27 / 90
<フリーター隠密行編> ~ 女騎士エリカ 大剣を振るう~
第二十五話:フリーター、噂話にのぼる
しおりを挟む
オーデル村に夜が訪れる。
山村は陽が落ちると途端に肌寒くなる。
村の広場に大きな火がいくつも焚かれる。
暖を取るためというより、むしろ晩メシを作るための焚き火だ。
ゴブリン族は家族単位で食事をとらない。
腹が減れば、三々五々広場に集まる。
おしゃべりをしながら好きなものを好きなように食べる。
肉の塊が焼かれる。
溶けた獣脂が火に垂れ落ち、じゅうじゅうと旨そうな音をたてる。
焼けた肉をゴブリン族の子どもたちが競い合うように食べる。
村を案内してくれたミヒャエル少年も、その喧騒のなかにいた。
肉の大きさを巡る子どものケンカを、調理当番の母ゴブリンが拳骨で抑え込む。
自分の子どもであろうがなかろうが関係なく叱り飛ばす。
メシをたらふく食べた子どもたちは、かけっこを始める。
ゴブリン族のおとなたちは肉にかぶりつきながら、子どもたちの落ち着きのなさを微笑ましく見ている。
ときどき、思い出したようにヤンチャな子どもを叱る。
まるで、俺が幼いころに行ったキャンプのバーベキューのような光景。
俺は懐かしさすら覚えた。
「我が領主、お肉が焼けました。火蜥蜴、バジリスク、コカトリス、どれを召し上がりますか?」
女騎士エリカ・ヤンセンが俺の給仕をしてくれる。
美人のエリカに世話を焼かれるのは、すごーく嬉しい。
嬉しいけど、夕食のお肉は伝説上の生き物ばかり。
カルビ、ハラミ、タンみたいな感じで聞かれても、答えに困るというものだ。
「火蜥蜴やらなんやらは、村の外を普通に闊歩してるのか?」
「火蜥蜴とバジリスクは、この辺りには生息していません。ヴァスケル様がどこかで仕留められたあと、運んでこられたようです」
「そうか……ヴァスケルが元気そうでなによりだ」
栄養ドリンクを飲んで、理性が制御困難になった守護龍ヴァスケル。
漲るパワーを狩猟で発散するだけでなく、狩った獲物は村に運んでくれる。
次々と届けられる珍しい食材に、領民のゴブリンたちは大喜び。
おかげでワーグナーの評判はうなぎのぼりさ!
まったく、異世界生活には飽きるヒマがない。
ホント、つくづくそう思う。
「我が領主。コカトリスは私が捕まえました。村の近くに巣があると聞いたので、狩りに行きました。火蜥蜴は辛みが強く、バジリスクは苦みがあるので好みが分かれますが、コカトリスはクセがなくて食べやすいんですよ!」
女騎士エリカ・ヤンセンが声を弾ませる。
期待するような目で俺を見る。
うむ、俺の答えは端から決まっていたようだ。
「コカトリスの肉を食べたいな」
「分かりました! すぐに用意いたします!」
エリカがきびすを返す。
肉を焼いている焚き火に向かって一目散に駈けていく。
ものの十秒もしないうちに、肉を刺した大串を山ほど抱えて戻ってくる。
皮がパリッと焼けたコカトリスの肉は、香ばしい匂いがして確かに美味そう。
思わず腹が鳴る。
俺は意を決して、肉にかぶりつく。
お? おお!? おいしいじゃないか!
柔らかくてジューシーで、噛むほどに旨みを感じる。
間違いない、これはチキンだ!
俺が知っている鶏肉の味。
コンビニのレジ横で売っている定番のあれに似てる気がする。
チープって言うなよ! 俺はあの味が好きなんだ!!
