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第16話 救いの檻、真エンドの出口
しおりを挟む痛みは、遅れてやってくる。
神殿で暴走を止めた瞬間は、熱に支配されていて、痛みの輪郭がぼやけていた。
でも、熱が引いたあとに残るのは、焼けた皮膚の現実と、心臓の奥にこびりつく恐怖の記憶だった。
冷却の布が何度も替えられ、レオンの手袋越しの固定が外されないまま、リリア=エヴァンスは控えの小部屋へ運ばれた。
香の煙はここにも入り込んでいて、甘さと焦げが混ざる。
吐き気がするのに、吐けない。
吐いたら、弱さが出る気がして。
「息して。浅い」
ユリウスの声が聞こえる。
冷たいのに、今は頼もしい。
彼は医者じゃない。でも理屈で命を繋ぐことができる人間だ。
「……してる」
掠れた声で返すと、ユリウスが舌打ちした。
「してないのと同じだ。循環が乱れてる」
彼は測定魔導具を覗き込み、苛立ちを噛み殺す顔をした。
「……熱傷だけじゃない。魔力反動。お前、聖具と繋げたまま組み替えたな」
「うん」
リリアは笑わない。
笑う余裕はない。痛みが笑いを許さない。
ミレイアがそばで、布を握りしめていた。
手が震えている。
でも逃げない。
昨日までの彼女なら、泣いて謝って、誰かに預けていた。
今の彼女は、泣いてもここにいる。
「ごめんね……私、何もできなくて」
「できたよ」
リリアは、痛みの合間に言葉を探す。
「真実を知りたいって言った。あれが一番効いた」
ミレイアが目を見開き、涙を落とす。
落としながら頷く。
中心が動いた。その事実が、この場の空気を変えた。
それはもう戻らない。
「……私、怖いけど、逃げない」
ミレイアが小さく言う。
リリアは頷いた。
頷くたび、手のひらがずきりと痛む。
痛みは、生きてる証拠。
でも生きている証拠が、こんなに苦いなんて。
「会議がある」
レオンが低い声で言った。
彼は扉の前に立って、外の気配を嗅いでいる。
「処罰と決着。……表向きは“事故”の処理だが、実際はお前の扱いを決める場になる」
扱い。
その言葉が、背中に冷たい水を浴びせる。
私は功績として称えられる。
でも同時に、危険物として封じられる。
この世界は、よくできている。
称賛と拘束を、同じ手でやる。
「行かないと」
リリアが言うと、レオンが眉を寄せた。
「今の状態で?」
「だから行く」
リリアは淡々と言う。
「私がいない会議は、私の首を切るための会議になる」
ユリウスが苛立ちを隠さず言った。
「お前は、どこまで頑固なんだ」
「どこまでも」
リリアは息を吐く。
吐いた息が痛みで震え、言葉が途切れそうになる。
でも途切れない。途切れさせない。
「……この世界、黙ってたら死ぬ」
ユリウスが黙り、目を伏せる。
それは同意の沈黙だ。
――会議の間は、王城の奥にあった。
白い回廊。
冷たい大理石。
窓から差し込む光は、昨日より冷たく感じる。
香の煙は薄いのに、鼻の奥に残って離れない。
神殿の焦げの匂いは、髪の内側に染みついている。
リリアは両手に包帯を巻かれ、薄い外套を羽織らされていた。
手の痛みは、脈に合わせて波になる。
波が来るたび視界が白くなる。
それでも歩く。
歩くたび、靴音が反響して、自分の存在を主張する。
会議室の扉が開くと、空気が硬かった。
長い机。
並ぶ貴族たち。
神官長。
騎士団の上層。
王城文官の代表。
そして、王太子セイル=アルヴェイン。
捕縛された文官は別室で拘束されていると聞いている。
けれど、この場の敵は“彼一人”じゃない。
彼を使った構造。
彼を許した空気。
それが机の上に座っている。
議長役の高位貴族が、咳払いをして言った。
「本日の件について、まずは――」
目が私に向く。
「リリア=エヴァンスの功績を称える声がある」
功績。
称える。
言葉は綺麗だ。
でも綺麗な言葉は、よく檻を隠す。
別の貴族が続ける。
「聖具の暴走を止め、王国の危機を防いだ」
「確かに」
「……だが」
来た。
“だが”は、鎖の合図。
「彼女の存在が秩序を乱す」
別の声。冷たい声。
「前例を作ってはならない」
前例。
この世界が嫌いな言葉。
前例がないと動けないふりをして、都合のいい前例だけは作る。
神官長が眉を寄せた。
「神殿で儀式を止めた行為は、不敬とも取れる」
取れる、って言い方が卑怯だ。
断定しないで、空気に罪を作る。
貴族たちの目が揺れる。
称賛と恐怖。
感謝と嫌悪。
その両方が混ざって、私を“扱いにくい存在”として眺めている。
リリアは理解する。
正しさだけでは生き残れない。
だから私は、正しさを“武器”として使う。
そして、武器は握られる側にはならない。
「発言を」
議長が言う。
リリアは一歩進み、包帯の手を胸の前で重ねた。
痛みで指が震える。
震えを見せないように、背筋で止める。
「私が神殿で止めたのは、儀式じゃない」
声は低い。
「暴走と、隠蔽です」
ざわめきが走る。
でもすぐに抑えられる。
抑えるのは、こういう場の慣れだ。
慣れは、腐敗の友達。
「捕縛された文官だけが腐っているわけじゃない」
リリアは続ける。
「整備記録の改竄、偽造の流通、暗殺未遂の隠蔽。複数の手が動いています。私を危険視する前に、王国の内部を危険視してください」
貴族の一人が鼻で笑った。
「小娘が国政に口を出すな」
この言葉も、前の世界で聞いた。
「新人が会社の方針に口を出すな」と同じ匂い。
リリアは笑わない。
淡々と返す。
「国政に口を出したのは、国政が私の命を狙ったからです」
空気が凍る。
言い切ると、言葉は刃になる。
刃は嫌われる。
でも嫌われる方が、私は生き残れる。
ここで、セイルが席を立った。
王太子としての立ち方。
場を制圧する立ち方。
彼の声が落ちると、空気は従う。
「リリア=エヴァンスは功績者だ。処罰ではなく保護が妥当」
そして彼は、一拍置いて言った。
「王城に残れ。私の監督下に」
監督下。
檻。
金色の檻。
外から見れば、祝福。
中から見れば、息ができない。
リリアは首を振った。
「監督されるくらいなら、追放の方がマシ」
ざわめきが爆ぜる。
「なんて傲慢な」
「王太子の温情を」
「身の程を知れ」
温情。
温情という名の拘束。
それを拒んだら、私は傲慢になる。
この世界のルールはいつもそうだ。
セイルの瞳が揺れる。
昨日の夜の“痛み”がまた顔を出す。
でも彼は王太子として言う。
「王城にいれば守れる。君は危険に晒されすぎている」
「守るって言葉の中身が問題」
リリアは静かに返す。
「あなたの守り方は、囲い込み」
セイルの唇が、わずかに震える。
否定できない震え。
ユリウスが苛立ちを隠せず、机を指で叩いた。
「君はどうして、救われる道を選ばない」
救われる道。
金色の檻。
保護という名の監禁。
誰かの監督下で生き延びる人生。
前の世界で私は、その手の“救い”を何度も差し出された。
「君が折れれば丸く収まる」
「君が我慢すれば終わる」
そうやって私の人生は、丸く削られていった。
リリアは静かに返す。
「救われるって言葉の裏に、“従え”があるから」
ユリウスの顔が歪む。
悔しさと、納得と、救えなかった苛立ち。
彼は理屈で人を救えると思っている。
でも、理屈が救いになるには、相手が理屈で殺される状況じゃないといけない。
「従うことが生存だ」
貴族が言う。
「王国は秩序の上に成り立つ」
「秩序って、誰のため?」
リリアは問い返した。
「犠牲になる側の秩序は、ただの押し付けです」
またざわめく。
でも、ざわめきの中に“揺れ”が出ている。
ミレイアが中央に立ち、真実を望んだ。
その余韻が、まだ空気に残っている。
完全には戻れない。
それでも、王国は真実を飲み込めない。
だから、落とし所を探す。
落とし所は、たいてい“誰かの檻”だ。
議長が言う。
「妥協案として――王城の監督下で保護。学園への復帰は保留。今後の処遇は再協議」
つまり、決めないふりをして閉じ込める。
時間稼ぎの檻。
リリアは口を開こうとして、痛みが波のように来た。
手のひらが燃える。
視界が一瞬白い。
それでも、言葉は折らない。
「私は檻に入らない」
「では、どうする」
議長が苛立つ。
リリアは答えた。
「私が安全に動ける場所を、私が作る」
空気が止まる。
“自分で作る”を許さない世界が、この場だ。
その時、会議室の端で小さな声がした。
「……君、ほんとに真エンド狙ってるね」
エリオット。
いつの間に入ったのか、壁際に寄りかかっている。
場に似合わない軽い声。
でも、その軽さは時々、真実を運ぶ。
リリアはエリオットを見る。
小さく頷いて答える。
「うん。誰のルートでもないやつ」
セイルの目が痛んだ。
ユリウスが目を伏せた。
レオンが拳を握る。
ミレイアが、唇を噛む。
それぞれの“守りたい形”が違うから、痛む。
議長が言う。
「戯言を……」
「戯言じゃない」
リリアは静かに言った。
「私はもう、選ばれる役じゃない。選ぶ役です」
会議は、結局“即時処罰”にはならなかった。
文官の罪が重すぎて、私を処刑するには筋が悪い。
でも“保護という檻”を押し付けようとしてくる。
それが今日の決着。
勝ったのに、勝ちきれていない。
世界が私を受け入れる準備がないまま、私を囲い込もうとする。
会議室を出た廊下で、セイルが追いついてきた。
護衛の影が遠い。
彼の声は低い。
「……君は、本当に王城を拒むのか」
「拒む」
リリアは即答する。
「王城に残れば、私の言葉は“許された言葉”になる。許された言葉は、いつか取り上げられる」
セイルの唇が揺れる。
彼は言いかけて、言い直す。
「君が危ない」
「私は危ない場所で戦ってる」
リリアは淡々と返す。
「危ないから檻に入るなら、最初から戦わない」
セイルが黙り、拳を握った。
それは怒りじゃない。
制御できないものを抱えた人間の焦り。
ユリウスが後ろから追いつき、低い声で吐き捨てた。
「……面倒な女だ」
「知ってる」
リリアは返す。
「面倒じゃないと、生き残れない」
レオンが小さく言った。
「俺は……君が檻に入るのは嫌だ」
「ありがとう」
リリアは言った。
「でも、“嫌だ”を理由に私を縛らないで。それは優しさじゃなく、所有になる」
レオンの目が揺れ、頷く。
真っ直ぐな人は、理解した瞬間にちゃんと受け止める。
その受け止め方が、救いじゃなく信頼になる。
ミレイアが、そっと近づいてきた。
目は赤い。
でも、逃げない目。
「リリアさん……私、怖い。でも、あなたが檻に入ったら、また見ないふりに戻りそう」
リリアはミレイアの肩に手を置いた。
包帯の手が痛む。
痛むけど、その痛みが“繋がってる”証になる。
「戻らないで」
リリアは静かに言う。
「あなたは見届ける人になった。……ここで戻ったら、また誰かが犠牲になる」
ミレイアは頷く。
涙が滲むのに、笑顔で誤魔化さない。
それだけで、彼女はもう“正ヒロイン”じゃなく“一人の人間”だ。
廊下の窓の外、王城の庭が白く光っている。
白は綺麗だ。
でも白は、時々、檻の色でもある。
リリアは、その白を背にして歩き出した。
手のひらは焼けている。
世論は割れている。
王城は私を囲いたい。
それでも。
私は、誰のルートでもない真エンドを選ぶ。
選ばれるためじゃない。
自分の人生を、自分の足で終わらせないために。
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