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6 美緒の場合
2 絶対引かない自信があります
しおりを挟む「すみません! 荷物その辺にほっといて、ソファーでお待ちください!」
ええっ!? リビングへのドアを開け放って立木さんは奥へ駆け込んだ。放っといてと言われましても!
とりあえず荷物を中に入れたほうがいいよね……。
「お、おじゃましまーす……」
おずおずとリビングに踏み込んだ。
ひっろ!! なにここ、モデルルーム? とりあえず照明が煌々としてないところがワンランクアップ感を醸し出してる!
この一等地に建ち、ジムやその他にもクリニックやらなにやらが入っているタワービルは、上階はマンションだったんですねぇ。
おろおろしているうちにすぐ立木さんは玄関まで戻ってきた。上にカジュアルシャツを羽織って。
「申し訳ないです。どうぞお座りください」
立木さんは私から自分の荷物を受け取り、片付けに行ったかと思えばすぐ戻ってくる。
ちょ、ちょっと待ってください。
この速さは、下に原因のブツを着っぱなしじゃないの!?
冷静に努めようとするが、動揺が隠し切れず視線が定まらない。
「茅花さん」
「は、はい!」
「普段はタンクトップを忘れず着るんです。きょ、今日は、茅花さんとサウナで同じタイミングになったので、今日こそは帰りに声をかけようと思って、焦ってしまって……」
まさかの原因の一端が私にもあったぁ!?
「いえいえいえいえ! メンズブラ大事ですよ! 垂れちゃいますもんね! さっすが立木さんですよ、そこまでの努力があってこその美しい筋肉ですよね! 大丈夫です、流行ってますし! 誰にも言いませんし!」
スポブラみたいなのじゃなくて、見事なさんかくブラだけど、きっと大胸筋をがっちりホールドしてるんですよね、大事大事! あらがえ重力!
流行ってるのに大丈夫言わないとか。もう自分でも何を口走っているのかわからない。
ってちょっと待て。今日、下にそれ着けて私に声をかけようと?
いやいやいや、人様の趣味に口出すなんて何様かって話ですよ。別に誰に迷惑かけてるわけじゃないですし!
むしろそんなの見たい。そのアンダーで声かけようとか別として、細マッチョブラかぶりつきで見てみたい!
「それでその、ぴったりな下着の着心地が良くて、パンツもビキニにして。そ、それから上下違うのが気になって合わせるように……。はじめは、フィットネス用だったんですが」
「そんなの普通ですから! メンズブラなしでその素晴らしい大胸筋は生まれませ――ええっ!?」
つ、つまり今、フィットネス目的じゃなく……? し、下も純黒レーシィなビキニタイプのパンツ、だと?
「お、お見苦しいものをお見せし申し訳ない……」
「とっ、とんでもないです」
私は立木さんちのソファーに座り、立木さんはそのローテーブルの前、床に座ってうなだれている。
白Tの首元から、きれいな鎖骨と胸筋の縦筋が見える。……黒ブラは見えない。けど目が離せない。
裏返ってしまった声に立木さんが目を丸くし私を振り仰いだ。
視界に入っているけど、私の視線は立木さんの胸元にくぎ付けだ。
あのきれいな筋肉に、黒いレーシィな下着がつけられているのを見たいと思った。
プールサイドで見るビキニパンツなんかじゃなく、筋肉にはりつく黒いレースが見たい。
ゾクッと肌が粟立つ。ピリピリとした、久しく感じていない快楽の電流だ。
思わずコクリと自分の喉元が鳴った。
「……気を使ってくれて、ありがとうございます」
立木さんがふにゃりと笑った。さわやかイケメンの泣き笑いはこっちまでクる。
「自分でバカなことしてるってわかってるんです。でもこれが落ち着いて……」
すみません、ほぼ赤の他人から突然こんなこと、と立木さんは無理やり笑って謝る。
「本当に! 本当に見苦しくなんてないです。人の趣味は様々ですし、誰しも人に言えないものくらいあります!」
自分の酒癖がオッサンだとか、罪を犯さなければ性癖は自由だとか、いろいろ口に出るまましゃべった。
ヤバイ。それがいけなかった。
なぐさめの言葉を投げれば投げるほど立木さんが陰っていく。しまいにはやさぐれ感がにじみ出てきた気がする。
ヤバイヤバイヤバイ! 私が追い打ちかけてんじゃないのこれ!?
なんかブツブツ言い始めたぁ!?
「本当です! 本当です! では絶対引かない自信がありますから見せてください!!」
い! 言っちゃったーーーっ!!
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