3 / 20
第3話:ルゥシェ登場、「生きたい?」
しおりを挟む落ち葉の下の光は、火じゃなかった。
火って、揺れるとあったかいのに、これは揺れても冷たい。
冷たいのに、目が離せない。まるで“見られている”ことそのものが熱になって、背中から汗が滲む。
セリアは泥に膝をついたまま、息をするのが下手になっていた。
吸うと胸が痛い。吐くと、声になりそうで怖い。
目の前の光は、葉の隙間からじわりと膨らんで、輪郭を持ち始める。
「……生きたい?」
さっき、頭の内側に落ちた問い。
音じゃないのに、鼓膜に残っているみたいに消えない。
生きたい。
そんなの、当たり前じゃない? って言いたい。
でも言えない。なぜか。
“当たり前”を、あの玉座の間で剥ぎ取られたから。
生きる権利は、私のものじゃなくて、誰かから与えられるものだって顔で言われた。
だから今、問いとして差し出されると、答え方が分からない。
光は、ゆっくりと葉を押しのけて浮かび上がった。
落ち葉がふわりと舞い、湿った土に静かに落ちる。
そこに現れたのは――
小さな、ひとの形。
背丈はセリアの膝くらいしかないのに、存在感だけは刺さるほど強い。
髪の色は月光みたいに薄く、でも触れたら冷たそうではなく、柔らかい毛糸みたいな質感に見える。
服は森の影と同じ深い色で、光る糸が縫い込まれているみたいに時々きらっとする。
そして目。
目だけが、嘘を許さない硬さで、セリアの心臓をまっすぐ撃ち抜いてくる。
「……妖精?」
セリアはやっと声を絞り出した。
それは首を傾けた。
仕草が軽い。なのに、舌先は鋭い。
「そう。妖精。人間の言葉だとね」
声は中性的だった。男でも女でもない、透明な高さ。
けれど、そこに混ざる笑い方は少し意地悪だ。
「君、見えてるんだ」
妖精はセリアをまじまじと見てから、ふっと口角を上げた。
「へぇ。追放されてきた人間、だいたい視線が死んでるんだけど」
追放。
その単語を、こんなに軽く言われると、逆に胸が痛い。
セリアは唇を噛んだ。泥の味がする気がした。
「……あなた、誰」
「名前、欲しい?」
妖精は笑って、胸に手を当てた。
芝居がかった仕草なのに、嫌味がない。
いや、嫌味はある。けど、妙に素直だ。
「ルゥシェ」
短く名乗る。
「ルゥシェ。君は?」
「セリア」
言いながら、胸が少しだけ落ち着く。
名前を呼ばれるって、それだけで“人間扱い”される感覚がある。
城では、混入者って呼ばれた。余計って呼ばれた。
ここでは、セリアって言っていい。
「セリア」
ルゥシェがその名を口の中で転がすように言った。
「ふぅん。悪くない。薄いけど」
薄い?
セリアは眉をひそめた。
「薄いってなに」
「味」
ルゥシェは当然みたいに言う。
「人間ってみんな味があるんだよ。欲とか、虚勢とか、嘘とか。君は……薄い。変」
変。
また変って言われた。
でも、今度は嫌じゃない。
少なくとも“余計”よりはマシだ。
セリアは立ち上がろうとした。けれど足が震えて、すぐに身体がぐらつく。
空腹と寒さと恐怖が一緒くたになって、体の芯が折れそうだった。
ルゥシェは、その様子をじっと見ている。
助けない。
だけど放っておかない目。
「立てる?」
「……立てる」
セリアは強がって言った。
強がらないと、崩れる。
崩れたら、泣く。
泣いたら――負ける。
ルゥシェは小さく笑った。
「人間って、捨てられるとすぐ泣くのに。君は泣かないんだね」
その言葉に、セリアの胸がきゅっと縮んだ。
泣きたくないわけじゃない。
泣けないだけ。泣いたら何かが終わる気がするだけ。
「泣いてもいいよ」
ルゥシェは言う。軽い声で。
でも目は軽くない。
「泣いたら負け、みたいな顔してる。誰が決めたのそれ」
セリアは息を飲む。
誰が決めた?
あの玉座の間だ。
あの視線だ。
あの“ゼロ”だ。
でも、そんなの言葉にしたら、自分が惨めになる。
惨めさを口にしたら、ほんとうに自分が惨めな存在になるみたいで怖い。
セリアは口を開いて、閉じた。
喉が熱い。
目が痛い。
涙が出そうで出ない境界に、ずっと立たされているみたいだ。
ルゥシェは、その沈黙を急かさない。
森の音だけが間を埋める。
遠くで獣が動く音。
風が葉を揺らす音。
湿った土が呼吸しているみたいな、重い静けさ。
「ここ、危ないよ」
ルゥシェが言った。
「君、人間の領域から来たんでしょ。境界って、ちゃんと線が引かれてるわけじゃないからさ。踏み外すと――」
言いかけて、ルゥシェは口をつぐんだ。
踏み外すと、どうなる?
聞きたい。
でも、聞いたら怖さが形になりそうで、セリアは首をすくめた。
「……私、帰りたい」
絞り出すように言うと、声が幼くなる。
「元の世界に戻りたい。ここに来たくて来たわけじゃない」
ルゥシェは瞬きした。
「戻りたいんだ」
「うん」
「じゃあ、戻れるといいね」
ルゥシェの声は淡々としていて、同情がない。
それが逆に優しい。
同情されたら、セリアは惨めになる。
淡々としているから、“ただの事実”として受け止められる。
「でもさ」
ルゥシェが続ける。
「戻る前に死んだら、戻れないよね」
セリアの背筋が凍った。
死。
その単語が、この森では現実の重さを持っている。
城の中で「追放」と言われた時は、まだどこか現実感が薄かった。
でも今は違う。冷たい泥が膝につき、獣の声が遠くで鳴いていて、夜は深い。
セリアは乾パンの残りを握りしめた。
指が震えて、粉が落ちる。
「……怖い」
ぽつりと漏れた。
言うつもりじゃなかったのに。
ルゥシェは笑わない。
「そりゃ怖いよ。怖くない人間なんて、もう死んでる」
さらっと言って、セリアの目を見た。
「だから聞いたんだ」
「……なにを」
「生きたい?」
またその問い。
さっきより近い。
さっきより重い。
まるで扉の取っ手みたいに、握ったら先が変わる問い。
セリアは答えを探して、喉の奥が痛くなる。
生きたい。
それは本能。
でも、今は本能だけじゃ足りない気がした。
ここでは、言葉で“意思”にしないといけない。
誰も救ってくれないから。
セリアの脳裏に、玉座の間が浮かぶ。
あの水晶。
光らなかった霧。
失笑。
若い男の「誤差だろう」。
王の「余計なもの」。
あれが“正しい世界”なら、私は生きていたくない。
でも、ここで死んだら、あれが正しくなってしまう。
私が「余計」だったという結論で終わってしまう。
それが、死ぬより嫌だった。
セリアは唇を噛んで、息を吐いて、やっと言った。
「……生きたい」
声は小さい。
でも、嘘じゃない。
泣きそうな声なのに、泣かない声。
その瞬間。
空気が、薄く震えた。
風が吹いたわけじゃない。
葉が揺れたわけでもない。
ただ、“世界の膜”が一枚だけ震えたみたいに、空気がふわりと波打つ。
胸の奥が熱い。
心臓の真ん中に、火種みたいなものが落ちた感覚。
熱いのに痛くない。
痛くないのに、涙が出そうになる。
「……あ」
セリアは思わず自分の胸に手を当てた。
そこに何かがある。
言葉にならない“何か”が、確かに芽を出した。
ルゥシェの瞳の光が、少しだけ変わる。
観察の目から、確信の目に。
「うん」
ルゥシェは頷いた。
「じゃあ、契約」
「け、いやく……?」
セリアは聞き返す。
紙? 署名? 血?
そういう怖い儀式が頭をよぎる。
ルゥシェは肩をすくめた。
「紙なんかいらないよ。人間ってすぐ紙に縛られたがるけどさ。こっちはもっと――直接」
直接。
その言葉の意味を理解する前に、ルゥシェが一歩、近づいた。
小さな手が、セリアの胸元のあたりへ伸びる。
触れられる、と思った瞬間、セリアの肌が粟立つ。
でも怖さじゃない。静電気みたいな、鳥肌。
ルゥシェの指先が、セリアの心臓の近くを軽く叩く。
コン、と音がした気がした。
実際の音じゃない。感覚の音。
そして――
セリアの中に、別の感情が流れ込んできた。
孤独。
それは冷たい水じゃない。
むしろ乾いた砂みたいだった。
喉が渇くのに、水がどこにもない。
誰かに触れたいのに、触れたら消えてしまう。
そんな、長い長い孤独。
「……これ」
セリアは息を呑む。
「ルゥシェの……?」
ルゥシェは笑わない。
目が真剣だ。
「うん。僕の」
次に、セリアの中の感情が、逆向きに流れ出す。
拒絶。
追放された時の、あの感覚。
「ここにいないで」
「あなたは不要」
言葉じゃなくて、空気で押し返される感覚。
自分が透明になっていく怖さ。
それがルゥシェに触れた瞬間、ルゥシェの顔が一瞬だけ歪む。
「……っ」
ルゥシェが小さく息を吸った。
痛いのか、苦いのか。
セリアの胸がきゅっと締まる。
自分の痛みが誰かを刺したのが、妙に怖い。
「ごめ……」
謝ろうとした。
ルゥシェは首を振った。
「謝らなくていい。これは共有だから」
淡々と言う。
でもその声の奥に、ほんの少しだけ、人間みたいな温度が混ざっている。
孤独と拒絶が、重なる。
二つの痛みがぶつかって、輪郭を持つ。
