、そこんとこは聞こえないふり。
かあちゃん、30過ぎてから1人きりで生きてきて、あのこを良い学校に入れるために一生懸命働いてきたのに
この、あのこってのは、多分息子のことではない。
大学に行ったのは、娘の方。
あのこって誰?
聞いてみたけど、聞こえないふり。
そこにかあさんの息子、私の夫が2階から降りて来た。
もう~
やめてほしいわ
こんな貼り紙するから!
と私は夫に言った。
私は仕事に行かないといけないのに、朝からなんでこんなことに時間をとられる?
かあさんのこと、かわいそうな気持ちにもなった。
確かに残り少ない人生なのに、楽しみもなくいつも嘆いてばかり。
かあさんからしたら私たちは、かあさんを苦しめるだけのじゃまな存在らしい。
だけど、自業自得だと思う。
息子の世話になるのが嫌で嫌で仕方ないかあさん。
嫌すぎて、かあさんの頭の中では息子は何もしない、何も助けてくれない、それなのにえらそうにかあさんに怒ってばかりいる馬鹿息子ってことになってる。
でも、かあさんが考えを変えて、現実を受け入れれば全てが変わる。
かあさん、あなたの息子があなたのためにやっていることを認めて感謝するだけで、あなたの息子はやさしくなると思うよ。
ヘルパーさんだってそう。
誇り高いかあさんは、世話になるのが嫌で嫌で仕方ないから、ヘルパーさんにご飯を作ってもらうのが屈辱と感じてるんだろう。
何でも自分でできるつもりなんだから。
でも、現実は、かあさんは何もまともにはできない。
自分にはできないことを認めて、快く世話になればいいだけ。
それに、かあさんは何の楽しみもないと言うけど、かあさんは何も始めようとしない。
デイサービスにでも行く気になれば、楽しみができるかもしれない。
それなのに、絶対に出かけようとしない。
かあさんは自分で自分を不幸にしてる。
でも、かあさんは変われない。
考えを絶対に変えない。
かあさんは、自分も、自分のまわりの人も苦しめてしまう。
かあさんは1人だけで生きてきたつもりだけど、1人で暮らしてた時も、夫と私はかあさんを助けてきた。
何か頼まれたら駆けつけたし、かあさんの年金で足りない分はおぎなってきた。
かあさんは60前で仕事を辞め、それから30年、気ままに暮らしてるけど、夫はもっと長く働いていたし、私だって60まわってるけどまだ働いてる。
そんなこと考えてたら、かわいそうな気持ちも薄らいできた。
ともかく、私は仕事に行かなくちゃ。
顔洗って、台所に来てみたら、こんな紙が置いてあった。
施設に入らなしかない
認知症ババァ
そらかあさん、嘆くわ。
夫もよほど腹が立ったのか、書き間違えてるし。
12月13日 かあさん、怒る嘆く
朝、コーヒーを飲もうと思って1階に降りると、居間でかあさんがこたつに入っていた。
だけど部屋は冷え冷え。
エアコンはオフだし、ストーブもつけてない。
寒いだろうと思って、エアコンを点けた。
するとかあさん、すぐに言った。
なんで点けるねん!
おコタ入ってるのに!
そんなこと言っても、私も寒い。
私はおコタには入っていない。
むっとして、あかんの?と私が睨むのと同時にかあさんが言った。
これ、暖房か?
クーラーになってないか?
すごく寒いねん
なってない。暖房である。
だって、今点けたばかりでしょ!
と、私が言うと、かあさん、
そんなことない
もうだいぶ前に点けたで
と言う。
おコタに入ってるのになんで点けるって怒ったくせに、何なの?!
かあさん、こっちが言ったことに対して、自分に都合のいい答えをすばやく返し、決して自分の間違いを認めない。
いつも思うけどすごい。
すごい能力だ。
だいたい、そこまで寒いくせに、なんで人がエアコン点けたら怒るの?
私や夫が何しても腹が立つようだ。
このあいだも、かあさんが台所の雨戸を開けるのに苦戦してたから、夫が、
そこは無理に開けんでもええで
と言ったら、激怒したらしい。
夫の言うことなすこと、全てに腹が立つらしい。
かあさんのためを思って言ったのに。
私たち、これでもかあさんのじゃまにならないようすごく気を遣ってるんだけどね。
それにしてもかあさん、最近、おコタには入ってるけど、エアコンもストーブも点けずにいることが多い。
もうエアコンのつけ方もわからなくなったかな。
それとも、電気代が気になるのかな。
このあいだ、起きてしばらくしてから電気敷毛布をつけっ放しだったのに気付いたかあさん、悲壮感を漂わせて嘆いていた。
あ~
なんてことをしてしまったんやろ~
ずっとつけっ放しやった
電気代がすごくいるのに~
かあさん、化粧品なら湯水のようにお金使っても平気なのに……
12月14日 息子いじめ
夜、かあさんが冷蔵庫からパンを出してきて夫に聞いた。
これ、賞味期限大丈夫か?
夫が、
今日明日は大丈夫や。
と答えると、
晩ご飯、何も食べてへんねん。
と言ってパンを焼こうとするかあさん。
さっき一緒に晩ご飯食べたところやで。
と夫が言うと、猛然と怒り出した。
食べて死ぬか、食べずに死ぬかや!
と怒鳴った。
夫が2階に上がろうとすると、
あんなん、かあちゃんの子とちゃう。
鬼や!
と大声で言うかあさんの声が響き渡った。
認知症は酷い。
でも、それ以前にかあさんは酷い。
あんたこそ鬼やろ!
クソババア!
私は怒鳴った。
(かあさんには聞こえない)
だって、夫はそんなに悪くない。
かあさんが食べようとしてたのは、かあさんのお気に入りのパン。
夫と私が昨日かあさんのために買って来た。
賞味期限を聞かれたからちゃんと教えてあげた。
晩ご飯は夫と私で作って、かあさんと一緒に食べた。
かあさんは感謝するどころか、食べたことも忘れ、怒るだけ。
怒り方も、いつもあまりにも憎々しげで、ほんと鬼のよう。
でも、かあさんからしたら、認知症のせいでまるで忘れてしまってるし、かあさんは自分が正しいと思いこんでるから、夫が嘘ついてるとしか思えないのだ。
でも、夫と私が毎日かあさんのためにやってることを全て忘れるかあさん、酷すぎる。
認知症以前に、かあさんは昔から自己中。
自分一人で生きるつもりで、人に世話になっても感謝することはなかった。
私たちがかあさんのためにしたことは全て無にされて、私たちはかあさんに晩ご飯も食べさせないってことになってる。
朝は、かあさんが勝手にパンを食べるけど、昼前にヘルパーさんが来ると、かあさん、決まって朝から何も食べてないと言う。
かあさんは、食べても食べても記憶が飛ぶから1日中言ってる。
今日はまだ何も食べてないねん。
で、あんなふうに怒って喚かれたら、まるで私たちがかあさんを虐待してるみたい。
通報されても仕方ない。
他の人にはわからない。
しかし、かあさんの怒り方は酷すぎる。
かあさんは、夫がかあさんをいじめるって言うけど、かあさんが夫の10倍くらい夫をいじめてると思う。
12月16日 炊飯バトルの顛末
ベチャベチャご飯を食べたくなくて、かあさんにご飯を炊かせたくなかった夫と私。
かあさんと炊飯バトルを繰り広げてきた。
かあさんにご飯を炊かせることを食い止められなかったという意味では、私たちの負けかもしれない。
でも、意地でもかあさんのご飯を食べたくなかった私たち、結果、炊飯器を2つ並べることとなった。
私たちは新しい炊飯器でご飯を炊くから、どうしてもご飯が炊きたいなら、かあさんは古い炊飯器で炊いてねってことに。
でも、夫が新しい炊飯器でご飯を炊こうとするのを目にすると、気に入らないかあさん。
あれこれ口出しをする。
このあいだは、かあさんがテレビを観てる間にご飯炊こうとした夫。
中釜にお米を入れたけど、トイレに行きたくなった。
で、トイレに行って、戻ってみると、かあさんがそのお米を研いでいた。
わしがやるんやから触らんどいて!
と夫が言うと、かあさんは怒った。
男のくせに、なんでご飯を炊くんや!
男が台所に入らんでよい
と言う。
かあさんは何度も夫の炊いたご飯を食べたし、かあさんが夕食食べ終わった後の食器もずっと夫が洗ってるのに。
夫がご飯を炊いた後も、しばしばかあさんは炊き上がったご飯を触って混ぜたり、炊いてる途中の炊飯器を開けたりする。
で、新しい炊飯器はかあさんの手の届かない棚の上に置くことになった。
かあさんはどうしても自分でご飯が炊きたいらしく、その後、古い炊飯器で度々ご飯を炊いている。
私たち夫婦は自分たちの炊いたご飯しか食べないから、母さんが炊いたご飯を食べるのはかあさんだけ。
たくさん食べさせなきゃ!
と言うわけで夕食の時は、かあさんにはかあさんが炊いたご飯を大盛りで出そうとしたけど、かあさんはご飯が多すぎるから減らしてと言う。
ほんのちょっとしか食べない。
そらそうやろ、さっきパン食べてたもんね。
それに、かあさんの炊いたご飯はベチャベチャでまずいもんね。
かあさんは夕食の時しかご飯を食べないし、かあさんのご飯はなかなか減らない。
日によっては、かあさんは夕食に巻き寿司やうどんを食べて、炊いたご飯を食べない。
食べないなら、そんなにたくさん炊くなよ!
と思うけど、決まって2合炊く。
2日、3日…
ご飯は炊飯器の中で黄色くなって来る。
もう食べられないのでは……
でも、このご飯を処分して炊飯器を空にすると、またかあさんはご飯を炊いてしまう。
4日目、さすがにこれ以上は無理。
夫がかあさんの炊いたご飯を捨てた。
空になった炊飯器を見たかあさん、さっそくご飯を炊いた。
3日後にはまた捨てることになる。
もったいなすぎる…
12月18日 かあさんの料理はまずかった
晩ご飯を食べてから2時間、階段の下でかあさんが呼んでる。
あんたら、晩ご飯食べてへんやろ?
なんか食べるか
晩ご飯は一緒に食べたやん!
もう~面倒臭いな~
階段の下まで降りて行く。
晩ご飯は7時頃に食べたよ!
そうか~
かあちゃん何も作ってやってへんな~思て
などとほざくかあさん。
最近、毎日こんなことを言うのだ。
昨日も、私が晩ご飯の仕度をしようとすると、
食べる物何もないやろ
今日は何も作ってへんからな
と言う。
食べる物は冷蔵庫にたくさんある。
ちゃんと買ってきてある。
かあさんはいつも何も作らないでしょ!
作るのはヘルパーさんと私。
その前の日は、
食べるもん何もないやろ
かあちゃん、足が痛くて買い物行かれへんから、何も買ってへんねん
あんたらの食べるもん、何かヘルパーさんに頼んどかなあかんな
だからー!
かあさんのご飯、パンもバナナも晩のおかずも、いつも買って来るのはあんたの息子とその嫁やで
そう、私たちやんか~
毎日買い物して晩ご飯用意して、皿洗いもしてあげてるのに、なんでわからないのかな?
わかってるのは、晩ご飯食べてるその時だけで、食べ終わったら全て忘れちゃう。
もう半年以上。毎日。
私たち、もう10年以上、かあさんの作った料理はいただたいていませんよ!
私たちがかあさんの世話になってるのではなくて、私たちがかあさんの世話をしてるのですよ!
かあさんが私たちの世話をしているのではなくて、かあさんが私たちの世話になってるのですよ!!
昨日はヘルパーさんがかあさんのお昼ごはんのために作った煮物を、お鍋で温めてかあさんの晩ご飯のおかずに出した。
かあさん、私が作ったおかずは食べ残したのに、ヘルパーさんの煮物は出しただけ全部食べた。
確かに、ヘルパーさんのお料理は美味しいもんね。
で、まだお鍋に残ってたので後で冷蔵庫に入れようと思い、お鍋に入れたまま置いてあった。
30分後、台所に降りてみたら、その煮物の入ったお鍋は電磁調理器の上にあり、蓋を開けるとお汁でたぷたぷの吸い物みたいになってた。
かあさん、かなり水を足したな。
それで、自分で料理したつもり。
そう言えばかあさんの料理は、昔っから煮物も水っぽくて呆けたような味だった。
これはきっちり、明日のかあさんのおかずにさせてもらいますよ!
かあさんどっちみち、醤油を浸かるほどかけて食べるから問題ないよね。
12月20日 かあさんは何者?魔物?それとも…
かあさんとかあさんの息子(私の夫)は、毎日闘っていた。
夫がかあさんに何か言う度に、かあさんは激しく怒って火を吹く。(それくらいの破壊力で叫び、私たちを苦しめる言葉を吐く)
そうすると、さらに夫の態度も冷たくきつくなり、かあさんは夫が何か言う度、何かする度に激怒した。
私はかあさんの攻撃に耐えられない。
階下で夫とかあさんが闘っていると、かあさんの金切り声が2階にまで響き渡る。
私が幾ら耳を塞いでも。
かあさんは、私たちが打撃を受ける言葉をよくわかっている。
あんたは何もしてくれへんな
何も助けてくれへんな
えっらそうに
邪魔ばかりして
そして、嘆く。
あんたら、かあちゃんが早よ死ねばいいと思てんやろ!
しまいに、私は叫んでしまう。
そや、早く死ねばいいのに!
あー、もう死にたいわ!
と嘆くかあさんの声に、思わず叫んでしまう。
なら死ねば?!
日頃、それだけは言わないようにしているその言葉を。
もちろん、耳の遠いかあさんには聞こえない。
ただ、私が独り言を叫んでいるだけ。
今ではこの家が魔物の棲み家に思える。
かあさんは、この家を、この家にある全てを自分の物としか認識していない。
迷いこんだ私たち。
逃げられない。
かあさんが私たちに餌を与えている。
嘘みたいだけど、それがかあさんの認識。
その餌、かあさんの食料も、私たちがアリみたいにせっせとかあさんの元に運んでいる。
私たちはどうしたら逃れられるの?
ここはまるで暗闇のダンジョンのよう。
どれだけつくせば満足するの?
私たちは、1日中かあさんのことばかり考えている。
逃れたいけど逃れられない。
かあさんのご飯を調達し、料理して目の前に並べ、かあさんが長生きするよう薬も運ぶ。
かあさんに危険が及ばないよう、見張り、危険を取り除く。
それでも、
おまえたちは何もしない
何の役にも立たない
邪魔ばかりする
と言い続けるかあさん。
だけど、それがかあさんの願望だ。
1人で生きている。
誰の世話にもならない。
誰もえらそうにはさせない。
自分だけが正しく立派で優れた美しい人間。
かあさんは、見事に自分の頭の中でそれを実現させている。
だから、私たちがかあさんのために何をしても、見えない。
認識しない。
なぜなんだろう。
私たちに与えられたこの試練。
夕べも夫とかあさんはやり合って、耐えきれず私は、もう嫌だーほんとに嫌だーと叫んだ。
あの人が嫌だー
何なの、あの人、魔物?妖怪?
だけど、蹴りつけることもできないんだ。
それで、夫と私は、決めた。
なるべくかあさんとは目を合わさない。
もう一緒に夕食食べるのもやめる。
かあさんの上がって来れない2階に潜んでる。
口もきかない。
かあさんが転んだり、何か焦がしたら飛んで行くけど、後はもうなるべくかかわらない。
その方がかあさんもいいでしょ。
いつも、私たちを邪魔に思ってるんだから、その方がかあさんもしあわせだ。
と、その時は思った。
次の日、少し冷静になり、また私たちの日常は始まった。
かあさんの態度や言動にいちいちいらついたり、傷ついたり、怒ったり。
私たちって、馬鹿じゃないの。
かあさんは他の何者でもない。
ただの呆け老人なのに。
12月23日 そそうしてしもた
かあさん、度々夜中や早朝に洗濯機を回す。
その後、洗濯物を干すわけでもなく、回した後はそのまま。
ある日、夫が怒って、
「夜中3時や4時に洗濯機回すな」
と洗濯機に貼り紙をした。
次の朝見てみると、その貼り紙はくしゃくしゃになって洗濯機のそばに投げ捨てられていた。
だけど洗濯機を回した形跡はなく、手洗いしたのか、洗面台の石鹸の横に洗って絞った下着のパンツが置いてあった。
最近、毎朝のように洗面台やその横にある洗濯物籠に洗ったパンツがある。
時には2枚。
このあいだ、夜中に私がトイレに行こうとして1階に降りたら、洗面台の辺りでかあさんが何かゴソゴソしてる。
明かりも点けず、暗い所で。
廊下の薄暗い明かりで見えたかあさんは、寒いのに下半身は素足でパジャマもはいてなかった。
多分、トイレに行こうとしたけど間に合わず、下着を汚しちゃったんだろう。
シーツも汚したか?
と思って、朝になってからチェックしたけど、シーツは大丈夫だった。
行きたくなってから起きて杖持ってトイレまで…かあさんの寝室はトイレの隣だけど、それでも間に合わないんだろうな~
また別の日の昼間、かあさんが、
そそうしてしもた~
と言いながら洗面室から出て来て、夫が行ってみると、洗濯物籠にビチグソにまみれた下着があった。
ひぇ~
どうする、これ!?
かあさんは、その後すぐに忘れてしまったのか、何もなかったかのようにテレビを見ている。
この、まみれになってるパンツは捨てるしかないな~
夫が箸でつまんでビニール袋に入れて捨てた。
もう1枚の、パンツの上に履くズロースの長いようなの…も若干黄色く汚れてるけど、これ捨てたら替えがないかも…と思い、洗うことにした。
ビニールの手袋をして私が手洗いして、その後洗濯機に。
こんなの汚れたままの入れて洗濯機回されたらたまらないな~
ビチグソのかあさん、お腹大丈夫なのかな?
と気になったけど、かあさんは平気な様子でその後パンを食べていた。
なんか、認知症進んで、もう排泄もまともにはできなくなってきてるな~
リハビリパンツとやらを使ってくれるとありがたいけど…
絶対かあさん拒否するに決まってる。
そんなのかっこ悪い!とか言って怒るに決まってる。
あ~恐ろしい。
私の友人は、自分も履いて見せて、おじいさんに履かせるの成功したと言ってた。
私も履いて見せてみるか?
あんた、そんなん履いてるんか、かっこ悪!
とか言ってかあさん、優越感に浸るのが落ちだよ。きっと。
かあさん、失敗はすぐ忘れてしまい、今も何でも自分でできると思いこんでるんだから。
かあさんの汚れたパンツをこっそり捨てた後、かあさんがパンツがないと言って騒ぐと困ると思い、でも新しいのはないから、私のを1枚(使用したやつだけど)、かあさんの洗濯物に紛れこませた。
私のパンツを洗濯機から勝手に持って行って自分のだと言い張るかあさんだから、なんの違和感もなく自分の物にしたようだ。
いいよね、かあさんは。
そそうしたって、何もなかったことになるんだから。
12月25日 かあさんの背中のチャックが開いて…
夜遅く、かあさんが玄関で…
何か言ってる。
夫と私が買って来て玄関に飾った生け花を見て、何か言ってるようだ。
花を触るだと?
誰もさわらんがな
えらそうに!
いつもそんなことばかり言って!
その声がいつものかん高いかあさんの声ではない。
それに誰も、花に触るなとは言ってない。
花に触るなだと?
えらそうに!
鬼や!
鬼やな!
低く、呻くようなしわがれた声だったから、2階にいた夫と私はゾッとした。
あんな声聞いたことがなかった。
認知症のかあさんの中にはもう一人のかあさんがいると思ったけど、そのもう一人が突如出てきたのだろうか。
最近友人に愚痴を聞いてもらった。
かあさんの中にもう一人別のかあさんがいるみたいだって話したら、友人は面白がって、
背中のチャック開けたら、もう一人がむくむくって出てくるかもね
と言って笑った。
そうかもしれない。
その時玄関で、もう一人のかあさんが、むくむくって現れたのかな?
12月26日 かあさんは宇宙人
かあさん、夜遅く、玄関先に出て行く。
玄関の明かりを点けて、消して、また点けて。
玄関チャイムの空耳がまた聞こえたか?
と思い、そっと近づき、
誰も来てないよ
と言ってみた。
ちがうんや
鍵かけたかと思て見に来たんや
と、とぼけるかあさん。
夜中に外に出ようとする行動は少し減った。
だけど最近、夜遅く玄関の明かりのスイッチをパチパチ点けたり消したりする、謎の行動が目立つ。
パチパチ、パチパチ、点けて消して、また点けて…何度も。
なんのために?
そんなことしたって鍵かかってるかなんて確認できない。
外から見たらおかしいだろうね
と夫と話した。
ほんとやな
明かりがついたり消えたり。
またついたり。
なんか、何かの信号みたいやな
誰かに信号送ってる?
えーっ?!
ひょっとして、宇宙人との交信?
かあさんは宇宙人かも!
そうなんだ~
なんか、かあさんの中にもう一人別の人がいるような気がしてた。
宇宙人が入り込んでたか~
お願い、かあさんを早く迎えに来てあげて!
宇宙の星に連れて帰ってあげて!
12月28日 かあさんの醤油差し
かあさんは居間にあるこたつで、私たちは台所のテーブルで食事をする。
かあさんはまず、お料理のすべてにドボドボと浸かるほど醤油をかけ、そしてよろよろと立ち上がり、夫と私が食事をしてるテーブルに醤油差しを持ってこようとする。
私たちは、そんな醤油差し持って来られても使わないし、食事中に立ち上がって醤油差しを受け取り、冷蔵庫にしまうのが面倒なだけ。
だけど、一々持ってこんでいいから!と言うと、かあさんは怒る。
あんたらも使うやろ思て持って来てやってるのに!ってわけだ。
それはかあさん専用だから食べ終わるまで持って来なくていいよ!
と毎日のように言うけどダメだ。
毎日絶対に持って来る。
気遣いしてるってアピールしたいのに違いない。
何度言っても覚えなくて、同じことを繰り返すかあさんにイライラし、しまいには腹が立って来た。
だいたい、かあさんの薄汚い醤油差しなんか見るのも嫌だ。
そんなの絶対に使わない。
最近は新鮮さを保てる使い勝手のいいサイズの醤油があるから、私たち夫婦は必要な時はそれを使う。
いつもそこからかあさんの醤油差しに醤油を注ぎ足してるのだ。
かあさんは少し醤油が減ると、醤油がないないと言うので、私がしょっちゅうかあさんの醤油差しに醤油を注ぎ足している。
もうかあさんの醤油差しに触るのも嫌なのに。
一つ覚えのように毎日立ち上がり、醤油差しを運ぶかあさん。
腰が痛くて立ち上がるのも一苦労なのに。
そんなの、はいはいって笑って受取ってやりなよって、人は言うかもしれない。
でももはやそんな愛情は微塵もないし、食事中に持って来られる度に食欲はそがれるし、それどころか醤油差しを投げつけてやりたい気持ちになる。
そうとう荒んでるね、私。
醤油を受け取り、
ここやで!ここにしまって!
と見てる前で冷蔵庫になおしてたけど、かあさんは全然覚えなくて、毎回テーブルに醤油を持ってこようとする。
どうしても醤油差し持って来ないと気がすまないんだ。
持って来ても意味ないし、いきなりドボドボ醤油をかけず、必要なだけ少しずつ使ってくれればいいのだけど。
私たちがかあさんと同居を始めて7ヶ月。
未だ覚えることなく同じことを繰り返そうとするかあさん。
もう7ヶ月、200回以上。
毎日言っても覚えられないなんて。
認知症ってすごいな。
今夜も繰り返される。
多分、これからもずっと。
12月29日 かあさん、死にそう?
その日私は仕事に行き、仕事が終わって昼すぎ、いつものように夫が駅まで私を迎えに来た。
夫がいきなり、
かあさんかなり弱ってきたみたいやで
死ぬかもしれへん
と言う。
私が朝仕事に出かけた後、起きてきたかあさん。
しんどい、しんどい、もうあかん
と言うので、
なら寝といたら
と夫が言ったのだけど、ヘルパーさんが来るから寝てられへんとか言って、着替えてしんどそうに部屋から出てきたと言う。
それでもずっと、
しんどい、もう死ぬかもしれん
と言ってて、顔色も悪かったと言う。
かあさんは、突然呼吸困難になり死にかけた前歴があるのだ。
あの様子じゃもうあかんで
喪服用意せなあかんな~
と夫は言った。
かあさん、大丈夫かな?
帰ったら死んでたりして
とか言いながら、私たちは買い物に寄って、その後家に帰ってきた。
玄関の戸を開けると、いきなり漂って来るトーストを焼いた匂い。
私はずっこけた。
かあさん、生きとるがな!
パン食べとるがな!
12月31日 かあさんの醤油差しがやってくれた
日曜の朝、冷蔵庫を開けてみると、一番下にある野菜室が大惨事!
醤油浸しになってる!
見ると、野菜室の上の段に置いたかあさんの醤油差しがひっくり返っていて、それが漏れた模様。
しょっちゅう冷蔵庫をガサガサ触るかあさんの仕業だ。
この時期はかなりの野菜が入ってる。
野菜だけではない。
かあさん、うどんとか紅茶とかパンとか、色んな物をここに入れるんだから。
一旦それらを全部出そうとしたら、山芋が入ってた袋が破れてて、持ち上げたとたん、ぶわっとおがくずがあふれ落ち、さらに酷い状況になった。
仕事が休みだから久しぶりにサンドイッチでも作ろうと思って台所に来てみたらこのざま。
とにかく、朝からゴソゴソ醤油まみれの野菜や冷蔵庫と奮闘。
かあさん、度々やらかしてくれる。
以前、台所に来てみると、食器棚の前の床が割れたグラスの破片だらけになってた。
かあさんの仕業だ。
夫と私が懸命にガラスの破片を拾っていると、かあさんが寝室から出てきて、どないしたんや、大変やな~と言う。
誰のせいだと思ってるんだろう。
さて、醤油まみれの後始末が終わり、サンドイッチができた頃、かあさんが起きて来た。
いいタイミングで起きてくるな~
かあさんを座らせ、紅茶を入れて、作ったサンドイッチとバナナの朝食を出した。
いったん2回に上がり、かあさんが食べ終わった頃降りてくると、かあさんがパンを焼いていた。
ロールパン2個。
さっき食べたのにまた朝食?
紅茶と、またバナナ。
サンドイッチは半分食べたようたけど、ゴミ箱をのぞくと、サンドイッチの半分とバナナの皮があった。
焼かないと気がすまないかあさんのためにサンドイッチはオーブントースターで軽く焼いたけど、ハムを焼いてなかったのが気に入らなかったのかもしれない。
それにしても、バナナもちゃんと食べたのにまだ食べるの?
目の前から食べた痕跡が消えるとすぐ、食べたこと忘れちゃうようだ。
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