13 / 85
第13話 【閑話】 申請
しおりを挟む「金貨10枚口座からおろしたい」
今迄はお金の管理もリヒトだった。
いちいちお金を使う度にとげとげ文句を言ってきたが、これからは使い放題だ。
俺達勇者パーティはリヒトを除き、稼ぐ必要は無い。
教会、聖教国が窓口になり、必要なお金が口座に振り込まれるから、ある意味幾らでも使える。
「すみません、口座にお金が入っていないようです」
「お金が入っていない? 何かの間違いじゃないか?この口座は『希望の翼』の口座だぞ!活動資金が教会から入ってくるんだ、そんなわけない」
今迄こんなことは無かった。
冒険者ギルドの口座にはいつも潤沢なお金が入っていて何時でもリヒトに言えば文句を言われながらもお金を出して貰えた。
それが全く無いなんて可笑しい。
「すみません、調べますので少しお待ちください」
「ああっ、絶対に間違いだ、ちゃんと調べてくれ!」
俺達は勇者パーティだ。
だから、戦いに集中する為に潤沢な資金が約束されている。
口座にお金が無いなんてあるわけが無い。
「あの、ガイア様…やはりお調べしましたが、口座にはお金がありません。正確には銅貨3枚分しかない無い状態です」
「ふざけんな!」
「ガイア、怒ってもしょうがないよ? ただ、どうしてお金が無いか教えてくれる?」
「そうね、今迄お金が無かったなんてことは無かったわね」
「まさかと思うけど? リヒトが持っていっちゃったのかな?」
「リラ、彼奴は真面目だからそんな事は絶対しない」
「ガイア、冗談だって!」
「冗談でも言って良い事じゃ無いわ」
「待ってよ! 今はなんでお金が無いか聞くのが先だって!」
「そうだな」
「「ゴメン」」
「エルザ様ありがとうございます!此処暫く、教会からも何処からもお金が入金されて無いみたいですね」
「その理由は解るか?」
「そこ迄はこちらでは解りません、教会に聞いてみては如何でしょうか?」
「そうだな、悪い邪魔したな」
一体なんなんだ!
すげーかっこ悪いだろうが!
◆◆◆
今、俺は教会の方へ来ている。
「入金がされて無いのですか?」
司祭が驚いた顔で俺を見ている。
そりゃそうだ、普通に考えたらそんな事あるわけないよな。
「そうなんだ、今迄こんな事は無かった、何があったのか調べてくれ!」
「それは難儀ですね、ですが勇者パーティへの支援は最優先事項です。普通に考えてあり得ないのですが、直ぐに調べますから、お茶でも入れさせますので暫くお待ちください!」
「頼む」
司祭は直ぐに調べる事を約束してくれ、俺達は別室に通され暫く待つ事になった。
「しかし一体どうしたと言うんだ今迄こんなことは無かったぞ」
「まぁまぁガイア、落ち着いて、どうせ何かの間違いなんだから直ぐに解決するって」
「そうよ、しかし不格好ですわね、勇者パーティの口座にお金が入ってないなんて」
「此処がまだ序盤の街だから良いけど、より魔族領に近い場所だったら困るよね」
「ああっ二度とこんな事が無いようにして貰わないとな!」
しかし、なんでこんな事になったんだ。
今迄こんな事は一度もなかったぞ。
「ガイア様、今調べがつきました」
「一体何があったと言うのだ? 直ぐにお金は貰えるのか?」
「結論から言いますと、直ぐにお金のお支払いは出来ません」
「ちょっと待て! 俺達は今お金が無い、支援金が貰えなければ今日の宿代にも困るんだ」
「可笑しいよ!僕たちしっかりと活動しているよ!」
「そうよ! エルザの言う通りだわ!」
「支援はしっかりしてくれる、そういう約束をしていた筈です。可笑しいよ。」
「あの、言いたく無いですが、今現在ガイア様達は一体どんな活動をしているのでしょうか? また当座の目標はなんでしょうか?そして成果はどうなっていますか? それらの報告が一切されて無いそうです!」
「「「「えっ」」」」
話を聞くと、どんな活動しているか報告する『活動報告書』と近くの目標を書く『目標設定書』幾ら必要なのか申請する『支援金申請書』そしてどんな成果が上がっているか『成果報告書』と4つの書類を出さないといけないらしい。
「そんなのは初耳だ、皆は聞いた事はあるか?」
「僕は聞いた記憶は無いよ」
「そう言えば、リヒトが何か書いていたかも…」
「うん、言われてみれば、いつも私達が横になってから何か書いていたよね」
「確かに、リヒト様が書かれた物ですが、皆さんのサインも入っていましたよ」
「「「「あっ」」」」
言われてみれば、リヒトに言われてサインしていた記憶がある。
「それが無いとお金が入らないのか?」
「はい、その書類を元に精査しまして、聖教国がお金を立て替え、出します、また各国や団体への請求にも後で聖教国が使いますから、絶対に必要な物です」
「そうか、それじゃリラ悪いが頼む」
「えっ、私?」
「ああっ賢者だろう?」
「そうね、脳筋の僕には無理」
「賢者とは賢き者なのですからリラのお仕事ですわ」
「仕方ない、解ったよ」
「今日の所は、食事や泊るところにご不自由な様子ですから、教会に是非お泊り下さい、リラ様には書類の書き方についてお教えいたします」
「すまないな」
リヒトはこんな事もしていたのか、まぁリラに任せれば大丈夫だ。
リヒトに出来るんだ、賢者のリラが出来ない訳ないな。
45
あなたにおすすめの小説
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが
空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。
「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!
人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。
魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」
どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。
人生は楽しまないと勿体ない!!
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる