勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん

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【外伝】 劇場版 ファーストエピソード

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【劇】


「これは酷いな」

「アイシャ仕方ないよ情報が間違っていたんだからさぁ」

「アリス、だけどこれはあんまりだと思わないか...」

「確かに、オーガの砦の破壊という依頼でしたわ、ですがあれは城よ...」

「それでどうする?」

「受付嬢は後でとっちめるとしてやるしか無いだろうな」

「ええっ」


話を過去に戻すと

「オーガの砦を破壊して欲しい」

そう言う依頼書が貼ってあった。

丁度、その依頼書を二人で見つけて受けた。

依頼書によるとその砦の大きさは大した事無く精々が20体位のオーガという話だった。

だが、実際は城並みに大きくどう見ても1000体近くのオーガが居た。


【自由の翼達】


アイシャ「情報が間違っていたら、素直に引き返すよ」

アリス「普通にそうするわよ、当時の私はそこ迄無謀じゃない」


ケイン「まぁ これも多分誇張されているんだと思うぞ」



【劇】


「これはやるしか無いわ、闇より深く...血よりも赤く...業火よりも熱く..獄炎灼熱魔法、インフェルノ」

強大な火柱が上がり、オーガの砦を焼き尽くした。


「これでよし、帰りましょう」

「そうだな、私は何もしてないが」

「良いわよ、魔法一発で終わったから、それより」

「ちゃんと記録水晶に撮ってくれた?」

「勿論撮ったよ」


「これで依頼も終わりね、ギルドに報告してお金を貰って祝勝会でもする」

「良いね...それ」


【ギルドにて】


「はぁ、こんないい加減な嘘は止めて下さい!」

「何処がいい加減なんだよ、こっちはしっかりと映像まで用意しているんだぞ!」

「こんなの誤魔化し映像だよ...ギルドの依頼は砦なのよ...こんなお城じゃないわ」

「それはそっちの間違いだったのよ? 本来ならお詫びをして追加報酬を貰う所だよ」


「はん、こんな偽物の映像見させられてもね」


「そう、あくまであんたは認めない、そういう事か?」

「そうよ」

「だったら、私達は砦は潰して無い、それを書類に書いて渡して貰おう」

「何を言うの」

「嘘だと言うなら書いて、じゃ無ければ納得いかないわ」

「解ったわ、書けば良んでしょう? あと虚偽の報告をしたと上にあげておくから覚悟をする事ね」


「「はいはい」」


【観客】

「これからどうなるんだ」

「どんな話になるか解らないな」


【自由の翼】


ケイン「こんな酷いギルドは流石に無いな」

クルダ「ケイン、それはケインが元勇者パーティーだからですよ、案外田舎のギルドは酷い事もあります」

ケイン「クルダ、本当に」

クルダ「ええっ、私はポーターですから、結構ギルドから軽視されているのか嫌な思いも多かったですよ」

メルル「私もランクがD位までは最低でした」

ケイン「何かごめん」

クルダ「良いんですよ、今が幸せですから」

アリス「まぁ、今の私達に絡むような命知らずは居ませんね」

アイシャ「まぁ絶対に居ないな」



【劇】

「さっきのギルド頭に来るな、本当に」

「別に良いんじゃない? 暫くしたら大変な事になるんだから」

「どういう事だ!」

「アイシャ、実はさっきの依頼は《無理やり》こなしたけど、近隣の事を考えたらやらない方が良かったのよ」

「何で」

「私がしたのはまぁ、殆ど城だけど砦だけだわ」

「確かにそうだけど、それがどうかしたのか?」


「あれは依頼書が悪いのよ《砦の破壊》と書いてあるからね、《砦の破壊》しかしていない、もし中のオーガーも倒して欲しいなら攻略して欲しいと書かないとね」


「何となく解かった」


「砦が無くなったオーガーが多分暴れはじめるわね、行く所を無くしたオーガーは多分狂暴になるわ」

「確かにそうだ」

「此処には恐らくBランクの冒険者も居ないわ」

「アリス?」

「私達は砦を潰していなんだから、この後この街に留まってあげる必要は無いわ...ただ去るだけでいい」

「アリス...そうだな、報酬も貰わず《砦も壊して無い》なら責任も無い、此処を去るのもありか...」

「そうね」



二人は顔を見合わせながら、「「ずらかろう(かりますか)」」

そう言うと...街を去った。




【その後】


「何で此処に私達はいるのかしら?」


「何でだろうな? お前が来たからだろう?」

「そうね...本来は追加報酬を貰って引き受けようと思ったのよ」

「だけど、無料奉仕か」

「そうね、ただ、討伐証明を持って、隣町に行けば、討伐報酬だけは貰えるわね」

「そうだな」


二人は顔を見合わせるとたった二人でオーガの群れに戦いを挑んだ。

「それじゃ、行くわよ」

「お前が魔法を唱えている間、守り続けていれば良いんだな」

「その通り」



場面は変わり、ボロボロの2人と無数のオーガの死体が散らばっている。



【自由の翼】


アリス「昔の私が1000のオーガに勝てるわけ無いじゃない」

アイシャ「普通に飲み込まれて死ぬな」


【観客】

「やはり、アイシャやアリスもただ者じゃ無いんだな」

「当たり前じゃない? 剣姫にアイスドール、そんな字持ちなんだからね」

「シエスタ様より強いんだから、こんなの楽勝よ、きっと劇と違って苦戦もしていないんだろうな」



【劇】


そんなボロボロな二人の前に、一際大きいオーガが立ち上がる。

「あはははっまだ生き残りが居たのね」

「オーガキング、流石に生き残ったか...」


「もう私は魔法は使えないわよ」

「それじゃ私がするしか無いな」


アイシャが懸命に戦い、どうにか互角に戦っていた。

だが、このままでは恐らく、天秤はオーガキングに傾く。

アリスも魔法が使えないから、杖で殴っていたが致命傷にならない。


「これは普通に死ぬわね」

「つまらない人生だったな」


「「パーフェクトヒール」」



「はぁはぁ、間に合いました、たった二人でオーガと戦っていると聞いたので走ってきたんですよ」


「貴方は《白き癒し手のメルル》 ありがとう」


「お二人程有名じゃありませんよ? 私は治癒専門なので、戦いは苦手です」


ただでさえ互角だったのに、そこに治療師まで加わったから、オーガキングはあっさり倒された。


「助かったわメルル」

「ありがとう、メルル」


【ナレーション】

これが、自由の翼の中核をなす、三人の初めての出会い、ファーストエピソード。

後に三人は、英雄王ケインと共に壮大な戦いを繰り広げる...



【自由の翼】

アイシャ「ケインのパーティーに入るまで共闘した事あったかな」

アリス「あるけど、こんな大きな事してないわ」

アイシャ「確かにあったけど、近場のゴブリン狩り位だよな」

アリス「そうね」


メルル「私は皆さんとあった時はBランクで字も無かったです」


ケイン「まだ終わって無い様だぞ」



【劇】


「お前はクビだ」

「何で私がクビになるんですか?」


「お前、砦の攻略の達成を受け付けなかったな?」

「ああっインチキしたから注意しましたよ」


「お前は馬鹿か? 今となり街のギルドに大量のオーガの討伐証明が運び込まれた」

「ええっ」


「砦を壊されたオーガが大量にあふれ出して、それを倒したそうだ」

「だったら、どっちみち失敗じゃ無いですか?」



「あのよ、依頼書みたら《砦の破壊》になっている、壊しただけで達成だろう? お前、オーガの砦の攻略と何故書かなかったんだ」


「それはですね」


「それはじゃねーよ...砦の規模も間違えて、達成した奴に金払わないで失敗と決めつけてよーーっもう顔も見たくねー、クビで済むだけありがたく思えよ、あの二人で無ければ最悪死んでいた、そうしたらお前は罪人だ」

「あの二人ってそんな凄い冒険者なんですか」

「ああっ最強の一角を担う、剣姫にアイスドール、そう言えば解るか」

「えっ、剣姫のアイシャにアイスドールのアリス」

「お前、冒険者証も見なかったのか? まぁいいや、いい加減な奴なのは解かったから...とっと出ていけ」

「....すいません」


【終劇】


【自由の翼】


アイシャ「良い所はメルルが持っていったな」

メルル「しかし出鱈目ですね」


アリス「ちゃんとパーティー組んだのはケインに声を掛けられたからなのにね」


ケイト「しかし、凄いね、王都だけじゃなかったんだ劇やるの」

リタ「何でも好評だから国中で真似してやっているんだって」

ソニア「また容姿を誤解されそうね、アイシャの役は有名な女優スリープ、ソーマがやってるし、アリスの役もケティーマルゴーがやっていたわよ」


ケイン「正体が解らない方が都合が良いから良いんじゃないか?」

シエスタ「私もそう思います」














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