27 / 49
3 更紗の場合
7 迎えに行くから
しおりを挟む
「更紗せんぱーい!」
「あれぇ、恵美ちゃん、どうしたの?」
卒業式当日、駅から学校に向かっている途中に声をかけてきたのは後輩の恵美ちゃんだ。路地に停まった車から降りるところだった。
恵美ちゃんはプロム実行委員だから、午前中の卒業式には関係ないはずだと思うんだけれど。
「何ってもちろん準備ですよぉ」
「えっ、こんな早くからするんだ?」
「私たちにだって支度があるんですよ?」
「あぁそっか~」
そうだよね。いくら実行委員だって、制服で参加するわけじゃない。落ち着いたものにはなるけどドレスを着るよね。なら身支度以外の準備はその前にやっておかなきゃだよね。
「恵美! ここまででいいんだな? じゃあ俺は行くから」
「お兄ちゃん! 送ってくれてありがと!」
車から男性の声がかかり、私もつられてそちらを見て固まる。
「お、お兄ちゃん? あれ? 先輩?」
互いに見つめあって固まり、間に挟まれた恵美ちゃんがおろおろする。
と思ったら、恵美ちゃんが私の腕を引っ張り、車の方へ連れていく。
「なになに、知り合いだったの? まさかお兄ちゃん、前に更紗先輩をナンパしたことあるとか?
あ! もしかして……一目ぼれ!?」
「やっ、ちょ、違うから、恵美ちゃん」
私は慌てて腕を引っこ抜く。
けれど私たちは傍から見たら、どう見たっておかしいだろう。お互い真っ赤なのだから。
私は今の今まで忘れていたんだけれど、恵美ちゃんのお兄さんといわれる人を見たら、どうっとフラッシュバックが起こったのだ。あの日の夢、【今宵、私とシンデレラ】が。
思わず足がフラついてしまうほどの奔流に、視界がチカチカする。
なんでっ!? あれは夢で……!
なんで夢の中の人が現実にいるの!?
あの翌日、あまりの出来事に1日放心状態だった。
放心状態からやっと再起動できたと思ったら、夢での出来事を思い出せなくなってしまっていた。
けれど恐ろしいほどの快感を味わってしまったことだけは覚えている。自分の体が? 脳が? 本能が? 私のどこかがあの快感を覚えてしまっているのだ。
恐怖と罪悪感でもう二度としないと思うのに、でもいつかまた手を出してしまいそうで怖い。
だってあの快感はやばい。覚えていないはずなのに、強烈な快感だけは覚えてるってやばい。私これから普通に彼氏つくれるの?
私はH未経験者なのに……あの快感に慣れたら本当にまずい気がする。
「先輩! まだプロムのパートナーいないですよね!? ね! お兄ちゃん今日夕方ヒマだよね? あのねっ……」
恵美ちゃんの言葉に、ハッと現実に引き戻る。
「わたっ、私、式に遅れちゃうから!!」
「サラッ!!」
走り出した私の腕を掴まれる。
思わず振り向けば、やっぱりまんまあの王子で。
夢だから顔の細かいところまではよくは覚えていないけど、洋風か和風かの違いみたいな感じで、雰囲気はまんまあの人だ。
「プロム! お前の家に迎えに行くから」
「ハイハイハーイ。私、更紗先輩んちも知ってるし、連絡先も知ってま~す」
恵美ちゃんが楽しそうに口を挟む。
グイッと腕を引かれて抱きしめられる。
「俺の名前は丞司だ。君は? サラ?」
「さ……更紗」
「いい子だ更紗、夕方まで楽しみに、待ってる」
耳にイケボを垂らし込まれ、そしてその腕から解放されて背中を押される。
私は振り向けずに学校まで走った。
「あれぇ、恵美ちゃん、どうしたの?」
卒業式当日、駅から学校に向かっている途中に声をかけてきたのは後輩の恵美ちゃんだ。路地に停まった車から降りるところだった。
恵美ちゃんはプロム実行委員だから、午前中の卒業式には関係ないはずだと思うんだけれど。
「何ってもちろん準備ですよぉ」
「えっ、こんな早くからするんだ?」
「私たちにだって支度があるんですよ?」
「あぁそっか~」
そうだよね。いくら実行委員だって、制服で参加するわけじゃない。落ち着いたものにはなるけどドレスを着るよね。なら身支度以外の準備はその前にやっておかなきゃだよね。
「恵美! ここまででいいんだな? じゃあ俺は行くから」
「お兄ちゃん! 送ってくれてありがと!」
車から男性の声がかかり、私もつられてそちらを見て固まる。
「お、お兄ちゃん? あれ? 先輩?」
互いに見つめあって固まり、間に挟まれた恵美ちゃんがおろおろする。
と思ったら、恵美ちゃんが私の腕を引っ張り、車の方へ連れていく。
「なになに、知り合いだったの? まさかお兄ちゃん、前に更紗先輩をナンパしたことあるとか?
あ! もしかして……一目ぼれ!?」
「やっ、ちょ、違うから、恵美ちゃん」
私は慌てて腕を引っこ抜く。
けれど私たちは傍から見たら、どう見たっておかしいだろう。お互い真っ赤なのだから。
私は今の今まで忘れていたんだけれど、恵美ちゃんのお兄さんといわれる人を見たら、どうっとフラッシュバックが起こったのだ。あの日の夢、【今宵、私とシンデレラ】が。
思わず足がフラついてしまうほどの奔流に、視界がチカチカする。
なんでっ!? あれは夢で……!
なんで夢の中の人が現実にいるの!?
あの翌日、あまりの出来事に1日放心状態だった。
放心状態からやっと再起動できたと思ったら、夢での出来事を思い出せなくなってしまっていた。
けれど恐ろしいほどの快感を味わってしまったことだけは覚えている。自分の体が? 脳が? 本能が? 私のどこかがあの快感を覚えてしまっているのだ。
恐怖と罪悪感でもう二度としないと思うのに、でもいつかまた手を出してしまいそうで怖い。
だってあの快感はやばい。覚えていないはずなのに、強烈な快感だけは覚えてるってやばい。私これから普通に彼氏つくれるの?
私はH未経験者なのに……あの快感に慣れたら本当にまずい気がする。
「先輩! まだプロムのパートナーいないですよね!? ね! お兄ちゃん今日夕方ヒマだよね? あのねっ……」
恵美ちゃんの言葉に、ハッと現実に引き戻る。
「わたっ、私、式に遅れちゃうから!!」
「サラッ!!」
走り出した私の腕を掴まれる。
思わず振り向けば、やっぱりまんまあの王子で。
夢だから顔の細かいところまではよくは覚えていないけど、洋風か和風かの違いみたいな感じで、雰囲気はまんまあの人だ。
「プロム! お前の家に迎えに行くから」
「ハイハイハーイ。私、更紗先輩んちも知ってるし、連絡先も知ってま~す」
恵美ちゃんが楽しそうに口を挟む。
グイッと腕を引かれて抱きしめられる。
「俺の名前は丞司だ。君は? サラ?」
「さ……更紗」
「いい子だ更紗、夕方まで楽しみに、待ってる」
耳にイケボを垂らし込まれ、そしてその腕から解放されて背中を押される。
私は振り向けずに学校まで走った。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる