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第14話 セシリアSIDE セレスの正体
しおりを挟む「セシリア先生、セレスの精子の検査結果が分かりました。 このことは絶対に漏らしてはいけませんよ!」
マリアーヌ主任に呼ばれて教員室に来たのですが、随分と深刻な話のようです。
大体の想像はつきますが……セレスのことに間違いないでしょう。
「はい」
「セレスの精子には遺伝的に一切のダウン症が現れない事が分かりました。 それ処か他の数値も高く、その全部の基準値がオールAです。 これは、戦争前にいた『正常な男子』の精子と同じという事になります」
「『正常な男子』そんな存在がいるのですか?」
「『いない』そう考えるのが普通ですが、実際にいる以上は否定できません。セシリア先生考えて下さい。数日に1回発情するだけでAランクの男性なのに、たった1日数時間で彼は貴方を何回も求めましたよね。そればかりか、彼は他にもケティという生徒とも性交している事が分かっています。そして、マリアという女性との時間を落札、こんな事が出来る存在が現代の男性にいると思いますか?」
「現代にいない? 確かに......」
だけど、今の言い方。逆を返せば、昔には『いた』と言いたいように思えるわ。
「それで、調査を進めた結果。セレスが事故に遭った場所の近くには旧式のコールドスリープ装置があったのです」
コールドスリープ装置?
たしか、あれは失敗で世界中のあちこちでミイラ化した死体が見つかっただけの筈……
「確かに、核戦争が始まる前に、一部の権力者やセレブがシェルターを作り、コールドスリープに入ったという話しは聞いたことがありますが、その全ては失敗に終わったと聞きます」
「もしかしたら、その貴重な成功例がセレスなのかも知れないのです」
「そんな事が……」
確かにそれなら辻褄が合うわ。
まだ、昔、男性と女性の人口が限りなく1:1に近かった時代から来た男性。
だからこそ女性を嫌わない。
当時の男性は女性よりも体力があったという情報もあるし、紳士的だったとも聞いたことがある。
成績だってそうだわ。
殆どの授業で成績が良いのに、歴史だけは壊滅。
『過去から来た』それなら説明がつく。
「ええっ、その可能性が非常に高いという事です。 ここ迄の話ではスクールではもう隠しようがありません。正直に報告しました。今現在政府の調査チームが、コールドスリープシステムを調べています。私や貴方は当事者なので見学しても良いという許可を得ていますから、これから行ってみませんか?」
「そうですね……確かにそれなら辻褄が合います。是非一緒に行かせて下さい」
こうして私はマリアーヌ主任と一緒にコールドスリープが見つかったという場所に出掛ける事にした。
◆◆◆
分厚いコンクリートに囲まれた部屋……その中央にある色々な機械がついたベッド。
ランプが点灯している。
「これは、スクールの方々ですね……凄いですよ! このコールドスリープシステムちゃんと機能しています」
凄い……調査に中央政府に中央管理局の人間が数人混じっているわ。
青髪に鋭い目。
まさか、このエリアのナンバー2の代表委員会副議長のポリアック副議長が直々に来るなんて......
「お会い出来て光栄です。副議長……」
マリアーヌ主任の挨拶に併せて私もお辞儀をした。
「堅苦しい事は結構よ……この場はフランクに話しましょう……」
「「はい」」
「結論から言うと、このコールドスリープシステムは今迄発見された物と違い。その責任を果たすようにしっかり稼働していました」
「そうですか、それなら、これからもセレスみたいな人間が現れる。そういう事でしょうか?」
「残念ながらそれは無いですね。 実はこのシステムにはシリアルが刻まれていて79/79。 今迄に発見された物は78、恐らくこれが最後の可能性が高いと思われます」
「そうですか……」
「結果、セレスは、この世界で唯一の『過去から来た正常な男』という事になりました。中央コンピューターの出した人的価値で言うなら、この世界の女の人口の3/4より価値があるそうですよ。実に凄い話です」
確かに『正常な男』というならそれ位の価値があってもおかしくないわ。
今現在、人工的に精子と卵子を結合させてつくるシステムでどうにか人を増やしているけど……男子の生まれてくる確率は1/50以下、しかもその全員が、正常ではないのだから……でも……
「それでは、彼はもう普通にスクールでは生活出来ない。そういう事ですか?」
「一介の教師が口を挟んで良い事じゃありませんが……せめてスクールを卒業するまで自由にさせてあげられませんか?」
『世界で唯一の正常な男性』きっとセレスに自由なんてもう無いかも知れない。
だけど、それは悲しい事だわ。
出来る事ならあと数年かも知れないけど、教師として彼には自由な時間をあげたい。
そう思うのはエゴでしょうか?
「いや、彼には今迄と同じに過ごして貰いますよ……セレス=グランツはコールドスリープシステムに入っていたような、セレブです。グランツ家はもう無くなってしまいましたが、世界を股にかける財閥だったようです。そこで議会で行われた結論ではもう滅んでしまったとはいえ、別の国家の人間と考え『国賓』として扱う事に決まりました。ただ、この事は彼には内緒ですが」
「「内緒ですか」」
「ええっ、今現在、彼はこの短期間に三人もの女性に対して膣内射精に成功しています。精神を不安にさせず、今の環境を維持したいというのが議会の結論です。国賓扱いはスクール卒業、もしくは社会に出た時に伝える予定です。くれぐれも口外しないようにお願いします。今変わる事と言えば、せいぜい『男性専用チャンネル』が彼ように少し変わるとういうのと、彼のスマホアプリに昔あった出会い系アプリを参考にしたアプリを入れる事位ですね。その他は外出時には気づかれないように護衛がつく、その程度です」
「「宜しいのですか?」」
「はい、色々な結論は彼の子供に持ち越されます。男の子が生まれそれがセレスと同じ様な『正常な男子』だった場合はセレスの価値が下がっていきます。 正常な男子の人数が増えていくわけですからね。逆に『正常な男子じゃ無かった』場合は価値はなくなります。いずれにしてもそう遠くない未来、価値が下がる筈ですからね……それでどちらがセシリアさんですか?」
「私がそうです」
「そうですか。 男性に『膣内射精』をして貰ったのですからしっかり保健機関に届を出すべきですよ! 男性を満足させた事で『優良女性』認定が貰えるのですから! セレスから精を受けた二人はしっかりと届けをだされています。届けを出さなかったのは貴方だけですよ」
「忘れていました……スミマセン」
「今回は不問にしますが、次回から気をつけてくださいね……ここから『妊婦』を目指して頑張って下さい。期待していますよ」
妊婦になる特典を今迄LLSの授業で話してきたけど、どこか頭の中で『あり得ない』と思っていたわ……セレスが相手なら充分可能性があるのよ……教師だからってこのチャンスを見逃すのは勿体ないわ。
「がんばります」
「それじゃ、セレスは今迄通りスクール預かり、それで宜しいですね」
「それで構いません」
「セシリア先生『妊婦』は構いませんが、貴方はセレスのパートナーには慣れないんですから、そこは教師として忘れないで下さいね」
マリアーヌ主任に釘を刺された......その通りね。
「……分かりました」
そう、生活指導担当はLLSを受け持つから、パートナーには慣れない。
殆どの男子生徒の性授業を受け持つという役得のかわりに生徒とはパートナーになれないという決まりがある。
そうしなければ生活指導担当がパートナーに成りやすいという事への社会的配慮からだ……
これは仕方ないわね……法律だから。
私は頑張って『妊婦』そこで満足するしかないわ…….
「はい、分かっています」
「おや、それじゃ、私はこれで失礼するよ」
そう言うとポリアック副議長は去っていった。
私とマリアーヌ主任はコールドスリープシステムを少しだけ見学させて貰いスクールへと帰る事にした。
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