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<フリーター探索編> ~ジーナはどこへ消えた?~
第七十八話:フリーター、強敵に遭遇する
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ローグ山の内部、洞窟深部。
俺たち『ジーナ捜索隊』は、洞窟内を奥へ、さらに奥へと進む。
行く手を阻む敵は、土の精霊のドムドムと風の精霊のデボネアが駆逐する。
頼もしい精霊たちが倒した敵は、洞窟トロルのほか、ジャイアントスパイダーやダークナイトバットなどの巨大生物ばかり。てか、気づけば仕留めた数は四十を超えていた。
だが、それよりも俺が気になったのは、目の前に落ちているハンカチーー血が付いたハンカチだ。
「これはジーナのモノに間違いないのじゃ!!」
エル姫が断言する。
「なんでジーナの持ち物だとわかるんだ? 神器でも使ったのか?」
「ハンカチからジーナの芳しい香りがするのじゃ! 匂いでひとを特定するのが、わらわの特技なのじゃ」
えと……エル姫さんや、お前は警察犬か?
まあいい。
いろいろ思うところはあるけど、質問はとりあえず腹のなかに収めておこう。
「ジーナは怪我をしたのか!? くっ、先を急ぐぞ!」
「むっ、拙者が思うに、怪我をしたのはジーナ様とは限りませぬぞ!」
今度は土の精霊ドムドムが言う。
「ジーナじゃない? なんでそう言えるんだ? ドムドムも鼻が利くのか?」
「むっ、そうではござらん。こちらを見て下され」
ドムドムが金属片を差し出してくる。
ジーナのハンカチの傍に落ちていたのだという。
「なにそれ?」
「む、折れた剣先でござる。見事な造りゆえ、ドワーフによるものと思いますぞ」
俺はドムドムから金属の欠片を受け取る。
短剣の先端らしき金属片はピカピカしていて、真新しく見える。波打つ紋様が幾重にも描かれた刀身は、実戦向きの剣というより儀式に使う宝剣のように思えた。
「ふむ。確かにジーナのハンカチからは嗅いだことのない臭いもするのう」
「つまり、ジーナがドワーフと一緒にいるってことか?」
「そういう可能性もあるということじゃな。いずれにせよ、急いだ方がよいのじゃ!」
エル姫が言う。
てか、「亡国の微女」が、ド派手な美人顔でマジメに答えてくる。
ジーナを探索して、既に半日以上経つ。
エル姫の化粧は、すっかり落ちている。
のっぺり化粧にこだわるエル姫も、今日ばかりは顔を直すつもりはないようだ。
「リューキはん! この先にでっかい穴があいてるで。掘ったちゅーより、崩れ落ちたって感じの穴や」
風の精霊デボネアが声をかけてくる。
デボネアは、ひとっ飛びして、洞窟の先の様子を調べてくれたようだ。
「穴?」
「そうや。ジーナはんの足跡もそこで消えとるわ。穴のなかに潜ったみたいやな」
デボネアのあとに従って三百メートルほど進むと、洞窟の地面がごっそり陥没している場所に着く。
地面にあいた穴は大きく、簡単には飛び越えられそうにない。オリンピック選手でも無理かもしれない。穴の縁はゴツゴツと角ばっていて、崩落が起きてからそれほど日がたっていないようだ。
「エル、無限ランプを頼む」
「了解なのじゃ」
エル姫が穴のなかを明るく照らす。
穴の深さは十メートルほどで、そのまま別の洞窟に繋がっているようだ。
「縦穴の壁面のデコボコを伝っていけば、下に降りられそうだな」
「リューキよ。降りられるってことは、登ることもできるようじゃな」
エル姫の言葉を受け、穴のなかを再確認する。
凄まじい形相で縦穴をよじ登ってくる洞窟トロルの姿が見えてしまった。
「むおっ! また出たでござるか!」
土の精霊の戦士ドムドムが必殺のハンマーを振るう。
頭を痛撃された洞窟トロルは、真っ逆さまに落下し、ズシンと大音をたてたあと動かなくなる。
「安全なはずの地下洞窟に怪物が出現したのは、この穴が原因かのう」
エル姫がため息まじりに言う。
俺も彼女の考えに異論はない。
縦穴を降りて、未知の洞窟に入る。
新しい洞窟は、いままでの洞窟と同じくらいの大きさ。
俺の目には、どちらの洞窟も違いはないように見えた。
「む、領主リューキ殿。この先は危険な香りがしますぞ! 注意して下され!」
ドムドムが警鐘を鳴らす。
ふわんとした感じのハニワ顔で言われると違和感を覚えるが、本人は大真面目に言っているようだ。
「リューキはん。念のためや、もうちょい力を分けておくれーな!」
デボネアが、俺の左肩の上に座りながら言う。
かわいらしい精霊の言葉のなかにも、真剣な響きが含まれているようだ。
俺は右手でデボネアの頭をなでながら、創造力を働かせる。
……デボネア強くなーれ。小っちゃいまま、たくましくなーれ。もっと速く、ぐんとパワフルに飛びまわれるようになーれ……
「リューキはん! すっごくイイで! うち、なんでもできそーやわ!」
風の精霊の姫君が声を上げる。
相変わらず俺にはピンと来ないが、デボネアは力の注入に満足したようだ。
態勢を整えた俺たちは、先を急ぐ。
土の精霊の戦士ドムドムを先頭に、怪物を蹴散らしながら、ずんずん進む。
「チェストーッ!」
ドムドムが洞窟トロルを打ち倒す。
もはやカウントは止めてしまったので、倒したのが何体目かわからない。
それはともかく、瀕死の洞窟トロルが這いつくばりながら近づいてくる。
うん? なんかおかしくないか?
