勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん

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書籍化及び続行に伴い ボツになった話たち

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書籍化や続きを書く上で、作品で省いた方が良い話がありました。

ですが、そのエピソードも読みたい、そう言う方の為にそのエピソードも此処に残しました。

本筋から離れています。残してはおきますが、辻褄が合いませんのでご了承下さい


①解散

「嘘この金額何っ」

「どうしたんだアリス」

「アイシャ、この金額を見てよ」

「どれどれ、嘘、なにこの大金は、とんでもない金額じゃないか」

「でしょう? 知らない間に残高が増えているのよ...しかもこの金額よ」

「うん、10アリスはあるよな」

「そうよ、私が恐らく一生で使うお金の10倍はあるわよ、って言うかアリスで計算するの止めて」


「しかし、凄いな、アリス何で稼いだんだ」

「知らないわ」


私も見て見たら、あはははっ腰が抜けた。

私の所にも莫大な金額が入っていた。

念の為、自由の翼のメンバーを集めて口座を見た所...全てのメンバーに一生所か、人生を10回やり直しても大丈夫な位の金額が入っていた。

一番驚いていたのはシエスタで

「嘘ですよ、何で皆さんより私の口座の金額が多いのですか...これ、どんな贅沢をしても一生使いきれないじゃないですか?」



「私達、元勇者パーティーは皆さんより少ないですが、やはり一生所か、同じ人生を5回は送れる位のお金があります」

「信じられないわ」

「僕の方が少し多いみたいだね」


皆で話していると、恐らくこの現況のケインが現れた。



「「「「「「「ケイン」」」」」」」


「どうしたの皆?」


「あの、ケイン、この金額は何?」

「アリス、報酬を皆に普通に分配していたけど? 後は嫌だな忘れている? ケイトは公爵、他の皆は侯爵だから貴族として王宮からお金も振り込んで貰っているよ! 別に普通じゃないかな? 最近では黒竜も倒したし、その素材を販売したお金も分配しているよ」


「それで、この金額なのか? 私は殆ど仕事をして無いのにこれか?」

「アイシャ、君は侯爵だから国からお金も出るしそんな物じゃないかな?」


「あの、ケイン様、私は何で更に多いのですか?」

「シエスタは、シエスタモデルと言う武器やメイド服の販売価格から5%貰える契約をしているからそのお金が振り込まれているんだ」


「そんな、こんな大金...私は」

「貰っておけよ、お金の大切さはシエスタが一番知っているだろう」

「ですが」

「良いから、良いから」


「あの、ケイン、私やソニアはあんな酷い事したのに、何で」

「そうですよ、ケイン」


「リタにソニア...幼馴染だろう、俺はお前達にも幸せになって貰いたいんだ」


「ケイン、僕...」

「ケイトにはバレちゃったのかな?」


「ケイン、何か言いたい事があるのですか」

「何を言いたいのか、私、解っちゃいましたよ...」


「メルルにクルダ」


俺は息を吐くと今迄思っていた事を告げる事にした。


「自由の翼は本日をもって解散する...以上」

魔王の脅威はもう無くなった。

竜王も怖くない...

そして仲間は皆、地位があり能力も高い。

一番未熟なシエスタだって倒すなら騎士団が何個師団いても倒せないだろう。

お金、権力、力、全ては手に入った筈だ。

だからこそ、今度は《自由》を手に入れるべきだ。

俺が傍に居たら恋愛も出来ないだろう。

好きな男を見つけ恋愛をして幸せになって貰いたい。

1人が嫌な俺になんて付き合う事は無いさぁ...


「ケイン様、それでケイン様は何処に行かれるのですか?」

「殆ど片付いたから、ラグドリアン湖に行ってのんびり過ごすさ、まぁ月に一回は王都に戻らないといけないんだけどね、ケイトにリタにソニアはもう付き合わないで大丈夫だから」


「「「「「「「ケイン(様)」」」」」」」


勇者パーティー以上と呼ばれ、人類最強とまで言われた、自由の翼はこうしてこの世から無くなった。


②旅立ち


「さてと今日は良い日だ、旅立つとするか」

「そうですね、ケイン様、良い日ですね、行きましょう!」

「シエスタ?」

何で此処にシエスタが居るのか解らない...

「何驚いているんですか? 私は奴隷でケイン様のメイドだから離れるわけ無いじゃ無いですか?」

「だったらゴメン、奴隷は」

「嫌です、私は生涯ケイン様のお傍に居ると決めているんですよ」

「今のシエスタはモテるし選び放題じゃないか?」

「あんなのは違いますよ、私が好きな人は私が奴隷でも、黒目黒髪で嫌われている村娘でも」


「シエスタごめん、何言おうとしているのかな? 僕のケインに? ケインよく考えたらラグドリアン湖なんて最高の釣りスポットじゃないか? ケインと一緒に毎日遊び倒すのに」

「ケイン、あの時はご免ね、今の私にはやはり貴方が」

「一緒に魔王を討伐しようと旅立った幼馴染を放っていくような薄情者じゃないよね」


「ケイト.リタ.ソニア、何で」


「私達も居ますよ? あの辺りには治療師が少ないから私も居た方が便利ですよ」

「私はまぁポーターも必要な事もあるでしょう」


「メルルにクルダ...」


「ケイン、これは私が取り戻してきたわ」

「そうだぞ、解散しなくて良いんじゃないか? まぁもう依頼は...というか私は余り受けたことは無いか」


「アイシャ、アリスだけど、それじゃ皆が」


「なぁケイン、自由の翼は皆が幸せに暮らす為のパーティーなんだろう? ならこのまま死ぬまで面白可笑しく生きて行けば良いんじゃないか?」


「そうだな、このまま面白可笑しく暮らしていけば良いか?」


こうしてケイン達はラグドリアン湖へ旅立っていった。


③魔王と魔王の息子

ラグドリアン湖に行く途中、急に何処かに引き込まれた。

いきなり暗転して目を開けると目の前には...

優しそうな紳士とに美少年が居た。

2人とも優しそうな顔をしているが、体の震えが止まらない、マルス様やハービア様の威圧所ではない。

体が押し潰されそうな...死という物が圧し掛かってくる。

「ほう、お前がケインだな、薄汚い人間にしては良い目をしている」

「なかなか面構えは良いな」

自己紹介されなくても正体は解っている。

マルス様やハービア様を越える存在。

それは、魔王と魔王の息子に違いない。


見た瞬間から解った。

これは逆らえる存在じゃない、寧ろ崇め奉る存在だ。

「済まぬな、少しは気を押さえるとしよう」


ようやく体の震えがとまり一息つく事が出来た。

「あなた様達は」

「よいよい、緊張しなくても、儂が魔王だ」

「そして、俺がその息子、まぁプリンスとでも呼んでくれ」

「お前がプリンス? そんな立派な者じゃ無いだろうが、まぁメンドクサイからそれで良いが」

「親父、酷いな」


リラックスさせようとしているのかも知れないが、目が合っただけで恐怖が走る。

「ほら、親父客が怖がっているじゃないか?」

「すまんな、余り客を迎える事はしてないんでな」


「いえ、気にしないで下さい...」

絞り出すようにそれだけ伝えるのが精一杯だった。


「いやな、お前は人間の代表な訳だが、この先滅ぼされるのをどう思う」

困ったな、正直どうでも良い...凄い未来の事だ。

前の記憶によれば全ての生物の中で一番生物を絶滅に追いやっているのは人類だ。

トラでもライオンでもサメでも無いのだ。

「まぁ人類は滅んでも仕方ないですね」

「ほう~おまえ自身が人類の癖に面白い事を言うのだな」

「他の生き物の多くは、生きる為や食料の為に生物を狩りますが、人類だけは違いますからね」

俺は自分の考えをそのまま2人に伝えた。

「はははっ成程な確かにその通りだ」

「俺が人間が嫌いな理由もそれだ、魔物ですら必要な物すら狩らないのに人間だけは違う」

「俺もそう思います」


「それで、お前は人類でありながら《人類は滅んで良い》それで良いんだな?」

「正直言えば、俺の仲間が死ぬのであれば抵抗位はしますよ...だけど、人間は貴方達と違って短命ですから、そんな先に生きている人は俺の知り合いには居ないでしょうから、それでも構いません、薄情と言えば薄情かも知れませんが」


「そうか、そうか面白い奴だな、一層の事魔族にでもなるか?」

「いや、俺は人間として死んでいこうと思います、友達も仲間も全部人間ですから、まぁ色々あってかなり長生きですが」



「そうか、ならば、それも良いかも知れぬな」

「人間としての短い人生、楽しんで見るのもありだな」


「はい、有難うございます」


「それではもう会う事もあるまいが元気で暮らせ」

「俺や親父が人類を滅ぼす時にはお前は居ない、1万5千年後だ、武神のマルスも天使長のハービアも居ない、まぁ俺も顔見知りは殺したくないからな」


「知り合いは殺したくない、そうですね」


話して見れば、殆ど人間と変わらないな。

魔王と言っても見た目も話し方も人間と変わらない。


「その通りだ、そう言えばケインはマルスの稽古に付き合わされているそうだな」

「はははっそうですね...ただ殺されるだけですが」


「ただ殺されるのは何か可哀想だな」

「うむ、それもそうだ...それじゃ儂からも加護もやろう」


これで少しは...

「これで2~3分は粘れるようになるだろう」

「2~3分ですか?」


「うむ、儂には本物の四天王は息子とスカルしか居ない、二つ分の加護が余っているから一つやろう」

「有難うございます」


「これで恐らく、今の能力の3倍にはなる」

「それじゃ」

「相手は武神じゃよ、さっき言った様に2~3分は粘れるじゃろう頑張れ」

「そう言えば聞いても良いですか?」


「何を聞きたいのじゃ」

「何でそんなに強いんですか?」


「それか? それはなぁ~ 儂の前世が邪神じゃからな」

前世、そうか、俺に前世の記憶があるんだから他にも同じ様な人が居ても可笑しくないな。

「ちなみに俺は魔神だよ」

あはははっ邪神と魔神の転生者、これじゃ《勇者》も《武神》も《天使長》も勝てない筈だ。

「それじゃ最早女神が出てきても無駄ですね」

「無駄じゃな」


「それじゃ、俺は短い人間の人生を楽しませて貰います」


「うむ、引き留めて悪かったな」

「人生楽しめよ、もう二度と会う事も無いだろうがな」





「どうしたんだいケイン、いきなり倒れて」


「ケイトありがとう」

夢だったのか?

だが、自分のステータスをこっそり見たら、邪神の加護、魔神の加護もしっかりあり四天王にもなっていた。

だけど、この世界...とんでもない存在が多すぎてちっともチートを貰った気がしないな。



④ケインのルーツ

「何なのよもう!」

私の管轄する世界で異常な事が起きていた。

私への信仰が凄くない、光が弱く闇が強い、そんな世界があった。

強い勇者は育たずにこのままいけば確実に魔が支配する世界。

だから...

本来はやってはいけない、絶対にいけないけど、武神と天使長に相談したら。

「仕方無いから、俺が見て来てやろう、相手が強ければ俺が滅ぼしてやる...その代り神剣を少し貰えるか?」

「まぁワイズ様がお悩みなら仕方ないですね、仕方ない行ってあげますよ」

本来ならこれはズルに等しい。

邪神側に知られたら大変な事になる。

だけど、何で帰って来ないのよ、武神に天使長よ、しかもここぞとばかりに神剣や宝具まで持ち出して...

まさか、それで魔王に負けるわけ無いよね...

余りに酷い、何をしているの...

下界を覗いてみたら。

何よ! あれ、何で負けているの...天界の住民が何で、何で。


私は神界を治めている創造神に文句を言いにいった。

「この世界は可笑しくないですか? 絶対にズルしているに決まっています」

「ならば、こちらで調べてみよう」


【1週間後】


「確かに邪神側に可笑しな事は起きていた」

「やっぱり、そうですよね」

「だが、ズルでは無かった、寧ろ狡いと言う事では、ワイズお前じゃないか? 武神に天使長まで派遣したのだからな」

「ですが、武神や天使長が負けるような相手が居ると言う事はズルしている、そういう事では無いのでしょうか?」


「偶然が偶然を呼び、信じられない事が起きたが、ズルでは無い」

「一体何が起きたと言うのでしょうか?」

こんな馬鹿な話は無い、邪神や魔神だった者が神の生活に疲れて、暫し魔族に転生したそうだ。

本来はそう言う場合は記憶を完全に奪い、死んでから戻るようにする、そういう約束だが何故か《前世の記憶がある》そういう状態で転生した。


確かに永遠に続く神の生活に疲れて人間になり、暫くの間暮らす話は普通にある。

だが、そう言う場合はある程度力を押さえて転生するはずだ。

こちら側で言うなら、《勇者》《聖女》クラスまで力を抑える。

そのままの力を使えるなんて転生神のミスとしか思えない。


「これが真実だ」

「それじゃ、あの世界は私が降臨しようが救えない世界じゃ無いですか?」

「その通りだ、武神と天使長を送る前にお前が抗議したなら対処が出来たが、邪神側の言い分では、こっちはグレーだがお前は黒だと言われたよ、確かにルールならそうだ」

「そんな、世界救え何て無茶ですよ」

「まぁ、無理だな」

「それでどうすれば良いんでしょうか?」


「状況を確認したら、武神と天使長は魔王に屈した、もう天界には戻らないその様に選択したようだ、しかも形だけとはいえ魔王の手下になっている」

「嘘です」

確かにいい加減な奴らでしたが、紛いなりにも、武神と天使長ですよ...そんな馬鹿な。

「言いたい事は解るが、本当だ、まぁあの世界は勝敗は決した、邪神側の勝利だ..もう構わないで他の世界で頑張れ...としか言えないな...転生神にはそれなりにペナルティを与えるつもりだが...」


「どうかされたのですか?」

「まぁ戯言だ」



【転生神のいい訳】


「なぜあのような、無茶な転生をしたんだ」

「ちゃんと、ワイズ側にも転生者なら居るじゃ無いですか?」

「誰が居ると言うんだ、居たとしても邪神や魔神と比べられる様な存在は存在等しない筈だ」

「そうですね、得体の知れない者ですからね」

「得体の知れない?」

「はい、ケインという男が人間側で居るのですが、恐らく転生者です」

「転生者が居たとしても、邪神や魔神クラスでは無いだろう?」

「確かに、前世では日本という国の普通の人でしたが...」

「何かあるのか? よくいる普通の転生者と邪神や魔神と比べる訳にはいかないだろう」

「それが、何が何だか解りませんが、彼はどんな世界で生きても、実績や幸せをつかみ取るのです」

「偶然じゃないのか?」

「1000回の転生が全部それでもですか?」

「1000回?」

「はい、1000回の転生で、その殆どで成功しています、凄いでしょう? しかもそのうちの数回は何と神を口説いて婚姻までしているんですよ」

「そんな存在は、儂でも知らんよ」

「はい、だから僕は調べたんですよ...こんな面白い話は無いですから彼のルーツをね」

「調べたのか?」

「はい、もう暇さえあれば、調べていました、そうしたら何と彼、他の世界の神の血が本当に僅かですが混じっていました」

「確かにそんな話も過去にはあるが、どんな神だったんだ」

「本当に薄くて僅かに影響が残るだけですがバルドルという神です...本当に1/100以下ですがね」

「バルドルか聞いた事がある、あっ《人間以外も含み、万物に愛されているというあの神》かだが、別世界の神だぞ」

「まぁ、起源がそこにあるだけで彼がバルドルという訳でなく、遠い祖先にバルドルの血縁者が居るそれだけですね」

「だが、バルドル自身なら兎も角、そんな薄い血では邪神側と平等とは思えないが」

「ケインを舐めちゃいけません」

「お前は、何を言うんだ罰されたくない為のいい訳か」


「それでは、言わせて頂きますが、眷属や同胞をあれ程殺された竜王が何故素直に従ったんですか? 彼に勝てないなら他の人間を滅ぼすのでは? 彼以外の人間なら殺し放題ですよ?」

「うむ...」


「あの性格が破綻していて女神すら馬鹿にしている天使長ハービアが加護を与えて、神剣まであげてますよ? 人を虫けらの様に思っている、美少年だって所詮は快楽の道具、オモチャとしか思わない、あの性格破綻者がですよ? 」


「確かに、あり得ない」

「しかも自ら、パーフェクトヒールを掛けてあげて、竜王に血と肝を貰い与えてます、あり得ますか? ワイズに言われても反抗的な彼奴がです」

「...」


「武神のマルスだって、人類で幾ら強くても1度戦ったらもう飽きるでしょう? それが加護まで与えて、何回も戦って知らないうちにケインを伸ばしてやろうとしているでしょう? あれは半分弟子みたいな扱いじゃ無いですか? あの戦闘狂がですよ? 少なくとも数千年間弟子なんてとらなかった筈です」

「確かに可笑しな事が起きているな」


「極めつけは今の魔王にその息子です、邪神と魔神の前世持ちが態々人間の姿になって話をしていたみたいですが」

「うむむっ」

「ヤドリギ以外の全ての生物がバルドルを愛していた、そんな逸話があります...そしてあの世界にはヤドリギはありません」

「だが、バルドルの血を引いているだけでバルドル本人じゃないのだろう」

「ええっだから、彼はイケメンですが《万物に愛される美貌》まではありません。だけど、それでもバルドルの血が入っています」

「だが、魔王も魔王の息子も男じゃ」

「バルドルは《全てに愛され居たんですよ》そこに男女は無い...だから僕の予想では、あの世界の勝者はケインです、まぁ死んだらどうかは解りませんが、ケインが生きている間はケインの勝ち...つまりワイズ様の勝ちです」

「だが死んだら、もうあの世界は邪神側の物になるのが確定じゃないのかね」

「あはははっ、ケイン死にますかね? 恐らく誰かしらが不死にしちゃいそうですよ?」

「自分から人間としての死を選んでおるじゃろうが」

「死なせて貰えますかね? あの傲慢な天使長ハービアも知らないうちに魅了されていますよね? 簡単に死んで欲しくないから竜王の血と肝を与えてますよ? 怖い事に気がつかないうちに魅了されていますよきっと、知らないうちに自分と同じ位、生きられるようにしそうですね...それに」

「それに?」

「ワイズもあの世界を覗いているようですから、多分ケインに魅了されてしまうんじゃないですか?、下手すれば、創造神様、貴方すらもね」


「まさか?」

「なると思いますよ? だって僕だって魅了されていますからね、あの世界に転生する事が決まっていた、その運命はどうする事も出来ない、だから、出来るだけの底上げはしました《魔法戦士のジョブ》《優れた才能》《運》まぁ僕の権限はこれまでが限界、流石に《勇者や四職》は権限が無いから出来ない...どうですかね?」


「それは気のせいではないか?」


それが本当なら能力なんか関係ないじゃないか?

この世界にそんな神は居ない、他の世界にはそんな神が居るのか...

血を僅かに引いているケインでこれなら、その神自体はどんな神なのか?

万物に愛される神...儂でも造れない。

そんな存在が居るなら誰も勝てる訳が無い《敵味方関係なく愛される》無敵じゃないか。


転生神が言うのも解る...この戦いは、充分に女神側ワイズが勝つ可能性が高い。

まぁこんな物は儂も認められないから、放って置くしかないだろう。

下手に神が見てしまったら、巻き込まれかねない。


⑤スカル 愛情 友情


「わはははははっ、我は復活したぞ~」


「此処が勇者達が眠る墓地か丁度良い」

どれが誰だか分らぬが、あの時の勇者も此処におるだろう。

蘇ってからまだ魔力が足らぬから大勢は部下に出来ぬ、なら質が良い「勇者の体」や「勇者の骨」を使えば良い。

「苦しかろうな? 魂は宿ってないが、自分の体を使われこれから、人間は殺されて行くのだ...これが我の復讐だ」



スカルの復活は知っていた。

ハービア様から予言を受けていたからな。

ロードになった事や色々な加護のせいで俺の体はどう見ても20代前半のままだ。


あの後、パーティーの皆とは男女の仲になったが子供は出来なかった。

ハービア様に相談した所《人間とサルが性交しても子供は出来ないでしょう? それと同じよ》と返された。

つまり、俺が人間の範疇を越えたから、子供を成す事は出来なくなったようだ。

リヒトの所は、しっかりと子供が生まれて子孫が居て実に羨ましい。

リヒトは《お前は死なないんだよな、だったら俺の子供達、いや代々の後見人になってくれ》そんな願いで帝国で大帝の地位を貰ってしまった。

王国と帝国二つの国に跨り王の地位を貰ってしまった。

結局仲間たちは死んでしまった。

全員が寿命だ。

彼女達も延命は可能だったが《人として死にたい》という希望で普通に死んでいった。

月一の模擬戦の代償に彼女達が望んだのは《今のままの姿の固定》だった。

つまり寿命で死ぬけど姿形は今のまま、そんな願いだ。

シエスタが死に、リタが死にケイトが死んだ...結局は全員を見送った。

全員を見送ったあと、俺は妻は迎えていない。

1人は寂しいが、別れを考えるとなかなか次には踏み出せない。

リヒトの子孫は優秀だったので形だけ君臨しているが実質二つの国の政治は丸投げしている。


まぁ月に1回の模擬戦は今だ続き、何故か最近はハービア様に偶に見つめられる事も多いがそれ以外は何も無い。


「スカル久しぶりだな」

「貴様はあの時の勇者、忘れぬ忘れぬぞ、あの恨みは...」

「俺は勇者じゃない、あの時は魔法戦士、今は...」

「そんな事はどうでも良い、この墓には代々の勇者が眠っている、数こそ少ないが、此処に眠るのは勇者達だ今度こそ」

無数の骸骨が起き上がってきた。

そしてそれが俺に襲い掛かる。

ちなみにリヒトは帝国、俺の仲間は湖のほとりに眠っているから関係ない。

あっさりと全滅させた。

「おのれ、今回も我の負けだな、殺すが良い、我は何度でも蘇り貴様を」

「なぁスカル、俺はロードになったんだ」

「それがどうした?」

「あの時の仲間も死んで、孤独だ...だから殺さない」

「殺さなければ、次は我が殺す」

「俺、一応、四天王の一人でもある、あと1万数千年後に人類が滅ぶのも納得しているし、ハービア様やマモン様とは月に1回会っている」

俺は自分が四天王になっている事を示した。

「それが本物なのは我も解る、それでお前はどうしたいのだ」

「まぁ俺も1人だ、お前だって考えて見ろよ、何もしないでも人類は終わる、何かする必要は無いんじゃないか?」

「我は死霊の王、世界の...」

「無理だ、俺に勝てない様なお前じゃ、ハービア様やマモン様相手じゃ瞬殺だ、事実俺も3分も持たない」

「ならば、我はどうすれば良いのだ...戦いや侵略しか知らぬ、呪われた存在だ」

「そうだな、俺と友達にならないか?」

「友達とは何だ、我は知らぬ」

「まぁ、先は長い、とりあえず俺の家に来い、ゆったり生活してみろよ」

「我は...」


「そう言うのは良いからな」




「我は朝は苦手なのだ」

「良いからやって見ろよ、俺の仲間のケイトが好きだった、魚釣りだ」

「....」


「畜生、お前骨だから、飯も酒も駄目なのか」

「飲んでも食べても床に落ちるだけだ」


「これはオセロと言うんだ、どうだ」

「まぁ少しは楽しいな」


何だと言うんだ此奴は暇さえあれば...まぁ我もこれは..楽しいが。



「憂鬱だ、月に一回の地獄が明日だ」

「言っていたマモン、まぁ武神マルスとの模擬戦だろう、我も参戦してやろう、なぁに我も四天王」



「あれっ、ケイン、スカルと共闘するんだ、懐かしいわね」

相も変わらずハービア様は見世物を楽しむ様に見に来ていた。

寿命が延びたから解る。

凄く毎日が退屈なのだ。


「がはははっ、そうかスカルが仲間になったのか?」


だが、結果は何時もの通りだった。

「パーフェクトヒール、危ない、スカルに掛けたら消滅しちゃうわね、死なないんだからそのままで良いわね」


「済まぬ、我が加わっても何も変わらぬ」

「何時もの事だ」


「それで、今回は久々に面白い物を見せて貰ったから何かあるかしら、まぁケインは何も無いか~欲しい物なら大概手に入るしね」

「武神の俺からも欲しい物は無いだろう? あれば考えてやる」


此処は本当に恩賞のオンパレードだな。


「そうだな、ならばスカルに体を貰う事は可能かな、スカルはどうだ生身の体欲しくないか?」

「あれば食事や飲酒も出来る様になる、我も欲しい」



「まぁ無理では無いけど~寿命が出来ちゃうわよ? 多分2千年位になるわ、まぁそれでもケインより少し永いけど」

「構わない」


「そう、ならば...これで良いわ、まぁ私は堕天使だから...格下の堕天使にしてあげたわ、もうスケルトンじゃないからスカルも変よね、そうだ面白いから名前も変えちゃいましょう...表向きこの国では私は天使長のままだから、そうね、アテスなんてどう?異世界の神の名前を一文字変えたのよ」


「構わない」


「あのスカル、いやアテスさん、女だったのか?」

「我は女だぞ、知らなかったのか?」

金髪をおさげにしている、14~16歳位の色白の女の子がそこには居た。


「あはははっ、人間じゃスケルトンの性別は解らぬな」

「あの、その姿は...」

「我は14歳で死んでスケルトンになったのじゃ...その時の姿に近いのぅ...どうじゃ可愛いじゃろう?」

「そうだね...」

「何だ、浮かぬ顔をして、態々寿命を削って受肉したのじゃ、そこはもう少し気を使う所じゃ」

「そうだね、うん可愛いね」

あはははっ、まさかあの骨が女だったなんて。

「それじゃ、早速、食事じゃ、いこうケイン」


俺はハービア様やマルス様に生暖かい目で見送られながら、街に向った。



⑥仲間去りし後

人生なんて300年年もあれば充分だ。

仲間が一人亡くなるたびにそう思う様になった。

何時も笑顔で微笑んでいたシエスタがまず死んだ。

シエスタの年齢が120歳の時にだ。

「ケイン様、私凄く楽しい人生でした...有難うございました」

楽しい人生を与えてくれたのはシエスタだ。

俺は心の中で《奴隷》の彼女が居る事に安心感があった。

一度1人になったせいか、俺は孤独が怖かった。

なかのの良い仲間が居ても、何時かまた一人になる...そう思うと悲しくて仕方ない。

次に死んだのはケイトだった。

「今日は絶対に釣りに行こう!」 そう言うから釣りを楽しんでいたが、竿を握りしめてそのまま死んでいた。

リタには「本当にごめんね、あんな酷い事した私をこんな大切にしてくれて」と謝られた。

ソニアには「此処までされたら、流石に性格の悪い私も愛しちゃうわよ」と言われた。

如何にも彼女らしい死に際だ。

アイシャには「結局私は、貴方に何も返す事が出来なかった」と言われ悔しそうな顔をされた。

アリスには「此処まで貢がれるなんて女として最高よ! ただ相手が私一人じゃないのが悔しいわね、まぁ楽しかったから良いわ」だってさ。

メルルは「私、大した事ないのに、究極の癒し手らしいですよ? 凄い人生でしたね」と笑いながら死んでいった。

クルダは「史上最高のポーターですって、上り詰めちゃいましたね?」可愛らしい笑顔で亡くなった。

ミランダやリヒトは死んでから連絡があり葬儀に参列した。

マルス様とハービア様以外は皆、死んでいく。

俺は英雄だから、神に近い人間ロードだから今だに若々しいままだ。

半分神の様に扱われ、全てが詰まらない。

この世の殆どの女性は、多分俺が本気になったら口説けてしまう。

ハービア様が言っていた「女神は生まれながらにして世界中の人間に愛されている、天使もね、ロードになった貴方はそのステージに居る、だから貴方の手を振り解く女はもう居ない、貴方が望めばどんなに愛した人間が居る女性でも恋人を捨て貴方を愛すわよ...それ程までに我々は特殊なのよ」


正直言って恐怖しかない。


「それは、洗脳じゃないですか?」

「違うわ、多分種の本能に近いんじゃない? 人間くらいよ外見とかに拘るのは、基本的に魔物や動物は強いオスがメスを手に入れる、それに近いんじゃないかな? まぁ私も詳しくは知らないけどね」


こうなったらもう、普通に恋愛何て出来ない。

暫く、孤独で悩んでいるとスカルの復活の話を聞いた。

よく考えたら、彼奴は、俺なんかより長い年月を生きている。

彼奴ならこの孤独の先にある答えを知っているかもしれない。


見当違いだった。

だが、良かったこれから先一緒に過ごすパートナーが出来た。

しかも、俺より長生きだ...普通に嬉しい。


「どうしたケイン、溜息等つきおって、我と居ても退屈か?」

「そんな事は無いぞ、凄く楽しいぞ」

「...なら良い」



【アテスSIDE】

受肉してからの生活は凄く楽しくて仕方ない。

自分が人間であった時の事を少しづつ思い出してきた。

我は器量良しで王族であった。

いわゆる王女じゃ...それが何で死んでしまったのか解らぬがまぁよい。

死霊の王になるよりも、ケインと毎日楽しんで暮らす方が楽しい。

すっかり枯れてしまっていた我の心に入り込みやがって、本当に許せぬ奴じゃ。


まぁ、大切にしてくれているから良いのじゃが...


《知っておるよ》


我だけではケインの隙間を埋められない事など知っておる。

あの仲間たちが居なければいけない事など...しっておるわ。

頭の中が葛藤する、女として今の状態なら《ケインを独り占めできる》

笑顔を取り戻したら《独り占め出来ない》

「ああっ、本当にもう」


「なに騒いでいるのかしら?」

「げっ...ハービア」

「ハービア様よ、それよりアテス、貴方もしかして、ケインの仲間をバンパイアにして甦らそうとか考えていたでしょう?」

「何故解ったのじゃ?」

「解るわよ、私天使長だもん、貴方のような下の者の考えなんて全部解るわ」

「ならば邪魔しないで、我は」

「そんな事より根本解決しない?」

「根本解決とな?」

「私達の死後の話をしましょう?」

「死後の?」

「知っているんでしょう? アテス、いや《死霊王》死後の世界、冥界の場所」

「知っておるがどうするのじゃ」


「いや、貴方もケインも死んじゃうでしょう? まだまだ先とはいえ、武神も私もね」

「上級神、まぁ女神ワイズ位にならないと死の運命からは逃げられんな」

「だから、遣らない? 冥界王を殺して、次の冥界王をケインに...」

「なっ、お主本気か?」

「ええっ、どうせ1万5千年後に冥界に行くなら、今のうちに冥界王倒して住み付いても一緒でしょう、それにケイン喜ぶんじゃない? そこに行けば仲間が全員いるんだから」


「だが、冥界王は強い、絶対に勝てぬ」

「そこは大丈夫だから」

「はぁ、まぁケインの為じゃな仕方ない」



【冥界にて】

「弱いな、少しは手ごたえがあったのは、あの犬だけだ」

「ケロベロスな」

そりゃ、武神と天使長なんだから余裕なのは当たり前だ。

「だが、本当に平気なのじゃな? 冥界王は只者じゃない、多分お前達でも敵わぬよ」


「そうかもね」

「残念ながらそうかもな」



【冥界王の城】


「此処に攻めてくる者など居るとは思わなかったぞ、スカル魂を召喚するのを見逃してやったのにこの仕打ちか」


「仕方なかろう、此奴らが怖くて逆らえぬのじゃ」


「武神に天使長か...だが俺には勝てない」


「当たり前じゃない...先生お願い致します」

ハービアが水晶を砕くと大きな門が現れ魔王が現れた


「なんだ、冥王とはこんな者か」

次の瞬間には108つに冥界王は切り刻まれていた。


「あはははっ流石は魔王様」

あの一瞬で冥界王が細切れなんて信じられない。

「あとは任せた」


「お任せ下さい」

直ぐに魔王は去っていった。



ケインの知らない所で最後の話が動き始めた。



⑦冥界神


「何者だ!」

そんな、俺が反応出来ないなんて...ロードまでになった俺が殺されるのか。

この世界にそんな存在が居たなんて...アテスは大丈夫か?

俺が殺されると言う事は、アテスは...すまないな。



【???】

「天使長にまでなって解体しなくちゃいけない訳?」

「つべこべ言うなよ、俺が手伝っているんだからな」


「我は魂魄の融合等初めて見たぞ...魂を呼び出すのは出来るが、そもそも魂を分離したり、くっけたり出来る物なのか?」

「出来るのは知っているわ、だけど流石にやった事は無いわね」

「お前、やった事無いのに引き受けたのか?」

「仕方ないじゃないの...ほら、もうやるしか無いのよ」

「はぁ~不大丈夫なのか」



「まずは、冥界王の魂魄を取り出します」

「案外簡単に取り出せる物なんだな」

「簡単そうだな」


「まぁね、天使長たる私が死神辺りに出来そうな事が出来ない訳無いわ」

「成程、そこからどうするんだ」


「魂魄の中心を抜き出して、破壊するのよ、これでこの魂魄はフリーになった、まぁ能力や経験だけが残るのよね」

「そんな事が可能なのか、我は知らぬよ」

「俺も知らないな」


「本来は神しか知らない秘密なのよ、まぁワイズ様は脇が甘いから、この手の情報が駄々洩れなのよ」

「そこに今度は、ケインの魂魄を取り出してこちらは壊さない様に注意して全部をさっきの魂魄に入れ込みます」


「それで良いのか?」

「そんなんで平気なのか?」


「そうよ、それで後はこねれば、冥界王の能力を受け継いだケインの完成...あれれっ、何で出来ないの、嘘、嘘、このままじゃケインが」



「ふぅ馬鹿ね」

そこにはこの世の者とは思えない美しいシルバーブランドの女性が立っていた。


「ワイズ様...」

「よくも裏切ってくれたわね、勝てない存在なのは解るけど、何故天界にも帰ってこないのよ」

「それは...」

「マルス、貴方も同罪ですよ」



「それは...」


「まぁもう良いわ、大方下界の方が楽しいから、そんな所でしょうね? もう天界に貴方達の居場所はないわ、転生しても、もう天界には戻れないから覚悟しなさい、天使長に武神の地位はもうないわ」

「まぁ私も良いわ、このまま下界で楽しく暮らすから」

「俺も良いや、天界なら俺より強い奴は沢山居るが神同士戦うな、なんて馬鹿げた決まりがあるからな」


「そう、なら私に言う事は無い...それね、天使長如きに出来る訳ないわよ、神しか魂魄の合成何て出来る訳無いじゃない、貴方死神を馬鹿にしたけどね、あれでも神、天使じゃないのよ?」

「そんな、ならケインは...消滅してしまう」


「そんな事しないわ? 一生懸命頑張る、彼みたいな人間にこそ女神は微笑むのですよ! フュージョン(融合) これでい良いわね、そしてゴッドネスシールド」

「ワイズ、何をしてくれているのよ」

「すぐ返しますよ」


【女神 ワイズ】


「目を覚ますのです、ケイン」


「ここは何処ですか? そして貴方は?」

「私は女神ワイズ、この世界を総べていた者です」

「女神ワイズ様...嘘、降臨されたのですか? もしかして魔王や」

「違いますよ、その世界は私の負け、魔王が支配する世界になるのは確定です」

「そうですか、ごめんなさい」

「貴方は最後まで私の味方なのですね、実はハービアとマルス達が貴方を冥界王にしょうとしてしました」

「何故でしょうか?」

「まぁ、アテスという者が貴方を昔の仲間に会わせてあげたい、そこからの考えみたいですね」


「アテスが」

「はい」


「まぁ、彼女達にはその権限が無く貴方が消滅しかかっていたので、私が来たのです」

女神様自身が降臨して下さった...そういう事か。


「有難き幸せ」

「固くならなくて良いわ、正式に冥界王でなく、冥界神にしましたからお仕事頑張ってくださいね」

冥界? それってハーデスと同じと考えたら...主神じゃないか?


「冥界の王様みたいな者で貴方が思って居る程大それた者じゃ無いわ...ただの管理者、神の中では一番の下っ端だわ」

そうか、女神ワイズ様は複数の世界を持っていると聞く、その中の一つの世界の冥界を管理する、そんな所か。

「それでも神なんですよね」

「うん、神は神、だけど天使長や武神より序列は低いわ」

「確かに武神様も神様ですものね」

「そうそう、更に本来なら、ハービアは...そうね貴方の前世ならミカエルみたいな者、何となく神様より偉そうでしょう...まぁ二人とも能力はそのままだけど、天界は追放だけどね」


「えっ追放」

「あれだけ好き勝手して、そうならないと思う?」

「確かに」

「そんな世界なのに頑張っていた貴方にはご褒美...そこから頑張って《本当の神》にいつかなりなさい」

「いや、俺は人間として」

「貴方は寂しがりやなのでしょう? 目が覚めた時に貴方の欲しかった者は全部手にしている...それじゃ、貴方が何時か天界に来る日を待っているわ」

「それは何時でしょうか?」

「10万年後か20万年後かあなた次第、女神の時は永遠ですからね、いつかは駆け上って来なさいね」

「解りました」

「良い子ね、それでは今はお別れです..では





【ケイン】


「ケイン様、ケイン様起きて下さい」

「うーんもう少し」

「仕方ないケイン様ですね...それじゃ、私も添い寝しちゃいますか?」

あれっ、黒髪...嘘、嘘だシエスタ....?


「シエスタ、何で?」

「何でもかんでも無いですよ? あんなに泣いて別れたのに..」

「どういう事?」

「どういう事じゃ無いですよ! ケイン様が冥界神になってまで会いに来てくれたんじゃ無いですか?」

確かにそうだ...思い出した。

だけど、何かが可笑しい?

此処にシエスタが居るなら、俺も死ねば此処に来るから会えるじゃないか?

《騙してませんよ? 貴方が此処に来る頃には皆転生して会えませんから、貴方が冥界の支配者になって、転生しない様にするそれ以外方法はありませんからね》


《ワイズ様、有難うございました》

《それでは、何時か天界で会うまで頑張りなさいね...決してハービアやマルスの様に堕天しないように頑張りなさい》

《はい》



「ケイン、凄いな僕に会う為に冥界神になったんだって、2人の友情、いや愛は永遠だね」

「ケイト」

「二人?違うわよ図々しいわよ?」

「リタ」

「あはははっこんな所まで追いかけて来るなんて何処まで私が好きなのかな」

「ソニア」

「冥界神にまでなるなんてどんだけ修行したんだ..」

「アイシャ」


「まったくもう、ケインたら私好きすぎでしょう」

「アリス」

「もう本当にしかたないですね、私が癒してあげますよ」

「メルル」

「冥界神様にどれだけ凄いんですか」

「クルダ」


「ケイン様、此処でも頑張って商いしましょう」

「ミランダ」


「まぁ我に掛かればこんな物だ、なかなか良いプレゼントじゃろう?」


そうか、アテスは元、死霊の王、死後の世界に詳しい筈だ。

「ありがとう、アテス、本当にありがとう」

「良いんじゃ、我とお主の仲じゃないか?」

「これは俺にとって最高のプレゼントだ、ありがとう」

「うむ、沢山感謝するが良い」

「アテスは何かして欲しい事はあるかい、あれば」

「なら、我を本妻にして」


「アテス、何手柄を独り占めしているのかしら? 頑張ったのは私だわ」

「ハービア様、ですがハービア様は美少年が好きでケインと結婚は考えてないんじゃないですか」

「何だか嫌」

「何がですか我には解らない」

「別に愛して等居ないけど、私の下僕がイチャイチャするのを見るのが嫌」




【自由の翼+勇者パーティー】


「あそこで何を言っているのかな? 本妻とか聞こえてきたけど」

「もしかして争奪戦なのでは」

「「「「「「「「そうだ」」」」」」」」



「ケイン、そうだ僕と釣りに行こう、そして今度は僕を正室にして、僕が相手なら友情も愛情も一杯楽しいと思うよ」

「ケイン様の相手は私が良いに決まっているじゃないですか? いやだなーケイン様の好みは私が一番知っています」

「いい加減にしてよ、ケイン、今から約束守ってよ、婚約してたじゃない」

「それは無効だよねリタ、私の方が胸もあるし、私で手を打たない」

「ケインには女女みたいな奴より私みたいな騎士が相応しい、そうだろうケイン?」

「一緒に魔道を極めない? 歓迎するわ」

「いいえ、一番必要なのは癒しだよねケイン」

「私を生涯ケイン様の荷物持ちにして下さい」




そろそろ、決めなくちゃいけないのかも知れない。

だけど、今は...

「これからは殆ど無限に時間があるから、とりあえずゆっくり考えよう? 全員大好きだから」

そう言いながらケインは優しそうな目で全員を見つめた...

何とも言えない感情が彼女達を支配する。


「「「「「「「「「あっ」」」」」」」」」

「とりあえず、冥界を先にみてくるね、時間は幾らでもあるからゆっくりしようよ」


「「「「「「「「「あっ逃げた」」」」」」」」」


ケインには無限の時間がある。

1万5千年後、人類は確かに滅びたがここ冥界の住民になるだけだった。

ケインは仲の良い仲間たちと悠久の時間を楽しく過ごした...いや、今も楽しく過ごしている。

月1回の地獄を乗り越えながら


                                              【FIN】



⑧黒竜

「竜王様、また同族が大量虐殺されました」

最近、可笑しな事に我らの同胞が大量に狩られている。

我らは人間にも魔族にも敵対していない。

まぁ、生物上の殺す殺さないはあるが、中立だ。

生き物である以上狩る狩られるは仕方ない事だ、だがここ暫く異常な程狩られる。

我らは恐らく、種族としては最強の筈だ。

人間の勇者や一部の強い魔族でなければ倒せる訳が無い。

もし、強さの平均という物を出せば、我ら竜種に敵う種族など無い筈だ。

少なくとも、我らに会えば人類も魔族も逃げる。

もしくは静かに立ち去るのを待つ。

それが狩られている...信じられん。

だが、狩られているのは事実、早急に調べなければならない。

我らを容易く狩る者等《勇者》《魔王》以外に考えられない。

もし、何か意図があって狩っているなら、人間VS魔族の戦争にも介入しなくてはならないかも知れない。

「黒竜よ、最近無数の同胞が狩られておる、真相を調べて参れ」

「はっ、早速、調べて参ります」

高位の竜は人化が出来る、調査にはうってつけだ。



【黒竜SIDE】


「これが最近竜種が狩られていた場所か?」

火竜山脈も、風竜峠にも竜族が居ない。

此処は竜達の巣とも言える場所だ、こんな場所に攻め込んでくる魔族や人間が居るとは思えない。

しかも、どう見ても争った形跡がない。

我々が戦ったのなら、幾つもの痕跡がある筈だが、それが殆ど見つからない。

まさかと思うが一方的に倒されたのだろうか?

そんな存在が世の中に存在する。

場合によっては俺がその存在を殺さなければ...



【黒竜SIDE 王都にて】

王都に来て、解った事がある。

沢山の竜の素材が売られている。

此処に、間違いなく我々の天敵が居るに違いない。

「沢山の竜の素材が売られているようだが...」

「これですか? 英雄王ケイン様のパーティー自由の翼が狩ってるんですよ、凄く安いでしょう? 帝国の半額ですよ」

「そうだな」

俺は怒りを抑えてぐっと堪えた。

話を聞けば聞く程《自由の翼》が単独で狩っているようだった。

しかも、その狩りの中心にケインという男が居る。

此奴を血祭りにあげないと気が済まない。



【ケイン、ハービアSIDE】


「ケイン、この国に羽虫が入ってきたから潰しなさい」

「羽虫?」

「多分、黒竜ね、ロードの貴方なら瞬殺、だけど他の人間だと死人が出るから」

「あの、黒竜って確か、四天王クラスと聞いた事がありますが」

「今の魔族が異常な程強いだけよ! 一つ前の魔王軍なら、ケイン一人で四天王全員+魔王を倒せるわ」

「そう、なのですか?」

「今の魔王は先祖返りで、ほぼ邪神と同じ、あれは化け物ね」

「あの、それじゃ竜王や黒竜は?」

「あれは虫けら、私やマルスなら全員併せて瞬殺、貴方だって1日あれば竜王の城なんて落とせるわ」


「そうですか、それなら安心ですね」


探す手間は掛からなかった。

ただ、森に行くだけでそいつは姿を現した。


「貴様がケインか?」

「それがどうした?」

見る見る男が大きくなっていった。

「我が同胞の敵を討たせて貰う」

「お前が黒竜か!」

「如何にも、今日がお前の最後の日だ」


かなり、強そうだな...ならば


「七星彗星剣」


「なっ貴様ーーーーっ」

あれ、あれ、可笑しいな、俺は黒竜を触ってみた。

「死んでいる!」


嘘だろう、今は魔族と竜種でこんなに差があるのか。

魔王がその気になったら竜も滅びるんじゃないかな?


俺は魔王と戦う為に竜王と同盟を組む事を考えた事があった。

もし同盟が成立したとしても...一緒に滅びるだけだ。


その事を考えると青ざめるだけだった。


⑨竜王


何時まで待っても黒竜が帰って来ない。

彼奴は竜族でも屈指の強者、例え相手が勇者であってもそう引けはとらない筈だ。

我と一緒に永い月日を生きて来た、その間に彼奴は数多の英雄や勇者を倒した。

《竜殺しの英雄ソレント》を倒したのも彼奴だ。

そんな彼奴がおいそれと負ける訳が無い。

もし、負けるにしても落ちのびて報告には来れる筈だ。

あの暴虐な彼奴が死ぬなんて考えられぬ、寧ろ頭に来て国を滅ぼしたという方がまだ信じられる。

こうなっては仕方ない、我が直接赴き調べるしか無さそうだ。

「竜王様、どちらにお出かけですか?」

「黒竜が報告に帰って来ないのだ、心配故、様子を見に行ってくる」

「お待ちください、御身は竜族を束ねる大事な体、この私が見てきましょう」


「それは聞けぬ、お前は黒竜よりも弱い、我が行こう」

「ならば、私青竜と、赤竜を共におつけ下さい」


「それは余りにも過剰な戦力ではないか? 人の世界を滅ぼすつもりは無い」

「此処は白竜様にお願いすれば問題ありません、それよりも大量に竜が虐殺されている事実もあるのですから、場合によっては報復もありかと」

「うむ、そうだな、それでは三人で行くか」

「ええっ」

竜の王とその側近の太古から生きながらえて来た竜が今王国を目指す。

その脅威が今王都に襲い掛かろうとしていた。


【王都、王宮にて】


「此処に竜の王が来る、そして暴れようとしているわ」


「ハービア様、それは誠ですか、それでは王国は滅びてしまう」


「はぁ~貴方は何を言っているのかしら?、ケインが居るでしょう、ケインに討伐させれば良い事よ」

「あの、竜王ですよね、魔王に匹敵すると言う、ハービア様を疑う訳では無いですが、大丈夫なのでしょうか?」


「あのね、今の魔王が異常なのよ? あれは大魔王を通り越して邪神レベル、女神でも危ういわ」

「あの、竜王...」

「竜王は少しは強いけど《今の魔王でなく普通の魔王レベル》なの」

「それはどういう事でしょうか?」

「30分もあれば、竜王なんて片付くわよ、余り私の下僕を舐めないで、あれも人間としては異常な位強いからね」


「英雄王ケイン様はそんなに!」

「じゃなければ、ロードになんかしないし、下僕になんてしないわ...下僕と言うのはある程度認めた者しかしない、例えば人間は、同じ人間同士だから下僕にするのよね? トンボやミミズを下僕にする人間は居ないでしょう?」

《それでは、ケイン様は天使長や武神様がレベルこそ低いが同等と認めた...そういう事なのか》

「それでは竜王の事はケイン様に任せる事にします」


「それで大丈夫だわ」


【王都にて】

「赤竜これは...」

「大量に我らの同胞の素材が売られている、ふざけるで無いぞ」

「待つのだ青竜、何か事情があるかも知れぬ、そこの店主この大量の竜の素材はどうしたのだ」

「驚くよな! 普通はこんなに手に入ら無いからな、ケイン様だよ、ケイン様達が大量に竜を討伐してくれたからこれほど出回っているんだ」


「ケインとな?」

「英雄王ケイン様だよ、この国の王様でありS級冒険者だ、凄いんだぞ、この間は黒竜まで倒したんだ」

《黒竜はやはり、殺されていたのか...済まぬ我のせいだ》

《黒竜様を殺しただと...赦せぬ》

《虐殺と言い、黒竜様の事と言い赦せぬ》


「そうか、そのケインとやらは何処におるのだ」

「今日は、何故か一日中街を走り回っています」

「ならば、直ぐに出会えるかも知れぬな」


暫く歩いていると..広場に何かが晒されている。

「竜王様...あれっ、あれは赦せない」

「ああっ、黒竜様、なんて無惨な姿に...こんな非道赦せない」

「これは見過ごせない...」

彼らが見た物...それは広場で晒されている黒竜の首であった。


「最早許せん、この王都の人間を皆殺しにしなければ気が済まぬ」

「黒竜様の命...この国全員の命じゃ無ければ釣り合わない」

「あの黒竜様が死ぬなんて、赦せません」


「「「竜化」」」


王都の中心に城よりもでかい竜が三体現れた。


【王都】


「あれは何だ、何で王都に巨大な竜が現れたんだ」

「終わりだ、せっかく魔族とは和解できたと言うのに...終わりだ」



「我は竜の王、我らの同胞を蔑ろにする人間よ、これから思い知るが良い...この国をこれから地獄に落としてくれる」

「我は、青竜、古の竜の一族...これより竜族は人類を敵として認識する、全ての竜が敵になると知れ」

「我は赤竜、これから人類に安寧は無いと知れ」




「竜王..終わりだ、魔王と同等という竜王が出るなんておしまいだ」

「人間の世界は終わるのか...」

「誰か、誰か助けてくれーーーーっ」



【自由の翼達】


「ケイン、竜王が竜王が現れた」

「アイシャ、大丈夫ださっき、ハービア様から念波が送られてきた、あれは俺が対処する」

「ケイン様、大丈夫ですか?」

「シエスタ、避難誘導をお願いする」

「解りました」


「アイシャ、アリスも避難誘導を、ケイトとリタにはその護衛を頼む、ソニアにメルルとクルダは治療と怪我人の輸送を頼む」

「「「「「「「了解」」」」」」」」


だが、あんな巨大な竜に俺の技が通用するのか?

七星神剣に念を送る。

竜王を名乗っているのだから、最強の竜だろう。

魔王と同じクラスだから、俺じゃ勝てないかも知れない。

《どうした小僧、何かって竜王か?》

この剣、目でもあるのか? なんで解るんだ?

《そうだ、何か彼奴に通用しそうな技は無いか?》

《小僧、我を舐めているのか? 彗星剣か流星剣でも使えば終わりだ》

《流石にあの巨体には致命傷にならないと思うが》

《面倒くさい、一体は仕留めてやるから体を貸せ、ちゃんと覚えて後の2体は自分で倒すんだぞ》

《解った》


《まずは、勇者が使う光の翼、あの剣から伸びる光を一本に纏め上げて巨大な剣を作る これを光王剣と呼ぶ》

無数に広がっていた光が終息して30メートル位の刃になった、光だから重くないみたいだ。

《これなら、竜王の首も落とせるから、このまま行くぞ》

「七星彗星剣」


三体のうちの一番巨大な竜にめがけて振り落とされた刃はそのまま首を切断した。

《嘘だ...竜王死んじまったよ》

《小僧、我を舐めるなよ、神剣なんだからな、聖剣みたいな鈍らじゃ無いんだぞ》

《あの...》

《勇者じゃ無くて神が使う剣なんだぞ、竜王なんて雑魚だ》


「そんな竜王様が殺されるなんて...」

「こんな奴相手なんかできない」



《これ、もし全滅させたら、竜全部敵に回す事になりかねないんじゃないか?》


「偉大なる竜の一族よ、俺はケインだ、何故こんな馬鹿な事をした」


「お前がケインだな、同胞を殺しあまつさえ黒竜様を殺したお前への復讐だ」

「あのよ、話しても良いか?」

「良い訳か聞いてやろう」

「俺は多分まだ200も竜を殺していない、何で恨まれるんだ」

「200も殺しているだと..ならば」

「それじゃ、聞くがお前等、竜種はどれだけの人を殺したんだ」

「...少なくとも竜王様や我らは殺していない」

「800年前の事だ、黒竜が聖都を襲い、その時は1万5千人の人間が死んだと聞くがどう思う?」

「それは黒竜様がやった事、我らがした事では無い」

「それじゃ聞く、竜を殺したのは俺がやった事、他の人間がした事では無いから人間全部の責任にするのは大間違いだ。それに俺はたった200未満、黒竜が原因で死んだのは1万5千人、平等と見るならあと、1万4千800竜を殺して初めて釣り合いがとれると思わないか?」

「本当にそれをする気か? 我ら竜は数が少ない全滅しかけない」

「お前達が襲ったから、俺が襲った同じだろうが」


「お前の言い分は解かった、だが竜王様をお前が殺してしまった今、我らはもう戦うしかない、止められる者など誰もいない」

「死ぬのは解っているが最早引けない」


《ヤバイぞ、これじゃ竜種との完全戦争になる》




「待ちなさい、古の竜たちよ、そして我が忠実な僕ケインよ」


「何者だ貴様」

「この戦いに割って入るつもりか...ならば」



「無礼なトカゲよ、我こそは天使長ハービア、そこのトカゲの王は生き返らせてあげるわ...パーフェクトヒール」

斬り落とされた首が繋がり竜王は復活した。

「我は死んでいたのか」

「そうよ、それを私が甦らしたのよ」

「貴方は?」

「天使長ハービア」

「天使! それも長様」


「トカゲの王だけあって少しは解るわね、今回貴方を倒したのは私の下僕なんだけど、これからどうするつもりかしら?」

「負けた身ですが、出来る事なら同胞を余り殺さないで貰いたい」

「それなら、竜族も人を殺さないで欲しい」

「解ったと言いたい所だが、それは出来ない、我々は大食漢なんだ、食料が手に入らない時はどうしても理性が無くなる者もいる、これは命令した所でどうしようもない」

「ケインはこの国の人間、逆を返せば他の地域の人間とは仲が良い訳では無いわ、だから竜種はこの土地から離れなさい...そうね帝国から更に先、聖教国から更に先になら手を出さないわ...そっちに移り住めば」


「それでは、そこに移れば、その...ケイン殿は我らに手を出さない、そう言う事でしょうか?」

「それでどう、我が下僕ケイン」

「それなら約束しましょう」


「我が挑んで負けた以上はもう、ケイン殿に勝てる者は居ない、その条件飲みましょう」

「そうなら良かったわ」

「ならば、我らは立ち去るとし」

「待ちなさい! 私やケインに迷惑を掛けたのだから償いをしなさい」

「償いでしょうか?」

「そうね、竜王、貴方の血と肝をケインに渡しなさい」

「仕方がない、まぁ我はその位じゃ死ぬことは無い、差し上げましょう」

そう言うと竜王は自分の体に傷をつけケインに血を浴びせた。

更に手を体に突っ込むと肝の一部を取り出しケインに差し出した。

「どうした食わぬのか?」

ハービア様を見ると食えというジェスチャーをしていたので食べたが凄く苦かった。

「これで本当に去りますでは」

三体の竜は大きな翼で羽ばたくと見る見る小さくなっていった。

これ以降、王国周辺では竜がいなくなった。

更に竜王がケインの事を竜種に伝えた為、竜はケインに遭遇すると命乞いか逃げ出す様になった。


【ハービアとケイン】


「あの、血と肝には何かあるのでしょうか?」

「竜の血を浴びた人間が不死身になった話を聞いた事があるわね、あと肝を食べた人間が不老になった話も聞いたわ」

「それじゃ」

「安心してデマだから」

「そうですか、流石に天使長であるハービア様ですら寿命があるのにそんな事ないですよね」

「そうよ、竜王の血を浴びたって、マグマに落ちても燃えなくなって、体を凍らされようが絶対零度の様な冷たさでも普通にダメージが通らなくなる位かな、あともう聖剣じゃ刺さらないわね、まぁ神剣なら普通に切れちゃうわよ、寿命もせいぜい1000年延びる位だわ」

「...」

「まぁこれでようやく、マルス相手に30秒位は持つんじゃないかな」

「何だか強くなったような気がしません」

「そうね、だけど今の人類最強から、過去も含んで人類最強位にはなったかも知れないわよ、良かったじゃない」

「あははは、そうですね」


自分の人生はそれじゃ何も変わらないんじゃないかな...ケインはそう思った。























































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「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

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 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

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「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

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魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

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