奴隷譲渡!? 勇者パーティを追放される俺は文句を言わない代わりに、勇者が父親の遺産で貰った女奴隷を貰う事にしました。

石のやっさん

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第35話 エルダさんと一緒なら......

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夜遅くなり、魔王をはじめ魔族の方々は部屋へと帰っていった。

今は二人っきりで海辺を散歩している。

前の世界と違い、この世界の海は恐ろしい。

海水浴なんてしよう物なら魔物に襲われ死ぬ事になる。

前世のホオジロザメが可愛く見える程の化け物が跳梁跋扈しているのだから……

だが、エルダさんと一緒だからここは只の海。

星空と月の夜空が綺麗な只の海だ。

「エルダさんって本当に凄いね」

「え~何が? かな?」

「沢山の知り合いが居て……本当に凄いなって思ったんだ」

「あははっ、まぁ無駄に長生きしているからね……だけど、凄いのはリヒトくんだよっ!」

「おっ俺?」

「そう、だってあの面子だよ! 普通の人間なら恐れる人ばっかりなのに、最初は少し騒いでいたけど……途中からは普通に接していたじゃない?」

確かに……

「だけど、話してみたら全員良い人ばかりで驚いたよ」

「そう思えるのはリヒトくんだからかな?」

「俺だから?」

「そうだよ……人間だったら上位騎士だって、王族だってあの中の1人が居るだけで恐怖で引き攣るのに、リヒトくんは昔からの友達みたいに話していたじゃない? 普通はなかなか出来ないよ?」

「そうかな?」

皆、良い人だし、まさかダークコレダ―まであんな真面な存在だなんて思わなかったな。

「うん……人間って案外卑屈で弱い生き物だからね。まぁそこが庇護欲をそそられるたんだけどね。過去の賢王も勇敢な英雄も魔王を前に冷静でいた人なんて居なかったよ! 多分、女神も間違えたんじゃないかな? 勇者にリヒトくんを選んだら……まぁ、考えない方が良いよね? 知り合いが傷つく姿は見たくないからね」

「そうだね……勇者になってエルダさんに嫌われる人生なら、俺は勇者になんてなりたくないから」

「全くリヒトくんはブレないね……」

「だって、俺の初恋はエルダさんだからね……見ていれば解ると思うけど、好きな人エルダさん、好きな物エルダさん、趣味もエルダさんだから」

「知っているよ……小さい頃から見ていたからね。リヒトが赤ちゃんの時からずうっと」

「それ、凄く恥ずかしいな……」

「沢山、沢山……見てきたからね。小さい頃花をくれた事もあったし『大きくなったら結婚して』とも言われたし」

「うん……そうだね」

「子供の間でスカート捲りが流行った時もリヒトくん、誰のスカートも捲らなかったけど……よく私のスカート見ていてよね? 最後まで捲らなかったけど……」

「知っていたの?」

「あれだけ凝視されていたらね……それに暇さえあれば私に会いに来ていたじゃない?」

「はははっそうだね……」

全部知っていたとなると恥ずかしいな。

「それでどうかな? そこまで好きだった私との生活は?」

「最高としか言えないよ! 毎日が楽しくて、まさかこんなに早く実現できるなんて思わなかったからね」

「早く?」

「最初の予定では魔王討伐した時にライトにお願いして『褒美』として貰う予定だったんだ。 魔王討伐後の褒美として、くれと望めば、断れないからね」

まさか、あっさりくれると思わなかったんだよな。

エルフなんだから……

「また随分と無茶な事考えていたんだね」

「今はそう思う……ルシファードさんや四天王に会って思ったけど、あれは勝てないよ! もし、そうなっていたら……エルダさんと結ばれる事無く、幼馴染たちと一緒に心中するように死ぬ人生……本当に良かった!」

「そうだね……私もそう思うよ! 今の生活が楽しすぎてリヒトくんの居ない人生なんて考えたくないもん」

「良かった……そう言って貰えて嬉しいよ」

「そう?! 想像していたのと違ってガッカリしていない? 私リヒトくんが思っていたほど、母性が無いような気がするんだけど……」

「それも含めて好きだから。知らないエルダさんが見れて嬉しかったりする」

「そう、それなら良かった。それでこれからリヒトくんはどうするの?」

俺の目標はエルダさんと生活する事だから、もう叶ってしまった。

此処からは……

「俺の夢はエルダさんと生活する事だから、もう夢は叶っちゃったからな。 今の生活が夢のような物だよ……どうしようかな?」

「リヒトくんがしたいようにして良いよ」

俺がしたい事か……

「取り敢えず、タミアを思う存分楽しんだらコハネに行かない?」

「コハネに?」

「うん、海の幸を堪能したら、今度は山の幸を楽しもうと思うんだ」

「あっ!? それは余り面白くないかもよ?」

「どうして?」

「さっきダーちゃんに聞いたんだけど、確かにコハネは楽しいらしいけど、タミアと余り変わらないんだって! もし行くなら思いっきり寒い場所か、思いっきり南に行った方が良いって言っていたよ」

魔族の情報網恐るべしだな。

「そうなんだ……確かに此処でも山の幸も出てきたし、無い物って言えば黒卵に湖くらいだからそうかもね……まぁ次の行く先は、思う存分楽しんでからで良いからゆっくり考えようか?」

「うん……それに変わった場所なら魔国や竜国に行くのも面白いかも」

「そこって、どんな所?」

「う~ん、もう2千年以上前だから今は解らないかな? 見に行くのも良いかも? あっ竜国は竜を名乗っている只のトカゲの国だけどね」

「それも良いかもね……まぁゆっくり考えれば良いよ」

「そうだね」

エルダさんと一緒ならきっと何処へ行っても楽しいから。
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