巨乳だけど清楚系(のつもり)です!

井上無印

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第7話:夏服、透けすぎ注意報!

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 衣替え初日の朝。
 鏡の前で、星野すずは思わずため息をついた。

 「……やっぱ、この夏服……薄いよね……?」

 薄手の白いシャツに、淡い水色の下着。
 いつも通りの組み合わせのはずなのに、今日は妙に“見えそう”な気がする。
 しかも自分の胸がHカップあることを、今さらながら思い知らされる布地の張り。

 「……落ち着け、清楚。私は清楚……!」

 深呼吸して家を出たものの――学校に着く頃には、すでに汗がにじみ、さらに透け感が増していた。

 (やだ……絶対、誰も見てませんように……!)

 祈るように昇降口を歩いていると、後ろから声。

 「星野さん、おはよ」

 振り向けば、クラスメイトの理系男子・**高科(たかしな)**が立っていた。
 メガネ越しの視線が一瞬フリーズし、次の瞬間、慌てて逸らす。

 「ご、ごめん! 見たわけじゃなくて、その……!」

 「え、えっと……なにを?」

 「いや、その……光の反射で……!」

 (絶対、透けてる……!)

 星野は胸元をぎゅっと押さえ、早足で教室へ逃げ込む。
 しかし、教室のクーラーはまだ本格稼働前。
 窓からの日差しで室内は蒸し暑い。

 席についた瞬間、背中にすっと影が落ちた。

 「星野さん、ハンカチ落ちてるよ」

 高科だった。
 彼が差し出してきたハンカチは、星野がさっき慌てて落としたもの。

 「ありがとう……」
 受け取ろうとして手が触れる。
 高科が一瞬びくっとした。

 「き、今日は暑いね……うん。汗、すごいよね」

 「そ、そうだね……」

 高科は口元を押さえ、ちらっと星野の胸元へ視線が落ちそうになると、すぐさま上を向いた。

 「ごめん、違うんだ! その……白シャツの光学特性っていうか……!」

 「光学特性!?」

 「うん、素材が薄いと光の波長が……いや、なんでもない!」

 ますます気まずい。
 でも嫌な感じじゃない。
 彼の動揺具合が、むしろ“清楚っぽい反応”に見えてしまう。

 その直後――先生が入ってきた。

 「はいはい、おはよう。今日は午後から全校集会があるから、体育館に移動するぞー」

 (体育館……!? この服で……!?)

 星野の心が音を立てて崩れた。

 ***

 体育館は蒸し風呂のようだった。
 風はなく、空気はこもり、汗は止まらない。

 星野は手持ちのハンカチで胸元を押さえながら、できるだけ姿勢を低くして座っていた。

 (お願いだから誰も見てないで……!)

 しかし隣の高科が、小声で話しかけてくる。

 「星野さん……その……すごく……がんばってるね」

 「な、なにを!?」

 「いや、汗……とか……。俺、背中が汗でぐっしょりで……」

 彼の言葉が途中で途切れた。
 視線が、星野の腕に落ちた汗の雫へ吸い寄せられている。

 星野は慌てて体をそらした。
 ついでに胸元のボタンがひとつ――ぱちっ、と外れる。

 「ひゃあっ!?」

 高科の顔が真っ赤になり、星野も真っ赤になり、二人して前を向いたまま固まる。

 (やだ……今の、絶対見えたよね!?)

 集会の話はほとんど耳に入らなかった。

 ***

 解散後。
 校舎へ戻る途中で、高科がそっと歩調を合わせてきた。

 「星野さん……これ……使って」

 差し出されたのは、彼の白衣(物理室の手伝いで着ていたらしい)。

 「え、でも……?」

 「いいから。日差しが当たると、もっと透けるから……その、保護用に……!」

 (保護用!?)

 言い方が妙に科学者っぽい。
 でも優しい。

 星野は白衣を羽織り、胸元をそっと押さえた。

 「ありがとう、高科くん。……助かった」

 「ぼ、僕はただ……同級生として……! うん!」

 高科は耳まで真っ赤にして、逃げるように走っていった。

 星野は白衣を抱えたまま、小さく笑う。

 (……清楚でいたいのに。なんでこうなるんだろ)

 でも、ちょっとだけ悪い気はしなかった。
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