47 / 85
第47話 お世話②
しおりを挟む「リヒト、それは良いからっ止めてー――っ」
「恥ずかしいから、そこ迄しなくても良いからね、それから、手を放して!」
何を恥ずかしがっているんだ?
下着を俺が手にした位で何を言っているのか解らない。
大体昔から俺に下着を洗わせていただろう?
俺は洗濯をする為に衣類を回収しに二人の部屋に行った。
山積みとなった汚れた服を全部麻袋に入れている所だ。
恥ずかしいと思うなら脱ぎ散らかすなよ。
「いつもの事だろう? もっと汗だくで汚い物や、何日も履いた汚い物まで洗濯してきたんだ、気にするなよ!今更だよ今更! あとこの部屋の清掃を宿屋に頼んでおいたから、少しの間出かけておいてくれよ…」
「あの…ほんとに恥ずかしいから…」
「お願いだから」
知らないな!
こんなに汚した服を放置しているのが悪い。
もう何年洗っていたと思っているんだよ。
もう照れたり恥ずかしがるなんて気持ちは無いな。
散々ぱら汚れた下着を押し付けられてきたんだから。
こんな物に夢もロマンも無い。
「今更何を言っているんだ? もう何年も洗っていたんだから、こんな布に何も感じないよ!大体、トイレ番までしていたんだからそう言う対象じゃないから安心しろよ」
野営の時に、ようをたす時には見張りが必要だ。
特にしゃがみ込んでいる時は凄く危ない。
魔物、特にゴブリンやオークに襲われる可能性が高いから、冒険者の場合は必ず見張りを立てる。
ガイアには頼めないし、ほかの仲間は嫌がって寝ていると起きないから『男として見られていない』俺に頼むことが多かった。
そんな環境で『照れ』なんてとっくの昔に無いっていうの。
「「ううっだけど…」」
「俺はお前達に『友情』以外一切感じなくなっているから気にするなよ…だけど安心して良いよ『昔みたい』に暫くは面倒見るから安心して良いよ」
「「リヒトっ」」
「それじゃ、暫くしたら出かけろよ!掃除が入るからな! これでうん衛生的な生活に取り敢えず戻れるからな…今日の昼は外で食べてきてくれ…夜はまた届けにくるから」
「あの…」
「ちょっとリヒト」
「それじゃあな」
それだけ伝えて俺は二人の部屋を後にした。
41
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる