異世界を下から見て生きる ~元中年オヤジの活躍を全くしない異世界ライフ~

石のやっさん

文字の大きさ
28 / 51

第28話 勘違い

しおりを挟む

異世界人が城から出てくる前に此処を離れた方が良いかも知れない。

この世界の人にとっては醜いアリスだが、俺の世界の人間にとってアリスは凄い美少女だ。

割りと真面な生徒達だったが、権力や特権階級になると、おかしくなる人間が出て来ても可笑しくない。

幸い、借りている家は賃貸だ。

もう少し稼いだら……逃げ出すのも良いかも知れない。

まぁ、俺のとりごし苦労かもしれないけどな。

◆◆◆

家に帰ってきた。

そんなわけで、アリスとメリッサに相談してみた。

「アリスは獣人の国アニウォー以外なら何処でも大丈夫ですよ? 他の国なら何も変わりませんから」

「私はリヒト様に憑いているだけなので何処で生活しても同じですわ……もう地縛霊じゃありませんので」

「そう? それなら、帝国の方に少ししたら向かおうと思うんだけど良い?」

元の世界から来た人間の多くは魔王討伐や魔族の討伐に向かうという情報があった。

魔国から一番遠いのは帝国だ。

魔国が帝国に来るには、聖教国、王国を突破して来なくてはならない。

異世界人は魔国に隣接した聖教国から魔国へ向かっていくから、一番遠い帝国に居れば絡むことは無いだろう。

もし、こちらに来るなら更に離れた国に行くと良いかも知れない。

尤も、俺の取り越し苦労で何も起きないかも知れない。

だが、何か起きたらこちらには対処法が無いのだから、警戒しすぎという事はないだろう。

「別に構わないですよ」

「ですが、何故、急に帝国に行こうなんて考えたのですか?」

「異世界人に絡まれないようにと言うのと、少しでも魔族と遠ざかった生活をしたいから……そんな所かな?」

「アリスは何処に行こうと構いませんよ……リヒト様がしたいようにして下さい!」

「確かに、その方が安全ですね……ですが、異世界人はそこ迄警戒しなくて大丈夫ですわ。 王国に居るのは2週間から1か月。 すぐに魔王討伐に旅立ち、会う事はもうありませんわ」

いや……凱旋して帰ってきたら会うだろう。

「魔王を倒したり、手柄をたてたら帰って来るんじゃないか?」

「多分、戻らないと思います」

「帰ってくる可能性の方が低いですわ」

詳しく話を聞くと魔王討伐の旅は数年かかる。

そして魔王を討伐しても魔族との戦闘は終わらないから生涯戦い続ける事になる。

そういう事だ。

俺はやはり此処でも誤解をしていた。

魔王を倒して終わり……なんて物語だけの話だ。

自分の国の王様を殺されたら、普通は家臣は復讐に燃えるだろう。

そう考えたら倒して終わりじゃない。

その後もずうっと戦いは続く……

つまり、戦争なら終結するまで兵隊は生涯(引退するまで)戦い続ける。

それに近いようだ。

だったら異世界人は勇者や英雄とは名ばかりで、生涯戦い続ける兵隊という事になるんじゃないか?

どこで俺は勘違いした?

前の世界の小説と混同したのか……

うん?! なにかが引っかかる。

なにが引っかかるんだ……解らない。

ああっ……そうだ……今迄、召喚された異世界人はどうしたんだ?

この世界に来てから会っていない。

黒目黒髪の人に会っていない。

「今迄に召喚された異世界人は、その後どうなったんだ?」

「此処暫くと言う事なら、死ぬか戦えない大怪我をしたという話しを聞きました」

「異世界人はこの世界の最大戦力、とびっきりの待遇が受けられる代わり、その生涯は戦いの中で過ごしますわ。 若くして引退なんて出来ないから戦闘出来ない位の大怪我をするか、歳老いて引退するまで魔族との戦いが続きますわ。 新しい異世界人が来たと言う事はかなり多くの異世界人が死ぬか戦闘不能になった……そういう事だと思いますわ」

それ凄くヤバいんじゃないか。

「それって、異世界人は凄く悲惨なんじゃ……」

「その代りとんでもなく優遇されています!」

「そうでもありませんわ! 戦いと言う事なら悲惨ですが……地位、お金、異性、手柄をあげれば破格値の褒賞が得られますわ。しかも、それらを成し遂げる能力も女神様から貰える……そう考えるなら恵まれているとも取れますわね」

確かにそうだ。

だが、どう考えても争いごとが嫌いな人間の方が多いと思う。

例えば、俺がジョブを譲ってあげた子……どう考えても文学少女みたいで戦いとは無縁の様に思えた。

本当に大丈夫なのだろうか?

幾ら俺が考えても何もしてあげられないけどな……




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【リクエスト作品】邪神のしもべ  異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!

石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

処理中です...