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第6話 復讐の契約
しおりを挟む朝靄は刃の裏側みたいに冷たかった。
黒曜の森の奥、岩肌を舐める小川の縁で、私は手を洗った。指の節に薄く残っていた樹喰いの黒が、冷水でゆっくり剥がれていく。水面に揺れた自分の顔は、昨夜より少しだけ、炎の色に近かった。
背後で小枝が割れる。振り返らなくてもわかる。歩幅、重心、呼吸。オブシディアンだ。
彼はいつも通り、余計な音の半分を森に返して歩いてくる。肩にかけた外套からは、雨と革の匂い。瞳は黒いまま、温度を見せない。
「動けるか」
「動ける。腹も、足も、頭も」
「なら話す。――今日の稽古の前に、決め事だ」
「決め事?」
「これからの動き方。お前の火はもう“偶然”じゃない。偶然で森を歩くと、偶然で死ぬ」
「つまり、“私たち”で歩くってこと?」
「そうだ」
私たち。
言葉の音が、胸の紅玉に小さく響いた。単数形で孤立するより、複数形で走るほうが速い夜が、確かにある。
私は小川から離れ、彼の正面に立つ。「で、決め事って?」
「三つ。――いや、四つだな」
「増えた」
「森はいつも増える」
彼は指を一本立てる。
「ひとつ、互いの過去を詮索しない。必要なら、その時に必要な量だけ出せ」
「了解。私は“侯爵令嬢だった裏切られ女”という以外は、黙っておく」
「十分だ」
二本目の指。
「ふたつ、嘘をつかない。沈黙は許す。虚偽は斬る」
「きつい」
「斬る、って言った」
「冗談でしょ」
「冗談は森の外に捨ててきた」
「……わかった。沈黙はするけど、嘘はつかない」
三本目。
「みっつ、見返りは“現物払い”。借りはその日のうちに返す。命の借りは命で返す。負債は軽いほうが速い」
「わかりやすい。――そのルール、好き」
四本目。彼は少し間を置き、低く言った。
「よっつ、裏切ったら殺す。理由の質は問わない」
その言葉は、刃物の素直さで空気を切った。
私は逃げなかった。むしろ、体の中心が静まる。
「いいルールね」
「怖くないのか」
「安心する。“曖昧に殺される”のが一番嫌いだから」
オブシディアンは片眉を上げた。口角がほんの少し動く。笑う寸前の筋肉の準備運動。
「……なら契約だ」
「どうやって?」
「火の側でやる」
小川から少し離れた窪地に戻る。湿った落ち葉を払うと、昨夜の焚火の跡がまだ温度を残していた。
オブシディアンは火打石を取り出し、麻苧を膝上でほぐす。火花、息、細枝。私が学んだ通りの手順。炎がすっと立ち上がる。
私は胸の紅玉に指を添え、わずかに熱を分ける。炎の端が柔らかくなり、息を合わせるのが簡単になる。
「右手を出せ」
彼の言葉に従い、掌を差し出す。オブシディアンは短い刃を取り、私の親指の腹にほんの針先ほどの傷を作った。
痛みは小さく、赤は濃い。
彼は自分の親指にも同じ傷をつけ、焚火の上で私の指と彼の指を合わせた。火の熱が血の匂いを浮かせ、夜の残り香を押し出す。
「俺はこの国を憎んでる。王でも、神でも、正しさでもなく、“この国”という曖昧な形の怠慢ごと。――お前は何を望む」
「焼き尽くすわ。あの偽りの王国を。幸福という名札ごと」
「互いの過去は問わず、目的だけで並ぶ。いいな」
「いい」
「契約は単純なほど強い。――名を」
「ルビー・カルネリアン」
「オブシディアン」
血が火の上で温まる。指先に脈の鼓動。火と心臓が一瞬、同じ拍で打った気がした。
私は呟く。「紅玉の炎に誓う」
「夜の狩りに誓う」
指を離す。火は何も求めず、ただ見ていた。
オブシディアンが短く息を吐く。「契約、完了」
「式の割に、派手さはないのね」
「派手さは嘘を呼ぶ」
「今日のあなた、格言多め」
「契約の日はそうなる」
火を挟んで、私たちは向き合った。
これで“二人”になった。
たったそれだけのことなのに、森の深さが一段軽くなる。
「具体だ」
オブシディアンは火のそばの土に、枝で簡単な図を描いた。
王都――四角。城――尖塔の記号。城下の大通り、礼拝所、港、倉庫。
彼は王都の東側に小さな印を打つ。「ここが、俺の“目”だ。商人、密輸、人買い、衛兵の飲み場。耳は多いが、口は悪い。使える」
「私の目は――」
私は自分の記憶を辿り、別の枝で北の区画に印をつける。「王城の厨房。侍女の通用路。礼拝堂の奥の小部屋。……そして、王太子の書斎の鍵の癖」
オブシディアンが一瞬だけ目を細めた。「王の喉元、だな」
「ええ。そこに“幸福”が置いてある」
「まずは情報だ。王都に戻る前に、森で三つの準備をする」
「三つ?」
「ひとつ、火を“黙らせる”訓練。――燃えない火。匂いを出さない火。跡を残さない火」
「火を黙らせる……できる?」
「やるんだ」
「はい」
「ふたつ、合図を決める。昼の合図、夜の合図、撤退の合図。音は三つ以内。光は四回以下」
「了解。二回は東、三回は危険、四回は逃げろ――昨日言ってたやつね」
「そうだ。みっつ――“退路を先に作る”。復讐は入口より出口が難しい。出口がない計画は、ただの自殺だ」
「刺さる」
「刺してる」
私はしばらく火を見つめ、言葉を置く場所を探した。「……ねぇ、オブシディアン。あなたは、なぜそこまで国を憎めるの?」
「過去は詮索しない。決めただろう」
「詮索じゃない。確認。あなたの“憎しみ”が、私の火と同じ温度かどうか」
短い沈黙。火が乾いた枝を一つ、軽く弾く。
オブシディアンは視線をわずかに落とし、言った。
「“正しさ”に焼かれた。――それで充分だろ」
「充分」
沈黙は、嘘じゃない。
私は頷き、火の側に膝をつく。指先に意識を集める。
紅玉の中心に、そっと触れる。呼ぶのではない。触れるだけ。
火は、応える。
指先がわずかに温くなる。
私はゆっくり息を吐き、その熱を焚火に“返さず”、掌の内に回す。
火が掌で丸くなり、匂いを消し、光を薄くする。
オブシディアンが小さく頷く。「黙る火。――できる」
「できた。今のは、火が“聞き役”になってくれた感じ」
「聞く火は強い。喋る火ばかり使うと、すぐ疲れる」
「あなた、ほんとに傭兵?」
「それ以外の何に見える」
「火の教師」
「教師は金を取る」
「取ればいいじゃない」
「じゃあ、お前の“確信”を支払え」
「確信?」
「“崩れる”とお前は言う。その確信を、今ここに置け」
私は胸に手を当て、言葉を選ぶ。「――私は、彼らの幸福を崩す。その瞬間を、必ず作る。王都でも、礼拝堂でも、婚礼でも。タイミングを間違えない。人の目を最大まで集めてから、割る。割れ目は美しい。私は美しい割れ目しか作らない」
「支払い、受領」
彼は立ち上がり、腰の小袋から黒い小石を取り出した。光を吸い込む、磨かれていない黒曜石。
「印を付ける」
「印?」
「逃げ場の符。森で迷ったとき、夜で自分の足音が怖くなったとき、これを握れ。尖ってる。痛い。痛みは現在地だ」
「さっきの私の台詞、奪ったわね」
「現物払いだ」
私は笑い、石を受け取った。掌の中で、石は驚くほど軽い。けれど、言葉は重いまま乗っている。
「ねぇ、オブシディアン」
「何だ」
「契約の“おまけ”を追加していい?」
「おまけ?」
「私が“燃え過ぎたら”、あなたが止めて。私が“足りなかったら”、あなたが押して。それだけ」
「契約じゃなく、運用だな」
「どうでもいい。言葉のラベルは」
彼は火を見て、私を見て、短く答えた。「――いい」
「ありがとう」
「礼は森に言え。俺たちを一緒に殺そうとしている森に」
「皮肉」
「効率」
そのとき、森の奥で鳥が弾けるように飛び立った。遅れて、低い唸り声。
風向きが変わる。湿度が一段上がる。
オブシディアンがわずかに顔を上げる。「客だ。――契約の最初の仕事、やるぞ」
「仕事?」
「“退路を作る”だ」
彼は焚火の薪を崩し、炎を意図的に弱らせ、灰を広げて匂いを散らす。私は周囲の落ち葉を逆撫でして、私たちの匂いを分解する。
「動線は二つ。東の浅瀬、北の倒木。合図は――」
「二回、東。三回、危険。四回、逃げろ」
「よし」
私たちは視線だけで合図し、音を置き去りにして動いた。
東の浅瀬に薄い足跡を刻み、わざと石をひとつ動かして“こっちへ”と誘う偽の印を作る。北の倒木には逆向きのひっかき傷。森の住人にしか読めない“これは罠だ”の印。
数分の仕事で、ここは“通過した跡のある無価値な場所”になった。
「戻る」
焚火の場所へ戻る途中、オブシディアンが急に手を上げる。
空気が変わった。
茂みの向こうで、人の息。粗い。力任せ。二人。
私は顎で東を指す。オブシディアンが小さく頷き、指を二回、曲げて見せた。――二回、東。
私たちは音を立てない速度で、浅瀬へ流れる。水の上は匂いが薄い。
背後で、焚火のあった場所に誰かが足を踏み入れる音。声。「さっきの火だ」「女の声がした」
盗人。昨日夜に鈴で追い払った、あの質の足音。
私は水面に映る自分の目を見た。火を受け入れた瞳。
彼らが何者でも、今は“演目”の端役だ。幕間に出てきて、主役の退路を確認させる役目。
浅瀬を渡り切ったところで、オブシディアンが息だけで笑う。「合格だ」
「初仕事、簡単ね」
「簡単なうちに、数を稼ぐ」
「数、ね」
「お前は昨日、数で剣を覚えた。今日は数で退路を覚えろ。明日は数で嘘を剥がせ」
「明後日は?」
「数で“幸福”の表面を磨け。割るために」
私は笑いながら、胸の紅玉を指で軽く叩いた。
石は静かに応え、心臓はそれに追いつく。
私たちは森の陰を縫って移動し、やがて少し開けた丘に出た。樹々の間から、遠い方角に王都の塔が針のように突き出ているのが見える。
細い。高い。傲慢な線。
私はその高さに向けて、呼気の最後の一滴で言葉を押し出した。
「待ってなさい」
風が一瞬、こちらに頷いた気がした。
オブシディアンが横で腕を組む。「“幸福”を崩すには、まず“観客”を集めろ。王都は観客に溢れてる」
「集めるのは得意。演目は――炎上劇」
「演者は二人」
「脚本は私」
「演出は森」
「殺陣はあなた」
「そして、舞台の床下に退路」
「完璧ね」
「完璧はだいたい嘘だ。――だから、穴を探せ」
「了解」
陽は少し持ち上がり、雲の端が白く滲む。
契約の朝は冷たくて、静かで、冗談を許さない。
でも、心のどこかで音楽が鳴っている。
私の中の獣がそれに呼吸を合わせ、紅玉の火が拍子を打つ。
“令嬢”は舞台を降りた。
“魔女”はまだ準備中。
今の私は、その真ん中で立っている。
隣には、黒い瞳。
前には、王都の塔。
足元には、退路。
背中には、火。
「行こう、オブシディアン」
「行くぞ、ルビー」
互いの過去を語らず、ただ目的だけで結ばれた二人の影が、森の濃度に溶けていく。
契約は紙よりも、刻印よりも、燃えやすく、強い。
火の近くで交わした約束は、燃やすためではなく、燃え尽きるまで持ち歩くためにある。
それが、私たちの“復讐の契約”。
刃の上で、始まった。
日が落ちると、森は音を隠した。
鳥も、虫も、風すらも。
黒曜の森の夜は、呼吸の音さえ許さない。
その沈黙の中で、私は焚火を最小限の明かりに落とし、紅玉の熱を掌の内で確かめていた。
火はまだ新しい。
けれど、私の中ではもう“馴染み”になり始めている。
呼吸を合わせるたびに、鼓動がひとつ、火の拍に寄り添っていく。
私はこの火と一緒に、生きていくのだと――そう思うと少しだけ心が楽になる。
「ルビー」
低い声。焚火の向こうで、オブシディアンが腕を組みながら座っていた。
彼の瞳は相変わらず暗く、しかしどこか鋭い光が宿っている。
「その石……祖母の形見だろう」
「どうして分かったの?」
「火の持ち主は、火を受け継ぐ顔をしてる。あの時、お前の炎が立った瞬間……あれは“呼んだ”火じゃない。“呼ばれた”火だ」
私は少し黙り込んだ。
焚火の火が、心の奥を見透かすようにパチパチと鳴った。
「祖母は、“火は血よりも長く生きる”って言ってた。……きっと、私の中にずっと眠ってたんだと思う」
「眠っていたものは、理由があって眠っている」
「怖いの?」
「違う。眠っていたものが起きると、世界がひとつずつ壊れていく。……でも壊さないと、作れない」
「あなたも壊したの?」
オブシディアンの視線が一瞬だけ揺れた。
焚火の炎がその瞳の奥に映り、ひとつ、ゆらりと形を歪めた。
「……昔、“正しい”命令で村を焼いたことがある。王国の旗を掲げて、誇らしく燃やした。だが、燃やしたあとで気づいた。あれは“敵の村”じゃなかった。“証拠の村”だった」
息を呑んだ。
火の音が遠のき、彼の声だけが世界の中心になった。
「俺の剣は、正しさのために使われてきた。だから、もう正しさを信じない。――それが、俺の復讐だ」
「……私の火も、同じね」
「同じか?」
「ええ。私は、“愛”を信じて壊された。“正しさ”じゃなく、“愛”で。
彼は私に笑って言ったの。“君には、愛よりも義務が似合う”って」
「王太子だな」
「そう。アメジスト。あの人の言葉ひとつひとつが、今でも耳にこびりついてる。
でも――もう、その声すら火で焼ける」
オブシディアンは無言で立ち上がり、腰の剣を抜いた。
火の光が刃の面を流れ、影が地面を這う。
「剣と火。目的は同じだ。違うのは燃やす範囲だけ。
……ルビー、今ここで決めろ。お前の“復讐”は、誰に対してだ」
「彼だけじゃない。
王都の“幸福”全部。
あの偽りの聖女も、私を笑った貴族も、家族も。
誰一人、見逃さない」
「いい目だ。……その目はまだ燃えてる」
「あなたは?」
「俺はこの国ごと斬る。その中で生きてる“正しさ”という幻を、全部断ち切る」
沈黙。
けれどその沈黙は、居心地が悪くなかった。
私たちは違うようで、同じ方向を見ている。
彼は斬る。私は燃やす。
違う武器で、同じ敵を見ている。
私は小さく手を差し出した。
「じゃあ……これで正式に“仲間”ね」
オブシディアンは少しだけ眉を動かし、静かに手を伸ばす。
彼の掌は硬く、傷跡が無数に走っている。
その手を握った瞬間、火が一瞬だけ強くなった。
まるで――“契約成立”を祝福するみたいに。
「これからどうするの?」
「三日後、森を出る。南東の交易路を抜けて、廃教会に寄る」
「教会?」
「ああ。表向きは放棄された巡礼地だが、地下に古い図書庫がある。“封印の書”の写本が眠っている」
「封印の書……?」
「王家が恐れた“火の記録”。お前の一族に関するものもあるはずだ。
それを手に入れたら、火を“武器”として完全に制御できる」
「つまり、それが私の訓練になるわけね」
「そうだ。だが――」
彼の声が少しだけ低くなった。
「そこには、お前の“先祖の亡霊”が出るかもしれない」
「亡霊なんて怖くないわ。怖いのは、生きてる人間だけ」
「その答え、気に入った」
夜風が一度、火を揺らす。
炎の中に、一瞬だけ顔のような形が浮かんだ。女の顔。
祖母かもしれない。
彼女は微笑んでいた。
――“正しさに負けるな、ルビー”
そんな声が、火の中で確かに聞こえた。
「明日から、訓練を倍にする」
「倍?」
「剣も、火も。敵は王都全体だ。ゆるい鍛錬じゃ足りない」
「了解。でも……あなた、寝るの?」
「眠気は、復讐が吸ってくれる」
「私の復讐も一口ちょうだい」
「半分やる」
互いに笑った。
焚火の火がその笑いを覚え、夜空に投げ上げる。
火の粉が、まるで星座みたいに流れていく。
ふと、私は思う。
――もし、この男が敵だったら、私はきっと、彼を殺せなかっただろう。
だが今は違う。
彼は隣にいる。私の復讐を、止めるのではなく“導く”人間として。
胸の紅玉が小さく光った。
それは、契約の証。
彼と私の、共犯の印。
「オブシディアン」
「なんだ」
「これから、地獄を見るわよ」
「望むところだ」
「後悔しない?」
「後悔は、生き残った者の特権だ」
彼の笑い声は低く、静かで、火の奥で溶けた。
私はその音を胸の奥で飲み込み、呟く。
「この契約、絶対に破らない。
――焼けても、灰になっても」
「なら、俺も同じ。
――斬られても、血が乾いても」
二人の声が重なった瞬間、焚火が小さく爆ぜた。
火の粉が空へ昇り、夜の天蓋に消えていく。
その先に、王都の塔がある。
その塔の上で、私たちの復讐の炎が燃える日が――もう、始まっている。
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