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第23話 裏社会の買取
しおりを挟む俺は今、新宿に来ている。
島袋の北口から更に裏にある風俗街の更に奥。
此処に『裏社会のショッピングモール』通称黒ビルがある。
此処のビルには『戸籍屋』『銃の販売』『殺し屋の仲介』などが部屋を借りて商売している。
その中で『買い取り屋』という商売をしている会社がある。
此処に弘毅の家から盗んできた物を全部売る。
勿論、訳ありの物を文句も言わず、身元も調べずに買い取ってくれる。
本来なら全部で10億以上の価値はあり、裏でさばいても5億は固いが……多分、そうはいかない。
「それで、あんた此処の事を何処で聞いたんだ?」
「ああっ、昔、田向さんから聞いたんだ。何でも買い取ってくれるんだよな?」
「田向……ああっ竜二の紹介か? 何を持ってきたんだ……知り合いの紹介だから、見るだけは見てやるよ」
「お願いします……」
俺は弘毅の家から持ち出した物を全部出した。
ゲーム機やPCは流石に持って来てない。
「成程なぁ……竜二の紹介だけあって、買い取りに必用な物は全部揃っている……それで幾ら欲しいんだ」
これが本当に面倒くさい。
こういう商売は、向こうはなかなか金額を言わない。
売る、こちら側が言わないとならねーんだ。
「全部で本来なら10億……通常の裏相場は5億って所だが、こっちはすぐにでも金が欲しい……即金でくれるなら2億で構わない」
まぁ、この位で本来は売れる。
だが……
「竜二の紹介なら……特別7千万でどうだ? その代り即金で今払ってやる……どうだ?」
俺が田向竜二なら間違い無く2億の金になった。
それは、此奴らが『田向竜二』の恐さを知っているからだ。
そして、田向竜二が生きているなら恐らく、俺が相手でも1億~1億5千万で買ってくれただろう。
だが、形上、田向竜二は死んでいる。
つまり、俺はなんの後ろ盾も無い高校生のガキだ。
今の俺は顔見知りでも無く、何の実績も無い只の『顔見知りだった男の知り合い』
只の一見さんなら、7千万でもまだ良い方だ。
「今回はそれで良い……」
「それじゃ、商談成立だな」
これで山上権蔵は終わりだ。
それは弘毅の終わりも意味する。
家や土地の権利証は実印と印鑑証明カードと一緒に裏社会にわたってしまった。
恐らく、すぐに名義を2~3書き換えられ、持ち主は善意の第三者にされてしまう。
これで実質、弘毅やその親は終わり。
山上建設は残るが……ただそれだけだ。
もう弘毅も親も金持ちでも何でも無い。
もう只の人だ。
「ああっ、これからも顔を出すかも知れねーから、その時はもう少し色付けてくれ」
「考えておく」
俺の前には7千万の札束がある。
次は……なにかの時の為、あそこに行くか……
これで省吾の復讐はほぼ終った……いや、まだ足りねーな。
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