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第38話 Aランク、その価値は…

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麻里奈も去ったし、今日はこれから小学校に行こうと思う。

支度し外に出ると…

「あの正平くん、今日は亜美の番なんだけど?リクエストありますか?」

リクエスト…そうだな。

「だったら、はい…」

俺は鍵を放り投げた。

「正平くん…鍵?」

「うん、今日は亜美が俺を部屋で待ってて、もてなして欲しい、あと手料理もあると嬉しいな」

亜美が不思議そうな顔をしていた。

「手料理? 嘘、それって亜美が作った物を正平くんが食べてくれるって事で間違い無いよね?」

なんで確認が必要なのかな。

「それで間違いないけど? なんでそんな事聞くの?」

「だって、亜美が作った物を正平くんが食べてくれるなんて…信じられないから…本当?」

流石はアイドルナンバー1、凄くしぐさがが可愛い。

「なんで信じられないの?」

「だって…」

話を聞くとこの世界の男は女をとことん嫌っている男性が多い。

他は大雑把でも、こと女に関しては潔癖症に近いらしい。

『女に触るのも嫌』『女から触られるのも嫌』そういう男性が殆どらしい。

それで握手会にあんなお金を払うのか。

そこから進んで『女が触った物は触りたくない』

そこまで進んでいる。

そんな状態だから『手料理』なんて食べて貰えない。

男の食べる食べ物はお弁当で作られる。

ほぼオートメーションで作られた弁当にシュリンクで包まれた状態。

それがランクの低い男性の食べ物。

個人的にはオートメーションで作ってもその機械は女が使っているのに…そこ迄拘る必要はないと思うな…

高ランクの男性は、男性シェフが作った物を食べるのだが…これは凄く不味い。

前の世界のシェフと違って本気で料理なんてしない。

野菜が生煮えなんて事も普通にある。

美香さんが食べていたので、一度少し分けて貰ったら…こんな物、前世なら1000円も払わないで食べられる位貧相な物だった。

お礼にパスタを作ってあげたら無記入の小切手を渡されそうになった。

それでも『女が触った物』は食べたくないらしく男性シェフは引っ張りだこなのだとか…

女にも男にも大人気らしい…こんな物前世のレストランで出てきたら絶対に俺はお説教して二度とそんな店行かない。

まぁ握り飯1個、男が握っただけで1万円で喜んで買う世界なんだから当たり前だな。

ちなみにこの世界の女のシェフの料理なら三ツ星クラスでコースで5万円位…男性なら無料どころか逆にお金が貰える。

凄いな…

「俺は亜美が作ってくれたご飯が食べたいんだ、ご飯を作って待ってくれている…ハンバーグが良いなぁ」

「正平くん、ハンバーグね、亜美頑張る!最高のハンバーグを作って待っているね…」

可愛いガッツポーズを作ると亜美は笑顔で手を振って去っていった。

◆◆◆

このまま小学校に出掛けようと思っていたんだが…出来なかった。

「あの正平様、いまお時間がありますか?」

美香さんに声を掛けられた、横に琴美さんも居る。

多分、重要な話になりそうな気がする。

「あの、正平様はSEXについてどう思います?」

「正平さん、ごめん、もう正平さんがAランク相当である事がDHS(男性保護施設)の責任者の川島さんにばれちゃった…ごめん」

まぁ、精子を提出するんだ、ばれるのは時間の問題だよな。

それより心配なのは13号さんだ8号事琴美さんは此処に居るから問題はないが13号さんは不味いんじゃないか?」

「その前に13号さんはどうなるんでしょうか?」

「その女性は…赤道下の収容所送りが決まっています」

「なら、スカウトします! 私の保護者に追加してください」

「犯罪者で…」

「申請します!」

「解りました…DSSSが責任を持ってその申請を通します…男性の意見を優先…それがこの世界のルールですから…少しお待ちを」

そう言うと美香さんは席を外した。

すぐに席に戻りニコリと笑いながら…

「話が通りました…正平様の保護者でいる間は罪の執行をしない、そういう話で話がつきました…要らなくなったら何時でもポイして下さいね」

13号さんの本当の名前は 青木律子というらしい。

手続きの関係で3週間位で此処に来るそうだ。

まぁポイなんてしないけどな。

「はい、お手数をかけました」

「それで問題はSEXですよ…精子の状態がほぼ正常なのは解っています…問題は心的要因です、此処暫く様子を見た感じ普通に女性に接しているようですが…どうでしょう?」

もう嘘を言っても仕方ないだろうな。

「多分、普通に出来ます」

流石に、実践をしていないから『出来る』と宣言はしない。

だが、今の自分の状態を考え出来ない、そんな事は無い筈だ。

「やはり、そうですか…ハァ~」

「どうかしたのですか?」

「この国、いやこの世界にはAランクは存在していません、Bランクですら国内には6人しか居ません、その6人でも半日以上の時間を掛けてようやく勃起をして挿入まで漕ぎつくのは至難なんです。その程度の性能力しかないんです…膣内に射精なんてそれこそ、Bランクでもそうは出来ません」

なんか可笑しい気がする。

「確か、Bランクは月1単位で性行為が可能だった気がしますが」

「こちらでいう性行為は『挿入』までです…すいません誤解しやすい表現で」

まじか…この世界の男って…まぁ良いや。

「そうですか」

「はい、しかも精子が正平様に比べるとかなり薄く、妊娠の可能性がかなり低いんです…それで正平様をAランクとして正式に登録する事が決まりました…ただこれは世界に影響を与えるとんでもない話なので、対外的にはBランク…各施設長クラスにはAランクという身分を公表します」

これ不味くないのかな。

「不味くないんですか?」

「ああっ13号、いや青木が勘違いしていたようだですが、特に今と生活は変わりませんよ…但し特典が破格に増えるだけです」

「そうなんですか?」

「はい…昔はAランクに対して色々と実験的な話がありましたが、その殆どはもうBランクの方で済みまして…その後国で話し合いを繰り返し『もしAランクの方が現れたら妊活を頑張って貰う』少なくともこの国はそう決まったのです」

何だか、随分話が違う気がする。

「あの琴美さん、随分話が違う気がしますが?」

「ごめんなさい、私も律子も学者コースだったので法律が苦手で…本当にごめんなさい」

「生活は基本、今と変わりません…寧ろ向上しますからご安心下さい」

「どう変わるのでしょうか?」

「それに関してこれから説明いたします」

話の内容はこうだった。


『他の男性が所有している女性も指名して自分の者に出来る』

一番凄いのはこれだ。

凄いなこれ…ある意味この国の女性は全部俺の者…そう取れる。

「これ本当に良いんですか? 揉めませんか?」

「どうせ、他の男性は女性に対して興味がありません、プライドから文句をいう者も居るかも知れませんが『何もしない相手』に考慮なんてする必要はありません…奪われる側の女性は相手がAランクだと解れば泣いて喜ぶと思います」

俺にとっては都合が良い話だ。

問題は無いな。


『お金に関しては月3000万支給、妊活で必要な物なら金額制限なし』

「今現在でも、お金が溜まる一方で使う事は無いんですが」

「DSSSで生活していればそうなりますよね…まぁこれはあくまで便宜上ですね…正平様であれば精子を売っただけで億万長者ですから一応権利がある…それだけですかね」

今の俺の生活にこれ以上お金は必要ないな。

「そうなんですか」

そうとしか言えないな。

「此処からは正平様ではなく女性側の権利ですね、まず正平様と肉体関係になった女性で『満足させられる』そう判断されれば、『優良母体』として登録します…恐らくそれは表には出せませんが女性として最高の名誉ですね」

え~と、そうなのか?

「正平様がもし、女性と体を重ねて『膣内射精』をしたなら『優良母体』登録は確定、女性にも正平様にも精子購入処じゃない金額を約束します」

「はい」

「それから女性が妊娠しましたら、その女性に『莫大な一時金』を支払います、最低でも1億円は予定しています…更にそこから生まれた子供に対し女の子なら1千万、男性だった場合3億の支援を予定しています…勿論他にも協力してくれるなら、その都度お金を払います」

なんだか凄い話だな。

「そうだ、子育てはどうするんだ?」

「そこは未定です…だってそんな事が出来る男性なんて存在しませんでしたから…ですが、そこは正平様とその相手の意思を尊重します」

凄いな…纏めると…

【俺の権利】が

全ての女性を自分の者に出来る権利。

事実上女性絡みのお金は使い放題。

【女性側の権利】が

『優良母体』という名誉が与えられる。

俺が俗にいう『中出し』をすればお金が貰える。

妊娠すれば、生涯遊んで暮らせるお金が手に入り、産んだ子供に対してのお金が支払われる。

良く考えれば…俺が選んだ時点でDSSSでの生活も手に入るから、多分かなりの幸せが手に入るんじゃないのか?

しかも、あの話なら育児をしなくても、しても良いみたいだ。

何か落とし穴はないか…

ある筈はない。

あるとすれば、俺から生まれた子はかなりの率でAランクだから、将来的にAランクの価値が下がっていくが…正直今のCランクの条件でも過分だから、問題は無いな。


「凄い話ですね…納得しました、2週間位後からで良ければ、宜しくお願い致します」

「即決…悩まないのですか?」

こんなエロ漫画みたいな話、悩む男は居ない…ああっ前の世界ならな。

「はい、本当なら今日からと言いたいのですが…今搾精を頑張る様にし始めたばかりですので…今迄頑張った子と、これからの子との差別をしたくないんで…すいません」

「いえ、寧ろそんなに早くから動いて貰えると思っていませんでした…本来は説得に半年は掛かると思っていましたので…すいません2週間ではこちらの準備が間に合いません…急がせますので1か月…そう1か月後からスタートしましょう」

「宜しくお願い致します」

「頑張りましょう」

結局話が終わる頃には2時を回っていた。

小学校は明日からで良いや…











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