「思った通りです。リューキ殿はこういう味が好きなんですね!」
「ん? エリカは俺の好みを考えてくれてたのか?」
「はい。リューキ殿は熊肉どころか鹿肉すら野性味を苦にしておられました。コカトリスの雛鳥なら臭みがなく淡白なので、お口に合うかと考えました」
「そうだったのか。うん、これはうまいよ!」
「喜んで頂けて私も嬉しいです!」
女騎士エリカ・ヤンセンが心底ホッとした表情を浮かべる。
どうやら、俺がこの世界の食べ物に苦労していたのに感づいていたようだ。
俺の身辺警護だけでなく、食事の好みまで気を遣わせてしまって申し訳ない。
でも正直いえば、俺のことをそこまで考えてくれていたのは嬉しくもある。
「領主リューキ殿。よろしいですか?」
三本目の大串に果敢に挑んでいると、ゴブリン・ロードのジーグフリードがやってきた。
いよいよ明日はダゴダネル領に向かって出発する。
その打ち合わせに来たのだろう。
「リューキ殿に随行する兵は、予定より増えて千二百名ほどになります。同行を希望する者が多く、もっと増えるかもしれません」
「ジーグフリード、ご苦労。だが間違えるなよ。ダゴダネル領に向かうのは外交団の正使エリカ様だ。俺は下僕のマイロ・ド・リュッキーにすぎない」
「あっ、そうでしたね。失礼しました」
あらためて、ジーグフリードがエリカに向かって説明を始める。
同時に「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇も再開される。
オーデル村からダゴダネル領との国境までは半日の旅程。
外交団の正使エリカは馬で、下僕の俺はラバに乗って向かう。
警護のゴブリン兵はジーグフリードを含めて全員徒歩。
国境でダゴダネル側の使者と落ちあい、さらに半日かけてダゴダネル城まで赴き、人質のエルメンルート・ホラント姫と面会する。
現状はこんな計画だ。
「ジーグフリード殿。エルメンルート姫の身柄を国境で受け渡して頂けるよう、ダゴダネルに依頼したはずでは?」
「正使エリカ殿。何度も要請致しました。ですが、ダゴダネルの使者の話では、エルメンルート姫自身が拒絶されたとのことです」
ジーグフリードの返答にエリカが苦笑する。
形の良いキレイな眉が、もったいないくらいに曲げられてしまう。
その仕草に、俺は下僕として心が痛んだ。
「エリカ様。当初の計画通り、俺とエリカ様で姫様を連れ出しましょう」
「仕方ありませんね。ただ、敵地に乗り込むのは危険が伴います。できればマイロは巻き込みたくないのですが……」
「いまさらなにを仰います。元はといえば、俺が提案した計画です。俺が行かないでどうしますか!」
……力強く宣言した俺をエリカ様がじっと見つめる。熱を帯びた潤んだ目。あれれ、どうしちゃったの? まさか下僕の俺に恋しちゃったんじゃないよね? エリカ様、いけません。それは禁断の恋です。エリカ様と俺は主従の関係。しかもいまは、ワーグナーの将来を左右する大事な外交交渉に向かう途中。いえいえ、エリカ様のことが嫌いなわけないじゃないですか! ていうか、大好きです! いやん、言っちゃった。正直言って、最初はエリカ様のことが怖かったです。ガクブルです。でも、マジメで堅物のエリカ様の乙女チックな一面を見ちゃいました。あまりのギャップに萌えました。ええもう、イチコロっす。よくよく思い返せば、俺って小さいころからそうなんだよね。マジメな学級委員長の女の子が、放課後にノラ猫をニコニコしながら撫でてるのを見たのが初めての恋です。「この子、こんなに笑顔がかわいかったのか!」なんてね。はい、衝撃的でした。小学生の俺には大事件でした。あれから二十年以上経ちますが、いまでもやってることは変わりません。成長がないと言われればそれまでですが、自分の気持ちに嘘はつけません……
「エリカ殿。尋ねてよろしいか? マイロが、いえ、リューキ殿が急に黙り込んでしまわれた。以前も同じ様な状況がありましたが、今回も大丈夫でしょうか?」
「ジーグフリード殿。問題はないと思います。ただ、リューキ殿がこうなったとき、たいていは怒りで身体を震わせているのですが、今日のリューキ殿は恍惚とした表情です。しかも、私はなぜか妙にこそばゆいんです」
「いかがいたしましょう? そっとしておきますか?」
「目をあけたまま意識が飛んでいた場合、多少手荒な事をしてでも目覚めさせるようにリューキ殿から指示を受けています。ですが、領主に拳を振り上げるわけにはいきません。どうすれば良いのか……」
名前を呼ばれた気がする。
ただし「マイロ」ではなく、「リューキ殿」と聞こえた。
いやいや、いまの俺はマイロです。
間違えないでください。
「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇は、ワーグナー城に無事帰還するまで続けるつもりです。
俺の正体がダゴダネルのやつらにばれるわけにはいきま……
「リューキ殿! ご無礼仕る!」
古風な言い回しが聞こえる。
どこぞの武士が参上するのかと思ったら、女騎士エリカ・ヤンセンだった。
彼女はキリリとした真剣な表情で、俺に頭突きをかましてくる。
ゴキン!
頭部への痛恨の衝撃!
目から星が飛ぶ。
額が割れたかと思った。
クラリ。
意識が飛ぶ。
ぐわっ、ヤラレた! あとは任せた。
なにを?
いや、俺、ヤラレちゃったからさ。
誰に?
えと……おお! エリカが再度急接近する。
「エリカ! まって……」
「!!!」
俺は両手を突き出し、咄嗟にエリカを抱え込もうとする……が、無理でした。
女騎士とフリーターでは戦闘力が隔絶しています。
領主も同じです。
それでもちょっとだけエリカの頭突きを軌道修正できました。
頭突きから顔突きに変わりました。
顔突きってなーんだ? 答え:「顔と顔の密着」です。
そんな言葉あるの?
いえ、俺も聞いたことはございません。
おでこ、鼻、ほっぺ、そして、お口同士がブチュッとぶつかってしまいました。
わざとじゃありません。偶然です。
ムードもへったくれもなくて、申し訳ございません。
あ、問題点はそこじゃないですね。
ほんとに、えろうすんません。
「きゃあーーーーーっ!!」
俺の腕のなかで、女騎士エリカ・ヤンセンが絶叫する。
彼女は全力で俺を押しのけ、顔を真っ赤にして走り去っていく。
俺が正気を取り戻したころには、エリカの姿はどこにもなかった。
「ワグナーの兄ちゃんが姉ちゃんにチューしだ」
「ばかだなあ。あれはキッスというんだ」
「おで、すごいもん見だ。お父とお母に自慢するだ」
老若男女問わず、広場に詰めかけていたゴブリンたちが俺を見ている。
温かい目、生暖かい目、好奇心に富んだ目、ちょっと興奮した目。
そのなかでただひとり、ジーグフリードだけは、同情する目をしていた。
「マイロ、いえ、領主リューキ殿。なんと申し上げればよいやら」
「ジーグフリード。笑ってくれ、俺はエリカに嫌われちまったようだ……」
「リューキ殿、そんなことはありません! エリカ殿はリューキ殿を尊敬しています。間違いなく好意も持たれています。確かに、先ほどの大胆な行動に驚きはしたでしょうが、リューキ殿を嫌うことなど決してありません!」
「そうか、彼女に嫌われたわけじゃないのか……てか、俺の大胆な行動って?」
「そんな……私に言わせないで下さいよ。ともかく、エリカ殿のことは問題ないと思います。時間が解決してくれるでしょう。むしろ私が心配してるのは……」
ジーグフリードが村の中央広場の方に顔を向ける。
彼の視線の先、ゴブリンたちは何事もなかったかのように夕食を再開している。
少なくとも、俺の目にはそう見えた。
「ゴブリン族はこう見えておしゃべりが大好きです。興味本位の噂話を競うように広めます。それどころか、面白おかしく内容を膨らませます。噂話のネタが敬愛する相手であればあるほど、話を盛ります。そこには親近感から来る好意はあっても、悪気はありません。そういう考え方をする種族なのです」
「なんか、嫌な予感しかしないが」
「リューキ殿の推測は、たぶん当たっています。リューキ殿、いえ、ワーグナー城から来たマイロの大胆な行動は、明日中にはオーデル村すべてに広まるでしょう。旅の商人を介して、他のゴブリン族の村にも伝わるでしょう。もはやこの流れを止めることはできません」
おう! なんてこった!
俺は公衆の面前で女騎士にキッスを迫ったハレンチな下僕として、ゴブリンたちに認知されてしまったのか!
いやいや、違う!
そうじゃない!!
そうじゃないんだ!!!
俺はエリカの頭突きをかわそうとしただけで……
太腿をツンツンされる。
見ると、ゴブリンの少年が俺を見上げている。
村を案内してくれたミヒャエル少年だった。
ミヒャエルが目を輝かせながら手招きするので、俺は少年の目線の高さに屈む。
「……ミヒャエル、俺に何か用かい?」
「マイロの兄ちゃん。おで、聞いだんだ」
隠し事を打ち明けるように、少年がささやく。
「ん? なにを聞いたのかな?」
「おで、マイロの兄ちゃんが領主さまって言われてるの、聞いぢまっだ。マイロは領主さまなのが?」
おう! なんてこったい!
「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇は早くも終演の危機を迎えてしまった。
くっ、国家機密を知ったからには生かして……いやいや、相手はまだ幼い少年。
脅すわけにはいかない。
かといって、ベラベラ喋られても困る。
ダゴダネルの奴らに俺の正体がバレたら、俺の生命が危うくなるからね。
さてさて、どうしようか……
うん、決めた。
ここはひとつ、食い物で懐柔しよう!
ミヒャエルの好物を交換条件に、しばらく黙っていてもらおう!
ん? 大人気ないって?
知らん。なんとでも言え!
「ミヒャエル。俺が領主だってことを、お父さんやお母さん、友だちにも話さないで欲しいんだけど。約束できるかな?」
「ええー! やだ! しゃべりだいよ!」
「ずっとじゃないよ。そうだな、五日間だけ、黙ってられるかな?」
「五日も? ながいよー」
「ミヒャエルが約束を守れたら。なんでも好きなものをご馳走してあげるよ」
「ほんどに!? じゃあ、約束する。おで、火蜥蜴の肉、はらいっばい食いだい」
「火蜥蜴の肉? 辛いんじゃないのか? コカトリスの肉でもいいんだよ」
「ヤダ! コカトリスなんか赤ちゃんが食べる肉だ! おで、火蜥蜴のピリッとした味が好きなんだ!」
そうか……コカトリスの肉はミヒャエルには刺激が足りないのか。
それにしても、俺の好みのコカトリスの肉は赤ちゃん向きだったとは。
ゴブリン族にとって、離乳食というやつかな? まあいいけど。
俺は火蜥蜴の肉を交換条件に、ミヒャエルの口止めに成功した。
これで「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇はなんとか打ち切りを回避できそ……違う、俺の正体を隠すことができそうだ。やれやれ。
明日はダゴダネル領に向かう。
女騎士エリカ・ヤンセンとは、早いうちに仲直りせねば。
仲直り?
うーん、俺が悪いのかな……いや、深く考えるのは止めよう。
俺が頭を下げれば良い。
エリカは何も悪くない。
そうとも、すべて俺が悪いのだ。
はあ……領主はつらいよ。
おや、どこかの映画のタイトルみたいだ。
はは。早いとこエリカを探し出して、今夜はもう寝てしまおう。
山村は陽が落ちると途端に肌寒くなる。
村の広場に大きな火がいくつも焚かれる。
暖を取るためというより、むしろ晩メシを作るための焚き火だ。
ゴブリン族は家族単位で食事をとらない。
腹が減れば、三々五々広場に集まる。
おしゃべりをしながら好きなものを好きなように食べる。
肉の塊が焼かれる。
溶けた獣脂が火に垂れ落ち、じゅうじゅうと旨そうな音をたてる。
焼けた肉をゴブリン族の子どもたちが競い合うように食べる。
村を案内してくれたミヒャエル少年も、その喧騒のなかにいた。
肉の大きさを巡る子どものケンカを、調理当番の母ゴブリンが拳骨で抑え込む。
自分の子どもであろうがなかろうが関係なく叱り飛ばす。
メシをたらふく食べた子どもたちは、かけっこを始める。
ゴブリン族のおとなたちは肉にかぶりつきながら、子どもたちの落ち着きのなさを微笑ましく見ている。
ときどき、思い出したようにヤンチャな子どもを叱る。
まるで、俺が幼いころに行ったキャンプのバーベキューのような光景。
俺は懐かしさすら覚えた。
「我が領主、お肉が焼けました。火蜥蜴、バジリスク、コカトリス、どれを召し上がりますか?」
女騎士エリカ・ヤンセンが俺の給仕をしてくれる。
美人のエリカに世話を焼かれるのは、すごーく嬉しい。
嬉しいけど、夕食のお肉は伝説上の生き物ばかり。
カルビ、ハラミ、タンみたいな感じで聞かれても、答えに困るというものだ。
「火蜥蜴やらなんやらは、村の外を普通に闊歩してるのか?」
「火蜥蜴とバジリスクは、この辺りには生息していません。ヴァスケル様がどこかで仕留められたあと、運んでこられたようです」
「そうか……ヴァスケルが元気そうでなによりだ」
栄養ドリンクを飲んで、理性が制御困難になった守護龍ヴァスケル。
漲るパワーを狩猟で発散するだけでなく、狩った獲物は村に運んでくれる。
次々と届けられる珍しい食材に、領民のゴブリンたちは大喜び。
おかげでワーグナーの評判はうなぎのぼりさ!