普通、強い敵からは逃げるものだろう?
洞窟トロルは、ドムドムにハンマーで殴られたあとも、なぜ向かって来るんだ?
そんな疑問を抱きながらも先に進む。
ジーナの足跡を追って、俺たちは前進するしかない。
さらに一キロほど進むと、ぽっかりとあいた空洞に出る。天井は高そうだし、広さもかなりありそうだ。
「エル、また無限ランプを頼むよ。めいっぱい明るくな」
「わかったのじゃ!」
エル姫は一歩前に出る。
「むおっ! お待ちくだされ!! 嫌な予感がしますぞ!!!」
ドムドムの警告は間に合わず、エル姫は洞窟内の空間を照らしてしまう。
明るくなった目の前には、小さな村なら丸ごと入りそうな巨大空間が広がっていた。
ていうか、大きなトカゲをお食事中の黒龍と目があってしまった。
うおっ! なんてこったい……厄介そうな相手が出てきたじゃないか。
畜生!
俺たち『ジーナ捜索隊』は、洞窟内を奥へ、さらに奥へと進む。
行く手を阻む敵は、土の精霊のドムドムと風の精霊のデボネアが駆逐する。
頼もしい精霊たちが倒した敵は、洞窟トロルのほか、ジャイアントスパイダーやダークナイトバットなどの巨大生物ばかり。てか、気づけば仕留めた数は四十を超えていた。
だが、それよりも俺が気になったのは、目の前に落ちているハンカチーー血が付いたハンカチだ。
「これはジーナのモノに間違いないのじゃ!!」
エル姫が断言する。
「なんでジーナの持ち物だとわかるんだ? 神器でも使ったのか?」
「ハンカチからジーナの芳しい香りがするのじゃ! 匂いでひとを特定するのが、わらわの特技なのじゃ」
えと……エル姫さんや、お前は警察犬か?
まあいい。
いろいろ思うところはあるけど、質問はとりあえず腹のなかに収めておこう。
「ジーナは怪我をしたのか!? くっ、先を急ぐぞ!」
「むっ、拙者が思うに、怪我をしたのはジーナ様とは限りませぬぞ!」
今度は土の精霊ドムドムが言う。
「ジーナじゃない? なんでそう言えるんだ? ドムドムも鼻が利くのか?」
「むっ、そうではござらん。こちらを見て下され」
ドムドムが金属片を差し出してくる。
ジーナのハンカチの傍に落ちていたのだという。
「なにそれ?」
「む、折れた剣先でござる。見事な造りゆえ、ドワーフによるものと思いますぞ」
俺はドムドムから金属の欠片を受け取る。
短剣の先端らしき金属片はピカピカしていて、真新しく見える。波打つ紋様が幾重にも描かれた刀身は、実戦向きの剣というより儀式に使う宝剣のように思えた。
「ふむ。確かにジーナのハンカチからは嗅いだことのない臭いもするのう」
「つまり、ジーナがドワーフと一緒にいるってことか?」
「そういう可能性もあるということじゃな。いずれにせよ、急いだ方がよいのじゃ!」
エル姫が言う。
てか、「亡国の微女」が、ド派手な美人顔でマジメに答えてくる。
ジーナを探索して、既に半日以上経つ。
エル姫の化粧は、すっかり落ちている。
のっぺり化粧にこだわるエル姫も、今日ばかりは顔を直すつもりはないようだ。
「リューキはん! この先にでっかい穴があいてるで。掘ったちゅーより、崩れ落ちたって感じの穴や」
風の精霊デボネアが声をかけてくる。
デボネアは、ひとっ飛びして、洞窟の先の様子を調べてくれたようだ。
「穴?」
「そうや。ジーナはんの足跡もそこで消えとるわ。穴のなかに潜ったみたいやな」
デボネアのあとに従って三百メートルほど進むと、洞窟の地面がごっそり陥没している場所に着く。
地面にあいた穴は大きく、簡単には飛び越えられそうにない。オリンピック選手でも無理かもしれない。穴の縁はゴツゴツと角ばっていて、崩落が起きてからそれほど日がたっていないようだ。
「エル、無限ランプを頼む」
「了解なのじゃ」
エル姫が穴のなかを明るく照らす。
穴の深さは十メートルほどで、そのまま別の洞窟に繋がっているようだ。
「縦穴の壁面のデコボコを伝っていけば、下に降りられそうだな」
「リューキよ。降りられるってことは、登ることもできるようじゃな」
エル姫の言葉を受け、穴のなかを再確認する。
凄まじい形相で縦穴をよじ登ってくる洞窟トロルの姿が見えてしまった。
「むおっ! また出たでござるか!」
土の精霊の戦士ドムドムが必殺のハンマーを振るう。
頭を痛撃された洞窟トロルは、真っ逆さまに落下し、ズシンと大音をたてたあと動かなくなる。
「安全なはずの地下洞窟に怪物が出現したのは、この穴が原因かのう」
エル姫がため息まじりに言う。
俺も彼女の考えに異論はない。
縦穴を降りて、未知の洞窟に入る。
新しい洞窟は、いままでの洞窟と同じくらいの大きさ。
俺の目には、どちらの洞窟も違いはないように見えた。
「む、領主リューキ殿。この先は危険な香りがしますぞ! 注意して下され!」
ドムドムが警鐘を鳴らす。
ふわんとした感じのハニワ顔で言われると違和感を覚えるが、本人は大真面目に言っているようだ。
「リューキはん。念のためや、もうちょい力を分けておくれーな!」
デボネアが、俺の左肩の上に座りながら言う。
かわいらしい精霊の言葉のなかにも、真剣な響きが含まれているようだ。
俺は右手でデボネアの頭をなでながら、創造力を働かせる。
……デボネア強くなーれ。小っちゃいまま、たくましくなーれ。もっと速く、ぐんとパワフルに飛びまわれるようになーれ……
「リューキはん! すっごくイイで! うち、なんでもできそーやわ!」
風の精霊の姫君が声を上げる。
相変わらず俺にはピンと来ないが、デボネアは力の注入に満足したようだ。
態勢を整えた俺たちは、先を急ぐ。
土の精霊の戦士ドムドムを先頭に、怪物を蹴散らしながら、ずんずん進む。
「チェストーッ!」
ドムドムが洞窟トロルを打ち倒す。
もはやカウントは止めてしまったので、倒したのが何体目かわからない。
それはともかく、瀕死の洞窟トロルが這いつくばりながら近づいてくる。
うん? なんかおかしくないか?
普通、強い敵からは逃げるものだろう?
洞窟トロルは、ドムドムにハンマーで殴られたあとも、なぜ向かって来るんだ?
そんな疑問を抱きながらも先に進む。
ジーナの足跡を追って、俺たちは前進するしかない。
さらに一キロほど進むと、ぽっかりとあいた空洞に出る。天井は高そうだし、広さもかなりありそうだ。
「エル、また無限ランプを頼むよ。めいっぱい明るくな」
「わかったのじゃ!」
エル姫は一歩前に出る。
「むおっ! お待ちくだされ!! 嫌な予感がしますぞ!!!」
ドムドムの警告は間に合わず、エル姫は洞窟内の空間を照らしてしまう。
明るくなった目の前には、小さな村なら丸ごと入りそうな巨大空間が広がっていた。
ていうか、大きなトカゲをお食事中の黒龍と目があってしまった。
うおっ! なんてこったい……厄介そうな相手が出てきたじゃないか。
畜生!
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