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<フリーター探索編> ~ジーナはどこへ消えた?~
第七十九話:フリーター、魔の手から逃れる
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ローグ山の内部、洞窟深部。
小さな村がすっぽり入りそうな巨大な空洞。
無限ランプに照らされて、黒龍がまぶしそうに目を細める。
「ふむ、一本角か。じゃが、下位の地竜にしては大きいのう」
エル姫が呆れたように言う。
赤い目をした一本角の地竜は、体長五メートルほど。
ずんぐりした身体に翼はないが、全身を覆う亀の甲羅のような鱗は硬そうだ。
「確かに身体はデカいけど、守護龍モードのヴァスケルよりは小ちゃいよな」
「リューキよ、古龍のヴァスケルと比べては失礼じゃぞ! 普通、下位の地竜はわらわより少し大きい程度なのじゃ」
マジか!?
てことは、コイツは一般的な地竜の何倍も大きいじゃないか。
「なんでコイツはこんなに成長したんだろうな?」
「食べ物の影響じゃろう。ローグ山は魔素濃度が高いゆえ、大喰らいの個体はまれに巨体化した変異体となるそうじゃ」
エル姫が嫌そうに答える。
なるほどなるほど。
やたらと出現した洞窟トロルらは、地竜に喰われまいと逃げてたんだね。
ん?
てことは、もしかして?
「エル、俺たちもエサ認定されたかな?」
「当然そうじゃろうな。リューキはヴァスケルの眷属、竜人じゃから真っ先に狙われるぞよ!」
「え? そうなの?」
「リューキの身体には古龍の龍の魂が秘められておる。下位の地竜にとっては、またとないご馳走じゃ」
「グゥワォオーーッ!!」
エル姫の説明を聞いていたかのように、黒い地竜が向かってくる。
すぐさま、土の精霊ドムドムと風の精霊デボネアが、地竜の前に立ちふさがる。
「むおーーっ! 拙者が相手ですぞーっ!」
「うちもやるでーっ! リューキはんとエル姫はんはさっさと避難しーやっ!」
戦いは精霊たちにまかせて、俺とエル姫は地竜が入ってこられない狭い枝道に逃げ込む。
ええもう、甘えられる好意にはたっぷり甘えさせていただきますとも。はは。
「チェストーーーっ!」
土の精霊の戦士ドムドムが叫ぶ。
右腕のハンマーをぶんぶん振り回しながら、まっすぐ突っ込んでいく。
ガギィイイイィーーンっと耳障りな打撃音が響く。
先手を取って攻撃したはずのドムドムの身体が、反動でひっくりかえる。
「むおっ!? なんと頑丈な! これは戦い甲斐がありますぞ!!!」
ドムドムが声をあげる。
さすがハニワの戦士。
いや、土の精霊の戦士だ。
ハニワ顔をしたドムドムは、強敵に怯むどころか、むしろ喜んでいる。
ポジティブな姿勢が好ましい。
イイぞ、ドムドム!
イケイケ、どむっち!
心の中でドムドムを称賛しながらニックネームを付ける。
ありふれた異名の付け方に深い理由はない。
なんとなくだ。
ドスドスと足音を鳴らしながら地竜が近づいてくる。
「こんどはうちの番や! やったるでー!!」
小妖精の姿をした風の精霊のデボネアが宙を舞う。
超高速で地竜の周りを飛び、短い足をすくい上げる。
ズシーーンっと大音をたてて、地竜が仰向けになる。
「いまや!」
「チェストォォオーーーっ!!」
デボネアとドムドムが一斉に地竜に襲いかかる。
風の精霊デボネアが巻き起こしたカマイタチが、地竜の腹を切り裂く。
土の精霊ドムドムがハンマーで地竜の頭をガンガン打つ。
だが……
「グォッ、グワァアッ」
黒い地竜がむくりと起き上がる。
痛がるそぶりはなく、むしろ昼寝から覚めたような無造作な感じ。
見ると、地竜の頭や腹には、かすり傷しか付いていない。
「なんと!? いくらなんでも頑丈すぎますぞ!」
「あかーん! まったく歯がたたんわーっ!」
頼もしい精霊たちがグチっぽく言う。
借り物の身体ーー召喚精霊の力では、異常成長した地竜にダメージを与えられないようだ。
「グオッ! グオッ! グオッ!」
地竜が、俺とエル姫が潜んでいる狭い枝道に入ってこようとする。
短くて不器用そうな腕を使って、強引に枝道を掘り進める。
「リューキよ! もっと奥に逃げるのじゃ!」
「うおっ、言われなくても分かってる!」
モグラのようにズイズイと穴を掘り進める地竜から逃れようと、俺とエル姫は枝道を奥へ奥へと進む。
ドムドムとデボネアが地竜を攻撃するが、巨漢の怪物はお構いなしに土を掘る。
「拙者のハンマーが効きませぬぞ! 悔しいですぞ!」
「嫌やわー! 下位の地竜に相手にもされないなんて、うち、恥ずかしすぎるわー!」
精霊たちの嘆きなどに耳を貸すことなく、地竜が俺たちに迫る。
巨漢の怪物は、鈍く光る赤目を細めながら、ガシガシと土を掘る。
グォグォという声とともに吐き出される息は、獣臭がして不快だ。
「リューキよ! 行き止まりじゃ!」
「畜生! コイツに弱点はないのかよ!!」
……魔素を過剰摂取した怪物は巨体化する。多くの場合、皮膚は硬くなり、筋力が増すが、同時に理性を失う。巨体化した怪物は体内の魔素量が一定値を下回れば動きは鈍くなり、ついには生命を失う。そのため、魔素を過剰摂取した怪物は死ぬまで過食を続けなければならない……
「兵糧攻めかよ? そんな悠長なことしてる時間はないよ! いますぐなんとかしなきゃ!」
「リューキよ。何を言っておる? わらわは何も喋っておらぬぞ」
洞窟の狭い枝道の行き止まり。
俺の背中に隠れたエル姫が震える声で答える。
エル姫は喋っていない? てことは、いまの話は俺の妄想さんか?
てか、妙に説明口調だったな。解説さんか?
昔に読んだ本の内容だったような気もする……
なんだろう? 大事なことを思い出せそうだ。
……地竜(下位):身体的特徴は赤目、短い一本角、黒く厚い皮膚。上位の地竜に付き従い、下僕的な役割を担う。一般的に、知能は低く、力も弱い。野生種のなかには地下深く潜み、長い年月をかけて巨体化し、ダンジョンの主となる個体もいる。目が弱く、特に長年地中深く潜む個体は……
「エル! 無限ランプを最大出力で照らしてくれ! コイツの弱点は光だ!」
「な!? わかったのじゃ! 任せるのじゃ!!」
エル姫が無限ランプを掲げる。
ギンギンと音が鳴りそうなほど、灯りが強くなる。
「ググォオォォオオオーーーッ!!!」
地竜が吠える。
穴を掘るのを止め、俺とエル姫が避難した枝道から出て行く。
危なかった。
もう少しで捕まるところだった。
とりあえずの生命の危機は脱した。
だが、どうすればコイツをやっつけられるか見当がつかない。
小さな村がすっぽり入りそうな巨大な空洞。
無限ランプに照らされて、黒龍がまぶしそうに目を細める。
「ふむ、一本角か。じゃが、下位の地竜にしては大きいのう」
エル姫が呆れたように言う。
赤い目をした一本角の地竜は、体長五メートルほど。
ずんぐりした身体に翼はないが、全身を覆う亀の甲羅のような鱗は硬そうだ。
「確かに身体はデカいけど、守護龍モードのヴァスケルよりは小ちゃいよな」
「リューキよ、古龍のヴァスケルと比べては失礼じゃぞ! 普通、下位の地竜はわらわより少し大きい程度なのじゃ」
マジか!?
てことは、コイツは一般的な地竜の何倍も大きいじゃないか。
「なんでコイツはこんなに成長したんだろうな?」
「食べ物の影響じゃろう。ローグ山は魔素濃度が高いゆえ、大喰らいの個体はまれに巨体化した変異体となるそうじゃ」
エル姫が嫌そうに答える。
なるほどなるほど。
やたらと出現した洞窟トロルらは、地竜に喰われまいと逃げてたんだね。
ん?
てことは、もしかして?
「エル、俺たちもエサ認定されたかな?」
「当然そうじゃろうな。リューキはヴァスケルの眷属、竜人じゃから真っ先に狙われるぞよ!」
「え? そうなの?」
「リューキの身体には古龍の龍の魂が秘められておる。下位の地竜にとっては、またとないご馳走じゃ」
「グゥワォオーーッ!!」
エル姫の説明を聞いていたかのように、黒い地竜が向かってくる。
すぐさま、土の精霊ドムドムと風の精霊デボネアが、地竜の前に立ちふさがる。
「むおーーっ! 拙者が相手ですぞーっ!」
「うちもやるでーっ! リューキはんとエル姫はんはさっさと避難しーやっ!」
戦いは精霊たちにまかせて、俺とエル姫は地竜が入ってこられない狭い枝道に逃げ込む。
ええもう、甘えられる好意にはたっぷり甘えさせていただきますとも。はは。
「チェストーーーっ!」
土の精霊の戦士ドムドムが叫ぶ。
右腕のハンマーをぶんぶん振り回しながら、まっすぐ突っ込んでいく。
ガギィイイイィーーンっと耳障りな打撃音が響く。
先手を取って攻撃したはずのドムドムの身体が、反動でひっくりかえる。
「むおっ!? なんと頑丈な! これは戦い甲斐がありますぞ!!!」
ドムドムが声をあげる。
さすがハニワの戦士。
いや、土の精霊の戦士だ。
ハニワ顔をしたドムドムは、強敵に怯むどころか、むしろ喜んでいる。
ポジティブな姿勢が好ましい。
イイぞ、ドムドム!
イケイケ、どむっち!
心の中でドムドムを称賛しながらニックネームを付ける。
ありふれた異名の付け方に深い理由はない。
なんとなくだ。
ドスドスと足音を鳴らしながら地竜が近づいてくる。
「こんどはうちの番や! やったるでー!!」
小妖精の姿をした風の精霊のデボネアが宙を舞う。
超高速で地竜の周りを飛び、短い足をすくい上げる。
ズシーーンっと大音をたてて、地竜が仰向けになる。
「いまや!」
「チェストォォオーーーっ!!」
デボネアとドムドムが一斉に地竜に襲いかかる。
風の精霊デボネアが巻き起こしたカマイタチが、地竜の腹を切り裂く。
土の精霊ドムドムがハンマーで地竜の頭をガンガン打つ。
だが……
「グォッ、グワァアッ」
黒い地竜がむくりと起き上がる。
痛がるそぶりはなく、むしろ昼寝から覚めたような無造作な感じ。
見ると、地竜の頭や腹には、かすり傷しか付いていない。
「なんと!? いくらなんでも頑丈すぎますぞ!」
「あかーん! まったく歯がたたんわーっ!」
頼もしい精霊たちがグチっぽく言う。
借り物の身体ーー召喚精霊の力では、異常成長した地竜にダメージを与えられないようだ。
「グオッ! グオッ! グオッ!」
地竜が、俺とエル姫が潜んでいる狭い枝道に入ってこようとする。
短くて不器用そうな腕を使って、強引に枝道を掘り進める。
「リューキよ! もっと奥に逃げるのじゃ!」
「うおっ、言われなくても分かってる!」
モグラのようにズイズイと穴を掘り進める地竜から逃れようと、俺とエル姫は枝道を奥へ奥へと進む。
ドムドムとデボネアが地竜を攻撃するが、巨漢の怪物はお構いなしに土を掘る。
「拙者のハンマーが効きませぬぞ! 悔しいですぞ!」
「嫌やわー! 下位の地竜に相手にもされないなんて、うち、恥ずかしすぎるわー!」
精霊たちの嘆きなどに耳を貸すことなく、地竜が俺たちに迫る。
巨漢の怪物は、鈍く光る赤目を細めながら、ガシガシと土を掘る。
グォグォという声とともに吐き出される息は、獣臭がして不快だ。
「リューキよ! 行き止まりじゃ!」
「畜生! コイツに弱点はないのかよ!!」
……魔素を過剰摂取した怪物は巨体化する。多くの場合、皮膚は硬くなり、筋力が増すが、同時に理性を失う。巨体化した怪物は体内の魔素量が一定値を下回れば動きは鈍くなり、ついには生命を失う。そのため、魔素を過剰摂取した怪物は死ぬまで過食を続けなければならない……
「兵糧攻めかよ? そんな悠長なことしてる時間はないよ! いますぐなんとかしなきゃ!」
「リューキよ。何を言っておる? わらわは何も喋っておらぬぞ」
洞窟の狭い枝道の行き止まり。
俺の背中に隠れたエル姫が震える声で答える。
エル姫は喋っていない? てことは、いまの話は俺の妄想さんか?
てか、妙に説明口調だったな。解説さんか?
昔に読んだ本の内容だったような気もする……
なんだろう? 大事なことを思い出せそうだ。
……地竜(下位):身体的特徴は赤目、短い一本角、黒く厚い皮膚。上位の地竜に付き従い、下僕的な役割を担う。一般的に、知能は低く、力も弱い。野生種のなかには地下深く潜み、長い年月をかけて巨体化し、ダンジョンの主となる個体もいる。目が弱く、特に長年地中深く潜む個体は……
「エル! 無限ランプを最大出力で照らしてくれ! コイツの弱点は光だ!」
「な!? わかったのじゃ! 任せるのじゃ!!」
エル姫が無限ランプを掲げる。
ギンギンと音が鳴りそうなほど、灯りが強くなる。
「ググォオォォオオオーーーッ!!!」
地竜が吠える。
穴を掘るのを止め、俺とエル姫が避難した枝道から出て行く。
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