まったく、異世界生活には飽きるヒマがない。
ホント、つくづくそう思う。
「我が領主。コカトリスは私が捕まえました。村の近くに巣があると聞いたので、狩りに行きました。火蜥蜴は辛みが強く、バジリスクは苦みがあるので好みが分かれますが、コカトリスはクセがなくて食べやすいんですよ!」
女騎士エリカ・ヤンセンが声を弾ませる。
期待するような目で俺を見る。
うむ、俺の答えは端から決まっていたようだ。
「コカトリスの肉を食べたいな」
「分かりました! すぐに用意いたします!」
エリカがきびすを返す。
肉を焼いている焚き火に向かって一目散に駈けていく。
ものの十秒もしないうちに、肉を刺した大串を山ほど抱えて戻ってくる。
皮がパリッと焼けたコカトリスの肉は、香ばしい匂いがして確かに美味そう。
思わず腹が鳴る。
俺は意を決して、肉にかぶりつく。
お? おお!? おいしいじゃないか!
柔らかくてジューシーで、噛むほどに旨みを感じる。
間違いない、これはチキンだ!
俺が知っている鶏肉の味。
コンビニのレジ横で売っている定番のあれに似てる気がする。
チープって言うなよ! 俺はあの味が好きなんだ!!
「思った通りです。リューキ殿はこういう味が好きなんですね!」
「ん? エリカは俺の好みを考えてくれてたのか?」
「はい。リューキ殿は熊肉どころか鹿肉すら野性味を苦にしておられました。コカトリスの雛鳥なら臭みがなく淡白なので、お口に合うかと考えました」
「そうだったのか。うん、これはうまいよ!」
「喜んで頂けて私も嬉しいです!」
女騎士エリカ・ヤンセンが心底ホッとした表情を浮かべる。
どうやら、俺がこの世界の食べ物に苦労していたのに感づいていたようだ。
俺の身辺警護だけでなく、食事の好みまで気を遣わせてしまって申し訳ない。
でも正直いえば、俺のことをそこまで考えてくれていたのは嬉しくもある。
「領主リューキ殿。よろしいですか?」
三本目の大串に果敢に挑んでいると、ゴブリン・ロードのジーグフリードがやってきた。
いよいよ明日はダゴダネル領に向かって出発する。
その打ち合わせに来たのだろう。
「リューキ殿に随行する兵は、予定より増えて千二百名ほどになります。同行を希望する者が多く、もっと増えるかもしれません」
「ジーグフリード、ご苦労。だが間違えるなよ。ダゴダネル領に向かうのは外交団の正使エリカ様だ。俺は下僕のマイロ・ド・リュッキーにすぎない」
「あっ、そうでしたね。失礼しました」
あらためて、ジーグフリードがエリカに向かって説明を始める。
同時に「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇も再開される。
オーデル村からダゴダネル領との国境までは半日の旅程。
外交団の正使エリカは馬で、下僕の俺はラバに乗って向かう。
警護のゴブリン兵はジーグフリードを含めて全員徒歩。
国境でダゴダネル側の使者と落ちあい、さらに半日かけてダゴダネル城まで赴き、人質のエルメンルート・ホラント姫と面会する。
現状はこんな計画だ。
「ジーグフリード殿。エルメンルート姫の身柄を国境で受け渡して頂けるよう、ダゴダネルに依頼したはずでは?」
「正使エリカ殿。何度も要請致しました。ですが、ダゴダネルの使者の話では、エルメンルート姫自身が拒絶されたとのことです」
ジーグフリードの返答にエリカが苦笑する。
形の良いキレイな眉が、もったいないくらいに曲げられてしまう。
その仕草に、俺は下僕として心が痛んだ。
「エリカ様。当初の計画通り、俺とエリカ様で姫様を連れ出しましょう」
「仕方ありませんね。ただ、敵地に乗り込むのは危険が伴います。できればマイロは巻き込みたくないのですが……」
「いまさらなにを仰います。元はといえば、俺が提案した計画です。俺が行かないでどうしますか!」
……力強く宣言した俺をエリカ様がじっと見つめる。熱を帯びた潤んだ目。あれれ、どうしちゃったの? まさか下僕の俺に恋しちゃったんじゃないよね? エリカ様、いけません。それは禁断の恋です。エリカ様と俺は主従の関係。しかもいまは、ワーグナーの将来を左右する大事な外交交渉に向かう途中。いえいえ、エリカ様のことが嫌いなわけないじゃないですか! ていうか、大好きです! いやん、言っちゃった。正直言って、最初はエリカ様のことが怖かったです。ガクブルです。でも、マジメで堅物のエリカ様の乙女チックな一面を見ちゃいました。あまりのギャップに萌えました。ええもう、イチコロっす。よくよく思い返せば、俺って小さいころからそうなんだよね。マジメな学級委員長の女の子が、放課後にノラ猫をニコニコしながら撫でてるのを見たのが初めての恋です。「この子、こんなに笑顔がかわいかったのか!」なんてね。はい、衝撃的でした。小学生の俺には大事件でした。あれから二十年以上経ちますが、いまでもやってることは変わりません。成長がないと言われればそれまでですが、自分の気持ちに嘘はつけません……
「エリカ殿。尋ねてよろしいか? マイロが、いえ、リューキ殿が急に黙り込んでしまわれた。以前も同じ様な状況がありましたが、今回も大丈夫でしょうか?」
「ジーグフリード殿。問題はないと思います。ただ、リューキ殿がこうなったとき、たいていは怒りで身体を震わせているのですが、今日のリューキ殿は恍惚とした表情です。しかも、私はなぜか妙にこそばゆいんです」
「いかがいたしましょう? そっとしておきますか?」
「目をあけたまま意識が飛んでいた場合、多少手荒な事をしてでも目覚めさせるようにリューキ殿から指示を受けています。ですが、領主に拳を振り上げるわけにはいきません。どうすれば良いのか……」
名前を呼ばれた気がする。
ただし「マイロ」ではなく、「リューキ殿」と聞こえた。
いやいや、いまの俺はマイロです。
間違えないでください。
「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇は、ワーグナー城に無事帰還するまで続けるつもりです。
俺の正体がダゴダネルのやつらにばれるわけにはいきま……
「リューキ殿! ご無礼仕る!」
古風な言い回しが聞こえる。
どこぞの武士が参上するのかと思ったら、女騎士エリカ・ヤンセンだった。
彼女はキリリとした真剣な表情で、俺に頭突きをかましてくる。
ゴキン!
頭部への痛恨の衝撃!
目から星が飛ぶ。
額が割れたかと思った。
クラリ。
意識が飛ぶ。
ぐわっ、ヤラレた! あとは任せた。
なにを?
いや、俺、ヤラレちゃったからさ。
誰に?
えと……おお! エリカが再度急接近する。
「エリカ! まって……」
「!!!」
俺は両手を突き出し、咄嗟にエリカを抱え込もうとする……が、無理でした。
女騎士とフリーターでは戦闘力が隔絶しています。
領主も同じです。
それでもちょっとだけエリカの頭突きを軌道修正できました。
頭突きから顔突きに変わりました。
顔突きってなーんだ? 答え:「顔と顔の密着」です。
そんな言葉あるの?
いえ、俺も聞いたことはございません。
おでこ、鼻、ほっぺ、そして、お口同士がブチュッとぶつかってしまいました。
わざとじゃありません。偶然です。
ムードもへったくれもなくて、申し訳ございません。
あ、問題点はそこじゃないですね。
ほんとに、えろうすんません。
「きゃあーーーーーっ!!」
俺の腕のなかで、女騎士エリカ・ヤンセンが絶叫する。
彼女は全力で俺を押しのけ、顔を真っ赤にして走り去っていく。
俺が正気を取り戻したころには、エリカの姿はどこにもなかった。
「ワグナーの兄ちゃんが姉ちゃんにチューしだ」
「ばかだなあ。あれはキッスというんだ」
「おで、すごいもん見だ。お父とお母に自慢するだ」
老若男女問わず、広場に詰めかけていたゴブリンたちが俺を見ている。
温かい目、生暖かい目、好奇心に富んだ目、ちょっと興奮した目。
そのなかでただひとり、ジーグフリードだけは、同情する目をしていた。
「マイロ、いえ、領主リューキ殿。なんと申し上げればよいやら」
「ジーグフリード。笑ってくれ、俺はエリカに嫌われちまったようだ……」
「リューキ殿、そんなことはありません! エリカ殿はリューキ殿を尊敬しています。間違いなく好意も持たれています。確かに、先ほどの大胆な行動に驚きはしたでしょうが、リューキ殿を嫌うことなど決してありません!」
「そうか、彼女に嫌われたわけじゃないのか……てか、俺の大胆な行動って?」
「そんな……私に言わせないで下さいよ。ともかく、エリカ殿のことは問題ないと思います。時間が解決してくれるでしょう。むしろ私が心配してるのは……」
ジーグフリードが村の中央広場の方に顔を向ける。
彼の視線の先、ゴブリンたちは何事もなかったかのように夕食を再開している。
少なくとも、俺の目にはそう見えた。
「ゴブリン族はこう見えておしゃべりが大好きです。興味本位の噂話を競うように広めます。それどころか、面白おかしく内容を膨らませます。噂話のネタが敬愛する相手であればあるほど、話を盛ります。そこには親近感から来る好意はあっても、悪気はありません。そういう考え方をする種族なのです」
「なんか、嫌な予感しかしないが」
「リューキ殿の推測は、たぶん当たっています。リューキ殿、いえ、ワーグナー城から来たマイロの大胆な行動は、明日中にはオーデル村すべてに広まるでしょう。旅の商人を介して、他のゴブリン族の村にも伝わるでしょう。もはやこの流れを止めることはできません」
おう! なんてこった!
