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第17話 寂しさとパートナー探し (書き換え)
しおりを挟むこれから俺はどうすれば良いんだ…
恐らく、俺はこの世界で最強に近いかも知れない。
上位の竜を瞬殺出来た時点でまず身の安全は保障された様な物だ。
衣食住に困らなくなった今…心に余裕が出来たせいか『寂しさ』で一杯になった。
残念な事に恋人や好きな女の子も居ない。
きっと俺を好きな女の子も居ない。
クラスメイトとは特に仲は良く無かったが、それでも傍に知り合いがいるだけで安心感があったような気がする。
追放されても城の中で俺を心配するような人物は居なかった。
だが、独りぼっちになった今、それですら懐かしい。
ネズミになり虫になり忍び込んでみたら、何人かのパーティを組んでやがて旅に出るようだ。
問題なのは勇者パーティは…聖剣を含む聖なる武器が何者かに壊された事で…どうして良いのか思案状態。
絶望感に染まっていた。
もう…魔王と戦うのは半分断念するようだ。
その代りこれからは魔族の勢力を削るそういう戦いになるらしい。
何時までも昔の同級生を見ていても仕方が無い。
『さようなら』
今の俺は皆が知っている姿じゃない。
親友、恋人そういう存在がいれば此処に戻れるかも知れない。
だが、俺にはそこ迄の知り合いは居ない。
王族に嫌われている俺を、それを押して仲間にしてくれる。
そういう存在は居ない。
同級生に別れを告げて、俺は城を後にした。
◆◆◆
しかし、寂しい…
この世界で俺は一人ボッチだ。
前の世界で父さんを亡くし、母さんを亡くし、親戚に引き取られ、居場所が無かった。
親戚には親切にされていたが、それは家族の愛では無かった気がする。
だが、学校に通い生活していたからか、此処迄の寂しさは無かった。
今は…凄く寂しい。
これは多分…本当の意味で1人になったからだ。
今の俺は何でもできる…孫悟空だからだ。
◆◆◆
俺はこの世界で凄くモテる。
何故なら、孫悟空は変化の術の達人だ。
どんな美男子にも思いのまま変化できる。
毎日姿を変えて出歩いた。
ある時はエルフの線が細い美男子。
またある時は…気高い貴族風の男。
どんな女も虜に出来る。
孫悟空の変化は振舞いまで容姿に近くできるから当たり前だ。
だが…虚しい。
どんな美男子にもなれ、そのしぐさまで模倣できる。
だが…どうすれば本当の恋が出来る。
どうすれば、この孤独が埋まる。
解らない。
◆◆◆
「そう言えばこの前の件はどうなったんだ?」
「知りたいですか? 銅貨3枚になります」
何でもお金だな。
「はい」
「まず『古代竜クラスの魔物が暴れた後の調査求』ですが、もう去ったあとらしく、何処にも竜が居る形跡がありませんでした。もう安全だと思いますから気にしないで大丈夫です」
やったのは俺だから…安全なのは当たり前だな。
「良かった」
「ですが、問題なのは『王城にて聖剣を含む聖なる武器が何者かに破壊された』こちらです! こちらは聖剣も含み最早修復は不可能です。これで人側は魔王に対する抵抗手段が無くなりました…魔王は恐らくもう倒す事は出来ません。女神に教皇様が祈りを捧げたそうですが…少なくとも百年単位で聖なる武器が生まれることは無いそうです…あと、城に入り込んだ魔族はどんな方法で入ったか解らないそうです…少なくとも魔族で此処迄、侵入が得意な魔族は誰も知らなく見当がつかないそうです」
「そうですか…ありがとうございます」
「あの、悟さん…差し出がましいかも知れませんがパーティを組みませんか?」
「何故、そんな事を!」
「哀愁を漂わせてますよ! 背中が寂しそうです」
「そんな事は…」
「ありますね! 女々しく一人は嫌だ…そんな顔をしています」
くそ…サリーちゃんは…ずかずかと心を抉ってきて…
だけど、腹黒だと思っていたが…口が悪いだけで、性格は優しいのが最近解った。
お見通しなんだな。
「そうだな、良く解るね」
「あはははっ、そんな捨てられた子犬みたいな顔していたら解ります。悟様は実力もあるし、今の容姿は悪く無いですからパートナーに困らないですよ…よりどりみどりです! ご希望はありますか?」
どんなタイプが良いのだろう?
取り敢えず、伝えてみるか?
「そうだな、年齢で言うなら20代後半から30代前半くらいの妙齢な女性で…エルフみたいに痩せているのは駄目で、どう言えば良いのかな…肉付きが良くてぽっちゃりしていて…あっデブって言う事じゃ無いよ」
「容姿ばかりじゃないですか? 普通は能力的な物を言うと思いますが….」
「俺、オールランダ―だから、相手に併せられるから」
「そうですか? しかし若いのになんで、そんなロートルの女性と組みたいのですかね…解りかねますよ…話で聞く限り相当な…そのブサイクな女性に思えるのですが…困りましたね。容姿端麗とかならデーターはありますが、そんなデーターは無いですよ」
思わず俺は母さんの容姿を言ってしまった。
俺はやはりマザコンだったみたいだ。
「確かに探すのは…難しい」
「そうですね、聞いた限りのデーターじゃ探せない…どうかしましたか?」
あそこに居る女性。
髪はロングで赤髪。
目が大きく笑顔が良く似合う。
胸は大きくお尻が大きい。
一昔前の河合なんちゃらとか柏原なんちゃら、榊原なにがし、みたいな大きな胸だけどデブじゃない本当のポッチャリ。
薄着のミニスカートのアーマーが何ともセクシーだ。
「ああいう感じ」
俺はその女性を指さした。
「悟様、貴方の目は腐っているのでしょうか?」
髪の毛の色が違うが、母さんに似た感じの凄い美女だ。
「凄い美女にしか見えないが…」
「あはははっ、異世界人の一部に美的感覚が狂っている存在が居ると聞いた事がありますが悟様がそれでしたか…彼女の名前はエルダ。別名『ビックブレスト(巨乳)のエルザ』と呼ばれていますね」
「巨乳って…それでなんで俺の美的感覚が狂っている事になるんだ」
「だってオークみたいでキモイでしょう? 異世界は兎も角、この世界ではエルフみたいに痩せている女性が美人なんです…エルダで良いなら簡単です…エルダさん、悟さんが貴方とパーティ組みたいそうですよーー!」
目があった。
やっぱり美人だ。
美少女ではなく大人の美人。
「あははは...私みたいなおばさんと組みたい? しかもオーク胸と言われる私? くぅぅぅぅ残念だわ...1年前に言って欲しかったな...私、もう人妻なのよ!」
「残念でしたね悟様」
「揶揄ったんですか?」
「少し、ですがエルダさんは...なかなか結婚が出来ないでようやく去年結婚できた方です...エルダさんみたいなタイプが好みなら...すぐ見つかりますよ...頑張って下さいね」
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