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第21話 訳ありの家①
しおりを挟むギルドとの約束の20日間まであと一日、俺たちは次の住む所を探しに来ている。
宿屋ならあるが、不動産屋みたいな商売は街を歩いた感じ無かった。
何処に相談したら良いか解らないので、冒険者ギルドでとりあえず相談してみる事にした。
「それなら冒険者ギルドの仕事ですよ! すみません異世界人なのを失念していました」
そう笑いながら話しているのはケティ嬢、俺専門の専門受付嬢だ。
本来なら専門受付嬢はB級以上の存在につくが俺の場合は高価な薬草を採取する事とかなりの率で冒険者証のプレートを拾ってくるので特別についたようだ。
ちなみにランクはFのまま。
何故か討伐依頼を受けても、魔物に会えないから討伐0の為ランクアップ出来ない。
「助かった…それで住む場所ですが、どうすれば良いのでしょうか?」
「そうですね…大きく分けて3つです。 購入、賃貸、宿屋ですね」
成程、この辺りは前の世界と同じだ。
今現在の俺の手持ちのお金は金貨152枚(1520万円相当)ある。
討伐が出来ないから、稼げなくなる時が来るかも知れない。
月子の事を考えたら購入を考えた方が良いだろう。
「購入するとしたら幾ら位からあるんでしょうか?」
家賃や不動産の金額は地域によっては金額が違う。
この世界ではどうなのか…それ次第だな。
「安い物から高い物までまちまちですね、高い物ならそれこそ金貨1万枚を超える物もありますし、安い物なら金貨20枚の物もありますが手直しが必要だったり、危ない場所にあったりする物が多いですね…とりあえず見てみますか?」
「宜しくお願い致します」
ケティ嬢は色々と書類を見せてくれるが、これという物がなかなかない。
だが、1枚どうしても可笑しい物がある。
「理人くん、これ凄くない」
凄いなんて物じゃない。
4LDKでキッチンにトイレお風呂がついている。
内容だと、明かりやキッチン、トイレ、お風呂は魔道具で賄っているみたいだ。
凄いな…これ。
だが、これなんで金貨10枚なんだ。
「確かに凄いな、信じられない位に安い」
「ケティさん、これ何で安いんですか?」
「これですか? これは訳あり物件でして、余りお勧めはできません」
訳あり…前の世界でいう事故物件みたいな物か?
だから安いのか。
「あの、これって誰か死んでいるんですか?」
「ええっ…随分前だけど、何人か此処で死んでいますね、今現在は幽霊(ゴースト)が出るという噂の家です、幽霊屋敷という奴です」
「これにします」
「月子、他にした方が良いんじゃないか? かなり不吉な気がする」
「大丈夫だよ! 理人くん、ここ凄いじゃない、こんな都心部なのに安いんだよ」
少し外れとはいえ街の中、ギルド迄10分。
充分良い物件だ。
キラキラした目で月子は書類を見ている。
悪い癖だ。
美瑠子といい月子といい、オカルトが本当に好きだな。
まぁこの金額だし、良いか…
多分、俺は霊感が無いせいか幽霊とか見たこと無いし。
「月子が良いなら此処に決めるか?」
「うん、そうしよう!」
「あの…本当に良いんですか? 幽霊が出る幽霊屋敷で誰も買わない塩漬けだからの金額ですよ…この立地で設備で誰も買わない、その意味を考えるべきです」
「大丈夫です!」
まぁ月子は此処が気に入ったみたいだから、此処で決めるか。
「それじゃ、此処でお願いします」
「あの…私はちゃんと説明しましたからね…後は自己責任ですからね」
「「はい」」
こうして次の住む場所が決まった。
◆◆◆
私は確信した。
多分、理人くんの中にまだ『ナニカ』は居るんだと思う。
そうじゃ無ければ理人くんが魔物に会わない理屈がつかない。
他の人に聞いても此処迄出会わないなんて話はないらしい。
犬神ですら恐れる『ナニカ』だもん、幽霊なんて恐れる必要は無い。
理人くんが居るなら…家が安く買えるだけだもの、買わない理由は無いよね。
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