6 / 20
第6話 練達の花嫁修行
しおりを挟む最初の朝は、鐘ではなく羽音で始まった。天蓋の上を何かが走り、星粉をぱらぱらと降らせる。寝台から半身を起こすと、細い足の守護獣が三匹、まるで糸で編まれた狐みたいに尻尾を揺らしていた。瞳はガラス玉、舌は月光。ひとつが私の枕元まで来て、胸の鼓動に耳を当てるふりをする。
「点検?」
「にゃ(良好)」
「通訳はついてるの?」
「にゃ(気のせい)」
そこへ扉が開き、セラが拍子木のような手を二度鳴らした。
「起床。花嫁修行、初日。寝癖は可愛いけど、可愛いは戦力じゃないわ。立って、洗って、飲んで、着る」
ラザロが続いて入る。盆に黒い湯、白いタオル、蜂蜜を溶かした温い乳、薄い黒麦パン。彼の所作にはためらいがない。私がカップを取ろうとした瞬間の角度まで、知っているように差し出される。
「魔界式の朝食、骨に入ります」
「骨に?」
「ええ。筋肉は嘘をつきますが、骨は正直ですから」
「こわい例えね」
「誉め言葉と受け取ります」
磨り硝子の鏡の前で、セラは私の髪を解いた。櫛が夜のざわめきを引っかけて、ほどくたびに小さな音がする。彼女は私の耳元に顔を寄せ、囁く。
「今日覚えるのは、礼。人間界の礼は“秩序のための善”。こちらは“生のための均衡”。似ているようで、最後に曲がる角度が違うの。間違えると、誰かの息を奪う」
「角度の違いで息が止まるなら、怖い」
「怖がって。怖がれる人は、奪いすぎない」
衣装は軽い。喪服と礼服の間のような黒。腰で結んだ紐から、音のしない小飾りが揺れる。胸元は詰めすぎず、開きすぎず。布の重さが肩に乗るより少し前に、ラザロが襟を整えた。
「殿下のお好みでは“動ける”が第一条件です」
「私の好みとも一致してる」
廊下に出る。守護獣たちは私の足首にまとわり、靴の先を軽くつつく。ときどき尻尾で合図。左に危なげな段差、右に柔らかすぎる敷石。城そのものが、私の速度を覚えようとしている。
◇
第一講義:礼式。
小広間。床は墨のように黒いが、踏むと春の畑みたいに柔らかい。セラが扇を鳴らし、私に向かって一礼する。背筋は刀。彼女の礼に返すと、扇が私の喉元で止まった。
「今の、どこが違った?」
「背がまっすぐすぎた?」
「正しいけれど、こちらでは“隙”が必要。秩序は完璧を求める、均衡は遊び場を作る。完璧は人を窒息させるから」
「隙は弱さに見えない?」
「弱さを見せないと、弱さを許せない。許せない場所は、すぐに刃物だらけになる」
私は一歩だけ重心を緩める。セラがうなずく。
「もう一度」
礼を重ねるごとに、胸の骨が一本ずつ呼吸を覚える。人前で吸う息の量、吐く速度、目線の高さ。王都で覚えた礼は滑らかすぎた。ここで求められているのは、滑らかさの中の“引っかかり”。人がそこに指をひっかけて、自分の位置を確かめられる程度の粗さ。
第二講義:言葉の刃。
セラは椅子に腰かけ、爪ヤスリで爪を研ぎながら言う。
「言葉は刃物。磨きすぎると反射で自分が見える。鈍すぎると肉に入らない。今日は、刃を鞘にしまう練習」
「黙る、ってこと?」
「ううん。“言わないで伝える”。目線、呼吸、間。魔界では間は貨幣よ。浪費すると、貧しくなる」
彼女はふいに近づき、私の肩に軽く触れる。
「今の、何を言った?」
「“そこにいるよ”」
「正解。じゃ、もう一度」
無言の会話がいくつも行き交い、私の内側で言葉の渋皮が剥ける。喉に貼りついていた王都式の「正しさ」が、うす紙のようにほどけて落ちていく。
第三講義:均衡の哲学。
書の回廊で、ラザロが巻物をひらく。字は生き物の足跡みたいに連なり、行間に小さな息継ぎの跡がある。
「人間界の善は、秩序のため。秩序が壊れると怖い。だから箱を硬くする。魔界の善は、生のため。生が枯れないように、時々、箱を開ける」
「開けると、悪いものも入る」
「入る。そして、出る。空気は流れないと腐る。腐敗の匂いに人は慣れる。慣れは毒。……お嬢様、毒は好きですか?」
「嫌いじゃない。用量を間違えると死ぬから、尊敬してる」
「その態度は安全です」
守護獣が巻物の端に鼻を押しつけ、くしゅんとくしゃみをした。鼻先に文字の墨がついて黒い点。ラザロがハンカチで拭う。私が笑う。笑うという行為が、筋肉の記憶として戻ってくる。
◇
合間の時間、石庭を歩くと、将軍ガルドが若い兵に稽古をつけていた。彼は私を見るや否や、木剣を地面に突き刺し、右手で胸を叩く。
「伴侶さま! 盾、ここに」
「ガルド、息をしながら話す」
「はっ……! 息、しておりました!」
「なら良いわ」
彼の隣で、背丈ほどの剣を持つ小鬼が私に手を振る。私は手を振り返す。
「戦は?」
「遠からず」
「怖い?」
「怖いが、旨い酒の前では怖くない」
「それ、怖さの表現として優等生ね」
兵たちがどっと笑い、緊張が溶ける。笑いの温度は蜜。溶けすぎる前に、私は背筋を伸ばす。氷の線も、残っている。
午後、セラは踊りを教えた。舞踏ではなく、歩みと呼吸の合図の踊り。目に見えない紐で相手と繋がり、張りすぎず、緩めすぎずに移動する。
「殿下は、押し引きが上手い。あなたが一歩遅いことも、知ってる。だからこそ、あなたが一歩進んだ時の重みを、彼は好む」
「喜ばせようとして進むのは、いや」
「そう。あなたが気持ちよく進むのを、彼が喜ぶ。順番は、必ずそっち」
セラの手が私の腕を撫でる。汗腺がひらき、呼吸が浅くなる瞬間に、扇がひらりと胸元の風を払う。
「上手。呼吸、合ってきた」
「教えるのが上手だから」
「甘やかさないわよ?」
「甘やかされたい時は言う」
「正解」
夕刻、短い休憩。ラザロが甘い冷菓を持ってくる。黒薔薇の蜜を薄めて凍らせたもの。舌の上でほどけ、喉についた古い棘がするりと抜けるような感覚がする。
「美味しい」
「魔界は甘味に関して誠実です」
「誠実?」
「嘘の砂糖は、あとで胃を焼きますから」
◇
夜、独りになった部屋。窓の向こうで星が逆流し、天蓋の刺繍が呼吸を覚える。私は鏡の前に立った。黒薔薇の花弁を一枚、指で転がす。守護獣たちは丸くなって寝息を立て、扉の向こうは廊下の風だけ。
鏡に手を当てる。冷たさが皮膚から骨に、小さな棘みたいに伝わる。指を滑らせた瞬間、肌の内側で微かな熱が走った。鎖骨の上。布の襟元からのぞく、細い皮膚の谷間。
そこに、見知らぬ紋が浮かんでいた。
薄い光。月光を一匙、肌に埋めたみたい。形は花にも翼にも、鍵穴にも見える。何度見直しても、定まらない。見るたびに意味を変える。
「……なに、これ」
声に出した途端、意味が一段階近づいた。鏡の向こうで、私の目が私をじっと見る。悪女という名札を外した顔。まだ何者にもなっていない顔。恐くて、少し好きになれそうな顔。
ノックはなかった。夜がふっと濃くなり、温度が半度下がる。振り向くと、ヴァルトがいた。身に纏うのは薄い夜布、髪はほどけ、瞳だけが鋭い。
「呼んだか」
「呼んでない。けど、来たのね」
「呼ばれている気がした」
彼の視線が私の鎖骨で止まる。ほんの短い沈黙。
「魂の刻印だ」
低く、確信を持って言う。
「お前の魔力が目覚め始めた証」
「……痛くはないわ。少し、痒い。内側から花粉が跳ねるみたい」
「正常だ。刻印は“お前と世界の接点”に現れる。力が出入りする穴。閉じすぎれば溺れ、開きすぎれば流される。今はちょうどいい」
彼は近づきすぎない距離で止まり、手を上げて、迷って、下ろした。
「触れても?」
その一言に、今日一日で覚えた礼の角度が全部剥がれ、代わりに生の本音が喉にせり上がる。
「……うん」
彼の指先が、私の鎖骨の上にそっと置かれた。冷たい。けれど、その中心で極小の火が灯っている。指が動く。紋の輪郭をなぞる。なぞられた場所から、微熱が波紋になって広がる。心臓が、その波紋に合わせて跳ねた。規則が少し乱れる。演奏会の拍が、意図してずれる。音楽になる。
「早い」
彼が言う。
「心音が」
「……あなたのせい」
「知っている」
誤魔化そうと笑ったが、笑いは喉でほどけた。胸の底ではまだ、氷がきしんでいる。今日、笑い方を思い出したけれど、氷は確かにある。たぶん、なくならなくていい氷。
「怖い?」
「怖い。消えるのも、変わるのも、怖い」
「両方、起こる」
「知ってる」
「怖いなら、言え。止める必要はない。速度を合わせる」
私の指が、彼の指に重なる。私の手は少し冷たく、彼の手は冬の泉で、二つの冷たさが重なって、なぜかあたたかい。
「セラが言ってた。“隙を作れ”って」
「正しい」
「隙を作るの、下手なの。私はいつも、完璧でいようとして……息を止めてた」
「息をしろ。俺を見る時は、特に」
彼の声は、火にかけた蜂蜜みたいにゆっくり落ちる。
「リュシア」
また、呼ぶ。間を置いて。
「お前は“秩序の善”で磨かれた刃だ。だが今、お前が握るべきは、均衡の秤。刃は必要な時だけ抜け。抜く時は、ためらうな」
守護獣が寝返りを打ち、小さく鳴く。夜の風が窓から入ってきて、黒薔薇が耳元でまた鳴る。刻印がそれに呼応して、ほのかに熱を帯びる。
「……この印は、消える?」
「消えない。形は変わる。お前の選択で。怒りで尖り、慈しみで丸くなり、嘘で曇る。真実で澄む」
「真実」
「欲しいと言った」
「欲しい。けど、全部見たら、嫌いになる真実もあるでしょう?」
「ある。嫌いになっていい。嫌いになった後の選択まで、真実だ」
私は鏡の中の自分を見る。悪女でも聖女でもない顔。花嫁とも呼ばれ、罪人とも呼ばれ、でも一番正確なのは“生きている人”という言い方だけ。
息を吸う。吐く。刻印がわずかに光って、鎖骨に夜の注釈が付く。
「……ねえ、ヴァルト」
「なんだ」
「今日、少しだけ上手に笑えたの。けど、胸の一番奥では、氷がまだ鳴ってた」
「氷は残しておけ。そこが、お前の澄む場所だ」
「凍えない?」
「凍えそうになったら、俺を呼べ」
即答。単純で、強い。私の心音がまた跳ね、刻印が微熱を増す。彼の指先がその上にあることを、体が歓迎している。私は小さく首をすくめ、視線を落とす。
「……練習に付き合って」
「何の」
「“隙”の作り方」
言ってから、頬が熱くなった。ヴァルトの口角がかすかに上がる。
「今、作っている」
「わかる?」
「わかる」
「じゃあ、もっと」
「命令するな。頼め」
「……お願い」
「よくできました」
彼は指を離し、代わりに私の額に、短い口づけを置く。刻印の熱が額へ移り、思考の表面が甘く溶ける。毒でも蜜でも、今夜は適量。
「明日は、外庭。均衡の祭壇を見せる。お前の刻印がどう歌うか、聞かせろ」
「歌……ね。私、歌は得意じゃない」
「身体が歌う。耳で聞くな。骨で聞け」
彼が下がる。夜がわずかに薄くなる。部屋に残るのは、私と、鏡と、黒薔薇の低い音。守護獣が足元に来て、丸くなる。私は膝を折り、その小さな体を撫でた。柔らかい。生きている。
「花嫁修行、続けられる?」
自分に問う。
答えは、刻印が先に出した。微熱。鼓動。
うん。続けられる。続ける。
秩序に磨かれた刃を、均衡の秤に載せ直す。両手で、ゆっくり。重さを確かめながら。
灯りを落とし、天蓋を見上げる。銀糸の星座が、今日覚えた礼の角度で、私に頷いた。胸の底の氷はまだ鳴る。鳴るけれど、音色が変わっている。高すぎた音が半音だけ下がり、呼吸に合う高さになった。
眠りに落ちる直前、私はそっと鎖骨に触れる。刻印は静かに、そこにある。名札ではなく、羅針盤として。
明日の私に、北を教える印として。
11
あなたにおすすめの小説
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私は私で幸せになりますので
あんど もあ
ファンタジー
子爵家令嬢オーレリーの両親は、六歳年下の可憐で病弱なクラリスにかかりっきりだった。
ある日、クラリスが「オーレリーが池に落ちる夢を見た」と予言をした。
それから三年。今日オーレリーは、クラリスの予言に従い、北の果ての領地に住む伯爵令息と結婚する。
最後にオーレリーが皆に告げた真実とは。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる