悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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存在と終わり

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【スカルSIDE】

何が起きている、どんな凄い勇者だろうが死霊が1000人もいれば倒せる筈だ。

それが何人送ろうが、歯が立たない。

しかも報告ではたった1人でこちらに向ってきている。

「スカル様、問題の奴が正に目の先まで来ています」

我は城の窓から外を見た。

聖なる光に包まれた状態でこちらに向って来る者がいる。

あれは不味い、不味いが言わなければならない事がある。

「仕方ない、我が出る」

スカルはそのまま城を飛び出した。


「貴方様は天使なのではないか?」

あんな一瞬で死霊を昇天させ、場を浄化する者など他には居ない。

「そうみたいだな」



【対峙】


「ならば、何故この世界に存在して顕現していられるのですか? これは大きな問題で反則だ」


「何を言っているんだ、お前は」

「我は魔王四天王が一人、スカル、上位の存在には言いたくないが、敢えて言わせて貰う」


なんだ、此奴は真面に話してくる。

立場が違えど、こういう奴の話は聞くべきだ。


「良いぜ、言ってみろ」


「此処までの事を何故するのでしょうか? 人間界に天使が顕現する等、本来はあってはならない事です」


「何を言っているんだ、そちらも死霊等、使っているではないか」

「確かに、だがこれは《この世界にある物》を使っています、魔族が努力して身に着けた物です、我とて元はスケルトン、その我が膨大な時間を掛け、魔力を貯め、魔道の開発につぐ開発をし、完成させた物にすぎません」

「それを言うなら、俺だって努力をして只の人間が天使になった者かもしれないぞ」


「そんな嘘を信じられる訳無いです。 天界の力等人間が身に付けられる理由が無い」

「そうか」

「天界の力等...人類が使いだしたら、こちら側も爵位を持つような、悪魔を呼ばなければならなくなります、そうならない様に魔界や天界のルールで、こちらの最高位は魔王様、人間側の最高戦力は勇者パーティーと決まっている筈です」


「その様なルールがあるのか?」

「天使ともあろう者が知らないのですか?」

俺が黙っているとスカルが話しだした。


「我は恐らくこの世界では一番長く生きています...先代、先々代の魔王様よりも...だからこそ知る事ですが、ちゃんと戦いにはルールがあるのです、我々側のルールは《魔王は前線に出ない》とかですかね」

確かに言われて見れば、何となくだが言っている事も解らなくも無い。


「そうか」


「もし、ルール無用であれば、我々は邪神様を復活せたり、公爵級の悪魔、場合によっては悪魔王サタン等、高位な存在を呼び出しますよ...そうしたら恐らくはそちら側も天使の軍団が出て来る筈です、そんな事したら、人魔(人と魔族)の戦いから...神悪(神と悪魔)の戦いになり場合によっては、世界所か空間その物が壊れるかも知れません...そうならない為に戦争と言いながら、それぞれが常識的な範囲で戦うのです」


なるほど、前の世界でいうなら、戦車や飛行機での戦闘に、いきなり核兵器を使う様な物か。


「確かに、その様なルールはあるのかも知れないな」

「あります...この世界はそれぞれが自分の役割があります...もしかしたら、今回の死霊はその摂理から外れたから、貴方の様な存在が天界から来たのかも知れません」


「そうか、少しは事情は解かった...それでこの戦いはどうすれば良いんだ」

「我は死霊王スカル...我が倒れれば我とその仲間の死霊は消える運命、浄化し昇天させるが良い...だが、貴方は高位の存在、自分がどうすれば良いのか? 考えて行動して下さい...貴方様の存在、貴方様のなさる事はこの世界を揺るがす事です、恐らく魔王様でも敵わないでしょう...だからこそしっかり考えて行動して下さい」

「解った」


「では、送って下さい」


俺が軽く手を振ると青い光が強くなりスカルを包み込んだ。


「....お前、子供、しかも女だったのか?」

「あはははっ、浄化って凄いね、死んだ恨みもなにもかも消えていくんだね、てっきりこの姿で消えていくと思っていたんだけど、まさか元の姿に戻れるなんて思わなかったよ」


スカルは骸骨の姿ではなく、死んで骨になる前の姿に戻り昇天していった。

綺麗な茶髪にそばかす顔の健康そうな少女として天に昇っていった。

子供らしい明るい笑顔で...


それと同時に他の死霊も青い光に包まれ天に昇っていく。

その全ての光からはお礼の声が沢山聞こえてきた。








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