ぼんやりしていた苦しさが、「これ」と指差せる形になる。
形になると、少しだけ扱える。
少しだけ、抱えられる。
セリアは涙が出そうになって、喉を鳴らした。
ルゥシェの孤独は、セリアの拒絶と同じ匂いがした。
誰にも選ばれない匂い。
どこにも属さない匂い。
「……なんで」
セリアは震える声で言った。
「なんで、私に」
ルゥシェは少しだけ目を細めた。
その表情は子どもっぽくて、でも古い。
「君が、嘘ついてないから」
「嘘……?」
「生きたいって言った時」
ルゥシェが言う。
「人間はさ、だいたい『助けて』って言う。泣いて、縋って、誰かに投げる。君は違った。生きたいって言った。自分で持った」
セリアは言葉が出ない。
自分では必死だっただけだ。
でも、ルゥシェにはそれが“選べる人間”に見えたらしい。
「それに」
ルゥシェは少し間を置いて、視線を逸らした。
「僕も、退屈してた」
退屈。
そんな軽い言葉で言うのに、胸の奥の孤独は重い。
セリアはその矛盾が、ルゥシェの真実だと感じた。
契約の熱は、まだ胸の奥で燃えている。
あったかい。
あったかいのに、世界はまだ夜で、森は危険で、何も変わっていない。
それでも、たった一つ、変わったことがある。
私は今、ひとりじゃない。
「……ルゥシェ」
セリアは、名前を呼ぶ。
呼んでいいんだ、と思う。
ルゥシェは軽く笑った。
「なに」
「私……どうしたらいい?」
頼りたくないのに、頼りたかった。
矛盾が胸で跳ねる。
ルゥシェは肩をすくめて言った。
「まず、死なない。次に、歩く。君の足で」
それから、少しだけ声を落とした。
「……僕は、隣にいる。命令はしない。助けるけど、導かない。それが契約」
導かない。
その言葉が、セリアには不思議と救いだった。
誰かに道を決められるのは、もう嫌だ。
だから“隣にいる”がいい。
セリアはゆっくり頷いた。
胸の熱が、心臓の鼓動と同じリズムで脈打つ。
まるで新しい心臓が一つ増えたみたいに。
遠くで獣がまた鳴いた。
森はまだ怖い。
境界はまだ危うい。
でも、さっきより少しだけ、闇の色が薄い気がした。
ルゥシェがふっと指を鳴らすと、周囲に小さな光がいくつも浮かび上がる。
それは炎じゃない。
星の欠片みたいな光が、道を照らす。
「行こ」
ルゥシェが言う。
「ここは境界のど真ん中。人間の匂い、目立つよ」
「人間の匂い……」
セリアは苦笑した。
「私、臭いの?」
「臭い」
ルゥシェは即答した。
「弱さと、恐怖と、あと……ちょっと意地。全部混ざってる」
意地。
セリアはその言葉に、少しだけ笑ってしまった。
笑うのは負けじゃない。
生きたいって言った。
今は、それだけでいい。
「じゃあ、消臭できる?」
セリアが冗談っぽく言うと、ルゥシェは目を丸くしてから、口角を上げた。
「できるけど」
「けど?」
「今の君の匂い、嫌いじゃない」
さらっと言って、ルゥシェは先に歩き出す。
その背中は小さいのに、妙に頼もしい。
セリアは立ち上がる。
膝の泥を払う。
足はまだ震えている。
でも、踏み出せる。
胸の奥で熱が言う。
生きたいって言ったんだろ。
じゃあ、生きろ。今ここで。
セリアはルゥシェの後ろを追って、境界の森の闇へ踏み込んだ。
契約の熱を胸に抱いたまま。
2
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
家族の肖像~父親だからって、家族になれるわけではないの!
みっちぇる。
ファンタジー
クランベール男爵家の令嬢リコリスは、実家の経営手腕を欲した国の思惑により、名門ながら困窮するベルデ伯爵家の跡取りキールと政略結婚をする。しかし、キールは外面こそ良いものの、実家が男爵家の支援を受けていることを「恥」と断じ、リコリスを軽んじて愛人と遊び歩く不実な男だった 。
リコリスが命がけで双子のユフィーナとジストを出産した際も、キールは朝帰りをする始末。絶望的な夫婦関係の中で、リコリスは「天使」のように愛らしい我が子たちこそが自分の真の家族であると決意し、育児に没頭する 。
子どもたちが生後六か月を迎え、健やかな成長を祈る「祈健会」が開かれることになった。リコリスは、キールから「男爵家との結婚を恥じている」と聞かされていた義両親の来訪に胃を痛めるが、実際に会ったベルデ伯爵夫妻は―?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる