二刀流スイッチ

むぎ04

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中学2年生編

さよなら (1)

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銀のソロホームランで、ベンチは一気に沸いた。
流れは、完全にこっち。

のはずだった。

後続は倒れ、追加点は奪えない。

最終回。七回裏。

1-1。
2アウト、ノーランナー。

ネクストバッターは……

陽田 蘭。

スタンドの空気が重く沈む。

銀がミットを構えた。

中尾「まっすぐ、最後いくぞ」

俺は小さく頷く。

言葉はいらない。
これが、俺たちの野球だ。

嶋口「おりゃあ!!」

指先から放たれた一球。
今日いちばんの回転。
今日いちばんの伸び。

完璧だった。

はずだった。

カキィン。

乾いた音が、やけに軽い。

打球は高く、夜空へ吸い込まれていく。

俺は振り返らない。

分かってしまったから。

白球はそのままスタンドへ。

さよならソロホームラン。

静寂。

モニターには
143km/h
とだけ表示されていた。

スコアボードの「2」が、残酷に光る。

俺たちの二年生の夏は、ここで終わった。

マウンドに立ったまま、俺は空を見上げる。

涙は出ない。

代わりに、胸の奥で何かが燃えていた。

次は、俺が超える。
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