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教師の終わり
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私の名前は工藤真理子..一応教師だった。
「だった」というのは他でもないもう辞めたからだ。
先日、1人の生徒から暴行を受けた。
暴行と言っても変な物でなく、ひたすら暴力を受けた。
その生徒は妊娠中だと解っていてひたすら私のお腹に暴力を加えた。
そして、その結果、私は流産した。
「残念ながら赤ちゃんは流れました、あと伝えにくいんですがもうお子さんは産めない体になりました」
その医者の言葉が私を地獄に突き落とした。
私は良縁に恵まれて今の旦那と結婚した。
相手は老舗のお茶屋さんの息子、お茶屋っていっても馬鹿にならない年商で30億を越える会社だ。
やや地味目だけど、イケメンで更にいうならその両親もお金持ち特有の傲慢さはなく優しい人だった。
実際に結婚後も暫く教師を続けたい、そういう希望を伝えたら理解を示してくれて続けさせてくれた。
そして結婚して1年目..子供が出来、幸せな日々を送っていた。
生徒たちは優しく、真理子先生って呼んでくれて、結婚する前までは学園のマドンナなんて呼ばれていた。
しかも、結婚後も生徒たちは「真理子ちゃんが結婚するなんて、悔しいけど応援するよ」と凄く良い子達だった。
一部を除いて。
だが、その幸せは昨日まで、昨日でそれは終わってしまった。
それは悪魔が私を壊したから...
その悪魔の名前は泉といった、気弱な何処にでもいる生徒、そんな感じの印象だ。
気が弱いせいで不良に目を付けられて虐められている。
その事は私も解っていた。
だけど、どうすればいいの? 私は20代の女性だよ? 不良グループなんか敵に出来ないよ?
しかも、あの不良達は噂では、平気で女性をレイプするとか聞いたし、実際に嫌われた先生が暴力を振るわれ学校を辞めていった。
怖いよ、私だって教師である前に人だし女だから。
だから、目を瞑るしかないんだよ..教師なんて生徒に嫌われたら終わりだからさ...
「先生、相談があるから放課後図書室に来てください」
またかと思った。
以前に彼は何度か虐めの相談を私にしたことがある。
1度目は職員室にきたが、その事がばれて、更に虐められてから、他の場所を指定して相談をするようになった。
正直、相手したくない、だって私には解決できないし、下手に介入したのがばれたら、他の生徒から嫌われる。 場合によって不良に目を付けられたら、何されるか解らない..だけど形的には教師である以上聞かない訳にいかない..可哀想だけど、遊びだと思うから気にしない方が良いよ。 それを押し通すしか無いのだ。
だが、その日は違った。
彼が私に暴力を振るった。
不良グループ達ならいざ知らず、何でこの子が暴力を振るうのかが解らなかった。
そして、何で自分がこんな目に会うのか解らなかった。
気が付くと私は病院に居た。
そして
「残念ながら赤ちゃんは流れました、あと伝えにくいんですがもうお子さんは産めない体になりました」
この言葉を聞いた。
その瞬間、全ての幸せが終わってしまった事が解った。
私が寝ている間に両親や彼はその事を聞いていたのだろう、わたしに申し訳なさそうに。
「ごめんね..うちはどうしても跡取りがいるから..離婚して頂戴ね」
「全く、女だてらに教師なんてするからこうなるんだ、素直に辞めてれば問題無かったんだ..儂の孫殺しやがって、顔も見たくないわ」
「ごめん、真理子..」
「解ったよ..仕方ないよね..離婚届送ってくれれば判押して返すから..」
「全く」
「お父さん、言い過ぎですよ..本当にごめんなさいね」
「悪いな」
仕方ないよね老舗にとって子供が産めない嫁なんて価値は無い、解るよ。
あははははははは...本当に悲しいと涙もでて来ないのね..はは。
だけど、彼、最後位は顔を見て話して欲しかったな..何で目も併せなかったのかな..
病室にあった鏡を見た。
《嘘嘘嘘..これが私なの? 違うこんなの私じゃない》
包帯の上からでも解る..自分の顔が腫れあがってお化けの様になっていた。
皆んなから逆玉だと言われ羨ましがられた生活。
そして、赤ちゃん、何より大切な私の子供。
全部失ってしまった。
泉が憎い、私から全てを盗んだあの生徒が、この償いはしっかりして貰う。
だが、私は教師だから最初にこの事件の事を校長に伝たえなければいけない。
校長に詳しく状況を伝えた。
「事情はわかりました、きちんと罰しますから暫く時間を下さい、くれぐれも軽はずみな行動はしてはいけませんよ..場合によっては先方の両親へ連絡して慰謝料の話しや警察を入れた話しになるかも知れません、ですが、出来る事なら警察沙汰にはしたくは無いと思います...暴力を振るったからと言って未来ある生徒なのですから」
事情は解かった、正直それじゃ許せない..だけど仕方ない、そうとも思った。
病院に入院しながら1週間後、校長から電話があったので学校に行った。
生徒に今の状況で会いたく無いので時間を夕方にして貰った。
そして、その結果は私の聞きたくない内容だった。
「真理子先生、生徒からも話を聞きましたが、あれは遊んだだけだそうじゃないですか?余り大げさにしないで頂きたい」
「校長先生、何を言っているんですか? 私は流産して子供も作れない体になってしまったんですよ? これが遊びなわけないでしょう!」
「そうですね、普通なら、だけど今回のケースは違います、貴方がこの程度は遊びの範疇、そういう風に生徒を教育してしまってる以上は仕方ないと思いますよ」
「私、そんな教育してません!」
「仕方ありませんね、写真とボイスレコーダーを聞いて下さい」
「この写真はなんですか..凄い傷だらけですが」
「この写真は貴方に説明する為に該当の生徒、泉くんの体の写真を撮らせて貰ったものです」
「私はこんな事はしていません、ぬれぎぬです!」
「それは解っています、ですからこっちの音声を聞いて下さい」
《哲也君、またプロレスごっこ、楽しくて良いわね...》
《毎日飽きないわね、でも楽しそうね..仲の良い事は良い事だわ》
「これは、ですがこの判断は..」
「ええっ貴方が目の前で泉くんが暴行されているにも関わらず、それを注意もしなかった証拠ですね、しかも、明かに暴行している生徒側にたっていますね」
「ですが、この件は他の先生たちも遊びでしょうという話になった筈です」
「そうなりましたね、ですが、貴方達が正しい報告をしなかったから、泉くんに暴行を働いた生徒を見逃した、いえ、貴方達は暴行した生徒側に立ち私を騙したのです」
「それは...ですが、その時の話し合いは終わったはずです、それに事の顛末や詳しい状況は教頭や学年主任が判断して、いじめではない、そう判断されたはずです」
「ですが、その判断は、貴方達がねつ造した、「いじめではない、笑って遊んでいるだけ」、そこからの判断ですよね! 少なくとももう二度と走れない様な怪我をさせて、一生消えない傷を残すような話は聞いていません」
「それは私も知りませんでした」
「知りませんでした? 貴方担任でしょう? 私が聞いて教えてくれた事を聞き取り調査をした貴方が知らないなら、それは重大な問題ですよ」
知っていたわよ、だけどそれを言うなら他の先生や教頭、学年主任、全員知っていたわ、校長だってご存知の筈
「知っていました、ですが、他のせ「知っていたのね、だったら知っていて隠ぺいしたんですね」
最後まで言わせて貰えなかった。
「ですが、他の先生も知っていた事です」
「他の先生にも責任はとらせます、ですが貴方は自分がした事を考えるべきです、大人なんだから!」
「それはどういう事でしょうか?」
「泉くんは言っていました、私に平等にして欲しいと、依怙贔屓はしなくても良いから平等にして欲しいとね」
「それはどういう事でしょうか?」
「今回の起因は貴方があそこまで壮絶な虐めを見過ごすどころか、暴行した生徒側に立ち隠ぺいした事にあります」
「それを今言われても仕方ありません、もう過去の事なのですから、今更哲也くん達を罰する事もできないと思います」
「そうです、まだ解りませんか? だから、その時の判断は正しかったとするしかありません」
「私もそう思います」
「であるなら、貴方が今回流産した事は「ただの遊び」にしなくてはなりませんね」
「それは可笑しい、可笑しいじゃないですか? どうしてそんな事になるんですか..」
「だって、貴方は泉くんが同じような立場の時に遊びで済ましたんだから仕方ないですよ」
「それは余りにもおかしいと思います、学校が対処してくれないなら警察に行きます」
「良いですよ、そうした場合は学校側は、過去に虐めを隠蔽した事が原因ですと警察に報告しますよ?そうしたら貴方は虐めを隠蔽した教師の烙印が押されて、何だかの責任を取らされると思いますがその方が良いんですか?」
「そんな、そんなのって無い..」
「だけど、考えなさい、泉くんは今も同じ目に毎日あっています、それは知っていますか?」
「知っています..」
「教師に何回も相談に来ましたよね?」
「はい」
「貴方はどう思いますか? 貴方はたった一度ですよ、彼は過去も現在も貴方がされたような事を何回もされています、それを貴方はどう思いますか?」
確かに、私は彼を救わなかった。
今思い出せば、彼の顔はいつも私に助けが欲しくて縋りついていた。
体の傷も、もう走れない程、足を痛めた事も知っていた..報告も受けた..だけど何もしなかった。
私は彼がされた地獄をたった一度味わっただけだ...
だけど、私じゃなく何で虐めていた人に返さないの?
こんな事するなら直接やり返せばいいじゃない..
じゃぁ自分が彼にやり返せば良いじゃないか..できないな。
彼にやり返せない私が、あの不良の前に立って彼を助けられたか...助けられない。
解ってしまった、何がいけなかったのか...それは私が教師になった事が悪かったんだ。
覚悟も無しに教師になったのがいけなかったんだ。
そう考えたら、こんな教師を担任に持った彼も被害者だ。
彼が凄く憎い..だけど自分だって悪い事をした。
彼に謝らせる事は出来ない、だけど自分だって謝りたくはない。
だから、
「解りました私はこの学校を辞めようと思います、ですが今回の件は何も言いませんので少し退職金を頂けますか?」
「それが良いと思います、そうですね、お金は出せませんが、治療費についても労災が使えるように配慮しますし、今回の件は学校にいる間の事故として保険金が下りるようにしましょう、内緒でね、恐らくそこまでの状況です、下手な退職金より多く貰えると思いますよ」
何だ、織り込み済みなんだな、多分これが口止め料の代わり..そういう事ね。
「有難うございます」
顔の晴れは収まって元通りの顔になった。
全てを失った私は..もう生徒には関わらない事に決めた。
教師なんて馬鹿らしい。
こんなお金で、覚悟を決めなくてはならない、こんなバカな仕事なんて二度とするものか、そう心に誓った。
「だった」というのは他でもないもう辞めたからだ。
先日、1人の生徒から暴行を受けた。
暴行と言っても変な物でなく、ひたすら暴力を受けた。
その生徒は妊娠中だと解っていてひたすら私のお腹に暴力を加えた。
そして、その結果、私は流産した。
「残念ながら赤ちゃんは流れました、あと伝えにくいんですがもうお子さんは産めない体になりました」
その医者の言葉が私を地獄に突き落とした。
私は良縁に恵まれて今の旦那と結婚した。
相手は老舗のお茶屋さんの息子、お茶屋っていっても馬鹿にならない年商で30億を越える会社だ。
やや地味目だけど、イケメンで更にいうならその両親もお金持ち特有の傲慢さはなく優しい人だった。
実際に結婚後も暫く教師を続けたい、そういう希望を伝えたら理解を示してくれて続けさせてくれた。
そして結婚して1年目..子供が出来、幸せな日々を送っていた。
生徒たちは優しく、真理子先生って呼んでくれて、結婚する前までは学園のマドンナなんて呼ばれていた。
しかも、結婚後も生徒たちは「真理子ちゃんが結婚するなんて、悔しいけど応援するよ」と凄く良い子達だった。
一部を除いて。
だが、その幸せは昨日まで、昨日でそれは終わってしまった。
それは悪魔が私を壊したから...
その悪魔の名前は泉といった、気弱な何処にでもいる生徒、そんな感じの印象だ。
気が弱いせいで不良に目を付けられて虐められている。
その事は私も解っていた。
だけど、どうすればいいの? 私は20代の女性だよ? 不良グループなんか敵に出来ないよ?
しかも、あの不良達は噂では、平気で女性をレイプするとか聞いたし、実際に嫌われた先生が暴力を振るわれ学校を辞めていった。
怖いよ、私だって教師である前に人だし女だから。
だから、目を瞑るしかないんだよ..教師なんて生徒に嫌われたら終わりだからさ...
「先生、相談があるから放課後図書室に来てください」
またかと思った。
以前に彼は何度か虐めの相談を私にしたことがある。
1度目は職員室にきたが、その事がばれて、更に虐められてから、他の場所を指定して相談をするようになった。
正直、相手したくない、だって私には解決できないし、下手に介入したのがばれたら、他の生徒から嫌われる。 場合によって不良に目を付けられたら、何されるか解らない..だけど形的には教師である以上聞かない訳にいかない..可哀想だけど、遊びだと思うから気にしない方が良いよ。 それを押し通すしか無いのだ。
だが、その日は違った。
彼が私に暴力を振るった。
不良グループ達ならいざ知らず、何でこの子が暴力を振るうのかが解らなかった。
そして、何で自分がこんな目に会うのか解らなかった。
気が付くと私は病院に居た。
そして
「残念ながら赤ちゃんは流れました、あと伝えにくいんですがもうお子さんは産めない体になりました」
この言葉を聞いた。
その瞬間、全ての幸せが終わってしまった事が解った。
私が寝ている間に両親や彼はその事を聞いていたのだろう、わたしに申し訳なさそうに。
「ごめんね..うちはどうしても跡取りがいるから..離婚して頂戴ね」
「全く、女だてらに教師なんてするからこうなるんだ、素直に辞めてれば問題無かったんだ..儂の孫殺しやがって、顔も見たくないわ」
「ごめん、真理子..」
「解ったよ..仕方ないよね..離婚届送ってくれれば判押して返すから..」
「全く」
「お父さん、言い過ぎですよ..本当にごめんなさいね」
「悪いな」
仕方ないよね老舗にとって子供が産めない嫁なんて価値は無い、解るよ。
あははははははは...本当に悲しいと涙もでて来ないのね..はは。
だけど、彼、最後位は顔を見て話して欲しかったな..何で目も併せなかったのかな..
病室にあった鏡を見た。
《嘘嘘嘘..これが私なの? 違うこんなの私じゃない》
包帯の上からでも解る..自分の顔が腫れあがってお化けの様になっていた。
皆んなから逆玉だと言われ羨ましがられた生活。
そして、赤ちゃん、何より大切な私の子供。
全部失ってしまった。
泉が憎い、私から全てを盗んだあの生徒が、この償いはしっかりして貰う。
だが、私は教師だから最初にこの事件の事を校長に伝たえなければいけない。
校長に詳しく状況を伝えた。
「事情はわかりました、きちんと罰しますから暫く時間を下さい、くれぐれも軽はずみな行動はしてはいけませんよ..場合によっては先方の両親へ連絡して慰謝料の話しや警察を入れた話しになるかも知れません、ですが、出来る事なら警察沙汰にはしたくは無いと思います...暴力を振るったからと言って未来ある生徒なのですから」
事情は解かった、正直それじゃ許せない..だけど仕方ない、そうとも思った。
病院に入院しながら1週間後、校長から電話があったので学校に行った。
生徒に今の状況で会いたく無いので時間を夕方にして貰った。
そして、その結果は私の聞きたくない内容だった。
「真理子先生、生徒からも話を聞きましたが、あれは遊んだだけだそうじゃないですか?余り大げさにしないで頂きたい」
「校長先生、何を言っているんですか? 私は流産して子供も作れない体になってしまったんですよ? これが遊びなわけないでしょう!」
「そうですね、普通なら、だけど今回のケースは違います、貴方がこの程度は遊びの範疇、そういう風に生徒を教育してしまってる以上は仕方ないと思いますよ」
「私、そんな教育してません!」
「仕方ありませんね、写真とボイスレコーダーを聞いて下さい」
「この写真はなんですか..凄い傷だらけですが」
「この写真は貴方に説明する為に該当の生徒、泉くんの体の写真を撮らせて貰ったものです」
「私はこんな事はしていません、ぬれぎぬです!」
「それは解っています、ですからこっちの音声を聞いて下さい」
《哲也君、またプロレスごっこ、楽しくて良いわね...》
《毎日飽きないわね、でも楽しそうね..仲の良い事は良い事だわ》
「これは、ですがこの判断は..」
「ええっ貴方が目の前で泉くんが暴行されているにも関わらず、それを注意もしなかった証拠ですね、しかも、明かに暴行している生徒側にたっていますね」
「ですが、この件は他の先生たちも遊びでしょうという話になった筈です」
「そうなりましたね、ですが、貴方達が正しい報告をしなかったから、泉くんに暴行を働いた生徒を見逃した、いえ、貴方達は暴行した生徒側に立ち私を騙したのです」
「それは...ですが、その時の話し合いは終わったはずです、それに事の顛末や詳しい状況は教頭や学年主任が判断して、いじめではない、そう判断されたはずです」
「ですが、その判断は、貴方達がねつ造した、「いじめではない、笑って遊んでいるだけ」、そこからの判断ですよね! 少なくとももう二度と走れない様な怪我をさせて、一生消えない傷を残すような話は聞いていません」
「それは私も知りませんでした」
「知りませんでした? 貴方担任でしょう? 私が聞いて教えてくれた事を聞き取り調査をした貴方が知らないなら、それは重大な問題ですよ」
知っていたわよ、だけどそれを言うなら他の先生や教頭、学年主任、全員知っていたわ、校長だってご存知の筈
「知っていました、ですが、他のせ「知っていたのね、だったら知っていて隠ぺいしたんですね」
最後まで言わせて貰えなかった。
「ですが、他の先生も知っていた事です」
「他の先生にも責任はとらせます、ですが貴方は自分がした事を考えるべきです、大人なんだから!」
「それはどういう事でしょうか?」
「泉くんは言っていました、私に平等にして欲しいと、依怙贔屓はしなくても良いから平等にして欲しいとね」
「それはどういう事でしょうか?」
「今回の起因は貴方があそこまで壮絶な虐めを見過ごすどころか、暴行した生徒側に立ち隠ぺいした事にあります」
「それを今言われても仕方ありません、もう過去の事なのですから、今更哲也くん達を罰する事もできないと思います」
「そうです、まだ解りませんか? だから、その時の判断は正しかったとするしかありません」
「私もそう思います」
「であるなら、貴方が今回流産した事は「ただの遊び」にしなくてはなりませんね」
「それは可笑しい、可笑しいじゃないですか? どうしてそんな事になるんですか..」
「だって、貴方は泉くんが同じような立場の時に遊びで済ましたんだから仕方ないですよ」
「それは余りにもおかしいと思います、学校が対処してくれないなら警察に行きます」
「良いですよ、そうした場合は学校側は、過去に虐めを隠蔽した事が原因ですと警察に報告しますよ?そうしたら貴方は虐めを隠蔽した教師の烙印が押されて、何だかの責任を取らされると思いますがその方が良いんですか?」
「そんな、そんなのって無い..」
「だけど、考えなさい、泉くんは今も同じ目に毎日あっています、それは知っていますか?」
「知っています..」
「教師に何回も相談に来ましたよね?」
「はい」
「貴方はどう思いますか? 貴方はたった一度ですよ、彼は過去も現在も貴方がされたような事を何回もされています、それを貴方はどう思いますか?」
確かに、私は彼を救わなかった。
今思い出せば、彼の顔はいつも私に助けが欲しくて縋りついていた。
体の傷も、もう走れない程、足を痛めた事も知っていた..報告も受けた..だけど何もしなかった。
私は彼がされた地獄をたった一度味わっただけだ...
だけど、私じゃなく何で虐めていた人に返さないの?
こんな事するなら直接やり返せばいいじゃない..
じゃぁ自分が彼にやり返せば良いじゃないか..できないな。
彼にやり返せない私が、あの不良の前に立って彼を助けられたか...助けられない。
解ってしまった、何がいけなかったのか...それは私が教師になった事が悪かったんだ。
覚悟も無しに教師になったのがいけなかったんだ。
そう考えたら、こんな教師を担任に持った彼も被害者だ。
彼が凄く憎い..だけど自分だって悪い事をした。
彼に謝らせる事は出来ない、だけど自分だって謝りたくはない。
だから、
「解りました私はこの学校を辞めようと思います、ですが今回の件は何も言いませんので少し退職金を頂けますか?」
「それが良いと思います、そうですね、お金は出せませんが、治療費についても労災が使えるように配慮しますし、今回の件は学校にいる間の事故として保険金が下りるようにしましょう、内緒でね、恐らくそこまでの状況です、下手な退職金より多く貰えると思いますよ」
何だ、織り込み済みなんだな、多分これが口止め料の代わり..そういう事ね。
「有難うございます」
顔の晴れは収まって元通りの顔になった。
全てを失った私は..もう生徒には関わらない事に決めた。
教師なんて馬鹿らしい。
こんなお金で、覚悟を決めなくてはならない、こんなバカな仕事なんて二度とするものか、そう心に誓った。
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