公爵家を追い出された地味令嬢、辺境のドラゴンに嫁ぎます!

タマ マコト

文字の大きさ
9 / 20

第9話 辺境の村へ

しおりを挟む
吹雪は夜のうちに走り去り、朝は嘘みたいに静かだった。砦の上空は薄い青に透け、山の稜線が紙の切り絵みたいにくっきり立っている。ローザは窓辺の覆い布をめくり、芽の寝息を確かめてから外へ出た。土は冷たいが、指に触れる弾力は昨日よりたしかだ。

「行くぞ」

 回廊の影からカイゼルが現れた。灰の上衣、銀の瞳。肩に薄い毛皮を一枚ひっかけ、手には細い巻物。

「村の跡……じゃない、村そのもの?」

「“跡”と“もの”の中間だ。冬越しの最中で、手が足りん。見に行くなら、今のうちだ」

「私も働ける?」

「期待はしない。が、邪魔はするな」

「期待されない方が、案外がんばれるの」

「面倒な花嫁だ」

「仮の、ね」

 鉄の従者が二体ついてきた。護衛なのか荷役なのか、目的を問うても答えはない。ただ一定の距離で雪を分け、道の凹凸を先に踏んでならす。砦の門を抜けると、空気が一段階鋭くなり、肺の奥が目を覚ます。山肌を斜めに降りる細道は、夜のうちに吹き溜まりができていた。カイゼルが前を行き、ローザはその歩幅に合わせる。足跡が二列、無言の会話みたいに続く。

 谷に下るほど、風は弱まり、かわりに人の匂いが混じり出す。煙、獣脂、干した草、火の灰。やがて見えてきたのは、岩に貼りつくように立った小さな家々。木と石を積んだ壁、歪んだ屋根。中央に広場。凍った井戸。手桶の縁に古い布が巻かれ、手に触れる場所だけは磨かれている。

「グレイリッジの麓、ハーラ村だ」

 カイゼルは立ち止まり、低く告げた。広場にいた男たちの目がこちらを掠め、すぐさま逸れる。女たちは腕に抱いた子の頬を覆い、戸口の影へ消える。祈りの囁き声が風に混じる。竜は災い、竜は守り、竜は遠い。どの言葉も、同じ口から生まれる。

 最初に近づいてきたのは、樫のように固い背中の老人だった。井戸の脇に立ち、杖で氷を軽く叩いてから、体をこちらに向ける。目は細いが、細さの奥に火がある。

「領主様のお出ましか。冬に降りてくるとは珍しい」

「珍しさは好物だろう、ミルド」

 カイゼルはわずかに顎を動かして挨拶を返す。

「客を連れてきた」

 老人――ミルドはローザを頭から靴先まで見て、視線を戻した。

「王都の色。ここではよく目立つ」

「色を変えるのが早い土地だと聞きました」

 ローザが言うと、ミルドはふっと鼻で笑った。

「口が回る娘だ」

「手はもっと回ります。土があれば」

 短い応酬の間に、子どもが一人、指をくわえて近づいてきた。肩までの髪、擦り切れたマント。ローザが腰を落とすと、子どもは一歩だけ後ろへ跳ね、でも目だけはこちらを見ている。

「名前、教えてくれる?」

「……テオ」

「テオ。きれいな名前ね。寒くない?」

 テオは首を横に振ってから、ちらりとカイゼルを見上げ、また目を逸らした。彼の背で母親らしき女性が睫毛を震わせ、祈りの形に手を組む。

「わたしはローザ。王都から来たけど、ここに根を下ろしたくて」

「根?」

「うん。土に挨拶する根。風の入口っていう小さな庭を、砦に作りかけてるの」

 テオは意味が分かったのか分からないのか、鼻をすするだけだったが、その鼻すする音に、近くの家から咳の音が応えた。浅くて、早い。冬特有の喉のうなり。ローザは反射的に立ち上がり、ミルドの方を見た。

「薬草、小屋はありますか?」

「春になれば畑の端に。冬は倉に少し。何をする」

「ハーブで喉を楽にする飲み物が作れるはず。タイム、セージ、乾いたリンゴの皮があれば」

「タイムは祈りの束に使う」

 と背後から別の女が言った。

「病に使うとは」

「祈りと薬は仲がいいの。両方、温度を上げるから」

 村人たちの視線が一斉にカイゼルへ流れる。彼が何も言わないと見るや、ミルドは杖で地面を二度付き、顎で倉を示した。

「ついて来い。娘、手を洗えるか」

「もちろん」

 倉の中は冷たく乾いていて、壁際に束ねられた草と、丁寧に包まれた布袋が積まれていた。ローザは手をすすぎ、指の水気を払ってから、束を一本ずつ鼻に近づける。香りは嘘をつかない。タイムは薄いが生きている。セージは灰の匂いを吸っている。リンゴは皮が少ない。かわりに蜂蜜が少し。十分だ。

 外に出ると、カイゼルがいつの間にか大鍋と水を用意していた。鉄の従者が火床を組み、手際よく火を起こす。火の上に鍋が乗り、やがて小さく湯が踊る。ローザは草をちぎって落とし、蜂蜜を木匙でひとすくい。湯気に甘さが混ざると、村人の肩の力が少しだけ落ちたのが分かった。

「一口ずつ。熱すぎないように」

 最初の椀をテオに渡し、次に咳の聞こえた家の女へ。彼女の指はひどく冷え切っていて、椀の熱を逃がす間もなく抱き締める。口をつけ、喉の奥で小さく息を漏らす。

「……温かい」

「タイムは勇気。セージは救い。名前は灯り。冬はすぐ暗くなるから、灯りを足すの」

「言葉が上手ね」

「言葉だけじゃなく、効きますように」

 次々に椀が渡り、縁についた蜜が唇の端に光る。子どもが「甘い」と笑って、背後で母親の眉間がやっとほどけた。ローザは鍋の火を見張りながら、空になった椀を受け取っては温水で軽くすすぎ、また配る。作業は単純で、終わりがある。終わりのある作業は、恐れを小さくする。

「領主様」

 ミルドがカイゼルに向き直った。

「娘は“庭を作る”と言う。冬の庭など笑い話だが、笑いは火種にもなる」

「火は見る者のものだ」

 カイゼルは静かに返した。

「わたしの砦に、風の入口がある。春までに、畝をひと筋増やす」

「領主様の手で?」

「手を出すと壊す。娘に任せる」

 周囲にざわめきが走る。竜が“任せる”と言った。それは祝詞にも呪いにもならない、ただの事実。だが、事実は地面を少しだけ柔らかくする。

「井戸の石が欠けてる」

 ローザがふと口にした。井戸の縁、手を置く位置に亀裂。指先で触れると、寒さで膨らんだ石がいまにも剝がれそうに浮いている。

「ここを布で巻いて、上から木を噛ませた方がいい。手が切れるから」

「冬の間、気を付けてはいたが、子どもが手を出す」

 とテオの母が言う。

「布、余ってる?」

「寝具に使うのがやっと」

「砦から持ってくる」

 カイゼルが短く言った。鉄の従者が即座に動き、荷のひとつを解く。古い毛布の端、麻紐、薄板。ローザはそれを受け取り、膝をついて巻き始める。毛布の端はほつれているが、手に優しい。麻紐を堅結びにし、薄板で押さえる。作業の間、カイゼルは何も言わない。ただ、彼女の指が迷う前に影を動かして風除けを作る。その無言の配慮を、村人は“厳しさ”と同じ棚にそっとしまった。まだ“優しさ”には出来ない。けれど、棚は近い。

「領主様、祈り場へ」

 ミルドが顎で指した。村の端、雪に半ば埋もれた石の輪。中央に灰。古い灰は神話のように冷えている。

「こんな日に?」

「こんな日だからだ。人は怖い時ほど言葉を重ね、竜は怖い時ほど言葉を減らす。中ほどで落ち合わねば」

 カイゼルはわずかに眉を動かし、輪に近づいた。ローザはその背を追う。輪の周りには何本かの木の柱。上部に布が結ばれ、風向きを示している。ローザが見上げると、布の揺れは弱く、霜のきらめきだけが音の代わりに震えていた。

「この輪は、昔、雨を呼ぶ合図に使った」

 ミルドが輪の外側から言った。

「竜に捧げる穀。人に返る雨。今は穀がない。雨は……たぶん、上に止まっている」

「止めてない」

 カイゼルの返しは短い。

「ただ、約束と通り道が壊れた」

「通り道?」

 ローザが問うと、ミルドが杖で空を差した。

「言葉の道だよ、お嬢ちゃん。昔は竜に話しかける言い回しが、家ごと、畑ごと、井戸ごとにあった。今は王都の言葉ばかりで、山の言葉が薄くなった。薄くなると言葉は滑り、届かない」

「わたし、山の言葉、知らない」

「なら、畑の言葉を話せ」

 ミルドは言い、杖で地面をとん、と叩いた。

「手を汚し、手で話せ。春は、手の側に付く」

 ローザは輪の縁に膝をついて、灰を指で崩した。灰の層の下に、焼け残った小石があって、指にざらりとした感覚を与える。火があった場所は、熱が残る。熱は嘘をつかない。彼女は掌を灰に押し付け、額をわずかに下げた。祈りと作業の中間。中間でよい。

 そのとき、広場の向こうから怒声が上がった。

「竜の妻だと? 祟りを連れてきたのか!」

 声の主は若い男だった。頬はこけ、目は熱に濡れている。腕には小さな子。子の額は赤く、呼吸が浅い。寒気と咳と、恐れが混じる目の光。

「やめろ、ゲル」

 ミルドが止める。

「口を慎め」

「慎めるか! 妹が寝込んでるんだ。竜のせいだ。山のせいだ。王都の噂は本当だった。竜は人を喰う。まず心から」

 カイゼルの周りの空気が一瞬で冷えた。銀の瞳がわずかに細くなる。ローザは間に入った。立つ、ではなく、膝の位置のまま掌を見せる。

「子を、見せてもらえる?」

「触るな!」

「触れずに見る。見るだけ」

 ゲルは迷い、子の咳が決断を押した。ローザは距離を保ったまま、子の唇の色、指先の冷え、胸の上下を確かめる。熱はある。喉の音は荒いが、肺は浅くはない。今、必要なのは熱と、湿り気。

「水を」

 ローザが言うと、テオの母が桶を持って駆けてきた。彼女は布を絞り、ローザに渡す。ローザはそれを鍋の湯気で温め、ゲルに渡した。

「子の首元に当てて。熱が怖がらないように、温かい水で薄く湿らせた布を替えていく。蜂蜜を薄く舐めさせて。咳は悪者じゃない。出したいものを出しているだけ。止めないで」

「……本当にそれで」

「全部は救えない。でも、今夜を越える助けになる。朝、霧が上がる頃、もう一度来る。薬草を畑に仕込む準備も始めたい」

「畑?」

「薬草園。春の前に土を柔らかくしておけば、芽は早い」

 ゲルはなおも疑いの目を向けていたが、子が布の温かさに力を抜くのを見ると、歯を食いしばって頷いた。

「……やってみる」

 カイゼルは何も言わなかった。ただ、ローザの横顔を一度だけ見て、目線を谷に投げた。その目線は「牙」と「居」の中間。硬さと、居場所の温度が、少しの間だけ混ざる。

「場所を借りたい」

 ローザは広場の片隅、雪から顔を出している黒土の地を指した。

「ここに小さな畝を。タイム、セージ、カモミール。春の前に根を休ませる場所を作る」

「好きにしろ」

 ミルドが言い、そして付け加えた。

「好きにするなら、責任を持て」

「二度目だ、それ」

 カイゼルがぼそりと漏らし、ミルドはにやりと笑った。

「大事なことは二度言う」

 鉄の従者が板と簡易の鍬を運び、ローザは手袋を締め直した。雪をどけ、土の表層を起こし、石を拾い、手で砕いた。手の中で土が音を変える。凍土の硬い音から、空気の混じる音へ。村の子らが近寄り、足元で丸石を集めて小さな囲いを作り出す。テオが一番真剣だ。指が赤くなるのも忘れて、石を選ぶ目が生きている。

「上手」

「これ、庭?」

「うん。“庭の端っこ”。端っこから真ん中は、あとからやって来る」

 畝が一本、雪の真っ白の上に黒い線として現れる。誰かが「冬なのに……」と呟き、別の誰かが「冬だからだ」と返す。言葉は風に乗り、風は山に当たり、形を少し変えて戻ってくる。戻ってきた言葉に、ほんのわずか、温度が増している。

 日が傾く。鍋の底が見え、咳の音はさっきより湿りを得た。ローザは最後の椀をミルドに差し出し、息を整える。手は泥と蜜の匂いでいっぱいだ。嫌いじゃない。王都の香水よりずっと、まっすぐに胸に落ちる。

「戻るぞ」

 カイゼルが言う。日が落ちてからの谷道は危ない。ローザは頷き、手を洗ってから一人一人に会釈した。テオが裾を引っ張る。

「また来る?」

「来る。明日も、明後日も。芽が出るまで、その先も」

「じゃ、石、もっと集める」

「頼もしい庭師」

 ゲルはまだ硬い顔だったが、子の額に布を当て直しながら、短く礼をした。ミルドは杖で地面を一度叩き、「畑の言葉、悪くない」と言った。祈りの輪の布が、夕風でわずかに揺れる。揺れの音は小さく、でも確かだ。

 砦への登り道、空気は再び鋭くなる。ローザは歩きながら、掌をこすり合わせた。冷えは骨に来る。しかし骨は、火と、作業と、誰かの呼吸で温まる。

「……見ていたな」

 沈黙の途中で、カイゼルが言った。

「何を?」

「人の目の動き。怖れと、祈りと、疑い。お前は正面からは受けず、斜めで受けた」

「斜めの方が、体が倒れにくいの。真正面で受け止められる日は、いつか来る」

「来るのか」

「来させる」

 彼は笑わない。笑わないが、笑わないことが少しだけ柔らかい。稜線の向こう、空の色が藍に深まる。砦の灯が一つ、二つ、点る。風の入口の覆い布が、彼らを待つように影を揺らしていた。

「明日は、畝をもう一本」

「冬に畝ばかり増やしても、種が足りん」

「種はある。王都から連れてきた“挨拶”。そして……」

「そして?」

「今日もらった“返事”。温かい椀のあとに返ってきた、あの目の光。あれは、春より少し早い」

 カイゼルは歩みを緩め、砦の門前で空を見上げた。銀の瞳が、夜になる前の色を一瞬だけ映す。彼は低く言った。

「――見張るのは、居場所のためだけではないらしい」

 門が開く。鉄の従者が無言で道を開け、風がふたりの間を通り抜ける。冷たいが、さっきより刺さらない。ローザは胸の奥で芽の寝息を思い出し、掌を握った。掌の中では、今日の土と蜂蜜と、いくつかの名前が、静かに混ざっている。

 辺境の村は、祈るように息をしている。竜の砦は、見張るように息をしている。二つの呼吸の間に、小さな庭の入口が開いた。そこを往復する歩幅が、やがて「道」と呼ばれるようになる。その始まりの一日が、雪を踏む靴裏に薄く刻まれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される

希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。 ​すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。 ​その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

追放された聖女は、辺境で狼(もふもふ)とカフェを開く

橘 あやめ
ファンタジー
――もう黙らない。追放された聖女は、もふもふの白狼と温かい居場所を見つける―― 十二年間、大聖堂で祈り続けた。 病人を癒し、呪いを祓い、飢饉のときは畑に恵みの光を降ろす。 その全てを、妹の嘘泣きひとつで奪われた。 献金横領の濡れ衣を着せられ、聖女の座を追われたアーシャ。 荷物は革鞄ひとつ。行く宛てもない。 たどり着いた辺境の町で、アーシャは小さなハーブティーのカフェを開くことに。 看板は小枝の炭で手作り。 焼き菓子は四度目でようやく成功。 常連もできて、少しずつ「自分の居場所」が生まれていく――。 そんなカフェに夜ごと現れるのは、月光のように美しい銀色の狼。 もふもふで、不愛想で、でも何かとアーシャのことを助けてくれる。 やがて、穏やかな日々を壊しに――妹が現れる。 ※追放聖女のカフェ開業もの(もふもふつき)です!ハッピーエンド!

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので

eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」 勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。 しかし、勇者たちは気づいていなかった。 彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。 アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。 一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。 そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……? 一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。 「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」 これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。

処理中です...