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6 美緒の場合
8.5 美緒さんのおかげ(惟弦)
しおりを挟むガバッと跳ね起きた。
や! やややややってしまった! 見れてしまった!!
しかしなんだあの夢は!? 美緒さん!! すみません!!!
心臓がバクバクする。
絶対美緒さんを見てしまうから、見てしまったら絶対罪悪感でへこむから、だから快感アプリを止めてたのに。
昨夜、美緒さんとジムのサウナで会って、早々に立ち去られたのがショックで寝酒をしてしまった。
だって昨日は、会えたら本当にちゃんと声を掛けようと決心してジムに行ったから。それが余計にショックで。
まさか寝酒で記憶のないうちに、ドリボムを使ってしまうとは……!
美緒さんすみません! 夢の中とはいえあんな! あんな……!
………………素晴らしかったです、ありがとうございます。そして申し訳ありません……。
思わずベッドの上で三角座りをし頭をうずめ……股間が気持ち悪い、シャワー行こう。
酔ってて記憶ないくせにゴムはばっちりとか罪悪感しかない。
しかしなんだあの夢。
いくら自分の夢だからって、フリーダム過ぎるだろう。
シャワーを頭から浴びながら、湯船で三角座りする。……大の男の裸三角座り、哀愁感増し増しかよちくしょう。早くお湯溜まれ。
そりゃなかなか美緒さんにちゃんとは声を掛けられてないが……ないけどあれはないだろう!
確かにメンズブラ持ってるけど、ちゃんとスポーツ用の、ボディビルダー御用達メンズブラだし。
意識高い系と思われたくないから、ジムには着けていかないし。
そもそもあんな凄いの持ってないし、着けたいと思ったこともないし。
気が付くとモノがそそり勃っていた。
ドリボムなら夢だからまだしも、リアルじゃ駄目だろうと思いつつ、頭に浮かぶのは美緒さんのことばかりで。美緒さんの視線を、手を、言葉をなぞらう。
俺、攻められ願望とかないのに、相手が茅花さんなだけでなんでも受け入れられた。というかあれもあり、ありありのありだ。最高に良かった。可愛がりたいし可愛がられたい。ドリボムありがとう。
「あっ、あっ、あっ、美緒さん! 美緒さん!」
勢いあまって湯船にぶちまけてしまいまた落ち込んだ。
誰が二度とドリボムなんてやるかバカヤロウ。
……賢者タイムは恐ろしい。
風呂から上がり、そしてスマホでなんの気なしにメンズブラを検索した。
「……へぇ~……、こういうのでも、案外安いんだな」
女性用ランジェリーは高いイメージがあるので、それがわざわざ男性用になったらさぞや高いんだろうと思っていたが。
「………………」
ちょっとポチッてみようかな。
美緒さんの、うっとりとした目や表情、撫でる手を思い出してしまった。
「いやいやいや、あれドリボムだし! 俺の欲望が見せた夢だし! いわば別人だし! 別に着ないし! これは、そう! 願掛けみたいな!?」
誰に言い訳するつもりなのか、つい声に出てしまって余計恥ずかしくなる。
でも、そう、願掛け。いいかもしれない。
着ないけど、美緒さんにちゃんと声を掛けられるように、お守りだ。着ないけどな!
……今日からスポーツタイプのメンズブラはジムに着けて行こうかな。
次はいつ美緒さんに会えるだろうか。
いつか本人に美緒さんって呼べるようになるだろうか。いや、するんだ。ちゃんとアプローチしよう。
大丈夫、俺は我が社屈指の営業マンだ。できないわけがない。
今日の予定は特にない。
このまま家にいると、昨夜の芽花さんを想ってまたモンモンとしてしまいそうだから、ジムに行って体を動かそう。
美緒さんはいつも仕事帰りに利用するのか、会えるのはいつも平日夜の遅めの時間帯だ。
俺はジムの上のマンション住みだし、営業職だからいろんな曜日と時間に利用するが、美緒さんに昼間会えた試しはない。
しかも今日は休日だし、会える確率なんてほぼほぼ0だろうが、もしかしたら会えるかもとつい期待してしまうのは仕方ないじゃないか。
そんな思いで空き時間ができればついジムに行ってしまうのも仕方ないと思う。
普段と違う時間帯にいるわけないのに、つい美緒さんを探してしまうのも仕方ないと思う。もちろん目だけ! 目だけでだよ!
いなかったらさっさと次のマシンに移動してるとか言わないで。おざなりかもしんないけどちゃんとやってるから! 1セット短くして何周もしてるだけだから!
……美緒さんのおかげでこの肉体は維持されていると言っても過言ではない。
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