無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト

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第4話 『白竜アークヴァン降臨』

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 夜空が、音を立てて裂けた。

 黒いキャンバスに、鋭い白の亀裂が走る。
 さっきまではただの“光の裂け目”だったそれが、今ははっきりと“向こう側”を見せ始めている。

 眩しさに思わず目を細めた。
 まぶた越しでも伝わってくる、刺すような光。

 空気が重い。
 胸の奥の脈動は、もうごまかしようがないくらい暴れ出している。

 ドクン、ドクン、ドクン──。

(来る……)

 まだ見えないのに、分かる。
 体の中のもうひとつの心臓が、喜びと怒りと、どうしようもない焦りの全部を混ぜて打ち鳴らしている。

 誰かが震える声で叫んだ。

「お、落ちてくるぞ……!」

 違う、とエリーナは心の中で呟く。
 “落ちてくる”んじゃない。
 “降りてくる”んだ。

 亀裂の光が一段と強くなり、その中心から“影”が伸びた。

 最初は輪郭だけ。
 やがて光が薄れ、形がはっきりしていく。

 細長い首。
 広がる翼。
 鞭のようにしなやかな尾。

 白銀の鱗が、一枚一枚、光を跳ね返しては夜会の会場を照らす。
 月の光ではない。
 もっと古くて、もっと冷たくて、もっと尊大な輝き。

「……竜だ」

 宮廷魔導師の老人が、膝をつきながらかすれた声を漏らした。

「ま、まさか、本当に、竜が……」

「そんな……伝承の生き物でしょ……?」 「嘘でしょ、だって何百年も現れてないって……!」

 貴族たちが悲鳴にも似た声で騒ぎ出す。
 だが、そのざわめきは次の瞬間、吹き飛んだ。

 バサァァァ──ッ!!

 耳をつんざくような羽音とともに、白銀の竜が夜空から滑り降りてきた。

 巨大な翼が、一度だけ大きくはためく。
 その動きが生み出した暴風が、会場中を蹂躙した。

「きゃ──っ!?」

「うわあっ!」

 テーブルクロスがめくれ上がり、グラスと皿が宙を舞う。
 飾ってあった花がばらばらに飛び、貴婦人たちの帽子が吹き飛び、誰かのカツラすらも空中で回転した。

 夜会を彩っていた絢爛な幕や布飾りも、すべて無惨に裂かれ、空に吸い上げられていく。

 エリーナは風に煽られながらも、必死に足を踏ん張った。
 ドレスの裾がばたばたと暴れ、髪が乱れる。

(……大きい)

 初めてちゃんと見た、竜の全身。
 森で会ったときは、まだ孵ったばかりで小さかった。
 今目の前にいるのは、その比ではない。

 王宮の塔よりも高く、翼を広げれば中庭の半分を覆い隠せるほど。

 白銀の鱗は、ただの“白”ではない。
 月明かりと星の欠片と雪の冷たさを全部混ぜて、さらに光を足したみたいな、鋭い輝き。

 その存在ひとつで、世界のスケールがおかしくなる。

 竜は宙を一瞬だけホバリングすると、そのまま噴水の縁にドォンと降り立った。

 地面が揺れる。
 石畳にひびが入り、水面が大きく跳ね上がった。

 悲鳴。
 怒号。
 泣き声。

 人間たちの音が、全部“背景”に押しやられるくらいの存在感。

「な、なんだこれは……っ、結界を──!」

 宮廷魔導師が叫び、数人の魔導師が慌てて杖を天に掲げた。
 しかし、彼らの口から零れる呪文は途中で霧散する。

 竜が、ただ、息をしただけで。

 フゥッ、と鼻先から白い吐息が漏れた。
 それだけで、空気が一瞬にして凍りつく。

 ひゅ、と魔力の流れが掻き消される感覚に、魔導師たちは顔を青ざめさせた。

「ま、魔術が……発動しない……!?」 「馬鹿な、魔力の根ごと押さえ込まれている……!」

 白銀の竜は、それらを見下ろすように長い首を動かす。
 金色の双眸が、まるで虫でも見るみたいな温度で人間たちを舐めるように見渡した。

 その視線だけで、何人かの貴族が腰を抜かして尻もちをつく。

「ひ、ひぃっ……こっちを見るな……!」

 騎士たちも剣を抜こうとするが、手が震えてうまく鞘から抜けない。
 かろうじて剣を抜けた者も、その剣先は情けないほど揺れている。

 竜の喉の奥で、低い音が響いた。

 グルルルル……

 それは警告とも、苛立ちともつかない唸り。
 地鳴りと雷鳴を混ぜたような振動が、足元から体の芯まで伝わってくる。

(……アークヴァン)

 名前を心の中で呼んだ瞬間。
 竜の金色の視線が、ぴたりとエリーナを捉えた。

 周囲の音が、また遠のく。
 さっきまでうるさかった悲鳴も、剣の音も、全部水の中に沈んだみたいに。

 金の瞳が近づいてくる。
 巨大な頭部が、ゆっくりとエリーナの目線の高さまで下がる。

 世界に、自分と竜しかいないみたいな感覚。
 胸の奥の脈動が、ひときわ大きく跳ねた。

 ドクン。

 竜の瞳の奥で、なにかが応えるように脈打つ。

「……ひっ」

 横から、かすかな悲鳴が聞こえた。
 セレスだ。アレクシオンの腕にしがみつき、震えながら竜を見ている。

「アレクシオン殿下……こわい、です……!」

「大丈夫だ。俺が守る」

 アレクシオンはセレスを庇うように立ち、竜とエリーナの間に割り込もうと一歩踏み出した。

 その瞬間──

 竜の瞳に、明確な“敵意”が浮かんだ。

 空気の質が一変する。
 冷たさに、鋭い棘が混ざる。
 肌がビリビリとしびれ、後頭部の毛穴が全部逆立つような感覚。

「動かないで、アレクシオン」

 自分でも驚くほど落ち着いた声が、エリーナの口から漏れた。

 アレクシオンが振り返る。

「エリーナ、お前……」

 彼の青い瞳に映る自分の顔は、どこか他人のものみたいに冷静だった。

 泣き腫らして歪んでいるはずなのに、今はもう涙も出ない。
 ただ、揺るがない何かが、胸の奥と視線の奥で燃えている。

(この距離で殿下がこれ以上動いたら、多分──)

 竜が、本気で噛み砕く。

 そんな確信が、なぜか普通に頭の中にあった。

 白銀の竜が、ゆっくりと口を開く。
 鋭く並んだ牙が、魔石灯の残り火を反射してぎらりと光る。

 そして──

「……我が、主」

 地の底から響くような低い声が、確かに言葉を紡いだ。

 騎士たちが一斉に顔色を変える。

「しゃ、喋った……!?」 「竜が、言葉を……!」

 アレクシオンも息を呑んだ。
 セレスは目をぎゅっとつむり、祈るように震える。

 エリーナは、ただ呆然とその声を聞いていた。

(覚えてる……この響き)

 七年前、森の泉で聞いた、あの頭の中に直接響いてきた声。
 大きくて冷たいのに、どこか優しさが混ざっていた音色。

「……やっと」

 竜の瞳の縁に、ほんの一瞬だけ、柔らかい光が灯った気がした。

「やっと……見つけた」

 胸の奥が、きゅうっと締め付けられる。
 言葉にならない感情が、一気に溢れてきて喉を塞いだ。

 逃げられない。
 目を逸らせない。

 エリーナは小さく息を吸い込み、震える唇をどうにか動かした。

「……アークヴァン」

 その名を呼んだ瞬間──
 竜の全身を走る光が、一段と強く輝いた。

 白銀の鱗ひとつひとつが、呼応するみたいにチリ、と音を立てる。
 尾が石畳を叩き、噴水の水が高く跳ね上がる。

「主が──」

 竜の声が低く唸る。

「泣いていた」

 その一言に、空気の温度がさらに下がった。

 竜の視線が、エリーナからすっと周囲へと滑る。
 アレクシオン。
 セレス。
 見物する貴族たち。
 腰を抜かした男。面白がる女。侮蔑を浮かべた誰か。

 その全員を、ひとつひとつ、冷静に“選別”するように見ていく。

 金色の双眸の奥に、じわじわと怒りの炎が灯る。

「……我が主の心を砕いたのは」

 竜の喉から漏れる声が、ひときわ低く、重くなった。
 足元の石畳がビリビリと震える。
 噴水の水面に波紋が走り、その波が音もなく広がっていく。

「誰だ」

 その問いかけと同時に、竜の吐息が一度、大きく漏れた。

 ただの息。
 それだけなのに、目の前の貴族が悲鳴を上げて吹き飛んだ。
 彼の着ていた高級な服が、風圧だけで破れる。

「ひ、ひぃっ……!」

 近くにいた騎士が慌てて剣を構えるが、竜の目線がちらりとそちらに向いただけで、その手から剣がすべり落ちた。

 カラン、と乾いた音を立てて、剣が地面に転がる。

「う、動かない……!」

 騎士の肩ががくがくと震えている。
 竜を前にした恐怖が、筋肉を固めているのだ。

 それは彼だけではなかった。
 他の騎士たちも、腰を抜かしたり、歯をガチガチ鳴らしたり、まともに立っていられない者が続出している。

「な、情けない……っ! 敵前で怯えるとは……っ!」

 アレクシオンは怒鳴りつけながらも、腕の中のセレスを必死で支えていた。
 彼自身も恐怖を感じているのか、唇がかすかに震えている。

 それでも、王太子としての意地で足を踏みとどまり、竜に向かって声を張る。

「おい、竜!」

 金色の視線が、またアレクシオンへと向いた。

「この場の混乱は理解する。だが、ここはアストライア王国の王宮だ! 理由なく暴れることは許されない!」

 言葉だけ聞けば、勇敢だった。
 でも、竜の前では、人間の威厳なんて骨組み程度の意味しか持たない。

 竜は一瞬だけ黙り、そのあと、ひどく冷めた目でアレクシオンを見下ろした。

「……人間」

 その呼び方だけで、上下関係がはっきりする。

「我は、“理由なく”ここには来ない。
 主の涙が、我を呼んだ」

「主、だと……? お前の“主”とは誰のことだ」

 アレクシオンの問いかけに、竜はさも呆れたようにまばたきをした。

 そして、ゆっくりと首を動かし、再びエリーナを見つめる。

「決まっている」

 金の瞳が、エリーナの瞳とまっすぐに絡み合う。

「この者だ」

 その一言で、会場のざわめきが爆発した。

「エリーナ様が、竜の主……!?」 「ば、馬鹿な、王家が代々求めていた“竜の加護”が、よりにもよってカルヴェルト家に……?」 「いや、でもさすがにそれは……」

 信じたくない者たちの笑い声と、信じざるを得ない現実との間で、空気がぐらぐらと揺れる。

 アレクシオンの顔色が、目に見えて変わった。

「エリーナが……竜の主?」

 呟きはかすれていた。
 そこには驚愕と戸惑い、そして、どうしようもない苛立ちが混ざっている。

「なにかの間違いだ。エリーナは無魔力だぞ」

「……そう、“無魔力”。」

 竜の口元が、わずかに歪んだ。
 それは人間の笑みにどこか似ているけれど、もっと冷たくて、もっと残酷なカーブ。

「よくも、そんな言葉で主を縛ってきたものだな」

「なに……?」

「そなたらのいう“無魔力”とは、“理解できない力”という意味か」

 竜の声が低く笑う。

「愚かしい」

 その一言に、周囲の空気がさらに凍りついた。

 エリーナは、ただ呆然と立ち尽くしていた。

(アークヴァン……本当に、私を……)

 主、と呼んだ。
 それは七年前と同じ言葉。

 森の泉で、自分が勝手に名を与えた存在。
 手を離さないで、と泣きながら抱きしめた卵。

 あのとき、確かに感じた“つながり”が、今こうして目の前に具現化している。

 夢じゃない。
 妄想でもない。

 現実として、白銀の巨体と金の瞳がここにいる。

「エリーナ様……本当に……?」

 背後でミナが震える声を漏らす。
 彼女は恐怖で顔を真っ青にしながらも、必死にエリーナの背中を見守っていた。

「竜が、エリーナ様を……」

「ミナ……」

 エリーナは振り返らなかった。
 振り返ったら、きっと崩れてしまう気がした。

 まだ、立っていなきゃいけない。
 自分の足で、この現実の上に。

 竜──アークヴァンが、また低く唸る。

「我が主の心は、深く砕かれていた」

 その声には、怒りだけでなく、かすかな痛みが混ざっていた。
 まるで、自分も一緒に傷ついたと言わんばかりの調子。

「涙の数も、痛みの形も、すべて我は感じた。
 あの森で主が流した血と涙も。
 今夜、この場で踏みにじられた心も」

 アークヴァンの瞳が、またアレクシオンへと向けられる。

「……人間」

 その一言に、アレクシオンの喉がひく、と動いた。

「そなたが──主を捨てた王太子か」

 次の瞬間、空気の質が変わる。

 先ほどまでの冷たい圧とは違う。
 今度は、燃え上がるような激怒が、白銀の身体から溢れ出した。

 地面が震え、噴水の水が吹き上がる。
 魔石灯の残骸がカラカラと音を立てて転がる。

「アレクシオン殿下……!」

 セレスが必死にしがみつく。
 アレクシオンも腕で彼女を庇いながら、それでも視線を逸らさずに竜を睨み返した。

「……そうだ。俺が、彼女との婚約を破棄した」

 その声には、恐怖と、それ以上のプライドが滲んでいる。

「王国のための決断だった。感情ではなく、理性の──」

「王国」

 アークヴァンの声が、冷ややかにその言葉を切り捨てた。

「人間の作った小さな枠に、主の心を押し込めた言い訳か」

 竜の口元から、うっすらと白い煙が漏れる。
 それは吐息ではなく、今にも火に変わりそうな熱。

「我から見れば、そなたらの“王国”など、砂の城に等しい。
 だが、それを守るためと称して、ひとりの少女の心を踏み砕くことは、許されざる愚行だ」

 アレクシオンの顔が、ぐっと歪んだ。

「なにを……分かったようなことを……!」

「分かる。
 我は主を通して、そなたの言葉も視線も、全部見ていた」

 エリーナの胸が、大きく跳ねた。

「っ……!」

(見ていた……?)

 七年前から今まで。
 アレクシオンと交わした言葉。
 周囲の視線。
 侮蔑も、嫉妬も、憐れみも。

 その全部を、この竜は自分と一緒に感じていたというのか。

「主が笑っているとき、我は静かだ。
 主が泣いているとき、我は痛む。
 主が心を砕かれたとき──」

 アークヴァンの瞳が、ふっと細められる。

「我は、怒る」

 その最後の一言は、低く押し殺されていたのに、耳の奥まで刺さるように響いた。

 騎士のひとりが、耐えきれずに叫ぶ。

「お、おのれ竜め! 殿下を──!」

 彼は恐怖を振り払うように、竜へ向かって突進しようとした。
 だが、その瞬間。

 アークヴァンの尾が、ほとんど“見えない速度”で振り抜かれた。

 ズドォンッ!!

 空気が爆ぜる音とともに、騎士の足元の石畳が粉々に砕け散る。
 衝撃波だけで彼は吹き飛ばされ、数メートル先まで転がった。

「がっ──!」

 幸い、彼の身体に直接当たったわけではない。
 それでも、その場にいた全員が、竜が本気を出したらどうなるのかを理解するには充分だった。

 アークヴァンは、その騎士に興味を示す様子もなく、再びエリーナへと視線を戻した。

「主」

 金色の瞳が、ほんの少しだけ柔らかくなる。

「そなたが望むなら、ここで引こう」

 エリーナは、息を呑んだ。

「我は主の剣であり、盾だ。
 主が“許す”と言うなら、我は怒りを飲み込む」

 竜の声が、ほんの少しだけ苦しそうに揺れる。

「だが──」

 金色の瞳の奥に、ふたたび激しい炎が灯った。

「もし、主が“許さない”と言うなら」

 アークヴァンは、ゆっくりと翼を広げた。
 その巨大な影が、王宮中庭を完全に覆い隠す。

「この場の罪を、骨の髄まで焼き尽くす」

 夜会の空気が、限界まで張り詰めた弦のように震える。

 視線が、集まる。

 竜の金色と。
 王太子の青と。
 侍女の茶色と。
 聖女候補の涙に濡れた瞳と。
 そして、無数の貴族たちの色とりどりの目が。

 全部、エリーナひとりに突き刺さる。

(わたしが、決める……?)

 胸の奥で、またドクン、と重い脈が鳴った。

 七年前、森で抱きしめた卵。
 自分で勝手に与えた名前。
 「ひとりにしないで」と泣いた幼い自分。

 あのとき芽生えた絆が、今ここで、世界の形すら変えかねない力として目の前にある。

 このまま黙っていれば、たぶんアークヴァンは本当にやる。
 王宮ごと、この夜会を吹き飛ばす。

 それが、アレクシオンへの復讐になるかもしれない。
 自分を嘲笑った貴族たちへの“ざまぁ”になるかもしれない。

 でも──

(わたしは……)

 喉が焼けるように熱い。
 胸の奥には、怒りも、悲しみも、悔しさも、ぜんぶ混ざってぐちゃぐちゃに詰まっている。

 そのどれを選ぶのか。
 なにを願うのか。

 白銀の竜は、ただ静かに、それを待っている。

 主の言葉を。
 主の選択を。

 エリーナは、ぎゅっと拳を握りしめた。

 婚約を公開処刑に変えたこの場所で。
 人生の終わりを宣告されたこの場所で。

 今度は、自分の口で──
 世界の形を変える言葉を選ばなくてはいけない。
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