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1 栞奈の場合
5 俺だけを見てくれるまで
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________ ___ __ _
「カーンナッ」
「きゃっ!? ちょっ重いって」
ソファーに座ってテレビを見ていた肩に、突然ずっしりと重みがかかって腕が巻き付いてきた。
文句を言おうと首を捻って見るとそこには……あれ? 誰だっけ。
柔らかそうな金茶の髪。猫のような大きな目は、すがめると切れ長の涼しげな瞳になる。
通った鼻筋と太すぎない整った眉に、笑顔を作った口元。
間違いなくイケメン。しかも10人中10人、好みとか吹っ飛ばして認めるであろう、立派なイケメンだった。
「なに、彼氏の顔見てびっくりしてんの?」
……あぁ、そうだった。今の彼氏じゃん、私ったらなに記憶飛ばしてるんだか。いやんなっちゃう。
「うん、ごめん、記憶飛んでたわ」
「なにそれひどぉい、こんなイケメン掴まえてー」
「ヨウが言うとシャレになんないからー」
私は笑いながら腕を外そうとした。
「えーなんでー、そんなこと言う栞奈はお仕置きー」
本気で言ってるからタチが悪い。空気読めない天然も困ったものだ。自分がイケメンと知らないそこが可愛いんだけど。
するとヨウは私の首元に吸い付き、チロチロと舌を動かした。
「ぅぁあンッッ」
たったこれだけで甘い痺れが体を貫き、自分の意思に反して私の体は、恥ずかしげもなくビクビクと震わせていた。
「栞奈の体はもともと淫乱なのかな?
……それとも、誰かに開発されたのかな」
「は? 何言ってんの?
明日も朝から遊びたいし、今日はへとへとだからしないんだからね」
今日は郊外のテーマパークに来ていて、1日じゃとても遊びきれないそこは、明日も遊ぶ予定で近くのホテルを取っていた。
ヨウの顔を見ると、からかい顔をしているとばかり思っていたのに、こちらが目を瞠るほど真面目な表情をして私を見下ろしていた。
「ヨウ……?」
「嫉妬、しちゃうな……」
ソファーをぐるりと回って私の前に立つ。
目の前にいるのはすでにいつものヨウだった。
大きな猫目でふにっと笑い、ソファーに片膝を置いたかと思うと、大きなソファーにだらしなくもたれた私に覆い被さってくる。
いつもと変わらないヨウに、私は安心して抗議の声をあげる。
「ヨウ! 疲れたもん、無理だってば!」
「栞奈は何もしなくていいよ」
「ちょっ――んんっ」
抗議の声がヨウの喉に飲み込まれる。
話し途中だったから酸素が足りない。
舌があるべきところに収まってないと、鼻で息ってうまくできないんだ。
口を無理やり離し、大きく喘ごうとすると、容赦ない追撃がきた。
ヨウも大きく口を開き被せ、舌を絡めとってくる。
「フッ、ふはっふぁあんンッッ」
酸素を求めようとしてるのに、鼻からは喘ぎばかりが抜ける。
舌を吸われてしごかれる。
口の隙間から空気が入ってこれるようになったのに、ゾクゾクが身体中を駆け巡っていて、結局うまく息ができない。
「ふぁんっ、あっあっァンッ」
背骨に電気を流されているかのように、小刻みに仰け反った。
やっと唇が解放された時には、すっかり骨抜きにされて荒い呼吸になっていた。
私はヨウを睨み、せめてもの抵抗を示す。
ヨウは、私の目尻に生理的に溢れた涙を指で掬いながら言う。
「そんな顔、反則だよ、栞奈」
背もたれから滑り落ちた私の頬に一つキスを落とすと、そのまま首の横を舐め上げた。
反則はヨウだ。
私がキスされると動けなくなるのわかっててやってる。
「ず…るい、ンあぁ!」
鎖骨を舌でなぞられる。
「…………。なにそれ。俺のこと、これ以上まだ煽るつもり?」
胸元から、猫科の肉食獣の瞳で射抜かれる。
「な……に言って?」
「わからない?」
ヨウは私のバスローブの腰紐を引き抜き、手早く両手をまとめると、ソファーの隣に固定されたランプに結わい付けた。
「……もう遠慮しないってことだよ」
「え? や、だぁ…っ、外し、てッ」
ヨウは肌蹴た胸元に吸い付き、時折ちくん、ちくんと痛みを伴う。
手はやわやわと私の腹と頬を撫でた。
「いや? 本当に?」
ヨウは、胸に白い指の痕が浮くほど握りこむ。
「栞奈は手荒にすればするほど、羞恥させればさせるほど綺麗になるよね」
「痛うっ、痛いよヨウ……っ止めて!」
とっくに痛いほど勃っている乳首をかりっと噛まれると、ヒクンと体が浮き、ますます胸を突き出す格好になってしまう。
「ふぅん? 止めて……ねぇ?」
ヨウが口角を上げて私を見つめ、手がゆっくりと下りていく。
どこへ行こうとしてるのか判って身を捩るけれど、私の膝はすでにヨウの膝で割られている。
明らかな湿り気を帯びたそこは、パンティの上からでも一撫ですれば充分だった。
「ほら、まだ触ってないのにこの有り様だよ」
私は羞恥に熱くなる。
「言…うなっ……くンッッ」
「嫌だね。
……栞奈が俺だけを見てくれるまで……止めない」
「? 見てる、よ? ヨウのこと」
何を言いたいのかわからなくて頭を振る。
こんなのいつものヨウじゃない。私の体は小刻みに震えだした。視界も歪む。
そんな私にヨウは、手だけは優しく頬を擦って唇をなぞるから、私はすがるように舌を伸ばして指を舐め、軽く噛んだ。
「見てないよ」
ヨウはさびしさを滲ませて呟いた。
「カーンナッ」
「きゃっ!? ちょっ重いって」
ソファーに座ってテレビを見ていた肩に、突然ずっしりと重みがかかって腕が巻き付いてきた。
文句を言おうと首を捻って見るとそこには……あれ? 誰だっけ。
柔らかそうな金茶の髪。猫のような大きな目は、すがめると切れ長の涼しげな瞳になる。
通った鼻筋と太すぎない整った眉に、笑顔を作った口元。
間違いなくイケメン。しかも10人中10人、好みとか吹っ飛ばして認めるであろう、立派なイケメンだった。
「なに、彼氏の顔見てびっくりしてんの?」
……あぁ、そうだった。今の彼氏じゃん、私ったらなに記憶飛ばしてるんだか。いやんなっちゃう。
「うん、ごめん、記憶飛んでたわ」
「なにそれひどぉい、こんなイケメン掴まえてー」
「ヨウが言うとシャレになんないからー」
私は笑いながら腕を外そうとした。
「えーなんでー、そんなこと言う栞奈はお仕置きー」
本気で言ってるからタチが悪い。空気読めない天然も困ったものだ。自分がイケメンと知らないそこが可愛いんだけど。
するとヨウは私の首元に吸い付き、チロチロと舌を動かした。
「ぅぁあンッッ」
たったこれだけで甘い痺れが体を貫き、自分の意思に反して私の体は、恥ずかしげもなくビクビクと震わせていた。
「栞奈の体はもともと淫乱なのかな?
……それとも、誰かに開発されたのかな」
「は? 何言ってんの?
明日も朝から遊びたいし、今日はへとへとだからしないんだからね」
今日は郊外のテーマパークに来ていて、1日じゃとても遊びきれないそこは、明日も遊ぶ予定で近くのホテルを取っていた。
ヨウの顔を見ると、からかい顔をしているとばかり思っていたのに、こちらが目を瞠るほど真面目な表情をして私を見下ろしていた。
「ヨウ……?」
「嫉妬、しちゃうな……」
ソファーをぐるりと回って私の前に立つ。
目の前にいるのはすでにいつものヨウだった。
大きな猫目でふにっと笑い、ソファーに片膝を置いたかと思うと、大きなソファーにだらしなくもたれた私に覆い被さってくる。
いつもと変わらないヨウに、私は安心して抗議の声をあげる。
「ヨウ! 疲れたもん、無理だってば!」
「栞奈は何もしなくていいよ」
「ちょっ――んんっ」
抗議の声がヨウの喉に飲み込まれる。
話し途中だったから酸素が足りない。
舌があるべきところに収まってないと、鼻で息ってうまくできないんだ。
口を無理やり離し、大きく喘ごうとすると、容赦ない追撃がきた。
ヨウも大きく口を開き被せ、舌を絡めとってくる。
「フッ、ふはっふぁあんンッッ」
酸素を求めようとしてるのに、鼻からは喘ぎばかりが抜ける。
舌を吸われてしごかれる。
口の隙間から空気が入ってこれるようになったのに、ゾクゾクが身体中を駆け巡っていて、結局うまく息ができない。
「ふぁんっ、あっあっァンッ」
背骨に電気を流されているかのように、小刻みに仰け反った。
やっと唇が解放された時には、すっかり骨抜きにされて荒い呼吸になっていた。
私はヨウを睨み、せめてもの抵抗を示す。
ヨウは、私の目尻に生理的に溢れた涙を指で掬いながら言う。
「そんな顔、反則だよ、栞奈」
背もたれから滑り落ちた私の頬に一つキスを落とすと、そのまま首の横を舐め上げた。
反則はヨウだ。
私がキスされると動けなくなるのわかっててやってる。
「ず…るい、ンあぁ!」
鎖骨を舌でなぞられる。
「…………。なにそれ。俺のこと、これ以上まだ煽るつもり?」
胸元から、猫科の肉食獣の瞳で射抜かれる。
「な……に言って?」
「わからない?」
ヨウは私のバスローブの腰紐を引き抜き、手早く両手をまとめると、ソファーの隣に固定されたランプに結わい付けた。
「……もう遠慮しないってことだよ」
「え? や、だぁ…っ、外し、てッ」
ヨウは肌蹴た胸元に吸い付き、時折ちくん、ちくんと痛みを伴う。
手はやわやわと私の腹と頬を撫でた。
「いや? 本当に?」
ヨウは、胸に白い指の痕が浮くほど握りこむ。
「栞奈は手荒にすればするほど、羞恥させればさせるほど綺麗になるよね」
「痛うっ、痛いよヨウ……っ止めて!」
とっくに痛いほど勃っている乳首をかりっと噛まれると、ヒクンと体が浮き、ますます胸を突き出す格好になってしまう。
「ふぅん? 止めて……ねぇ?」
ヨウが口角を上げて私を見つめ、手がゆっくりと下りていく。
どこへ行こうとしてるのか判って身を捩るけれど、私の膝はすでにヨウの膝で割られている。
明らかな湿り気を帯びたそこは、パンティの上からでも一撫ですれば充分だった。
「ほら、まだ触ってないのにこの有り様だよ」
私は羞恥に熱くなる。
「言…うなっ……くンッッ」
「嫌だね。
……栞奈が俺だけを見てくれるまで……止めない」
「? 見てる、よ? ヨウのこと」
何を言いたいのかわからなくて頭を振る。
こんなのいつものヨウじゃない。私の体は小刻みに震えだした。視界も歪む。
そんな私にヨウは、手だけは優しく頬を擦って唇をなぞるから、私はすがるように舌を伸ばして指を舐め、軽く噛んだ。
「見てないよ」
ヨウはさびしさを滲ませて呟いた。
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