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第12話 勇者とは付き合えない訳
しおりを挟む俺は冒険者ギルドに顔を出している。
この間はまだ勇者パーティに在籍していたが、幾らズボラでもそろそろ離団されている筈だ。
離団されたら…これで縁切りするつもりだ。
「リヒト様、先程連絡があり…離団処理されていました」
「ごめんね、毎日顔を出して…」
「いえ、勇者パーティからの離団、気になりますよね」
「まぁ…」
意味としては逆なんだけどな。
「あっ、それとカイト様からお手紙が来ています」
「そう、ありがとう」
やはり来たか…まぁ俺の意思は決まっているけどね。
◆◆◆
リヒトへ
あの時は俺達が悪かった。
謝るから戻ってきて欲しい。
カイト
◆◆◆
子供の手紙だな。
謝るのは良いが、戻った後の待遇まで書いてない。
単に元に戻れというだけで前と同じ生活になる。
これで戻りたい…そう思う奴は居ない筈だ。
それに俺には、絶対に勇者パーティに戻れない理由がある。
金を積まれても、俺は帰らない。
それはカイトがセクトールの息子だからだ。
俺がもし誰かとパーティを組むなら京姉にもパーティメンバーが気に入って貰える事…その条件は外せない。
多分、カイトや他の幼馴染を見る度に京姉は、あの辛い村を思い出すだろうから…無理だ。
それに…これは解らないが、あの女癖の悪いカイトが京姉に手を出している可能性は無くもない。
ただ、カイトはカッコしぃだから、評判の悪い京姉には手を出している可能性は低い。
それでもゼロで無い以上は…近づけたくない。
悪いがこれで縁切りだ。
俺も彼等を利用して『京姉を買うお金』『レベリング』『エリクサール』必要な物を手に入れた。
その代り、マウントされた挙句、幼馴染の性行為を見せられ、奴隷の様にただでこき使われてやった。
『貸し借りなしだ』
もうあいつ等から欲しい物は無い。
自分の妻を傷つけた人間の息子。
マウント癖があり努力もしない勇者
それに逆らえない聖女、賢者、剣聖、
これだけでも付き合いたいとは思わないし…なによりあの村の住民だった…
欲しい物をくれた事には感謝だが…
付き合いたくない…いやあの村に関わる存在全員縁切りで良い。
「今から手紙を書くから、勇者パーティに届けて欲しい」
「解りました」
◆◆◆
カイトへ
お前達は魔王討伐…実力の無い俺は他の幸せを探す事にする。
俺はお前から離れた日に国に対しての勇者パーティの離隊届けをだした。
その時にはもう心の整理はつけた…
永遠のお別れだ。
それなのにお前の方はギルドへの俺の離隊の届けを出さなかったよな…
もう会う事は無い…だが嫌われるのを承知で一言言うよ…しっかりしろよ…勇者だろう。
俺がお前達にもし会うとしたら魔王を倒した後の凱旋パレードだ。
直接会うんじゃない…遠くからバンザイしてやるよ…
もう道は違えた…会う事は無い。
魔王討伐頑張れ…影から応援してる。
リヒト
◆◆◆
「これ、頼むよ」
「この内容で本当に送るのですか?」
この世界の手紙はギルドで内容確認をするのが当たり前だ。
「ああっ」
「勇者パーティに戻れるのに勿体ないですよ」
「あそこは俺の居場所じゃないから」
俺には大切な人が居る…だからそこには戻らない。
◆◆◆
う~ん、ちゃんと体は綺麗に戻っているわね。
胸が少し垂れている様な気がするけど…これは元から…だよね。
うん、後は問題ない。
全部見たけど、傷や火傷は無かった…
正直、醜い自分の体をリヒトくんに見られるのが怖かった…
だけど、私は酷い事ばかりされたらから『誰かに体を触られる』のも怖かったの。
リヒトくんに『自分から全てしてあげる』その気持ちは嘘じゃない。
それでも…少しだけ触られるのが怖かった。
時間は掛かったけど…手を握ったり腕を組んで…うんリヒトくんなら大丈夫だ。
リヒトくんの手には愛があるから。
こんな私に王族でも使えない、エリクサール迄使うんだもん信じられないよ
こんな私を好きになってくれて愛してくれて、大切にしてくれるんだもん…今日から手を縛るのはやめよう…自由に触らせてあげよう…何時も触りたそうにしていて居るもんね…喜んでくれるかな。
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