俺は公衆の面前で女騎士にキッスを迫ったハレンチな下僕として、ゴブリンたちに認知されてしまったのか!
いやいや、違う!
そうじゃない!!
そうじゃないんだ!!!
俺はエリカの頭突きをかわそうとしただけで……
太腿をツンツンされる。
見ると、ゴブリンの少年が俺を見上げている。
村を案内してくれたミヒャエル少年だった。
ミヒャエルが目を輝かせながら手招きするので、俺は少年の目線の高さに屈む。
「……ミヒャエル、俺に何か用かい?」
「マイロの兄ちゃん。おで、聞いだんだ」
隠し事を打ち明けるように、少年がささやく。
「ん? なにを聞いたのかな?」
「おで、マイロの兄ちゃんが領主さまって言われてるの、聞いぢまっだ。マイロは領主さまなのが?」
おう! なんてこったい!
「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇は早くも終演の危機を迎えてしまった。
くっ、国家機密を知ったからには生かして……いやいや、相手はまだ幼い少年。
脅すわけにはいかない。
かといって、ベラベラ喋られても困る。
ダゴダネルの奴らに俺の正体がバレたら、俺の生命が危うくなるからね。
さてさて、どうしようか……
うん、決めた。
ここはひとつ、食い物で懐柔しよう!
ミヒャエルの好物を交換条件に、しばらく黙っていてもらおう!
ん? 大人気ないって?
知らん。なんとでも言え!
「ミヒャエル。俺が領主だってことを、お父さんやお母さん、友だちにも話さないで欲しいんだけど。約束できるかな?」
「ええー! やだ! しゃべりだいよ!」
「ずっとじゃないよ。そうだな、五日間だけ、黙ってられるかな?」
「五日も? ながいよー」
「ミヒャエルが約束を守れたら。なんでも好きなものをご馳走してあげるよ」
「ほんどに!? じゃあ、約束する。おで、火蜥蜴の肉、はらいっばい食いだい」
「火蜥蜴の肉? 辛いんじゃないのか? コカトリスの肉でもいいんだよ」
「ヤダ! コカトリスなんか赤ちゃんが食べる肉だ! おで、火蜥蜴のピリッとした味が好きなんだ!」
そうか……コカトリスの肉はミヒャエルには刺激が足りないのか。
それにしても、俺の好みのコカトリスの肉は赤ちゃん向きだったとは。
ゴブリン族にとって、離乳食というやつかな? まあいいけど。
俺は火蜥蜴の肉を交換条件に、ミヒャエルの口止めに成功した。
これで「エリカ様と下僕のマイロ」の寸劇はなんとか打ち切りを回避できそ……違う、俺の正体を隠すことができそうだ。やれやれ。
明日はダゴダネル領に向かう。
女騎士エリカ・ヤンセンとは、早いうちに仲直りせねば。
仲直り?
うーん、俺が悪いのかな……いや、深く考えるのは止めよう。
俺が頭を下げれば良い。
エリカは何も悪くない。
そうとも、すべて俺が悪いのだ。
はあ……領主はつらいよ。
おや、どこかの映画のタイトルみたいだ。
はは。早いとこエリカを探し出して、今夜はもう寝てしまおう。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる