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77話 これは不味いのでは
しおりを挟む部屋に戻ろうか…
そう考えたが、まだ三人が治まっていない可能性もある。
今現在、俺の体はどうにか鎮まっている。
だが、あのメス臭い部屋に戻ったら、また発情しだすかも知れない。
そうなったら、恐らく俺は自分の性欲を押さえられなくなる。
今も、三人のサキュバスロードが抑えてくれているから冷静でいられるが、もしこの武器や装備、道具が無ければ…いつ誰かを襲っても可笑しくない。
少し頭を冷やす為に散歩でもして時間を潰すのが良いかも知れない。
偶には、食事の時間が少し位遅くなっても問題はないだろう。
◆◆◆
ただ宛もなく街をぶらぶらした。
だが…
「あれ、リヒトさんだよね?」
「可笑しい…確かに前からイケメンだとは思っていたけど…なんなの艶やかさ」
「たまりません! たまりませんわぁぁぁぁー-」
「どうしちゃったのかな? 今までは美形だとは思っていたけど!こう何て言うか派手さが無かったのに…今のリヒトさん、いやリヒト様は…凄く華がありますわ」
なんだこれは…
種族が変わったせいからか、離れた場所の小声まで、しっかり聞こえてくる。
まるで地獄耳みたいだ。
今の俺の種族はインキュバス…しかもキング種。
間違いなく、恋愛の頂点に立っている種族だ。
だが、さほど嬉しくない。
俺の好みはセクシーな巨乳美女だ。
この世界には残念ながら、俺の周りにいる4人しか居ない。
だから、モテても全く嬉しくないとまでは言わないが、さほど感動はしない。
「痛い!」
考え事していたら、誰かにぶつかってしまったようだ。
「あっごめんね」
下を見ると、小さい子が尻もちついて倒れていた。
「本当に痛かったよ~お兄ちゃん本当に気をつけてよ…」
「ゴメンね」
確かにボーっとしていた俺が悪い。
俺は手を差し出して幼女を起こしスカートに着いた土をはらってあげた。
「嘘…リヒトお兄ちゃん…」
幼女は赤い顔をしながら俺を見ている。
俺はこの子の事は知らない。
まぁ、俺も元は勇者パーティだから顔位は皆知っているよな。
ガイアと違って人気は無いけどな。
「はははっそうだよ…リヒトだ!その分じゃ怪我はないようだね…良かった!それじゃあね」
怪我をして無くて良かった。
「待って、リヒトお兄ちゃん! あのね…」
立ち去ろうとしたら、服の裾を掴まれてしまった。
しかも何故かモジモジしている。
「うん? どうした? どこか怪我したのか?」
「ううん…」
なんか嫌な予感がする。
「あのね…アイミ、リヒトお兄ちゃんと結婚してあげる!」
冗談…まぁ子供のいう事だから、そんなに気にする必要は無いな。
「そう…それじゃアイミちゃんが大きくなったら考えるよ」
こんな回答で問題無いよな。
「ううん! アイミね…そんなに待てないの…今すぐ結婚しよう! それで沢山頑張るから、赤ちゃん沢山作ろうよ」
いや、どう考えてもこの子まだ6~8歳位だぞ…
まさか、インキュバスの能力って子供にまで効くのか?
俺が考え事をしていると他の幼女が走ってきた。
「ちょっと! アイミみたいなブス、リヒトお兄ちゃんが相手にする訳ないじゃない! リヒトお兄ちゃんは私と結婚するんだから!」
「はぁ~ふざけないでよ! リヒトお兄ちゃんはアイミのだもん!」
なんだこれ、嘘だろう。
わらわらと沢山の幼女が集まってきた。
「二人ともなに言っているの? リヒトお兄ちゃんは冒険者なんだよ? 同じ冒険者の私の方が良いに決まっているじゃない? ねぇお兄ちゃん私もパーティに入れてよ!あたし…その頑張るからね」
確かにこの子は冒険者だけど…子供冒険者だ…なに言ってるんだよ。
そろそろ、この場から逃げないと不味いかも知れない。
「あらあら、リヒトさんに迷惑かけちゃ駄目よ!アイミ!」
母親か…これでおさまるな。
「お母さん! アイミの人生がかかっているの!黙っていて!」
「アイミ、あんたね! あんたみたいなガキをリヒトさんが相手にする訳ないじゃない! リヒトさんには私のような大人の女の方がお似合いよ…ねぇリヒトさん」
気がつくと子供だけじゃなく、大人の女性まで俺の周りに集まってきた。
取り敢えず逃げないと。
「はぁぁぁー――っ」
俺は勢いをつけジャンプした。
簡単に近くの家の屋根に飛び乗れた。
「「「「「リヒト(お兄ちゃん)さん」」」」」
「ごめんねー-っ」
俺はそのまま屋根伝いに逃げ出した。
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