6 / 85
第6話 彼女は飢えていた。
しおりを挟む俺がとっている宿についた。
一瞬、此処でも嫌な顔をされたが俺が睨んでいると何時もと同じ対応になった。
貧乳聖女!一体どれだけ巨乳を嫌っていたんだ。
今度詳しく調べて見るか?
大体俺は元勇者パーティでS級冒険者でそれなりに有名人だ。
その俺が横に居ながらトラブルが起きる。
逆に一周して『凄いな』と言いたくなる。
部屋に入り弁当を収納袋から取り出し差し出した。
「あの…これは、どういう意味…なの…」
「君の分だよ! 色々と話をしたいけど、まずはお腹が空いているだろう? 飯を食ってからだ」
「これ…本当に私が食べて良いの」
「どうぞ!」
「いただきます…」
そういうとすぐに彼女は、凄い勢いで食べ始めた。
「誰もとらないから、スプーン位使えば?」
「あっ、ごめんなさい…」
いきなり犬食いプラス手掴みで食べ始めた時は驚いたぞ。
しかも椅子に座らず、地面に置いてだ。
地面で食べているのは奴隷によってそういう扱いを受けていたかも知れないから今は放って置こう。
しかし、凄く悩ましい格好だな。
床に座って屈みこんで食べているからメロン並みの大きさの胸が服の隙間から見えている。
体型だけでなく顔も凄く可愛くて綺麗だ。
これだけ可愛ければ、前髪ぱっつんでロングヘア―でも似合いそうだし、逆にショートでもいけるような気がする。
100年に1人とか、1000人に1人、なんて名称を持つグラビアアイドルも居たけど、それ以上。
いや体型を抜いて顔だけ勝負ならアイドルの中でも『童顔美少女』のジャンルで上位に入れる。
その位綺麗だ。
それが巨乳というだけでキワモノ扱い。
意味が解らない。
幼馴染の三人も顔は美少女だったが、比べ物にならない。
クラスの可愛い子VS芸能人レベルの差がある。
しかし、パクパクガツガツと凄い勢いで食べるな。
「うんぐっゲホゲホッ…もぐもぐ」
喉を詰まらせても食べている。
仕方ないな。
「ほら、喉を詰まらせたら危ないから、水もしっかり飲んだ方が良いぞ」
「うん…ゴクッゴクッぷはぁ」
水を飲んだら、すぐに食べ始めた。
しかし、凄い世界だな。
体型がこの世界では不人気だとしても、顔がこれだけ綺麗なら需要はありそうなのに…駄目なのか。
胸がでかくて背が少し高い…それで終わりなんだな。
これじゃ『貧乳聖女』じゃなくて『貧乳悪魔』の呪いみたいじゃないか?
最も、呪いなら解けば良いが、これは『貧乳聖女』の功績に対し国が認め、価値観が変わり、凄く馬鹿らしいが世の中が変わった。
だから、もうこの世界は『こういう世界』そう納得するしかない。
別に俺はガイアみたいなハーレムが欲しいなんて欲は無いから1人傍に居る存在が出来ただけで『半分どうでも良い』
もし、この1人が『世の中』に居なかったら…絶望して教会と国に喧嘩を売ったかもしれないけどな。
どうやら食べ終わったみたいだが、なんとなくまだ物足りなさそうだ。
「もう一個食べるか?」
「いいんですか…」
「ああっ、どうぞ」
まぁ良いや。
後でまた買って来れば良い。
俺は自分の分の弁当を彼女に差し出した。
しかし、お腹が空いた処じゃ無く飢えていたんだな。
勢い止まらずにまた食べ始めたよ。
食事が終わるまで、話は出来ないな。
59
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる