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マリアとセレス
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「セレスようやく帰ってきたのね」
マリア様の笑顔が可愛い。
この笑顔を見る度に美醜逆転して見えるようにして良かったと心から思える。
最近では、セレス殿、セレス卿...そしてセレスと呼び方がコロコロ変わる。
少しは距離が近づいたのかな。
「それでは、セレス様..失礼しますわね」
最大のライバルはマリア王女ですわね。
「訓練有難うございました...セレス様」
姫騎士って...ずるいよね、姫様の騎士って意味だもん。
「お兄ちゃん、また明日」
やはり、セレスお兄ちゃんの一番はマリア王女なのかな。
「はい、またね」
「「「マリア様も、失礼します」」」
「はい」
私、姫なんですけど「も」なんですね?
まぁ仕方ないと思いますが...
「さぁ、セレス、私の部屋で報告をお願いしますね」
未婚の王族の部屋に入って良いのだろうか?
姫騎士だから許されるのかな。
セレスは勘違いしている。
彼女はマリアンと違い婚約者もまともに作れない姫だという事を忘れていた。
今回の成果についてマリア様に伝えた。
マリア様は「凄い、凄い」と褒めてくれたけど...
それで、マリア様以前にお願いした事をお願いします。
「彼女達のレベルや強さを私がセレスと比べる事ね」
「はい」
別に構いませんが、何故セレスは彼女達の事を知ろうと思わないのですか?
「羨ましいからです」
僕だって、本当は勇者だったんだ..本当は同じ位強くなれるのに...盗まれてしまったんだ。
「羨ましいのですか?」
「はい...どんなに努力しても届かない能力..そして何処までも強くなっていくその可能性..羨ましくて仕方ありません」
本当は、僕にも貰えた物..恨む気持ちは余り無い..だけど、どうしても目にすると羨ましい。
「そうなのね..セレスは私と同じだわ」
「姫様とですか...」
「そう、私は妹が羨ましい..美しい容姿に、あの能力、活発さ...羨ましくてしょうがないわ」
「ですが..私には姫様の方が..ずうっと綺麗に見えますよ」
「そう言ってくれるのは多分、この世界でセレスだけだわ...勇者が羨ましいセレス、妹が羨ましい私...同じだと思わない」
「そうかも知れませんね」
そうだ..もし、僕が勇者だったらこの人の事もこんな風に思えなかったかも知れない。
「でもね、セレス、私は勇者を率いる立場の妹より、凄く幸せなの...それはねセレスが居るから」
「私がですか?」
「そうよ..だって貴方はこの世界で唯一本当に私を大事にしてくれる人...そしてこの世の中で唯一の私に本気で仕えてくれる騎士..それに、これは今は内緒ですが..貴方は私の全てなの」
「有難うございます...マリア様」
「どういたしましてセレス...そう言えばもう一つの望みって何かしら? 何でも聞きますよ」
「はい...彼女達と宮廷魔術師長、騎士団長と戦って貰います...そして彼女達が勝ったら三人を僕の手から離して独立させて欲しいのです」
「セレス...貴方..」
「強いですよ彼女達..多分私よりも」
「そうなのですね...ですが、それは貴方が鍛えてあげたものでしょう? 強さは絆には関係ないと思いますわ」
「それでも、私は男です..女性を守る立場で、女性に守られる立場には成りたく無いのです」
「あの..セレスに前から聞きたかったのですが...セレスの国では男が女性を守る物なのですか?」
「はい」
「だからなのですね...セレスや騎士団長、勇者は別にしてこの世界では女が男を守るのが普通なのですよ」
「そうなんですか?」
あれっ一緒に居たのが真理達だからすっかり頭から抜けていたな。
「だから..貴方程強い男は..それこそ、東吾様位..いえまだ東吾様は訓練中の身なので..騎士団長に勝った貴方が多分、王国最強の男ですわ」
「あれっ、他の男勇者は違うのですか」
「男のセレスには話せませんが...リタイヤしました」
「そうですか...聞かない方が良いのでしょうね」
「私からは言いにくいので..同性の方から聞いて下さい」
「解りました」
「それで、セレスは、あの三人と離れたら..どうするのですか? 姫騎士なんですから..その、私ずうっと一緒に居てくれるだけでも良いですのよ?」
「そうでうね..それは凄く嬉しいですが..暫く考えて自分に出来る事をして行こうと思います」
「それでこそ、私のセレスです」
「有難うございます、姫様、少し気分が楽になりました」
「どういたしまして」
マリア様の笑顔が可愛い。
この笑顔を見る度に美醜逆転して見えるようにして良かったと心から思える。
最近では、セレス殿、セレス卿...そしてセレスと呼び方がコロコロ変わる。
少しは距離が近づいたのかな。
「それでは、セレス様..失礼しますわね」
最大のライバルはマリア王女ですわね。
「訓練有難うございました...セレス様」
姫騎士って...ずるいよね、姫様の騎士って意味だもん。
「お兄ちゃん、また明日」
やはり、セレスお兄ちゃんの一番はマリア王女なのかな。
「はい、またね」
「「「マリア様も、失礼します」」」
「はい」
私、姫なんですけど「も」なんですね?
まぁ仕方ないと思いますが...
「さぁ、セレス、私の部屋で報告をお願いしますね」
未婚の王族の部屋に入って良いのだろうか?
姫騎士だから許されるのかな。
セレスは勘違いしている。
彼女はマリアンと違い婚約者もまともに作れない姫だという事を忘れていた。
今回の成果についてマリア様に伝えた。
マリア様は「凄い、凄い」と褒めてくれたけど...
それで、マリア様以前にお願いした事をお願いします。
「彼女達のレベルや強さを私がセレスと比べる事ね」
「はい」
別に構いませんが、何故セレスは彼女達の事を知ろうと思わないのですか?
「羨ましいからです」
僕だって、本当は勇者だったんだ..本当は同じ位強くなれるのに...盗まれてしまったんだ。
「羨ましいのですか?」
「はい...どんなに努力しても届かない能力..そして何処までも強くなっていくその可能性..羨ましくて仕方ありません」
本当は、僕にも貰えた物..恨む気持ちは余り無い..だけど、どうしても目にすると羨ましい。
「そうなのね..セレスは私と同じだわ」
「姫様とですか...」
「そう、私は妹が羨ましい..美しい容姿に、あの能力、活発さ...羨ましくてしょうがないわ」
「ですが..私には姫様の方が..ずうっと綺麗に見えますよ」
「そう言ってくれるのは多分、この世界でセレスだけだわ...勇者が羨ましいセレス、妹が羨ましい私...同じだと思わない」
「そうかも知れませんね」
そうだ..もし、僕が勇者だったらこの人の事もこんな風に思えなかったかも知れない。
「でもね、セレス、私は勇者を率いる立場の妹より、凄く幸せなの...それはねセレスが居るから」
「私がですか?」
「そうよ..だって貴方はこの世界で唯一本当に私を大事にしてくれる人...そしてこの世の中で唯一の私に本気で仕えてくれる騎士..それに、これは今は内緒ですが..貴方は私の全てなの」
「有難うございます...マリア様」
「どういたしましてセレス...そう言えばもう一つの望みって何かしら? 何でも聞きますよ」
「はい...彼女達と宮廷魔術師長、騎士団長と戦って貰います...そして彼女達が勝ったら三人を僕の手から離して独立させて欲しいのです」
「セレス...貴方..」
「強いですよ彼女達..多分私よりも」
「そうなのですね...ですが、それは貴方が鍛えてあげたものでしょう? 強さは絆には関係ないと思いますわ」
「それでも、私は男です..女性を守る立場で、女性に守られる立場には成りたく無いのです」
「あの..セレスに前から聞きたかったのですが...セレスの国では男が女性を守る物なのですか?」
「はい」
「だからなのですね...セレスや騎士団長、勇者は別にしてこの世界では女が男を守るのが普通なのですよ」
「そうなんですか?」
あれっ一緒に居たのが真理達だからすっかり頭から抜けていたな。
「だから..貴方程強い男は..それこそ、東吾様位..いえまだ東吾様は訓練中の身なので..騎士団長に勝った貴方が多分、王国最強の男ですわ」
「あれっ、他の男勇者は違うのですか」
「男のセレスには話せませんが...リタイヤしました」
「そうですか...聞かない方が良いのでしょうね」
「私からは言いにくいので..同性の方から聞いて下さい」
「解りました」
「それで、セレスは、あの三人と離れたら..どうするのですか? 姫騎士なんですから..その、私ずうっと一緒に居てくれるだけでも良いですのよ?」
「そうでうね..それは凄く嬉しいですが..暫く考えて自分に出来る事をして行こうと思います」
「それでこそ、私のセレスです」
「有難うございます、姫様、少し気分が楽になりました」
「どういたしまして」
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