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第73話 【閑話】血のアンスイム①
しおりを挟むアンスイム、この街でレイス、フランソワ事 貧乳聖女は暮らしていた。
家名が無いのは、実家と縁切りになった為だ。
レイスが『貧乳至上主義』を打ち出した事にレイスの実家である、ジョルジュ伯爵は反発した
姉のカトリーヌはまごうこと無き巨乳…そして女の使用人の多くは巨乳。
『聖女で手柄を立てたとはいえ、実の姉の住みにくい世の中を望む等、娘ではない』
そう言いジョルジュ伯爵はレイスと縁切りをした。
ジョルジュ伯爵は、貴族の間でも巨乳好きで通っていたから『自分を否定された』そう思ったのかも知れない。
『貧乳至上主義』それを打ち出した後のレイスの生活は決して楽では無かったと言える。
「お前ぇぇ、お前のせいだぁぁぁぁぁー-娘の縁談が、娘の縁談が流れたんだぁぁぁー-!」
「煩いわね…それがどうしたの? 胸が大きいのが悪いんじゃないの? 醜い胸に生まれてきたから…可愛そうに…」
「ふざけんなぁー-っ! 娘は娘は器量良しで通っていたんだ、それがお前のせいで『女神に嫌われるから』と破断になったんだぞ…」
「ふんっ、それが何? 醜い胸に生まれたのが悪いのよ!」
レイスが歩けば必ず何か揉め事が起きる。
それが当たり前だった。
考えが変わっても、すぐに全てが『貧乳』の世の中になったわけじゃ無い。
巨乳の人間、家族は沢山いる。
巨乳が醜いという扱いに急になれば…巨乳の人間は誰もが恨むだろう。
『貧乳』の女性やその家族はレイスを擁護し、『巨乳』の女性やその家族はレイスを恨んだ。
世は正に『乳戦争時代』だった。
そして『巨乳』の女性にとってレイスは…最も忌むべき存在となっていた。
「このリンゴ3つ頂戴!」
「レイス、貴方には売らない…私の胸を見な! 生まれつき大きいんだ! あんたは貧乳至上主義なんだろう? 胸の大きな女からなんて物は買いたく無いだろう?」
「そうね…醜い胸の女からは要らないわ…ふん、ブス」
「そう?だったら消えな!商売の邪魔だ!」
胸が大きい女性やその家族の店はレイスに物を譲ってくれない。
聖女であるレイスにとって本来は教会は無条件で味方になる筈だが…
「聖女様、申し訳ございませんが当教会には巨乳のシスターもおります…流石に行き場のない子を追い出すのは忍びないのです…暫くお時間を頂けないでしょうか」
「私はそこ迄は言っていないわ」
「いえ、聖女様に不愉快な思いをさせたくはありません、どうか他をあたって下さい」
「そう…解ったわ」
レイスは『貧乳』の経営する店や貧乳が多い教会を選ばなければならない程…不自由な生活を送っていた。
かなり多くの女性やその家族から恨まれていたから石をぶつけられる事すらあり得た。
世界が『貧乳至上主義』に変わろうと、巨乳の女性がすぐに居なくなるわけでは無いのだから…
◆◆◆
「よく顔を出せたもんだな!カトリアとエリッタはお前が来るなら来ないそうだ!」
「そう、無責任なのね…」
「違うだろう! お前が変な願いをし、それが叶えられた結果…彼奴らは『醜い女』扱いだ…お前の顔なんて見たくないのは当たり前だ! 俺だって本当はお前になんて会いたくなんてねーよ!今やあいつ等は俺の妻だからな!だが、今回は魔族の活性化の話だから来ただけだ」
「そう? だったらどうするの?」
「俺はお前と一緒に行動する気は無い! 話を聞いた後は…別行動だ」
「そうね…奇遇ね、私も貴方達と一緒に行動する気は無いわ」
この勇者パーティの仲たがいの結果…二人は数日後命を失う事になった。
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