無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト

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第9話 『竜魔法の覚醒』

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 胸の奥で、ふたつの鼓動がぴたりと重なった瞬間──

 世界の“色”が変わった。

 風が肌を撫でる感覚。
 土が昼の熱を溜め込んでいる温度。
 遠くで飛ぶ鳥の羽ばたき。

 その全部に、「線」が見える。

(……なに、これ)

 エリーナは、思わず自分の胸元を押さえた。

 さっきまで、アークヴァンと額を合わせていた場所。
 その中心から、じわじわと熱が広がっている。

 焼けるような熱さじゃない。
 むしろ、春の朝に陽だまりに入ったときみたいな、じんわりした温度。
 でも、それがどんどん強くなっていく。

「主」

 目の前で、アークヴァンが低く呼びかける。

「大丈夫か」

「……分かんない」

 笑って答えようとしたのに、声が震れた。

「なんか今、心臓が二個あるみたいな感じなんだけど」

「実際、二つあるようなものだ」

「サラッと言わないで」

 軽口を叩きながらも、膝が少し笑い始めているのが分かる。

 胸の奥が熱い。
 そこから何かが、血管を通って全身へと流れ出していく。

(あ……)

 これ、知ってる。

 何度も聞かされた、“普通の人にはあるはずの感覚”。
 魔力量測定のとき、教師たちが当たり前みたいに口にしていた言葉。

 ──身体の内側を流れる、魔力の感覚を意識してごらん。

 そのたびに、何も感じられなかった。
 冷たい鉄の棒を握らされて、「ゼロですね」と言われ続けた。

 魔力なんて、ずっと“他人のもの”だと思っていたのに。

(これが──)

 湧き上がる。
 湧き上がって、止まらない。

 胸から肩へ、背中へ、腰へ。
 足の先、指の先まで、熱が走っていく。

「っ……!」

 思わず、息が漏れた。

 痛みではない。
 でも、慣れない感覚に、身体がびっくりしている。

 アークヴァンが、少しだけ頭を傾けた。

「──始まったか」

「なにが“始まった”のよ……」

「竜魔の覚醒だ」

 さらりと言う。

 エリーナは、本気で頭を抱えたくなった。

「ちょっと、説明を端折らないで。竜魔って、そんな“今日のおかずスープです”みたいなテンションで出す単語じゃないでしょ」

「主の体の中にある、“我と繋がる回路”だ」

 アークヴァンは、やっぱり平然としている。

「本来なら、そなたが成長する過程でゆるやかに開いていくはずだった。だが、無理やり封印されたせいで、今まとめて再起動しているのだろう」

「封印?」

 思わず聞き返す。

「誰がそんなこと──」

 そこで、嫌な予感が胸をよぎった。

(……魔力測定のあと、お母様が神殿に何度も足を運んでいたこと。
 “あなたのために、できることは全てしているから”と、あの人が言っていたこと)

 ばらばらだった記憶の断片が、嫌な形に組み上がっていく。

「その話は、後だ」

 アークヴァンが、低く遮った。

「今は、主の体が先だ」

 その言葉と同時に、胸の奥の熱が、さらに一段階ギアを上げた。

 呼吸が浅くなる。
 喉が焼けるみたいに熱い。

「っ……は、ぁ……」

 そのとき、エリーナの視界の端で、何かがチラッと光った。

 自分の、手だ。

 震える指先。その甲のあたりで、なにか白いものが淡く灯っている。

「……え?」

 思わず手を持ち上げる。

 指の関節、手首の内側、手の甲。
 血管が通う場所のすぐ下で、白い線がうっすらと浮かび上がっていた。

 まるで、光る刺青。

 いや──紋章。

「エリーナ様ぁぁぁぁぁっ!!」

 あと少しでパニックになりそうなタイミングをピンポイントで破壊する声が、背後から飛んできた。

 振り返ると、裏庭の入り口でミナがひざから崩れ落ちかけていた。
 その後ろには、息を切らして駆けつけた数人の使用人と──カルヴェルト伯爵本人。

「エリーナ!」

 父の声が、庭に響いた。

 見たことがないくらい顔色を変えている。
 いつもは穏やかなグレーの瞳が、今は焦りと恐怖で大きく見開かれていた。

「お父様……」

 声を出そうとして、自分の声が妙に掠れていることに気づく。

 伯爵の視線が、最初は娘の顔に、その次に──その背後の白銀の竜へ向かった。

 そして、最後に、エリーナの手元へ。

 そこに浮かび上がった白銀の紋章。


 指先から手首、腕へと伸びる細い線が、まるで翼の骨格のような形をしている。
 中心部、手の甲のあたりには、円形の紋が浮かび、その中に竜の眼を思わせる模様が輝いていた。

「……竜紋……」

 伯爵が、息を詰めたように呟いた。

「なに、それ」

 エリーナは自分の手をひっくり返しながら、本人が一番ぽかんとしている。

「タトゥーなんて入れた覚えないんだけど」

「そういう類のものではない」

 アークヴァンが、冷静に訂正した。

「竜魔を扱う素質を持つ者の身体に刻まれる、“魔の導路”だ」

「魔の、導路……?」

「簡単に言えば、“竜との接続ポート”だ」

「余計分かりにくくなってるんだけど」

 アークヴァンは、少しだけ言葉を変えた。

「主の魔力は、我と繋がっている。
 そなたの体内で生まれた魔の流れが、この紋章を通して我へ、あるいは外界へ流れ出る」

 エリーナは、手の甲に浮かんだ紋をじっと見つめた。

 白銀の線は、呼吸に合わせて微かに脈動している。
 まるで生きているみたいだ。

 その線を、指先でなぞる。

 ひやりと冷たい。
 でも、内側からじん、と熱が返ってくる。

「……ねえ、アークヴァン」

「なんだ」

「これってさ」

 エリーナは、顔を上げた。

「魔力が、“ある”ってことだよね。私に」

 その問いに、アークヴァンは即答した。

「当然だ」

 そのあまりの当然っぷりに、逆に胸が締め付けられた。

「主はずっと、我と繋がっていた。“ゼロ”なわけがない」

 伯爵が、ゆっくりと歩み寄ってきた。

 震える手で眼鏡を外し、目頭を押さえる。

「……エリーナ」

「お父様」

 視線がぶつかる。

 その目には、驚きと、安堵と、そして──深い後悔が滲んでいた。

「父は……ずっと、間違っていたのかもしれんな」

「え?」

「“無魔力だ”と神殿に言われた日のことを覚えているか」

 もちろん忘れられるはずがない。

 冷たい神官の声。
 無表情な診断。
 部屋の隅で固まっていた父と母。

 エリーナは、ぎゅっとドレスの裾を握りしめた。

「覚えてるわ。
 “この子は魔力を一切持たない。珍しいが、測定結果に誤りはない”って」

「……あのとき、父は“まだ幼いから”と自分に言い訳をした」

 伯爵は空を仰いだ。

「成長すれば、何かしら芽生えるかもしれない。
 そうでなくとも、この子には知性と誇りがある。魔力などなくても、立派に生きていける、と」

 言葉の端々に、苦味が混じっている。

「そう思いたかった。
 そうやって、自分の無力をごまかしていたのだろう」

「無力……?」

「神殿が“無魔力だ”と言えば、貴族はそれを事実として受け入れる。
 竜の気配など、誰も信じはしない」

 伯爵は、アークヴァンをちらりと見やる。

「だが、今の娘の姿を見るかぎり──我々は、“見えていなかった”だけなのかもしれんな」

 エリーナは、自分の胸元に視線を落とした。

 そこにも、紋章が浮かんでいた。

 鎖骨の少し下。心臓の上あたりに、複雑な円と線が絡み合った模様が淡く光っている。

 鏡を見なくても分かる。
 これは、ただの装飾ではない。

 自分の“核”に刻まれた印。

「お嬢様……」

 ミナが震える声で呼ぶ。

「ずっと、“無魔力”って言われて……それでも笑ってて……。わたし、見てるだけで……」

 涙ぐんでいる侍女の姿に、エリーナは苦笑した。

「ミナが泣いてどうすんのよ」

「だ、だって……悔しくて……っ」

「わたしも悔しいし、今さら“やっぱり魔力ありましたー”って言われても困るんだけど」

 肩をすくめながらも、胸の奥がじんと温かくなる。

(“ある”って、こんなに重いんだ)

 今まで、「ない」と決めつけられてきたもの。
 望んでも手に入らなかったもの。

 それが、ずっと自分の中に眠っていた。

 その事実に、怒りよりも先に、どうしようもない空虚さがこみ上げてくる。

「……アークヴァン」

「なんだ」

「これ、どうすればいいの?」

 指先に灯りかけている白い光を見せながら、エリーナは真顔で聞いた。

「暴走して屋敷を吹き飛ばしたくはないんだけど」

「それは避けよう」

 アークヴァンも、さすがにそこは否定した。

「まずは、流れを整える必要がある。
 主の竜魔は、長く封じられていたぶん、今は水門を壊された川のような状態だ」

「分かりやすいけど、物騒な例えね」

「呼吸をしろ」

 アークヴァンが、低く指示を出す。

「深く吸い、ゆっくり吐け。
 空気だけでなく、“光”を吸い込むイメージを持て」

「光……」

 エリーナは目を閉じ、言われるままに息を吸った。

 肺に空気が満ちる感覚といっしょに、胸の奥に“白い光”が流れ込んでくるイメージを重ねる。

 吐く。
 その光が、全身にふわっと広がっていくのを想像する。

 何度か繰り返しているうちに、少しずつ体内の熱が落ち着いてきた。

 さっきまで暴れ馬みたいに走り回っていた魔力が、川のように一定の流れを持ち始める。

(……あ。これ、気持ちいい)

 胸の奥の圧迫感が和らぎ、代わりに“満たされている”感覚だけが残る。

 指先に集まっていた光も、今は大人しくそこに留まっていた。

「今、主の体内を巡っているものが、竜魔だ」

 アークヴァンの声が、意識の上澄みににじむ。

「それを形にする術を覚えれば──そなたは、“竜魔法師”となる」

「りゅうまほうし……」

 口に出してみた途端、自分で自分に笑ってしまった。

「なんか、似合わないわね」

「それは、これから似合わせていけばよい」

 アークヴァンは淡々としている。

「主はずっと、“無魔力”と蔑まれてきた。
 だが実際には、“人間の尺度では測れない力”を持っていたのだ」

「“無魔力”って、ただのラベリングミスだったってこと?」

「そうだ」

 あまりにもあっさりと言われて、エリーナは一瞬本気で笑ってしまった。

「今までの努力と苦労とトラウマ、まとめて“ラベリングミス”で片付けられるの、逆に清々しいわね」

 すると、背後で伯爵が小さく肩を震わせた。

 笑ってるんじゃない。
 唇をきつく結んで、感情を抑え込んでいる。

「……エリーナ」

「お父様?」

「父は……」

 ぐっと言葉を飲み込んでから、伯爵は続けた。

「父は、“無魔力だ”と言われたお前に、何もしてやれなかった。
 神殿にも王宮にも、逆らう力はなかった」

 握りしめた拳が白くなる。

「だが今は違う」

 静かな声が、庭に響いた。

「お前は、“竜の主”であり、“竜魔法師”だ。
 神殿がどう言おうと、王宮がどう扱おうと──父は、お前を誇りに思う」

「お父様……」

 胸が、ぎゅうっと痛くなる。

 今さら、そんな言葉をもらっても。
 七年前に欲しかった言葉なのに。

 でも──

「……ありがとう」

 それでも、嬉しかった。

 あの人なりに、ずっと悔やんでいたのだろう。
 自分の娘が“無魔力”と烙印を押されたことを。

 その横で、ミナが大泣きしながら叫んだ。

「エリーナ様ぁぁぁぁ!! すごいです、すごすぎます!!
 “無魔力”どころか、“竜魔法師”って、もうかっこよすぎて言葉が……!」

「ちょ、ミナ、落ち着いて。声が屋敷中に響いてる」

「響かせてくださいよぉぉ!! 今までバカにしてた令嬢ども全員の耳に届いてほしいです!!」

 いつになく物騒な侍女である。

 エリーナは苦笑しながら、そっと右手を持ち上げた。

 白銀の紋章が、淡く脈動する。

「……ねえ、アークヴァン」

「なんだ」

「これってさ。ちょっとだけなら、“使ってみても”いい?」

「暴走させぬかぎりはな」

 許可が下りた。
 正直、竜のくせに判断が甘い気がするが、ここで突っ込むとタイミングを逃す気がした。

 エリーナは、呼吸をひとつ整える。

 さっき教えられたとおり、光を吸い込み、吐くイメージを繰り返す。
 胸の奥から、指先へと魔力を導いていく。

(流れをイメージして……指先で止める)

 右手の指先が、じんわりと熱くなる。

 ぎゅっと集中すると、その熱が小さく丸まっていく感覚があった。

「──光、来い」

 自分でもびっくりするくらいダサい詠唱を口にした瞬間。

 ぽう、と。

 指先に、白い光の球が灯った。

「……っ」

 思わず息を呑む。

 直径数センチにも満たない、小さな光。
 でも、その存在感は凄まじかった。

 昼間なのに、その光だけがくっきりと周囲を照らしている。
 まるで、指先にだけ夜空の星が降りてきたみたいな、不思議な光。

「お、お嬢様……!」

 ミナが、目を丸くして口をぱくぱくさせている。

 伯爵も、使用人たちも、言葉を失って光を見つめていた。

 “無魔力”と言われていた令嬢が──
 今、目の前で、何の媒介もなく光を生み出している。

 その事実が、屋敷の空気を一変させた。

「……やば」

 エリーナは、自分の指先を見つめながら小さく呟いた。

「ちょっと感動してんだけど」

「そうだろうな」

 アークヴァンの声には、わずかな笑いが混じっている。

 エリーナはしばらくその光を見つめていたが、やがて、そっと手を握りしめた。

 ふっと、光が消える。

 胸の奥に、かすかな疲労感とともに、妙な高揚感が残った。

(魔法……)

 その言葉を、初めて“自分事”として噛みしめる。

 ずっと遠くのものだった。
 殿方や他の令嬢が、当たり前みたいに使っているもの。
 自分には一生縁のない、別世界の技術。

 それが今、指先ひとつで形になる。

「……ねえ」

 エリーナは、ぽつりと言った。

「“無魔力のエリーナ嬢”って呼ばれてた時代、今この瞬間で完全に終わったんじゃない?」

 その言葉に、ミナが力強くうなずく。

「はい!! 終わりました!! 終了です!! 完ッ全に終了しました!!」

 伯爵は、少しだけ苦笑した。

「そうだな。
 これからは、どう呼ばれるのだろうな」

「“竜の主”……」

「“竜魔法師”……」

 使用人たちが、口々に言葉を重ねる。

「“王宮を吹き飛ばした令嬢”……」

「それ、最後のやつ、若干風評被害じゃない?」

 エリーナは思わずツッコミを入れた。

 でも、否定はできない。

 王宮を半壊させた夜。
 あの爆風と白炎と、光の翼。

 すべての真ん中に、自分がいた。

 無力なんかじゃない。
 むしろ、“危険”と呼ばれるほうがしっくり来るくらいだ。

「……世界、変わっちゃうかもね」

 ふっと、そんな言葉が漏れた。

 自分の世界も。
 アストライア王国という世界も。

 竜の降臨。
 王宮の崩壊。
 竜魔法師の覚醒。

 この三つの出来事は、確実に歴史のページを塗り替える。

 その中心に、自分がいる。

 怖くないといえば嘘になる。
 でも──

「大丈夫だ」

 その不安を見透かしたように、アークヴァンが言った。

「主はひとりではない。
 我がいる」

 エリーナは、白銀の鱗にそっと手を置いた。

 指先から、また光がじんわりと滲む。

「そうね」

 胸の奥で、ふたつの鼓動が重なる。

 幼い日の契約が、今ここで、“力”として形を得た。

 “無魔力”と笑われていた少女は、もうどこにもいない。

 代わりに──
 竜と繋がり、竜の魔を扱う少女が、静かにその目を開き始めていた。
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