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第5話 追放の夜、星が割れる音
しおりを挟む北へ続く街道は、靴音のたびに冷たさを深くする場所だった。
石から土へ、土から砂利へ、砂利からまた土へ。硬さが変わるたび、足裏の意識が少しずつ上へ押し戻される。息は浅い。霧は低い。世界は、膝より下で冬支度を始めている。
楢の木はまだ見えない。霧が布を二重に重ねたみたいで、見える距離を毎呼吸ごとに削っていく。耳だけがやけに冴えて、遠くの犬の吠え声、どこかで板戸が閉まる乾いた音、馬の蹄が石から土に移るときの柔らかな鈍音——そんな生活の残響を拾い集めている。拾った音は全部、夜の黒に吸い込まれて、あとには私の靴音だけが残る。
コートの襟を立て直す。布はノアの体温を忘れない。胸のところで、布が深く折れて、皮膚と皮膚の間に一枚の温度の層を作る。それでも、霧の冷気は肩口から忍び込んで、背骨のあいだに細い冬を植える。そこから根が伸びるみたいに、寒さが肋骨へ、心臓へ。
(大丈夫。四十呼吸は終わった)
ノアとの約束を心の中で反芻する。泣く時間は終わった。泣く代わりに、呼吸を数える。息を吸う、数える、吐く、数える。数えるたび、胸の奥の封印紋が薄い熱で点滅する。痛みではない。けれど、刃先の気配がある。ちいさく触れれば血が出る、そんな予感の温度。
霧の向こうで、足音が増えた。
軽い。小さい。ばらばら。
複数の、短い脚。走る音。土を蹴る音が滑って、石に引っかかり、また土へ。
「——だれか、だれか!」
声。子どもの声が、霧の布の端をつまんで引き裂くように飛び出してくる。悲鳴にはなりきらない。誰かを呼ぶには小さすぎる。けれど、助けて、の形をしている。
私は荷包みを胸に抱き直して、声の方向へ走った。足元の道は、突然、起伏を思い出したみたいに波うつ。石が覗く。靴底が痛い。痛みは現実を増幅する。
霧が薄くなる瞬間がある。
そこに、影。
ひとつ、ふたつ、三つ——数えた瞬間に増える。
街灯のない道に落ちる影は、月の光でできていない。地面そのものが剥がれて、暗黒が顔を覗かせたみたいだ。影は地を滑る。輪郭はあるけれど、厚みがない。けれど、速度だけはやたらとある。子どもたちの足元を追い、かさり、すべり、回り込む。
喰影(くらい)。
黒霧が濃くなる夜、スラムの路地で見た。光を食べ、音を食べ、人の足元の安定を食う。人は安定を食われると簡単に転ぶ。転んだところに、本物の牙が間に合う。それがあの夜の教訓。
「走って! こっち!」
私は霧を割り、最も小さい影——背の低い子の背中に手を添えた。息が白い。子の肩は軽い。軽すぎる。骨ばっていて、今にも折れそうだ。四人。三人は前へ走る。最後のひとりの靴が砂利に引っかかって、体が傾く。
見えない爪が、地面から伸びる。
光を持たない刃が、靴底やすねを狙ってなぞる。
刃が皮膚に届く前に、私は子どもの肩を引いた。子の体は羽のように動いて、私の胸に衝突する。衝撃で空気が抜ける。
足元の喰影が、ぐにゃりと形を変えた。
猫のように低く、蛇のように長く、狼のような顎だけを持って、黒の中に白い歯の形を作る。厚みがないのに、噛む力だけが現実だ。私は子どもを自分の背に押しやった。背中がすぐに満たされる小さな温度。私の腕が空になった瞬間、黒が跳んだ。
痛みは予告なしに、背中を裂いた。
熱い。熱いのに、氷の刃で切られたみたいに周囲が冷える。肺が縮み、呼吸が途切れる。足場が消える。
私は前へ倒れた。頬が土に当たる。湿った土の匂いが鼻腔に流れ込む。雨の味。遠くで雨が降り始めている。まだここには届かないのに、口の中が鉄っぽくなる。血の味と雨の味はよく似ている。舌がそれを混同する。
子どもの叫びは薄く、私の名前じゃない誰かの名前だった。
私はそれで安心する。まだ、私に依存していない。まだ、家に帰れる名前がある。
影がもう一度、音を殺して近づく。地面の黒が盛り上がって、背中の痛みが拍動ごとに増える。私は片肘で体を起こそうとした。左手が土を掴む。土は冷たく、粒がはっきりしている。右手は痺れている。肩から先が他人の腕みたいで、力が入らない。
心臓が、一度、止まった。
打ち忘れ。
音楽が一拍抜けたみたいな、世界の踊りの乱れ。
静寂。
次の瞬間——
胸の封印紋が、砕けた。
砕ける音は内側で鳴るのに、世界じゅうで鳴ったように感じる。
ぱりん、ではない。
——ぱあん。
打楽器に光を詰めて、内側から叩いた音。
砕片は皮膚の下に散り、光の粉になって血に混ざる。熱が広がる。熱に刺がある。刺は痛みを増幅させるのではなく、痛みの意味を変える。切り傷が、境界になる。境界は、線だ。線は、言葉で書き換えられる。
髪が、ほどける音がした。
いや、音ではない。感覚。首の後ろで束ねられていた髪が自らほどけ、風に触れたところから白く冷える。白は冷たいのに、氷ではない。月光を溶かして髪に染めたみたいな冷たい光。視界の端に落ちた房が、自分の手では見たことのない色に輝いている。
耳鳴りが始まる。
高い。細い。けれど、痛くはない。
世界がその音に合わせて、わずかに遅延する。
雨の味は強くなり、土の匂いは深くなり、霧の粒は大きくなる。
時間が羊の毛みたいに膨らんで、指で撫でる手触りを持つ。
喰影が、跳ぶ。
黒の刃が、私の喉を狙う。
私は、肺に一滴だけ残っていた空気を集め、言った。
声は息より軽く、息より重い。
声は、私より古い何かが発する、私の声。
「——止まれ」
世界が反転した。
路面の霧が、壁紙みたいに剥がれて空へ返る。
喰影の黒が、影であることを忘れる。
刃は刃ではなかった、と急に思い出す。
思い出した物体は、ただの粉に戻る。
粉雪のように、さらさらと落ちる。
音はしない。
でも、音がある。
——星がひとつ、割れる音。
凍った夜空に細い亀裂が走り、その線が遠い合唱の和音になって、耳鳴りの向こう側で鳴る。
子どもたちの息が同時に吸い込まれる気配。
彼らの目が、私ではなく、落ちる粉へ向く。
粉は触れる前に消え、霧は退き、闇は濃くなり、道ははっきりする。
世界が整理整頓される。私の声の後始末。
背中の痛みは途絶えない。
痛みは現実で、現実は残る。
けれど、痛みの周りに、余白が生まれた。
余白は呼吸の居場所だ。私はそこを使う。吸って、吐く。
胸の中で星の粉が流れ続け、血管の中に小さな光の粒が浮かんでは沈む。私は左手で地面を押し、体を横向きにした。子どもたちが、二歩、三歩、戻ってくる。
「ねえちゃん……」
「大丈夫。——走って。まっすぐ、門へ。……行って」
声が自分のものじゃないみたいに落ち着いている。
子どもたちは迷う。私を見る。私の髪を見る。白。月光の欠片。恐れと憧れが混ざった目。私は微笑む。背中の傷が引きつって、笑いは歪む。歪んだ笑いでも、子どもは頷く。走る。霧の薄い道を選んで、靴音を重ねる。その靴音が、正しいほうへ行くのを耳で追い、私は息を吐いた。
遅れて、足音。
重い。大きい。地面の奥まで響く。
——ノア。
霧を裂く影。角の影。銀いろの瞳が霧の粒を弾いて、まっすぐこちらへ向かってくる。肺が、痛みとは別の理由で縮む。
「リリア!」
彼の叫びは低いのに、空気の天井まで届く。
名前の音で、胸の星が一瞬だけ休む。
彼の背から、熱が押し寄せる。霧の冷気を押し返し、風向きを変える熱。ノアは膝から滑り込むみたいに私の傍へ来て、片腕で肩を支え、もう片方の手で地面に掌をついた。指の形に土が沈む。
「背中」
「平気……じゃないけど、平気にする」
「血が出てる」
「出てるね」
「止める」
彼はコートを裂いた。裂かれる音は、夜の音の中でやけに大きい。布は抵抗しない。彼はそれを私の背に当て、掌で圧をかける。圧が熱を呼び、痛みの周囲に輪郭ができる。輪郭は制御の輪郭。痛みはただの事実になる。
「今のは——お前か」
「“止まれ”って言ったら、止まった」
「喰影が、粉になった」
「粉雪みたいで、きれいだったよ」
「きれいで済ませるな」
「うん。済ませない」
会話の間にも、霧は形を変える。
退いた部分の向こうから、新しい黒が滲む。喰影は残る。夜は学習する。私は息をもう一度まとめ、ノアの肩に指を置く。肩の筋肉は硬いが、触れたところから少し柔らかくなる。共鳴。彼は私の呼吸に合わせて息を吐き、吐き終わる瞬間に「うなずく」ようにわずかに体重を移した。
「もう一回、やれるか」
「やれる。——やる」
左手を地面から離し、指先を空に向ける。
霧の粒が指先に集まりそうで、集まらない。私の声は、霧に触れる前に、霧の下の文脈に触れる。言葉の結び目。結び目は硬い。硬いものは、ほどくために形を必要とする。私は形を与える。
「止まれ」
今度の声は、一度目より低い。
低い声は地面に染みて、霧の根を凍らせる。
喰影は二度目の命令に驚いたように震え、輪郭を自分で崩し、また粉になって落ちる。粉雪の密度が増す。夜の黒に白が混じり、吐息が白い花をつくる。
星の割れる音も二度鳴る。
ひび割れは広がらない。広がらないように、私の声が縫う。声で縁をかがる。縁取りの言葉が世界の隙間を塞ぎ、余白を呼吸に変え、呼吸を次の言葉の燃料に変える。
「リリア」
「なに」
「髪」
「白くなってるの、見える?」
「ああ」
「似合う?」
「似合う。……が、血で赤い」
「最悪の配色だね」
「生きてる配色だ」
ノアの唇の線が、初めて今夜、少しだけ上がる。
彼の右手はまだ私の背に圧をかけ、左手は地面に支え。彼の存在は杭のように安定を作る。その杭に繋がっている限り、私の声は逸れない。
霧の奥で、別の音。
瘴の群れが遠巻きに方向を変える気配。学習。逃げ方を知る夜。私は追わない。追えば、私の声が夜の形そのものを変えてしまう。ノアの忠告が脳裏で響く。「ほどきすぎるな」。今は、ここで止めるだけ。
「子どもたちは?」
「門の方へ走った。足音が遠ざかってる」
「追っ手は?」
「今のところ、ない。お前が道を“戻した”」
「戻した、か」
「喰影が地の言葉を忘れた。お前が言わせなかった」
「私、よくわからないことしてるね」
「俺もわからない。だが、見える」
「何が?」
「お前の声が、夜の目を逸らす」
「たぶん、私の声じゃない」
「何だ」
「古い声。私の内側の、もっと昔の人の声」
「名前があるか」
「まだ。……欲しい?」
「要らない。名は、鎖だ」
「そうだね」
霧の重さが、少しずつ薄くなる。
遠くで雷の音。雨が近づく。霧と雨は喧嘩する。雨が勝てば、霧は下へ押し戻される。喰影は水に弱い。夜がこちらの味方をする瞬間。
「立てるか」
「立つ。——うう、立つ」
ノアの肩に体を預け、足を土に押しつける。
膝が笑う。背中が焼ける。頭の中で鐘が鳴る。
それでも、立つ。立たないと、夜に奪われる。
彼は私の腰に腕を回し、重心を合わせる。歩幅を私に合わせて、半歩ずつ進む。霧は後退し、道の真ん中に薄い水の筋ができる。雨の先触れ。最初の一滴が頬に当たる。冷たい。冷たいが、痛くない。血の味を薄めてくれる。雨は優しい。
「楢の木まで行く。そこなら、背を預けられる」
「楢の木、覚えてる」
「よし」
歩き出す。
左、右、左。
地面の勾配がわずかに上がる。楢の根が土を持ち上げ、道はそこで一度だけ膨らむ。霧の向こうに、黒い塊。楢の影。枝が広がって、夜空を隠す。幹は幅広く、苔で滑る。ここなら、背を守れる。
幹に背をつけると、背中の傷が抗議する。
私は吐息で謝る。ノアは裂いたコートの端を結び直し、圧を調整する。彼の指が血で濡れている。私の血。彼の手は震えない。震えないのは、恐怖がないからではなく、震えを別の場所に預けているからだ。彼の喉の奥で、抑え込まれた震えが低く鳴る。獣の眠気に似た音。
「すぐ、って言った」
「すぐだった」
「……信じてよかった」
「疑ってもいい。見張ってもいい」
「見届ける。あなたの息」
「俺もだ」
雨が本気を出す。
霧は分を弁えて、足元の低いところへ降りる。喰影は溶ける。粉雪は泥になる。泥は現実だ。足を取られるが、足場にもなる。矛盾した助け方をする。
楢の下で、呼吸を数える。
吸って、三つ。吐いて、五つ。
胸の中の星が、まだ高鳴っている。
耳鳴りは続く。だが、さっきの“星の割れる音”は遠のいた。
割れ目は広がらない。私が縁を縫ったからだ。今夜は、それでいい。
背中の痛みは、明日への切符だ。生き延びた痛みは、未来を要求する。
「リリア」
「なに」
「お前、さっき倒れる前、何か食べたか」
「パンの端。昼に。夜は食べてない」
「食え。糖がいる。声は、燃料を食う」
「今、哲学は無理」
「現実だ」
「現実、わかった。……明日、パン買って」
「買う」
「奢り?」
「当然」
私の笑いは、雨に薄められる。
ノアの喉の低い音も、雨に混ざって心地よくなる。
闇はまだ深いが、怖さは今、形を変えた。
知らないものの怖さから、知ってしまったものの怖さへ。
未知は驚かせる。既知は責任を持たせる。
私の“止まれ”は、世界の一部を既知に変えた。
責任の匂いは、鉄と星の匂いが混ざったものに似ている。
雷がもう一度、遠くで光った。
稲妻の白は私の髪の白と共鳴し、ひときわ明るく胸の内側を照らす。
その光の中で、一瞬だけ、見えてはいけないものが見える。
東塔。封印陣の黒石。薄い亀裂。寝返りではない。
——目覚めの前の、伸び。
世界の筋が伸び、元に戻らない伸びをする。
「ノア」
「わかってる」
「見えた?」
「ああ」
「最悪」
「最悪だ。……だから、最善を選ぶ」
「なにそれ、かっこいい」
「実際は汚い」
「知ってる」
雨音が拍を刻む。
私たちはその拍に呼吸を合わせ、少しずつ体内の音を落ち着ける。
楢の葉から垂れる雫が肩に落ちる。冷たい。
背中の布は血で重いが、体温は戻ってくる。
星の粉は、ようやく落ち着きどころを見つけ、胸の中央に静かな光の核を作る。
そのとき——夜が、遠くで動いた。
霧ではない。風でもない。
音もなく、色だけが一段暗くなる。
暗闇が、暗闇に目を持つ。
誰かが、こちらを見た。
雷の残光が瞼の裏にまだ残っている。
でも、見える。目を閉じても見える種類の黒。
名も形も持たないのに、確かな存在。
楢の木の根が、一瞬だけ固くなる。
ノアの腕の筋が、わずかに強張る。
私の胸の光が、高鳴る。
「来る」
「来る。——けど、今じゃない」
「なぜ」
「世界が息を吸った。吐くのは、もう少し先」
「理屈?」
「匂い」
「はいはい」
私たちは黙る。
黙って、雨の音に体を委ねる。
呼吸を合わせ、拍を数え、星の核をなだめる。
夜は見ている。見て、通り過ぎる。
今夜は、通り過ぎてくれる。
——そう、決める。決めることは、時々、現実より強い。
遠くで、門のほうからかすかなざわめき。
衛兵の叫びではない。子どもの泣き声でもない。
複数の靴音。
安堵の混じった声。
生き延びた音。
楢の枝が揺れ、雨が一度だけ強くなり、すぐ弱まる。
世界は、夜を続ける準備をする。
私とノアは、そこで一度だけ目を合わせた。
銀いろの瞳に、白い髪の反射。
黒い夜に、二人分の呼吸。
「行けるか」
「行ける。……たぶん、一歩ずつなら」
「一歩ずつでいい」
「一歩ずつ、すぐ。——ね」
「ああ。すぐだ」
立ち上がる瞬間、世界がすこしだけ遠のいた。
耳鳴りが増す。
星の核が強く鳴る。
——ぱりん。
小さな皿を割ったみたいな音が、胸の奥で響く。
視界が白く跳ね、黒く沈む。
肩にノアの腕の重さ。
呼ばれる私の名前。
「リリア!」
高鳴る星音。
夜の色が濃くなって、輪郭が溶け、
暗転。
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